佐々木譲のレビュー一覧

  • 暴雪圏

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    ネタバレ

    制服捜査の川久保さんが出て来るが、単なる続編という感じではない、というのも川久保さんは主役ではないから。
    じゃ誰が主役かというと、人物ではなく、3月ごろこの地方を襲う猛吹雪である。

    交通がほぼ完全に遮断され、停電やボイラー故障が頻発し、暖房の効かない建物内や車の中では凍死すらあり得る、猛吹雪の中で、色んな過ちや過去を抱えた人が何かに導かれるようにとあるところに集約されていく。

    人を主人公としてその描き方を読むとぎこちなさや物足りなさを感じるのだが、大自然の驚異の中であたふた生き延びようとする人間のおろかさを見下ろすような視点で読めば、この作品は面白い。

    以前にも思った佐々木譲お得意の「余

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    2017年04月09日
  • 制服捜査

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    ネタバレ

    小説でも映画でも落語でも、フィクションの手法として、ある一定のとこで話を止めて「ここから先は貴方の想像の世界です」みたいな突き放し方するのあるよね。あえて結末を言わずに余韻で深みを出すというか…。

    佐々木譲の小説って、その余韻の手法を多用してると思う。中には「それは余韻じゃなく、おいてけぼり」って思えるくらいのとこで話終わらせるようなのもあるくらい。佐々木氏の得意技かつ味なんだと思う。

    この短編集に収録された各作品も、余韻をしっかり味わせてくれる、作品と作品の間を急ぐと余韻を損なうので要注意!って言いたいくらいに。一つ一つの短編を読み終わるごとに「うわっ、ありゃ、んー…」などと余韻を積み重

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    2017年03月01日
  • 獅子の城塞

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    一気に何年も進むペースは呆気なさを感じつつ、人の生涯を語るには一冊ではこうならざるをえないか。交通網が発達するということは文明そのものなんだな。

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    2016年04月16日
  • 代官山コールドケース

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    ネタバレ

    道警シリーズ以外でこの作家の作品を読むのは初めて。

    今回の代官山は多少、ワタシも知っているエリア。そのせいなのかもしれないが、読み進むと、情景説明が多さにネガティブな感覚を覚える。思い出せば、道警シリーズも情景説明が多かった気がしてきた。つまり、知らないエリアは情景説明があった方がイメージが湧く。しかし、知っている人にとっては、ちょっと余計に感じるということか。と途中で判断して、情景説明は読み飛ばしながら読んでいったら、スムーズに進んだ。
    40時間で解決させたというのはあまりに無理があるように感じるが、それ以外のストーリー展開は非常に好みな展開で面白かった。

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    2016年03月13日
  • 代官山コールドケース

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    夢に向かい、夢が半ば破れというような、若者の哀歓と、周辺の人達に、変貌し続けている街…そこで起きた古い事件の波紋…なかなかに興味深い展開を見せる…過去を探る水戸部と朝香の動き、水戸部の案件で懸命に証拠分析を手掛ける研究員の中島の動き、更に現在発生している別な事件の捜査で駆けまわる時田の動きが並行して描かれる中、「事の真相」が次第に明らかになって行く…かなり精力的に動く捜査員館の様が活写される…
    これも、なかなかに力が入った!!

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    2016年01月15日
  • 地層捜査

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    街の古いことや、事件当時の事情を知る加納と組み、水戸部は未解決案件に挑む…「事件の後の展開」が鍵なのか、「事件に至るまでの何か」が鍵なのか、様々な出来事が地層のようになっている。水戸部は順次それらを調べ上げ、事の真相に近付く…
    非常に面白かった!!

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    2016年01月15日
  • 回廊封鎖

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    ちょつしたきっかけで止まらない転落の悲劇。絶望の深さを想像して切ない。今、日本の格差はどれだけ広がったのだろうか。悲しい復讐劇に、考えずにはいられない

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    2015年10月25日
  • 冒険者カストロ

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    20151023 キューバに行くからその国の歴史を知ろうと思って行き帰りの飛行機で読んだ一冊。
    キューバと言えば、チェゲバラのほうが有名だけどカストロは40年以上も国の中枢を担った弁護士であり革命家。幼少期から大学での政治活動、命を狙われて亡命、革命失敗などのストーリーから才能と高い志がうかがえる。
    キューバ設立や外国のこともわかり、歴史も学べるのでオススメだ!

