あらすじ
マネジメントは「なぜ」必要なのか、「何を」行うのか、「いかに」行うのか。その基本と本質を説くドラッカー経営学のエッセンス!
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はじめて読むドラッカー[マネジメント編]
チェンジ・リーダーの条件
みずから変化をつくりだせ!
著:ピーター・F・ドラッカー
編訳:上田 惇生
出版社:ダイヤモンド社
ドラッカーの本で、エッセンシャルがつくものは、次の6冊です。
はじめて読むドラッカー
①プロフェッショナルの条件(自己実現編)
②チェンジ・リーダーの条件(マネジメント編)
③イノベーターの条件(社会編)
④テクノロジストの条件(技術編)
エッセンシャル版
⑤マネジメント
⑥イノベーションと企業家精神
本書の原題は、The Essential Drucker on Management です。
マネジメントの役割や、社会への影響といった内容です。
一方で、「エッセンシャル版 マネジメント」は、基本と原則と副題にあり
原題は、 Management:Tasks,Responsibilities,Practices
オペレーションや、そのタスクに焦点をあてています。
本書は、マネジメントは何かを問いかけているのです
書中、「マネジメントは、人事に時間を取られる」というのがよかった、ドラッカーの根底にあるもの、それは、人間であることに安堵しました。
気になったのは以下です
・情報を知識に変換して、その知識を行動に具体化することこそ、マネジメントの役割である
・マネジメントとは何か
①マネジメントととは、トップマネジメントのことである
②マネジメントとは、人の仕事をマネジメントする者であり、他の人に仕事をさせることによって自らの仕事をする者である
・マネジメントとは何か
①マネジメントとは人間に関わることである
②マネジメントは、人と人との関係に関わるものであり、それぞれの土地の文化と深いかかわりをもつこと
③あらゆる組織は、その成員に対して、仕事について共通の価値観と目標をもつことを要求する
④マネジメントとは、その成員を成長させなければならない
⑤組織は、異なる仕事をこなす異なる技能と知識を持つ人からなる
⑥組織とそのマネジメントにとって、成果の評価基準は、産出量や利益だけではない
⑦もっとも重要なこととして、組織にとって、成果はつねに外部に存在する
・マネジメントとは、伝統的な意味における一般教養である
マネジメントたる者は、心理学、哲学、倫理学、経済学、歴史など、人文科学、社会科学、自然科学の広い分野にわたる知識と洞察を身につけなければならない
・マネジメントが果たすべき役割とは
①組織に特有の使命、すなわち目標を果たすこと
②組織に関わりのある人たちが生産的な仕事を通じて生き生きと働けるようにすること
③自らの組織が社会に及ぼす影響を処理するとともに、社会の問題に貢献すること
・企業の目的を定義する場合、出発点はつねに顧客である
誰が顧客かとの問いこそ、企業の使命を定義する上で最も重要な問いである
次の問いは、顧客は何を買うのか、である
・市場において、目指すべきは、最大ではなく、最適である
・生産性の向上こそ、マネジメントにとって重要な仕事の1つである
・利益とは、企業にとって存続の条件である。利益とは、未来の費用、事業を続けるための費用である
・マネジメントの手法とは、ダウンサイジング、アウトソーシング、TQC、EVA、ベンチマーキング、リエンジニアリングなどである
・市場が変化しているのであれば、事業の定義を変えなければならない
・事業の定義とは
①組織をとりまく環境である
②組織の使命、すなわち、目標である
③使命を達成するために必要な、強みについての前提である
・組織の蘇生に必要なのは、
①天才ではなく勤勉さである
②賢さではなく問題意識である
③そもそもCEOはそのための存在である
・マネジメントの責任
①成果と仕事に対する責任
②利害当事者のためのマネジメント
③株主のためのマネジメント
④社会に与える影響に対する責任
・マネジメントは召使である、主人は彼がマネジメントする組織である
・つまるところ、マネジメントたるものは、リスクを負い将来の活動に着手するうえで、必要な利益の最低限度を知っておかなければならない
・プロフェッショナルの責任とは、「知りながら害をなすな」
・今日の基本的な資源とは、情報である、情報は他の資源とは異なり、希少性の原理に従わない
・グローバル化に従い、マネジメントの対象と国境とは一致しなくなってきた
