佐々木譲のレビュー一覧

  • 警官の条件

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    佐々木譲得意の長編警察小説。発表された当時は酒井法子の麻薬所持、逃走事件が起こっていたらしい。そんな実話を挿入しつつ、麻薬捜査と警官殺人事件解決に挑む警察官たちの行動を描く。

    ストーリーの中心となる警官は2人。部下も上司も持たず、単独捜査で実績を残してきたベテランの加賀谷警部と殉職警官を父に持つ若手エリートの安城警部。

    裏社会を憎み、チームプレーで捜査に挑む安城は、裏社会に片足を突っ込み、自身も逮捕歴のある加賀谷のやり方を反面教師としていた。互いに相容れることのない対照的な2人だが、警官の条件を満たすため、任務を忠実に果たそうとする点は同じ。

    直接対決することはない2人だが、警察組織は彼らを比較し、その対立を煽る。そんな激しいプレッシャーを意識する安城に対して、加賀谷はひょうひょうと裏社会のコネを利用して事件の真相に近づこうとする。

    ミステリー小説ではなく、安城警部を主人公とする警官の青春小説として読むべき作品。警察に勤めるって大変だ。

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    2018年01月11日
  • 武揚伝 決定版(下)

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    長い長いプロローグが終わり怒涛のストーリー展開で一気に読みきった。今、この現代にこそ欲しいリーダーだが、それは他力本願か

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    2017年12月14日
  • 警官の血(下)(新潮文庫)

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    上巻に続き、下巻も素晴らしー。
    重厚感あふれる物語は、圧倒的な面白さ。
    これぞ小説の横綱本って感じ。

    グダグタ言わないので、黙って上下読みなさい
    とお勧めしときます。

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    2017年11月16日
  • 警官の血(上)(新潮文庫)

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    直球。どストライクの豪速球。
    これぞ大河小説の基本、ってな感じの重厚なお話。

    話自体は地味なんだけど、読ませる、面白い。
    ページを捲る手が止まらない。
    読後「読んだ~」という達成感といい
    程よい疲れも素晴らしすぎる。

    これを読むと、上っ面だけの読み物なんぞ
    足元100kmにも及ばないって実感できます。

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    2017年11月11日
  • ストックホルムの密使(下)

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    戦争は情報戦だと言われるのに、現実から目を背け耳を塞ぎ、信じたいものだけを信じ、国内の重要機密をスパイに筒抜けにし、外交も腹立たしいほどにヘタクソで、国力差は圧倒的不利。そもそもこんな国が何で戦争なんて始めてしまったのか。この非常時に陸軍と海軍は対立し合い、大和田文書が早い時期に届けられたとしても、ソ連の参戦・原爆投下は阻止できなかったのではないかと思う。
    だが、戦争を終わらせようと最後の最後まで望みを捨てなかった人達の尽力を忘れてはならない。
    主要人物はもちろんだが、個人的には磯田の死に胸が詰まった。磯田は…「エトロフ」でも読んでいて辛くなるほど職務に忠実な男だった…。
    そして、気になっていた安藤大尉の消息…。そうか、彼らしい…。
    この本もまた、素晴らしい作品だった。佐々木譲さんありがとうございました。

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    2017年09月30日
  • ベルリン飛行指令

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    久々に寝食忘れて読んでしまった。
    佐々木譲さんの第二次大戦3部作の第1作目だったようだ。「エトロフ~」を先に読んでしまっていた。順番通り読んでいたら、「エトロフ~」がもっと楽しめたのかも!
    この本は「エトロフ~」ほど難しくなく、物語に入っていきやすかった。そして、登場人物の誰もが自分の美学、信念を持っていてかっこよすぎる。それ故に、悲しい…。
    海軍の中に、これほど現実を直視できる有能な人間がいたはずなのに、何故大戦を止められなかったのか残念でならない。そして、安藤、乾、柴田…その他多くの人々の命を賭し成功させた任務をなかったことにしてしまうなど…。安藤は…その後どうなったのだろう。エピローグには書かれていなかったが?
    気力を回復してから第3弾を読むとしよう。
    素晴らしい本に出会えたことを感謝する。

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    2017年09月23日
  • 暴雪圏

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    ネタバレ

    制服捜査の川久保さんが出て来るが、単なる続編という感じではない、というのも川久保さんは主役ではないから。
    じゃ誰が主役かというと、人物ではなく、3月ごろこの地方を襲う猛吹雪である。

    交通がほぼ完全に遮断され、停電やボイラー故障が頻発し、暖房の効かない建物内や車の中では凍死すらあり得る、猛吹雪の中で、色んな過ちや過去を抱えた人が何かに導かれるようにとあるところに集約されていく。

    人を主人公としてその描き方を読むとぎこちなさや物足りなさを感じるのだが、大自然の驚異の中であたふた生き延びようとする人間のおろかさを見下ろすような視点で読めば、この作品は面白い。

