佐々木譲のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大好きな警察小説のアンソロジー。
新たな作家さん発掘も兼ねて。
①佐々木譲さん『弁解すれば』
初めましての作家さん。
これはシリーズ作品の1つ。
他者の心に協調し過ぎてしまう警察官の話。
続きが気になるので今後読む予定
②乃南アサさん『青い背広で』
こちらも初めましての作家さん。
人気シリーズ主人公の若かりし頃の話のよう。
シリーズのファンで無いとあまりピンと来ないかも。
③松嶋智左さん『刑事ヤギノメ』
こちらも初めましての作家さん。
面白かった。けど、短編ではもったいないかも。長編で読みたい。
今のところシリーズは無さそう。
④大山誠一郎さん『三十年目の自首』
こちらも初めましての作家さん。
『赤い博物館』というシリーズの1つの話のよう。2時間ドラマみたいなシリーズ名。主人公の飛ばされた原因の事件の詳細が知りたいので、他作品も読みたい
⑤長岡弘樹さん『噛み付いた沼』
カミツキガメを愛してしまった(?)警察官の話(ではない)
人気シリーズのスピンオフのよう。
シリーズは未読だが、この作品が面白かったので、シリーズを読みたい
⑥櫛木理宇さん『ルームシェア警視の事件簿』
推し作家、櫛木理宇さんの作品。
櫛木さんにしては珍しくライトでポップな話。お料理上手の櫛木さんらしく、ご馳走描写も多くてほのぼの系。
とはいえ、事件のディテールは櫛木理宇さん作品らしいもの。
シリーズ化して欲しいですね。
⑦今野敏さん『ケースオフィサー』
個人的に、外事とか公安とか、あまり好みのタイプの話ではないんだけれど、さすが今野敏さん、すらすら読めた。
とはいえ、事件とも言えず長編で言えば触りくらいの話で終わってしまったのでもったいない。
全体的に面白くて、読んだことのない作家さんの雰囲気も掴めて、とても良かった
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Posted by ブクログ
シリーズ第2作。
警視庁特命捜査対策室の水戸部が秘密裏に捜査を命じられた、代官山のアパートで1995年に発生した若い女性の暴行殺人事件。
当時被疑者死亡で処理されたが、17年後に川崎で起きた婦女暴行殺人現場に残されたDNAが代官山事件現場のものと一致。
水戸部は女性刑事朝香と2人で警視庁の威信を賭けた捜査に臨む。
一方で、過去に代官山事件を手掛けた刑事時田も、西日暮里で新たに発生した女性看護師殺害事件を捜査しながら、水戸部の捜査に協力する。
1作目同様、代官山の土地に密着しながら、薄皮を一枚一枚剥ぐかのような展開の描写は健在。
過去と現在の3つの事件が絡み合いながら、1本の読み筋に収れんしていく様子は緊迫感に溢れる。
水戸部、朝香、時田の3人が倉橋を追い詰める終盤のシーンは本書の山場。
水戸部の科捜研にいる友人中島とその同僚の吉住の仄かな関係は本書の貴重なオアシス。
1作目と同じく、設定を地下鉄サリン事件が発生した年においているが、単に警視庁館内各署の体制が手薄だった状況を利用したいのか、サリン事件に対する作者の思い入れが強いからなのか。
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Posted by ブクログ
シリーズ第1作。
無能なキャリア管理官を侮辱したせいで受けた謹慎処分が解け、迷宮入り事件を担当する特命捜査対策室に異動となった警視庁水戸部刑事。
今はなき四谷三丁目付近の花街荒木町で1995年に起きた老女殺害事件の再捜査を、定年退職した老刑事とともに命じられる。
現場は南北を外苑東通りと新宿通り、東西を車力門通りと杉大門通りに囲まれ、狭い路地や坂道が入り組む小さな街区。
捜査を進めるにつれて古の生業や人間関係、家並み、賑わいなどが眼前によみがえってくる。
薄皮を一枚一枚剥ぐように進む捜査。
当初地上げ関連かと思われた事件の真相には特に意外感がないが、警察小説としてはむしろ妥当。
グーグルマップと首っ引きだが、現代(作品執筆時)と過去の荒木町を存分に疑似体験できる。 -
Posted by ブクログ
あなたの青春は何ですか? 過ぎ去った遠い夏を感じながら、忘れてきた思い出を探す物語 #遥かな夏に
■あらすじ
