上田惇生のレビュー一覧
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さすがドラッカー先生。再読だが、何度読んでも色あせない。
「自己管理による目標管理は、人間というものが、責任、貢献、成果を欲する存在であると前提する。大胆な前提であり。だが我々は、誰もがほぼ期待どおりに行動すること知っている」
「マネジメントたるものはすべて、リーダー的地位にあるものの一員として、プロフェッショナルの倫理を要求される。 それはすでに、2500年前のギリシャの名医ヒポクラテスの誓いのなかにはっきり表現されている。知りながら害をなすな、である」
「知識労働者の動機づけは、ボランティアの動機づけと同じである。ボランティアは、まさに報酬を手にしないがゆえに、仕事から満足を得る」 -
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本書はマネジメント書の中でもバイブル級に位置づけられるが、これまであえて積読状態にしていた。しかし、自分の中でようやく読むべき時がきたのを感じたので、手に取ってみた。まだ上巻を読んだだけだが、考えさせられる点が多々ある。以前にエッセンシャル版を読んでいたが、やはり原典の重みは違う。
ドラッカーの他の著作を読んでいるので既視感の高い章も多かったが、この本ならではの記述として印象に残ったのは第18章「仕事を生産的なものにする-管理手段とツール」と第25章「社会に与えるインパクトの処理と社会への貢献」だ。第18章はITが発達して様々なツールがビジネスに利用される中で、管理・ツールとはどうあるべき -
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ネタバレ毎回思いますが、ドラッカーって凄いですね・・・。トップマネジメントからセルフマネジメントまで網羅できる所がすごい。でも、だからこそ、今まで自分は読んでは挫折を繰り返してたんだよなぁ。
気になった文章
~世界情勢~
p71. 「それにもかかわらず、今後数十年にわたって、保護主義の波が世界を覆うことになる。なぜならば、乱気流の時代における最初の反応は、外界の冷たい風から自らの庭を守るための壁づくりと相場が決まっているからである。」
p73. 「しかるに、政治的な国境はなくならない。それどころか、EU、NAFTA 、南米のメルコスールなどの地域経済共同体の成立が、国境の意味を減ずることはとう -
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理論を構築する、知識をまとめあげるのではなく、
理論と知識を基礎とした技術をもって、
世に影響を与えるものこそがテクノロジストである。
止めどなく変化する世の中において、
変化しないことは世の進化に対しての敗退に値する。
世に負けない強い変化が必要なのである。
だが革命は一人の手で行えるわけではない。
多くの人の手が重なり、波となり、革命となりえる。
テクノロジストは革命者の一人として、
革命を先導するものとして、
日々その技術を磨き、邁進していくのである。
(以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
○デカルトは世界の本質とその秩序についての公理を定めた。
その一つの表れが、「科学と -
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ドラッカーは、実は、それほど好きではない。
なんでかというと、説教くさいというか、すごくストイックな感じがあって、「真摯であれ」みたいなところに引っ掛かりを感じている。
が、今、読んでも全く古くなく、「強み」へのフォーカスとか、世の中が、ポジティブ・アプローチ的なほうにやっと追いついたんだという感慨もある。
そういうわけで、結構、いろいろな発見があるので、ときどき思い出したみたいに、読んでいる。
というなかで、なんとなく、ドラッカーの自伝的な要素もある本書を読んでみることに。
自伝といっても、第1次世界大戦と第2次世界大戦の間のオーストリア、ヨーロッパ、アメリカの話し。そして、自分と -
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"ドラッカーの処女作。
経営の話しでなくて、全体主義が、社会的、経済的、政治的になぜ出てきたかという話しと、今後の見通しとして、ナチスはソ連と手を結ぶだろうと、だれもが電撃的な不可侵条約に驚く前に、それがほとんど必然であることの予言。
1939年、ドラッカー29才のときの作品ということだが、この分析の重厚さ、鋭さ、先を見通す力はとんでもないものがある。それだけでも驚きなのだが、これは1933年、ナチスが政権をとったとき、つまり23才から書き始められたということ。
ドラッカーって、そこまで好きではないので、こういう戦前の作品は、マニアが読むものだと思っていた。ところが、これはドラ -
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ドラッカーの2作目。1942年、第2次世界大戦のさなかに、戦後の社会を構想している。
ドラッカーによると「識者と友人の多くが本書をわたしの最も優れた著作としている」らしい。
訳者の上田さんによると「本書は、ドラッカーの著作の中でも、最も面白く最も知的興奮をおぼえさせられるものである」とのこと。
1作目の「経済人の終わり」も驚いたが、こちらはさらにスゴい。
ドラッカーは、まだ経営学者ではなくて、社会経済政治の評論家(?)みたいな感じ。
近代の啓蒙主義、理性主義は、全体主義になる。つまり、「これが正しい」とすると、違う意見の人は間違っていることになる。ここには、自由はなく、善意から始まっ -
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チェンジリーダーの条件
ドラッカーの入門書は読んだことがあったが、実際に読んでみるのは初めてであった。
自分自身、今年の前半は自分の所属する部活の運営面に携わることが多く、以前入門書を読んだ時よりもヴィヴィッドにイメージすることが出来た。ドラッカーがいうには、組織はそれが生み出したもの、それが外部に与えた影響によってはじめて認知できる。影響を受けることや影響を与えることなど、徹底的に外部を意識した姿勢は共感できる。バレーボールなど、球技のパスの良し悪しの評価は徹底的に受け手が決めるものであるという自分のポリシーに通ずるものがある。以下、書評ではなく、(自分のために書いた)要約である。2600 -
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ドラッカーのすごさが詰まった本だと思う。
ドラッカーと聞くと、大抵の人は「ああ、マネジメントを開発した人でしょ」「ビジネス書の大家だよね」と言った返事が返ってくる。とんでもない。
ドラッカーは「人が幸せに生きるためにはどうすればいいのか?」を常に考えながら、人や社会全体を鋭い視点で洞察し続けた人だ。
これからの社会を見通したうえで「これから我々人類は、何を考え、どのように生きていくのがよいのか」を考えた結果として生み出したのが、マネジメントやイノベーションと言った概念達なのだ。この順番を決して間違えてはいけない。
第二次正解大戦前にナチスに真摯に対峙し、ナチスの本質の見抜いたこと。戦後 -
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ドラッカーのイノベーション論の集大成として知られる本書は1985年に出版されたものだが、30年以上経ってから読んでも学ぶべきところが多い。クレイトン・クリステンセンの「破壊的イノベーション論」、ジェフリー・ムーアの「キャズム理論」もその原型となる考え方は本書で既に述べられている。
名著と謳われ、既に古典となりつつある本書ではあるが、第1部「イノベーションの方法」に論じられている「イノベーションの7つの機会」については、いまだに重要性を認識していない企業が多いのではないだろうか。7つの機会のうち誰もが注目する「新しい知識の出現」についてはドラッカーは最もリスクが高いと指摘し、誰もが見過ごしが -
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新進気鋭のコンサルタントでもなく、カリスマ経営者でもなく、「学者」であるドラッカーが語るイノベーションは、はっきり言って全くワクワク感がありません。
本人も言っている通り、それまでどこか神秘的な、ひらめきというか、偶然の産物のように語られていたイノベーションを、マネジメントの目的として理論化してしまったわけですから、堅くて堅くて当然ワクワク感はありません。
しかし世の経営者の多くがこの本(1985年出版のほう)を座右の書としていることから分かるように、イノベーションを神秘的な事柄からマネジメントという現実の産物に引き下ろしたドラッカーの取り組みは、たくさんの経営者を奮い立たせたことでしょう。