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    2015年10月23日
  • 警官の条件

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    三代警察官の三代目安城和也と、際どい方法でヤクザから情報集めてうまくやってたけど和也に売られた加賀屋とを中心に、裏社会と警察を描いてて、スピード感あるしかなり面白かった。自衛隊ものとか読んでも思うんだけど、部外者と思えないのが作者の取材力の凄さだね。これの前の警官の血ってのも機会あれば読んでみたいなぁ。

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    2015年10月07日
  • 制服捜査

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    僕の中では警察小説を書く方の中で打順を組んだら必ずクリーンアップとなる佐々木譲さんの連作集です。
    長編では無く連作なので若干後回しにしていたのですがこれが大ヒット。僕の中では警官の血に迫る勢いで心のランキングを駆け上って行きました。
    元々刑事だった川久保が駐在さんとして赴任した先で出会う事件を連作として書いています。
    遭遇する事件としてはとても現実味が有って、やたらと重大事件に遭遇したり、やたらと姿死体が発見されたりせず、人と人の軋轢によって生じる心の闇の部分を描いていて違和感が無く読めました。
    比べる訳ではないのですが、笹本稜平さんの「駐在刑事」はあまりにも事件起き過ぎ人死に過ぎという違和感

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    2015年09月21日
  • 憂いなき街

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    ついに!そういう「大人な」関係になりました
    セカンドステージに入っても疾走感のある事件
    解決・・・うねるような状況の落差に読者は右
    往左往しますね

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    2015年09月11日
  • 憂いなき街

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    すっかりキャラが確立して安定感を感じる。なんとなく今野敏の某シリーズと似た雰囲気は、そういうのが好みなんだろうな

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    2015年09月03日
  • 警官の血(上)(新潮文庫)

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    およそ60年間、警察官三代の人生を追った壮大な物語。その上巻、清二・民雄編になる。
    北海道警察シリーズなど佐々木さんの作品は読んできたけど、これも含め共通して言えるのはストーリー完成度の抜群の高さ。素晴らしいと思う。
    この作品は東京下町が舞台で、馴染みある地名がたくさん出てきて個人的にはそこも楽しめた点。
    ここまで読んだ限り、物語はどんな展開を迎えるのか全く予想がつかない。下巻へ続く。

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    2015年02月11日
  • エトロフ発緊急電

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    本の厚さに躊躇していた一冊。流石に600頁は時間がかかったが、ぐいぐい引き込まれる作品。
    登場人物の背景が、それぞれ色々な意味で考えさせられる。
    人種・差別・帝国主義、こういうスパイスが真珠湾攻撃というメインに絡んでくるところは素晴らしい。

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    2015年01月21日
  • ストックホルムの密使(上)

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    埋没した歴史にあったであろう物語。現実の時代の流れの背景と組み合わせると、本当に、リアルに感じられる。

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    2014年12月17日
  • エトロフ発緊急電

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    山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。
    海軍が1941年12月8日の真珠湾攻撃するとの情報のために、命がけで択捉島へ渡る日系人スパイ、ケニー・サイトウ。彼が北の小島で見たものは、、、
    話の脇の軍の蛮行が胸にささる。
    からの諜報戦。行き着くまで裏をかき続け、ハラハラ、スピード感!
    (反面、磯田軍曹の徒労感たるや、、、果てのまさかの封鎖⁉︎心底気の毒になった。)


    人種差別、貧困、嘘、すべて受け入れてそして恋も。
    結末は何通りか描けたが、やっぱりこうなってしまったか。なんだったの、なんのためにケニーは。お偉いさんの頭の中はどうなっているのか。
    エピローグに希望が見えた。戦

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    2014年08月08日
  • 警官の条件

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    警官の血の続編。
    前作は親子3代の血の物語。
    それに対し、血の繋がらない親子の物語だろうか。
    表の主人公和也と、前作、そして最後に再び親爺さんと呼ぶ影の主役加賀谷の絆・・・。
    ラストは・・・泣けた。

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    2014年07月16日
  • ベルリン飛行指令

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    ありがたいことに、身近には“本選びの羅針盤”とでもいうべき友人が数人いる…

    もちろん、読書は個々それぞれが好きに感じる悦楽…その上、このひん曲がった性根からすれば、他人から進められた本の全てに、推薦した人の思惑通りに感動したり勉強になったりすることは、まず無い!のだが(苦笑)、何故かその数人の友人が推す本には、所謂“ハズレ”が無いどころかドストライクが多い…というか、おそらく私の性質を知った上で投げてくれる、優しい球だとも思うのだが(笑)

    で、先日も、その中の一人(元文芸出の編集者)と、不定期ながら唐突に始まるヤサグレ飲み会の折に、警察小説から、佐々木譲氏の『嗤う警官』に話が移ったときに、

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    2014年06月28日
  • 警官の条件

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    「警官の血」の続編。
    安城和也が表の主人公、加賀谷が裏の主人公。
    読み進めると、むしろ加賀谷こそが主人公のように思えてくる。
    「血」よりもスピード感が増し、770ページもあっという間。

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    2014年06月17日
  • 警官の条件

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    警視庁組織犯罪対策部が舞台。
    かつて、上司を売り退職させるきっかけを作った安城と、その上司だった加賀谷警部。

    十年後、組対の係長となった安城、組織がバラバラで空回りが続く中で失敗をする。そこへ、十年振りに加賀谷が戻ってきて、、、


    加賀谷警部めちゃめちゃかっこいい。
    これはドラマになったら相当面白いだろう。
    あらゆる方面から核心へ近づくシーン、もうたまらない。

    で。
    警官の血の続編というのは読んだあと知りました。また、やっちゃった。順番間違えた。

    読んでいたらもっと入りやすかったろうなあ。早急に読みたい!

    大変面白かった。

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    2014年06月08日