・人事の原則
①マネジメントは、人事に時間を取られる、そうでなければならない
②ある仕事につけた者が成果を上げられなければ、人事をおこなった自分の間違いである
③すくなくとも世紀人観のあるものが成果を上げられるようにすることは、マネジメントの責任である
④あらゆる意思決定のうち、人事ほど重要なものはない
⑤人事には、避けなければならないことがある。たとえば、外部からスカウトしてきた者い、初めから新しい大きな仕事を与えてはならない
・間違った人事をされてしまった者をそのままにしておくことは温情ではない
もっとも妥当な解決策は、以前のポスト、あるいは、相応のポストに戻すことである。この方法はほとんどうまくいく
目次
日本の読者へ——一般教養としてのマネジメント
はじめに
Part1 マネジメントとは何か
1章 マネジメントは理解されていない
2章 社会的機能および一般教養としてのマネジメント
Part2 マネジメントの課題
1章 マネジメントの役割とは何か
2章 われわれの事業は何か
3章 事業を定義する
4章 NPOは企業に何を教えるか
Part3 マネジメントの責任
1章 企業の所有者が変わった
2章 いかにして社会的責任を果たすか
Part4 マネジメントの基礎知識
1章 マネジメントの常識が変わった
2章 「道具としての情報」を使いこなす
3章 目標と自己管理によるマネジメント
4章 人事の原則
5章 同族企業のマネジメント
Part5 企業家精神のマネジメント
1章 予測できないことを起こす
2章 既存の企業がイノベーションに成功する条件
3章 ベンチャーのマネジメント
4章 起業家がとるべき戦略
付章 イノベーションか、廃業か——金融サービス業の岐路日本の読者へ
編訳者あとがき
ピーター・F・ドラッカー著作目録
ISBN:9784478300619
判型:4-6
ページ数:312ページ
定価:1800円(本体)
2000年09月28日初版発行
2000年10月13日5版発行
Posted by ブクログ
P30
真のマーケティングは、顧客から出発する。すなわち、人間、現実、欲求、価値から出発する。「われわれは何も売りたいか」など考えない。「顧客は何を買いたいか」を問う。「これがわれわれの製品やサービスにできることだ」とはいわない。「これが顧客が求め、価値ありとし、必要としている満足だ」という。
P34
企業の目的を定義する場合、出発点は一つしかない。顧客である。まず、顧客によって事業は定義される。
P43
いかなる企業にも三種類のイノベーションがある。製品におけるイノベーション、市場、消費者行動、価値観に関わるイノベーション、製品を市場にもっていくまでの間におけるイノベーションである。
P73
では、彼ら無給のスタッフが求めているものは何か。いつでも去ることのできる彼らをとどまらせるものは何か。彼らが求めているものは、第一に、活動の源泉となるべき明確な使命である。
P116
組織が危機に瀕していたとき、その命運を決するのは明快な命令の有無である。船が沈没しかけているときに、会議を開く船長はいない。
P118
上司はひとりでなければならない。三人の主人を持つ奴隷は自由人であるとのローマ法の格言こそ真理である。
P226
予期せぬ成功や失敗など、予期せぬものを体系的に探さなければならない。予期せぬものを例外として片付けず、機械として調べなければならない。
P246
これが創造的模倣戦略である。誰かが新しいものを完成間近までつくりあげるのを待つ。そこで仕事にかかる。短期間で、顧客が望み、満足し、代価を払ってくれるものに仕上げる。ただちに標準となり、市場を奪う。
ドラッカーを読むと、根本を問い直される。そこに対して、自分が正しく行動できているか考える機会になった。
Posted by ブクログ
マネジメントのオーケストラとのアナロジーは膝ポン。指揮者がチューバを演奏できないのと同様に上司が部下の仕事をすることはできない。しかし部下は仕事の方向性は上司に頼らなければならない。これより、楽器(人)の構成や曲・テーマ(状況)の変化によって、つまり相手が何を望むか、価値、目的、成果が何かによって仕事をマーケティングしてリードしていくべき。
Posted by ブクログ
チェンジリーダーの条件
ドラッカーの入門書は読んだことがあったが、実際に読んでみるのは初めてであった。
