佐々木譲のレビュー一覧
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ネタバレ制服捜査の川久保さんが出て来るが、単なる続編という感じではない、というのも川久保さんは主役ではないから。
じゃ誰が主役かというと、人物ではなく、3月ごろこの地方を襲う猛吹雪である。
交通がほぼ完全に遮断され、停電やボイラー故障が頻発し、暖房の効かない建物内や車の中では凍死すらあり得る、猛吹雪の中で、色んな過ちや過去を抱えた人が何かに導かれるようにとあるところに集約されていく。
人を主人公としてその描き方を読むとぎこちなさや物足りなさを感じるのだが、大自然の驚異の中であたふた生き延びようとする人間のおろかさを見下ろすような視点で読めば、この作品は面白い。
以前にも思った佐々木譲お得意の「余 -
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ネタバレ小説でも映画でも落語でも、フィクションの手法として、ある一定のとこで話を止めて「ここから先は貴方の想像の世界です」みたいな突き放し方するのあるよね。あえて結末を言わずに余韻で深みを出すというか…。
佐々木譲の小説って、その余韻の手法を多用してると思う。中には「それは余韻じゃなく、おいてけぼり」って思えるくらいのとこで話終わらせるようなのもあるくらい。佐々木氏の得意技かつ味なんだと思う。
この短編集に収録された各作品も、余韻をしっかり味わせてくれる、作品と作品の間を急ぐと余韻を損なうので要注意!って言いたいくらいに。一つ一つの短編を読み終わるごとに「うわっ、ありゃ、んー…」などと余韻を積み重 -
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ネタバレ道警シリーズ以外でこの作家の作品を読むのは初めて。
今回の代官山は多少、ワタシも知っているエリア。そのせいなのかもしれないが、読み進むと、情景説明が多さにネガティブな感覚を覚える。思い出せば、道警シリーズも情景説明が多かった気がしてきた。つまり、知らないエリアは情景説明があった方がイメージが湧く。しかし、知っている人にとっては、ちょっと余計に感じるということか。と途中で判断して、情景説明は読み飛ばしながら読んでいったら、スムーズに進んだ。
40時間で解決させたというのはあまりに無理があるように感じるが、それ以外のストーリー展開は非常に好みな展開で面白かった。 -
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僕の中では警察小説を書く方の中で打順を組んだら必ずクリーンアップとなる佐々木譲さんの連作集です。
長編では無く連作なので若干後回しにしていたのですがこれが大ヒット。僕の中では警官の血に迫る勢いで心のランキングを駆け上って行きました。
元々刑事だった川久保が駐在さんとして赴任した先で出会う事件を連作として書いています。
遭遇する事件としてはとても現実味が有って、やたらと重大事件に遭遇したり、やたらと姿死体が発見されたりせず、人と人の軋轢によって生じる心の闇の部分を描いていて違和感が無く読めました。
比べる訳ではないのですが、笹本稜平さんの「駐在刑事」はあまりにも事件起き過ぎ人死に過ぎという違和感 -
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山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。
海軍が1941年12月8日の真珠湾攻撃するとの情報のために、命がけで択捉島へ渡る日系人スパイ、ケニー・サイトウ。彼が北の小島で見たものは、、、
話の脇の軍の蛮行が胸にささる。
からの諜報戦。行き着くまで裏をかき続け、ハラハラ、スピード感!
(反面、磯田軍曹の徒労感たるや、、、果てのまさかの封鎖⁉︎心底気の毒になった。)
人種差別、貧困、嘘、すべて受け入れてそして恋も。
結末は何通りか描けたが、やっぱりこうなってしまったか。なんだったの、なんのためにケニーは。お偉いさんの頭の中はどうなっているのか。
エピローグに希望が見えた。戦 -
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ありがたいことに、身近には“本選びの羅針盤”とでもいうべき友人が数人いる…
もちろん、読書は個々それぞれが好きに感じる悦楽…その上、このひん曲がった性根からすれば、他人から進められた本の全てに、推薦した人の思惑通りに感動したり勉強になったりすることは、まず無い!のだが(苦笑)、何故かその数人の友人が推す本には、所謂“ハズレ”が無いどころかドストライクが多い…というか、おそらく私の性質を知った上で投げてくれる、優しい球だとも思うのだが(笑)
で、先日も、その中の一人(元文芸出の編集者)と、不定期ながら唐突に始まるヤサグレ飲み会の折に、警察小説から、佐々木譲氏の『嗤う警官』に話が移ったときに、