すでに会社を定年退職していた本庄裕也のもとに、若い駆け出しの舞台女優の大宮真紀が訪ねてくる。彼女は祖父が誰であるか探しているらしいのだ。
かつて本庄は1976年のベルリン国際映画祭で宣伝部として映画制作に参加していた。その映画祭には祖母である歌手の安西早智子も参加しており、真紀はその場にいた関係者から祖父を探しまわっていたのだ。
あの夏、早智子には何があったのか、そして真紀の祖父は誰なのか。本庄はかつての関係者を巡ることになり…
■きっと読みたくなるレビュー
人それぞれに生き方があり、夢があり、仕事があり、生活があり、親子、友人、恋人などの人間関係がある。楽しいことから辛いことまで、人生丸ごといろいろあって年齢を重ねていく。そんな至極当たり前の人間模様を描いた物語です。
本庄裕也のもとに、かつての仕事仲間の孫娘である大宮真紀が訪ねてくる。「あなたは、わたしの祖父ですか?」いい始まりですよね…
同じように年齢を重ねてきた人が読んだら、きっと一気に世界観に引き込まれてしまうでしょう。そう、これは自らの青春時代を振り返る物語なんですよ。
ストーリーとしては本庄が真紀の祖父を探すために、かつての映画仲間、映画監督、原作者、俳優、ミュージシャンたちを訪ねていくという筋だて。
50年も前の出来事なんて忘れていることも多いのですが、関係者に少しずつ昔話を聞いていくうちに徐々に記憶がよみがえってくる。そして当然若かりし頃の思い出も生き返ってくるんです。
まさしく命をかけて映画をつくった人の横顔が見えてくるんすよねー、カッコいいなぁ。私も脚本家になりたいと思った時期もあったけど、とてもじゃないが熱意が足りませんでしたね。でも、夢を追いかける青春っていいですよね。
また本作では映画作品がたくさん登場します。実はほとんど見れてなくて『ひまわり』や『愛のコリーダ』は見ておきたいんだけどな。しかしこういった名画に心臓を打ち抜かれた当時の映画狂いたちは幸せだったでしょうね。
物語も終盤に近付くと、徐々に当時の秘密が明らかになってくる。そこにあるのは1970年代の時代を切り取ったもので、未来ある若者たちに背負わせるには、あまりにも重過ぎですよ。よく頑張った、うんうん。
今でも若い世代には経済的に生きづらいかもしれないけど、きっと未来には希望があるから頑張って欲しい。きっと人生を振り返るときには、大切な人と寄り添って微笑んでいられるから。
■私とこの物語の対話
タイトルのとおり本書は1970年代の遥かな夏の物語。過ぎ去った遠い夏を感じながら、人生で忘れてきた大切なものを思い出していくお話なんです。
本作の主人公である本庄裕也は確かに映画は大好きなんだけども、映画の世界に飛び込むことはしない。多少映画に関わることはあるが、むしろ真面目な会社員として人生を全うするんですよね。
この選択… 私としてはすごくよくわかるんです。「夢と現実の狭間」ってやつで、私も「現実」を選んできた人間なんですよね。
私にも若かりし頃は、色んな選択肢がありました。脚本家を目指していたり、探偵に誘われたり、法律家として独立開業しようとしたり、友人と上京しようとしたり。結局どれも選ばず、無難に会社員として就職したのですが、あの頃違う選択をしていたら今はどうなっていたんだろうか…
エモーショナルな感情に浸れる一冊でしたね。ぜひウイスキーでも飲みながら、じっくりと読んでください。 -
Posted by ブクログ
本庄は、50年近く前の1976年夏、ベルリン国際映画祭に企業側の担当者として参加していた。
スポンサー側からの派遣なので裏方に徹していたが、その映画に出演していた若いシンガー・ソングライターが祖母であり、未婚のまま母を産み育てたが亡くなり、母でさえ父が誰か知らないというので探してほしいと若い女性から言われる。
当時の参加者たちを辿っていくうちに見えてきたものとは…。
過去を振り返るうちに蘇ってくることのすべてが映画に絡んでくる。
ついに真実が見えてきたが、それもある映画の内容が実在のことなのでは…と感じたからで。
そこから辿り、すべてが明らかになる。
そこには確かな愛があり、苦渋の思いで決断したことだったのだろう。
今更、誰を恨むというのも違う気がするが、当時の社会情勢や差別がそうさせたのか?と思うとなんとも複雑である。
ラストが美しい。
やはり、問いかけは始まりと同じだった。