自分自身、今年の前半は自分の所属する部活の運営面に携わることが多く、以前入門書を読んだ時よりもヴィヴィッドにイメージすることが出来た。ドラッカーがいうには、組織はそれが生み出したもの、それが外部に与えた影響によってはじめて認知できる。影響を受けることや影響を与えることなど、徹底的に外部を意識した姿勢は共感できる。バレーボールなど、球技のパスの良し悪しの評価は徹底的に受け手が決めるものであるという自分のポリシーに通ずるものがある。以下、書評ではなく、(自分のために書いた)要約である。2600文字とレポートがかけそうなくらい書いてしまった。。。。
マネジメントが果たすべき三つの役割は使命を果たす、働く人を活かす、社会的責任を果たすである。働く人を活かすためには、仕事を人に合わせなければならない。仕事の棚卸は大変でこそあるがそれだけではいけない。棚卸し、分けた仕事を働く人に再適合させなければならない。これが出来なければ意味がない。
そして、マネジメントが事業を成功させるためには、事業を定義する必要がある。そして、「事業とはなにか」を問うとき、それは「顧客は誰か」という問いと同義である。なぜなら、企業の目的は顧客の創造であるからである。顧客の創造にはマーケティングとイノベーションが必要であり、顧客を知ることがマーケティングであり、顧客に新たな価値を提示することがイノベーションである。マーケティングとイノベーションによる顧客の創造が事業の使命である。
マネジメントは目標を具体化しなければならない。目標とは事業の基本戦略であり、行動のための動機づけ、基準であり、基準は資源の集中に必要である。
事業を定義するためには、3つの前提を考えなければならない。第一は外部環境としての市場(組織が何によって対価を得るか)である。そして、第二に自らの目的と使命(組織が何を意味ある成果とみなすか)、第三に自らの強みと弱み(リーダーシップを発揮するためにはいかなる分野で抜きんでなければならないか)である。
定義は4つの条件を満たさなければならない。第一に、環境、使命、強みについての前提が現実に適合しなければならない。第二に事業の定義に関する三つの前提は互いに整合性を持たなければならない。第三に事業の定義は組織に周知徹底しなければならない。定義は規律であり、行動指針であり、慣習となる。第四に事業の定義は絶えず検証していかなければならない。自己変革の能力を定義には組み込まなければならない。
定義は必ず陳腐化するため、組織的・構造的に検証しなおさなければならない。陳腐化を防ぐためには、常に外部を見なければならない。変化の兆候はまず外部に現れる。定義を感が押さなければならないときは、目標が達成されたとき、予期せぬ成功があったとき、予期せぬ失敗があったときである。大事なことは常に問題意識を持ち続けることである。
自分の属する組織(体育会の部活)に良くあてはまるものは成功しているNPOの分析であった。これは金言の集まりである。
給料のでないNPOをマネジメントするのに必要なことは、使命をもつことである。使命をもつためには、外部に目を向ける。一流のNPOは組織が成功しているかを確認するために外の世界に目を向ける。いかなる変化を外に起こすことを成果とするかを明らかにし、そこに焦点を合わせなければならない。使命の定義が外を向いていることは、使命が陳腐化せず革新的なアイデアを生むことと関連している。成功している多くのNPOは理事会がうまく機能している。理事会は、事前に設定された基準に照らし合わせ、自らの仕事ぶりを評価してくれる機関である。理事会は多くの場合、パトロンであり、部活でいえば、OBOG会がそれにあたると考える。理事会はCEOと構造的に対立する。なぜなら、すでに言ったように資金力において実権を握っていること、そして理事会自体がそのNPOに長年勤め、仕事に詳しいことである。(OBOG会と全く一緒)必要な認識は、CEO(主将・主務)と理事会(OBOG会)は共通の目的を持ち、異なる役割を持つ仲間であるということだ。そして、CEOと理事会それぞれの役割を明らかにすることはCEOの責任である。理事会を有効なものにするためには、その仕事をCEOの側から組織化することである。(これがなかなか難しそう)次は、内部のマネジメントである。NPOの人々は、無給であるために満足を求める。組織が彼らを引き付け、とどまらせるには彼らの能力や知識を活用しなければならない。意義ある成果を与える機会を提供しなければならない。そのためには、古参スタッフ(先輩)が彼ら新人と面接し、強みや適切な仕事を分析し、責任を与えなければならない。そして、新人には目標を達成するために一緒に働く助言者や監督者をつけるべきである。(チーム制・責任者―実務者制)彼らが求めているものは第一に活動の源泉となる明確な使命であり、第二に訓練であり、第三に責任である。特に、自らが目標を検討し、設定する責任を与えられることである。マネジメントはこの三つを与えなければならない。やりがいある職場環境を作るためには、使命を明らかにし、人材を的確に配置し、継続して学習をほどこし、目標によるマネジメントを行い、要求水準を高くし、責任をそれに見合うものにし、自らの仕事ぶりと成果に責任を持たせることである。
