佐々木譲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ小説でも映画でも落語でも、フィクションの手法として、ある一定のとこで話を止めて「ここから先は貴方の想像の世界です」みたいな突き放し方するのあるよね。あえて結末を言わずに余韻で深みを出すというか…。
佐々木譲の小説って、その余韻の手法を多用してると思う。中には「それは余韻じゃなく、おいてけぼり」って思えるくらいのとこで話終わらせるようなのもあるくらい。佐々木氏の得意技かつ味なんだと思う。
この短編集に収録された各作品も、余韻をしっかり味わせてくれる、作品と作品の間を急ぐと余韻を損なうので要注意!って言いたいくらいに。一つ一つの短編を読み終わるごとに「うわっ、ありゃ、んー…」などと余韻を積み重ねるのが良い。
そして、その余韻が最後の作品で、なんとも絶妙に息を吹き返して動き出すのだ。余韻があるからこその、お祭りシーン!群衆シーン!主人公たちの焦燥感…全てがリアル感じられるように思う。音や臭いや温度ですら心の中で再現される。その見事なこと。
正直、佐々木譲作品の中では注目もしてなかったし、実際後回しで読んだわけだが…なかなかどうして、これはすごいぞ。 -
Posted by ブクログ
僕の中では警察小説を書く方の中で打順を組んだら必ずクリーンアップとなる佐々木譲さんの連作集です。
長編では無く連作なので若干後回しにしていたのですがこれが大ヒット。僕の中では警官の血に迫る勢いで心のランキングを駆け上って行きました。
元々刑事だった川久保が駐在さんとして赴任した先で出会う事件を連作として書いています。
遭遇する事件としてはとても現実味が有って、やたらと重大事件に遭遇したり、やたらと姿死体が発見されたりせず、人と人の軋轢によって生じる心の闇の部分を描いていて違和感が無く読めました。
比べる訳ではないのですが、笹本稜平さんの「駐在刑事」はあまりにも事件起き過ぎ人死に過ぎという違和感がぬぐえなかったので、これだ!と膝をはたと打つ思いでした。
そしてそして粛々と村の闇の部分に目を向けながら、最後の中編で十数年前の祭りで行方不明になった少女と、村の闇の部分が重なり合い新たな事件が発生します。
十数年ぶりに復活した祭りに人々が訪れ、忌まわしい失踪事件とあまりにも類似する新たな誘拐事件が勃発するのでありました。
これが最後のフィナーレにふさわしい手に汗握る物語で、あまりに強く握ったので本がよれよれになってしまいました。 -
Posted by ブクログ
山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。
海軍が1941年12月8日の真珠湾攻撃するとの情報のために、命がけで択捉島へ渡る日系人スパイ、ケニー・サイトウ。彼が北の小島で見たものは、、、
話の脇の軍の蛮行が胸にささる。
からの諜報戦。行き着くまで裏をかき続け、ハラハラ、スピード感!
(反面、磯田軍曹の徒労感たるや、、、果てのまさかの封鎖⁉︎心底気の毒になった。)
人種差別、貧困、嘘、すべて受け入れてそして恋も。
結末は何通りか描けたが、やっぱりこうなってしまったか。なんだったの、なんのためにケニーは。お偉いさんの頭の中はどうなっているのか。
エピローグに希望が見えた。戦争が終わっても苦難はあるだろうけど、幸せになってくれてると信じたい。
いい本にあえました。 -
Posted by ブクログ
ありがたいことに、身近には“本選びの羅針盤”とでもいうべき友人が数人いる…
もちろん、読書は個々それぞれが好きに感じる悦楽…その上、このひん曲がった性根からすれば、他人から進められた本の全てに、推薦した人の思惑通りに感動したり勉強になったりすることは、まず無い!のだが(苦笑)、何故かその数人の友人が推す本には、所謂“ハズレ”が無いどころかドストライクが多い…というか、おそらく私の性質を知った上で投げてくれる、優しい球だとも思うのだが(笑)
で、先日も、その中の一人(元文芸出の編集者)と、不定期ながら唐突に始まるヤサグレ飲み会の折に、警察小説から、佐々木譲氏の『嗤う警官』に話が移ったときに、“第二次大戦三部作”を読まずには、佐々木譲を語れず!的な指摘を受け…いや、正に読めという“指令”を受けた。…そして、指令をうっちゃったまま、はや数ヶ月…仕事も無いヒマな日が目の前に広がると、粋な趣味的なものも持たず、多くの友人達のように“リア充”な食べ歩きやイベントに動くような、心や財布の余裕がある訳でもない身としては、活字世界に心の拠り所を求めたりする訳で(笑)…とりあえずは、おそらくドストライクであろうその球を受けたく、ようやく手を伸ばした。
そして、1日で読み終え…爽快な…かつ重厚な満足感を得ている。
歴史をベースにした、冒険小説…といったら軽々しいのか?
やはり自分をワクワクさせてくれる一番のfactorは、登場人物の誰一人として捨て駒的な役回りが無いってことで、もちろん、実存した人名を使うってことは、その義理も果たさなければならないのだろうが、それにしても全ての人物像が生々しくスバラシイ…
そのこと自体は、『嗤う警官』でも感じたことなんだけど、この話の舞台は、とかく同じような、国家の反省やら汚点として始終する実際の第二次大戦にまさに突入する際のこと…同じ零式艦上戦闘機がモチーフなのに、最近、ベストセラーになって映画もロングランになった、やたら文字数で読ませる放送作家さんとは違って、贅肉が無い展開の中で、国や組織では抑えられない飛行機乗りの気高さや、開戦の無意味さ、男女の心の機微がかえって肉厚に描かれていて、ほんとうに読んでよかったと思う。
まぁ、ここまでくっちゃべって、言うのもなんだけど…
未読で、これから読みたい人が居ると申し訳無いので、筋に関しては何も言いません(笑)が、人間は、もっとシンプルであって良いのでは無いか?とも考えさせられました。私も、“蛮行か愚行のどちらかを選べといわれたら、ためらうことなく愚行を選ぶ”…そんな安藤大尉でありたいと、今の日本が、近隣諸国を含め、諸外国に…いや内政にも行おうとしている様々な事柄は、銃弾を使わない“蛮行”のような気がしてならないと…そんな気持ちです。
とりあえず、元さん!次はエトロフ…行かせていただきます!(笑) -
Posted by ブクログ
昼ご飯を食べてぱらっとめくって読み始めたら、そのまま一心に読みふけってしまってた。気づいたらもうおやつの時間が・・・
短編ながら続き物。
しらず手にしたが、冒頭の一篇が、年末に読んだ警察小説6作家競演の中の一番最初の小説だった。この短編を読んで、佐々木譲さん読もうと思ったのだった!続きがあるの嬉しかった。
道警の大異動による駐在署勤務。元は刑事。道警の刑事より出しゃばらぬよう弁えつつ、光らせる眼は刑事だ。
そして、駐在ならではの難しさ。地元の防犯協会や有力者も無下にできない。
割れガラスが特によかった。仮装祭のハラハラとスピード感。
制服捜査っていう題名、たしかに制服警官の話だけど、それ以上のなにかもっともっとかっこいい題名が似合うと思う。