    以前にも思った佐々木譲お得意の「余韻」がそういう特徴のこの物語でもいかんなく発揮されていて良。書き込み過ぎない不親切さが、苛烈すぎるくらいに人に厳しい自然の描写に
    似合っていると思う。

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    2017年04月09日
  • 制服捜査

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    ネタバレ

    小説でも映画でも落語でも、フィクションの手法として、ある一定のとこで話を止めて「ここから先は貴方の想像の世界です」みたいな突き放し方するのあるよね。あえて結末を言わずに余韻で深みを出すというか…。

    佐々木譲の小説って、その余韻の手法を多用してると思う。中には「それは余韻じゃなく、おいてけぼり」って思えるくらいのとこで話終わらせるようなのもあるくらい。佐々木氏の得意技かつ味なんだと思う。

    この短編集に収録された各作品も、余韻をしっかり味わせてくれる、作品と作品の間を急ぐと余韻を損なうので要注意!って言いたいくらいに。一つ一つの短編を読み終わるごとに「うわっ、ありゃ、んー…」などと余韻を積み重ねるのが良い。

    そして、その余韻が最後の作品で、なんとも絶妙に息を吹き返して動き出すのだ。余韻があるからこその、お祭りシーン!群衆シーン!主人公たちの焦燥感…全てがリアル感じられるように思う。音や臭いや温度ですら心の中で再現される。その見事なこと。

    正直、佐々木譲作品の中では注目もしてなかったし、実際後回しで読んだわけだが…なかなかどうして、これはすごいぞ。

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    2017年03月01日
  • 獅子の城塞

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    一気に何年も進むペースは呆気なさを感じつつ、人の生涯を語るには一冊ではこうならざるをえないか。交通網が発達するということは文明そのものなんだな。

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    2016年04月16日
  • 地層捜査

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    街の古いことや、事件当時の事情を知る加納と組み、水戸部は未解決案件に挑む…「事件の後の展開」が鍵なのか、「事件に至るまでの何か」が鍵なのか、様々な出来事が地層のようになっている。水戸部は順次それらを調べ上げ、事の真相に近付く…
    非常に面白かった!!

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    2016年01月15日
  • 回廊封鎖

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    ちょつしたきっかけで止まらない転落の悲劇。絶望の深さを想像して切ない。今、日本の格差はどれだけ広がったのだろうか。悲しい復讐劇に、考えずにはいられない

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    2015年10月25日
  • 冒険者カストロ

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    20151023 キューバに行くからその国の歴史を知ろうと思って行き帰りの飛行機で読んだ一冊。
    キューバと言えば、チェゲバラのほうが有名だけどカストロは40年以上も国の中枢を担った弁護士であり革命家。幼少期から大学での政治活動、命を狙われて亡命、革命失敗などのストーリーから才能と高い志がうかがえる。
    キューバ設立や外国のこともわかり、歴史も学べるのでオススメだ!

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    2015年10月23日
  • 警官の条件

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    三代警察官の三代目安城和也と、際どい方法でヤクザから情報集めてうまくやってたけど和也に売られた加賀屋とを中心に、裏社会と警察を描いてて、スピード感あるしかなり面白かった。自衛隊ものとか読んでも思うんだけど、部外者と思えないのが作者の取材力の凄さだね。これの前の警官の血ってのも機会あれば読んでみたいなぁ。

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    2015年10月07日
  • 制服捜査

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    僕の中では警察小説を書く方の中で打順を組んだら必ずクリーンアップとなる佐々木譲さんの連作集です。
    長編では無く連作なので若干後回しにしていたのですがこれが大ヒット。僕の中では警官の血に迫る勢いで心のランキングを駆け上って行きました。
    元々刑事だった川久保が駐在さんとして赴任した先で出会う事件を連作として書いています。
    遭遇する事件としてはとても現実味が有って、やたらと重大事件に遭遇したり、やたらと姿死体が発見されたりせず、人と人の軋轢によって生じる心の闇の部分を描いていて違和感が無く読めました。
    比べる訳ではないのですが、笹本稜平さんの「駐在刑事」はあまりにも事件起き過ぎ人死に過ぎという違和感がぬぐえなかったので、これだ!と膝をはたと打つ思いでした。
    そしてそして粛々と村の闇の部分に目を向けながら、最後の中編で十数年前の祭りで行方不明になった少女と、村の闇の部分が重なり合い新たな事件が発生します。
    十数年ぶりに復活した祭りに人々が訪れ、忌まわしい失踪事件とあまりにも類似する新たな誘拐事件が勃発するのでありました。
    これが最後のフィナーレにふさわしい手に汗握る物語で、あまりに強く握ったので本がよれよれになってしまいました。

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    2015年09月21日
  • 警官の血(上)(新潮文庫)

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    およそ60年間、警察官三代の人生を追った壮大な物語。その上巻、清二・民雄編になる。
    北海道警察シリーズなど佐々木さんの作品は読んできたけど、これも含め共通して言えるのはストーリー完成度の抜群の高さ。素晴らしいと思う。
    この作品は東京下町が舞台で、馴染みある地名がたくさん出てきて個人的にはそこも楽しめた点。
    ここまで読んだ限り、物語はどんな展開を迎えるのか全く予想がつかない。下巻へ続く。