もう一つ、重要であるように考えたところは、目標と自己管理によるマネジメントである。成員は明確な目標を持つ必要があり、それらの目標は自らの部門が生み出すべき成果を明らかにしなければならない。他の部門を助けるために、自ら自らの部門が期待されている貢献を明らかにしなければならない。そして、自らの目標を達成する上で、他の部門からいかなる貢献を期待できるかを明らかにしなければならない。一人一人の目標は長期と短期の観点から明らかにすることが必要であり、事業上の定量化できる目標と共に定量化できない目標も含むことが必要である。目標は好みである、組織のニーズから始めるべきであり、「自らになにが求められ、それがなぜであるか」と「自らの成果は何によって評価されるか」を知り、理解しなければならない。マネジメントは共通の目的への方向付けだけでなく、間違った方向付けをしないかを常に検査しなければならない。
以上
Posted by ブクログ
人生の50冊 実読部門 2位
ドラッガーの中では最もしっくりと読みこなせる。
「マネジメント」を選ぶ人が多いが、2000年に刊行され、
時代に合わせて編集されたこちらのほうが、今読むべき内容だと感じる。
ちなみに「はじめて読むドラッガー」では、
「チェンジリーダーの条件」が、マネジメント編で
「イノベーターの条件」が、社会編となる。
もう1冊「プロフェッショナルの条件」もありますが、
上記2冊でいいと思います。
Posted by ブクログ
チェンジリーダーの必要性がわかり、いかにそれを実施することができていないかを実感させられる。
-引用-
★凡人は「何をしたいか」から考える。あるいは、せいぜい「自分は何に向いているか」を考える。しかし、正しい問いは、「客観的に見て、今後、事業にとって、重要なことは何か」である。必ず自問し続けなくてはいけない。次に問うべき質問は、「自分の強みは何か。事業にとって必要なことのうち自分が貢献できるもの、他に抜きん出て貢献できるものは何か」である。この問いを徹底的に考えて、初めて「自分は何を行いたいか。何に価値をおいているか。残りの人生とまではいかなくとも、今後、何をしたいか」「それは事業にとって本当に必要か。基本的かつ不可欠な貢献か」を問う事が出来る。
★企業の内部にも、すでに起こった未来を見つける事が出来る。...その1つが企業内の摩擦である。何かを導入したとき、もめごとが起こる。新しい活動が組織内に変化を引き起こし、すでに受け入れられているものと対立する。すなわち、知らずして急所に触ってしまう。
★全人格的な献身が必要とされる。そのビジョンを心から信じているか。本当に実現したいか。本当にその仕事をしたいか。本当にその事業を経営したいか。である。
★もし、不確実でもなく、リスクを伴うものでないならば、そもそも、未来のためのビジョンとして現実的ではない。なぜならば、未来それ自体が不確実であって、リスクを伴うものだからである。したがって、ビジョンに対する全人的な献身と信念がないかぎり、必要な努力も持続するはずがない。
Posted by ブクログ
社会生態学者のピーター・ドラッカー氏は数多くの著作を残しているが、特にマネジメントに関するものが多い。本書はマネジメントに関する氏の著作10点と論文1報を抜粋したものである。
多くのビジネスパーソンにとっては本書の内容は特に目新しく感じないかもしれないが、今日のマネジメント論の多くの根幹は氏によって形成されており、氏が「マネジメントの発明者」とも呼ばれる所以である。
本書に引用された著作のうち、最も古いものは1954年に出版された「現代の経営」であるが、「古い」からと言って「自明」であるとは限らない。マネジメントの世界では「分かっている」からといって「できる」とは限らない。その代表例は多くの企業で採用されている「目標管理制度」であろう。本書のパート4第3章にも記載されているが、ドラッカーの本来の意図は目標と自己管理によるマネジメント」であったのに、多くの企業で肝心の「自己管理」が欠落し、評価のための手続きと化しているためであるように思われる。
ドラッカーが原著を記した頃と現代では社会情勢は大きく変わっているが、人や組織の性癖は大きく変わっていない。その一方で、同じ人でも組織の中での立場が変われば、見える景色が変わってくる。ドラッカーのマネジメント論が多くの人に読み続けられているのは、変わりゆく社会と組織内の立場の中で、ぶれることのない羅針盤のように、マネジメントの本質を説いているからであろう。
Posted by ブクログ
初めて読むドラッガーシリーズの1冊。
近年注目を浴びている、「マネジメント」について、その発見、その有効性、本当に必要なことについて、分析・解説している。
社会生態学者というだけのことはあって、その分析には非常に納得できる物が多かった。
Posted by ブクログ
経営関係の書籍で、
ドラッカーを外すわけにはいきませんね。
膨大な著作をすべて読んだ人はいるのだろうか。
わたしたちはすべてを読む必要はないでしょう。
ドラッカーの知見を早く理解し、
少しでも身につけることができれば思います。
そんなための入門として三冊が編集されています。
それは「初めて読むドラッカー」とある通りです。
まずは、ここからスタートしてもいいと思います。
ビジネス世界にいる限り
いつかどこかでドラッカーの洗礼を受けなくてはならないでしょう。
わたしはドラッカーの接するタイミングが遅かった。
できる限り若いうちにドラッカーを知ってほしいですね。
Posted by ブクログ
ドラッカー氏の著書を読むたびに、氏の慧眼と指導性に圧倒される。
リーダーを志す人にとって、本書はやはり必読の一冊なのだろう。
自らの職をもって、社会に歴史にそして人に対しどのように接しいかに行動するべきなのか、その指標が本書にはふんだんに掲載されている。
普段の自分自身の行動や思考を改善し、将来いかに生きるべきなのか?
そんな世界中の普遍的な悩みや迷いを氏は確実にかつ正しく導いてくれる存在であるとあらためて痛感できる一冊です。
Posted by ブクログ
ドラッカーは、著書があまりにも多くてどこから手をつけてよいかわからない。
1973著の新訳本を昨年読んだ。
「マネジメント ? P.F.ドラッカー 」
今年は、まとめ本を読んだ。
090419 図で読み解く!「ドラッカー理論」久恒啓一
「はじめて読むドラッカー」のコピーに惹かれて再度挑戦。
変化の時代の真っ只中にあって、最新の洞察を精選したものとのこと。
2000年9月28日 上梓
【感想】
・マネージメントの常識として常に理解しておかねばならぬこと。
まさに、一般教養の教科書。
・マーカー引きすぎ。頷き過ぎで、「張子の虎」状態。
・しかし、この手の本は集中して読まないと頭に入らない。
・今回は、早く寝て、早朝読書挑戦。
特に
Part4 4章 人事の原則
5章 同族企業のマネジメント
Part5 起業家精神のマネジメント
が秀逸。(ほかに触れた本がない)
【関連記事】
日本でドラッカー人気が衰えない理由
官僚制を擁護した米国では忘れられた学者の魅力
【ポイント】
(はじめに)
ii/情報を知識に転換し、その知識を行動に具体化することこそ、
マネジメントの役割
本書の目的は、マネジメントを学ぼうとする人、この知識社会に
生きるあらゆる人に理解してもらうことである。
iv/マネジメントの新定義は、
★「知識を行動に具体化することに責任を持つ物」
vi/「なぜ」「何を」「いかに」を扱う。
各章を必要な知識として読み、「行動への道案内」とする
vii/自らの意思決定と行動が組織全体に与える影響を知るために、
組織全体を理解しなければならない。
15/イノベーションの欠如こそ、既存組織が凋落する最大の原因であり、
マネジメントの欠如こそ、新しい事業が失敗する最大の原因である。
17/マネジメントとは何か (第1から第7)
24/マネジメントの役割
?組織の使命をはたす。「企業の使命 経済的な成果をあげる事」
?働く人を生かす。 「真の経営資源は『人』である。
?社会的責任をはたす。「社会に財とサービスを供給するためにある」
28/企業の目的は一つ、それは顧客を創造すること。
市場をつくるのは企業である。
企業は何かを決めるのは顧客。
顧客が価値を認め、購入するものは製品ではない。
それは、製品やサービスが提供する『効用』である。
企業が顧客を創造すめための二つの機能は、
「マーケティング」と「イノベーション」だけである。
30/マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品やサービスを
顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。
31/イノベーションは技術にかかわる概念ではなく、
「経済に関わる概念」である。
38/目標を具体化
?マーケティングの目標。?イノベーションの目標。
?人・金・物の補給・利用・開発の目標
?生産性の目標。?社会的責任についての目標
そして、「利益」(必要条件として)を上げること。
目標のための活動には、コストが必要で、コストは「利益」
で賄われる。リスクをカバーするにも「利益」が必要。
「利益」は目標ではない。「設定すべき必要条件」である。
目標は方向性である。
「未来を作るべく資源を動員するための「道具」である。
46/利益の目標
利益とは企業にとって存続の条件である。
利益とは、未来の費用、事業存続の費用。
利益を上げている企業は、存続のための手段を持っている企業である。
利益は極大ではなく、必要最小限の利益の計画でなければならない。
53/事業の定義の要素
99/社会的責任の限界
マネジメントたるもの、リスクを負い将来の活動に着手するうえで
必要な最低限度をしらなければならない。
100/特に、組織は自らの価値体系に合致しない課題に取り組むことは
さけなければならない。
熟練や知識は容易に手にできるが、「価値観」をかえることはで
きない。
113/社会科学では、自然科学以上に「何を前提にするか」が意味を持つ。
その前提となるものが「変化する」ということである。
117/組織には守るべき原則がある。
組織とは、一人ひとりの人間にとって、あくまでも「道具」にす
ぎない。
123/行うべきは人をマネジメントすることではなく、リードすること
である。
その目的は、一人ひとりの人間の強みと知識を活かし、生産的な
ものにすることである。
165/一人ひとりの目標を明らかにする
「事業全体の究極の目標がなんであるか」を知り、その内容を理解する。
「自らの成果は、何によって、いかに評価されるか」を知り、理解する。
167/相互理解を可能にするのは、「下から上へのコミュニケーション」
である。
上司が進んで耳を傾ける意思を持つとともに、部下が話を聞いて
もらえる特別なしくみが必要。
175/人事の原則
196/「すでに起こった未来」を探せ
(?人口構造、?知識の領域、?他の産業・国・市場)
201/競争相手が達成された目的をさらに達成すべく相も代わらず
同じ努力をしている時、
目的が達成されたことを認識し努力の方向を転換した企業が、
明日のリーダシップを握る。
219/起業家マネジメントのタブー
220/この急激な変化の時代にあって、イノベーションを行い、
成功し、繁栄したいのであれば、起業家マネジメントを自ら
の組織に構築しなければならない。
238/「自分は何が得意で、何が不得意か」との問いこそ、ベンチャー
が成功しそうになったとたんに、創業者たる起業家が直面し、
徹底的に考えねばならない問題である。
251/新規参入者に市場を奪われる原因 五つの悪癖
Posted by ブクログ
今年の行動指針は「革新」だし、2月から異動だしで、再読。2000年の初版だがドラッカーの言葉は決して色あせない。今回響いたのは、
「変化はつねにノンカスタマーから始まる(p128)」
「すべてを管理しようとすることは、何も管理しないに等しい(p173)」
行動様式に落とし込みたい。
Posted by ブクログ
このブログを見ている方、特にビジネススクールに通っている方に質問。
「起業が成功するための、一番の要素は何か?」答えは「創業者を含めた、社員の体力」である。
したがって、振替伝票を500枚切っただけで、翌日14時間も睡眠を取った大野なんぞ、ベンチャーなんか絶対に無理である。
サイバーエージェントの藤田社長は創業時、一週間で110時間働くことを自らに課したそうだし、子会社の社長に若手を抜擢する理由として、「不可能な事でも、体力で可能にすることがよくあるからだそうだ。」
楽天のCEO三木谷氏もその点は重々承知で、楽天市場に出店を募る時、頑張っていることを新規開拓先に見せつける為に、予めスーツ姿で筋トレをして、汗だくで商談をしたとのことだ。
私も某大学から「大野~ウチのビジネススクールにも、ビジネスオタクの生徒がいて、ビジネススクールを出たら、起業出来ると思っている奴がいるんだ。一度講釈を垂れてくんないかな~」と非公式のオファーがあった。