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    2015年02月11日
  • エトロフ発緊急電

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    本の厚さに躊躇していた一冊。流石に600頁は時間がかかったが、ぐいぐい引き込まれる作品。
    登場人物の背景が、それぞれ色々な意味で考えさせられる。
    人種・差別・帝国主義、こういうスパイスが真珠湾攻撃というメインに絡んでくるところは素晴らしい。

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    2015年01月21日
  • ストックホルムの密使(上)

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    埋没した歴史にあったであろう物語。現実の時代の流れの背景と組み合わせると、本当に、リアルに感じられる。

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    2014年12月17日
  • エトロフ発緊急電

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    山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。
    海軍が1941年12月8日の真珠湾攻撃するとの情報のために、命がけで択捉島へ渡る日系人スパイ、ケニー・サイトウ。彼が北の小島で見たものは、、、
    話の脇の軍の蛮行が胸にささる。
    からの諜報戦。行き着くまで裏をかき続け、ハラハラ、スピード感!
    (反面、磯田軍曹の徒労感たるや、、、果てのまさかの封鎖⁉︎心底気の毒になった。)


    人種差別、貧困、嘘、すべて受け入れてそして恋も。
    結末は何通りか描けたが、やっぱりこうなってしまったか。なんだったの、なんのためにケニーは。お偉いさんの頭の中はどうなっているのか。
    エピローグに希望が見えた。戦争が終わっても苦難はあるだろうけど、幸せになってくれてると信じたい。

    いい本にあえました。

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    2014年08月08日
  • 警官の条件

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    警官の血の続編。
    前作は親子3代の血の物語。
    それに対し、血の繋がらない親子の物語だろうか。
    表の主人公和也と、前作、そして最後に再び親爺さんと呼ぶ影の主役加賀谷の絆・・・。
    ラストは・・・泣けた。

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    2014年07月16日
  • ベルリン飛行指令

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    ありがたいことに、身近には“本選びの羅針盤”とでもいうべき友人が数人いる…

    もちろん、読書は個々それぞれが好きに感じる悦楽…その上、このひん曲がった性根からすれば、他人から進められた本の全てに、推薦した人の思惑通りに感動したり勉強になったりすることは、まず無い!のだが(苦笑)、何故かその数人の友人が推す本には、所謂“ハズレ”が無いどころかドストライクが多い…というか、おそらく私の性質を知った上で投げてくれる、優しい球だとも思うのだが(笑)

    で、先日も、その中の一人(元文芸出の編集者)と、不定期ながら唐突に始まるヤサグレ飲み会の折に、警察小説から、佐々木譲氏の『嗤う警官』に話が移ったときに、“第二次大戦三部作”を読まずには、佐々木譲を語れず!的な指摘を受け…いや、正に読めという“指令”を受けた。…そして、指令をうっちゃったまま、はや数ヶ月…仕事も無いヒマな日が目の前に広がると、粋な趣味的なものも持たず、多くの友人達のように“リア充”な食べ歩きやイベントに動くような、心や財布の余裕がある訳でもない身としては、活字世界に心の拠り所を求めたりする訳で(笑)…とりあえずは、おそらくドストライクであろうその球を受けたく、ようやく手を伸ばした。

    そして、1日で読み終え…爽快な…かつ重厚な満足感を得ている。

    歴史をベースにした、冒険小説…といったら軽々しいのか?
    やはり自分をワクワクさせてくれる一番のfactorは、登場人物の誰一人として捨て駒的な役回りが無いってことで、もちろん、実存した人名を使うってことは、その義理も果たさなければならないのだろうが、それにしても全ての人物像が生々しくスバラシイ…

    そのこと自体は、『嗤う警官』でも感じたことなんだけど、この話の舞台は、とかく同じような、国家の反省やら汚点として始終する実際の第二次大戦にまさに突入する際のこと…同じ零式艦上戦闘機がモチーフなのに、最近、ベストセラーになって映画もロングランになった、やたら文字数で読ませる放送作家さんとは違って、贅肉が無い展開の中で、国や組織では抑えられない飛行機乗りの気高さや、開戦の無意味さ、男女の心の機微がかえって肉厚に描かれていて、ほんとうに読んでよかったと思う。

    まぁ、ここまでくっちゃべって、言うのもなんだけど…
    未読で、これから読みたい人が居ると申し訳無いので、筋に関しては何も言いません(笑)が、人間は、もっとシンプルであって良いのでは無いか?とも考えさせられました。私も、“蛮行か愚行のどちらかを選べといわれたら、ためらうことなく愚行を選ぶ”…そんな安藤大尉でありたいと、今の日本が、近隣諸国を含め、諸外国に…いや内政にも行おうとしている様々な事柄は、銃弾を使わない“蛮行”のような気がしてならないと…そんな気持ちです。

    とりあえず、元さん!次はエトロフ…行かせていただきます!(笑)

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    2014年06月28日