私はそれにこう答えて、話は流れた。「本物のビジネスをしたかったら、ガチ難しいTOEFLとGMATを受けて、アメリカ行って寝る暇も惜しんで勉強してこい」と。
ちょっと、前置きが長くなったが稲森さんも起業時から徹夜、徹夜の連続である。
「京セラは京都の会社だから、同じ京都の日本電産みたいなノリちゃうん?」と言われる方もおられるであろうが、トップが仕事に頑張ると部下の士気も挙がるのである。
本書では稲森さんの代名詞である「アメーバ経営」云々については、述べてない。
しかし、'稲森和夫 'の本質が分かる本である。
京セラ創業、第二電電設立、京都商工会議所会頭就任等、余すところなく稲森さんの歴史が幼少時代から語られている。
残念ながら、JAL再生については、少し前の書籍ということで入っていない。
しかし、現役の経営者で実績からいって、五本の指に入るであろう稲森氏の足跡を辿るには、十分な本である。
一読をお薦めします。
Posted by ブクログ
読んでいると、今悩んでいることがハイライトされる気がするくらい、様々な示唆を提供してくれる本。そういう意味では読むタイミングや状況によってハイライトされる場所は変わってくるのだと思う。
Posted by ブクログ
『「同族企業」という言葉で鍵となるのは、「同族」のほうではない。「企業」のほうである。』など、ひさびさに読むとハッとさせられる言葉に出会う。いわゆる原典の一冊。
Posted by ブクログ
ドラッカーは、企業経営者や僕らコンサルタントが紐解いて、ビジネスの現場で実践し落とし込んで行くのが良いと僕は考えていますが、あえてフリーランスの人がドラッカーを読むのだとしたらこの1冊をおススメ。
フリーランスは1人であっても、自分のビジネスのリーダーです。そのリーダーとして、自分のビジネスをどのようにとらえ、進めて行くかといった視点を得るのに役立つ一冊です。
Posted by ブクログ
・良質な思考は良質な問いから生まれる。
・モノに付随する価値に注目しろ。
・そのポストに期待されていることは何か?その期待を伝えているか?期待されていることの変化を感じているか?
再読
能力よりも習慣。最も身につけなければならない習慣の一つは、成果と貢献からスタートし、なすべきことをなすこと。そのためには必然的に自身が変わらなければならない。チェンジリーダーはまず自分から変わる。
Posted by ブクログ
ドラッカーの様々な本を読めば読むほど少しずつ理解し、身についていっている気がする。それにしてもマネジメントとは奥が深い。だが才能ではなく技術だと考えると誰にでも身に付けれるものだと思う。
Posted by ブクログ
どんな小さな組織でも、リーダーの位置にいる人は読むべきだと思う。
ドラッカーは世間で思われているよりは難しくないです。
いくつか気になった箇所を…。
『私は子供のころ、親戚の医学部の教授が何人かで、名医の条件について議論しているのを聞いたことがある。彼らは技能はあっても知識のない医者は危険であること、逆に、知識があっても技能のない医者は役に立たないことでは意見は同じだった。
(中略)
最高の知識と最高の技能を兼ね備えた名医には誰でもなれるわけではないが、優れた治療を施し、間違った治療をしないという意味での有能な医者には誰でもなれる。
同じことがマネジメントについてもいえる。有能であるためには、知識をもたなければならない。すなわち、「なぜ」行うかを知らなければならない。同時に、「何を」行うのか、「いかに」行うのかを知らなければならない。技能をもたなければならない』
不動産営業についても、そっくりそのまま、言えることですね。
言葉を換えてみましょうか…。
セールス技術はあっても不動産知識がいい加減な営業マンは危険であること、逆に、不動産に関する知識が豊富でもセールス技術のない営業マンは役に立たないこと。
要するに…。
知識と技能を持たなければならない、ということです。
ここまで書いて、レイモンド・チャンドラーを思い出した。
タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない。
タフさが技能。
優しさが知識。
もう一つ。
マネジメントが果たすべき3つの役割について書いています。
『組織の使命を果たす
第一に、マネジメントは、その組織が使命を果たすために存在する。企業の場合、それは経済的な成果をあげることを意味する。
(中略)
経済的な成果を生むことができなければ失格である。消費者が欲する財とサービスを、彼らが進んで支払う価格で供給できなければ失敗である。』
『働く人を生かす
第二に、マネジメントは仕事を生産的なものにし、働く人を生かす役割がある。企業でも企業以外の組織でも、真の経営資源は一つである。人である。
(中略)
仕事を仕事の論理に従って編成することは、最初の段階にすぎない。むずかしいのは次の段階である。仕事を人に合わせることである。人の論理は、仕事の論理とは著しく異なる。』
『社会的責任を果たす
第三に、マネジメントには、自らの組織が社会に及ぼす影響を処理するとともに、社会の抱える問題の解決に貢献するという役割がある。
いかなる組織といえども、それだけで存在し、自らを目的とするわけにはいかない。それは社会の機関であり、社会のために存在する。企業は、人に仕事を与え、株主に配当を与えるために存在するのではない。社会に財とサービスを供給するために存在する。』
この3つの教訓は、いつでも頭のどこかに置いておかないとな…。
ドラッカーを読むと元気が出ます。
頑張って仕事をしよう!という気になる。
また、目からウロコが落ちる。
第二の役割、働く人を生かす、の中の文章…。
「仕事を人に合わせる」なんていう言葉が、いかにもドラッカーらしい。
ほとんどの場合、人を仕事に合わせてしまうんですね。
でも、できるだけ仕事を人に合わせた方がいい。
こう考えると気が楽になったし、視界が広がりました。
まさに、マネジメントという感じです。
Posted by ブクログ
斜め読み。
興味があったテーマで以下まとめ。
■企業の目的は何か
・企業の目的
→顧客を創造すること
(顧客の潜在的な欲求を満たすこと)
→組織に関わる人たちが生産的な仕事を通じてイキイキと働けるようにすること
→社会の問題解決に貢献する
・利益は企業にとって、目的ではなく制約条件
(感想)「よい企業」を育てていくことは、「よりよい世界」をつくっていくために不可欠だと思った。
■企業はいかにして成果をあげるか
・成果を生むのは、マーケティングとイノベーションだけ
・真のマーケティングは、顧客から出発する
・イノベーションとは、人的資源や物的資源に対し、より大きな富を生み出す新しい能力をもたらすこと
■大企業のイノベーション
・大企業、巨大企業もイノベーションに成功できる
・イノベーションを行うためには、起業家精神をよしとする企業風土が必要
・既存の事業は新しい事業から分離して組織しなければならない
(起業は既存の事業の片手間でできる仕事ではない)
・得意分野以外でイノベーションをしようとすると失敗する
・買収して起業家的になっても、マネジメントに逃げられるので失敗する
(感想)銀行の企業風土では、起業家的精神を浸透させるのは難しいんだろうか。起業家的精神の浸透した会社を、「リスクを伴うイノベーションを起こそうとする人間が賞賛される会社」とすると、そのような会社をつくるにはどうすればよいのだろうか。「リスクをとって挑戦する人間にインセンティブを与え、そうでない人間にペナルティを与える」ということ以外に、何かよい制度設計はあるのだろうか。
■金融業界のイノベーション
・金融業界はこのままでは衰退する。
なぜなら、1970年~2000年までイノベーションを怠ってきたから。
・デリバティブ、自己勘定取引をよしとせず(←本書は2000年に出版された。この記述からもドラッカーの先見の明が感じられる)
機会は以下のようなものがある。
・先進国と新興国で急速に増大しつつある豊かな中高年中流階級のニーズに応える
・中小企業の財務管理の受託サービス
・中小企業の資金需要の証券化→商品化
・為替リスクをヘッジできる保険?のようなもの
(感想)10年前にドラッカーが提示したイノベーションのアイデアは、今実践されているのだろうか。
Posted by ブクログ
書いてあることはいたってシンプル
【原理原則を守る】
【目的を明らかにし、そのためにやるべきことを具体化し、実行する】
etc
ただ、文章一つ一つに重みがある
心にずっしりと響くような感じがしていた
おそらく、ドラッカーの見識の広さがそうさせるのだろう
社会人なら読んで損はないと思う、そんな本
Posted by ブクログ
これも、受講予定の研修の課題本で「義務の読書」である。しかし、ドラッカーを読むのはいつ以来だろう、最後に読んでから5年以上は経っているだろう。この本は、ドラッカーの著作そのものではなく、ドラッカーの著作をテーマ別に編集し直した、「はじめて読むドラッカー」というシリーズの中の「マネジメント編」と題名のつけられた本である。ドラッカーほど、日本のサラリーマンによく読まれた著者はいないのではないか、と思う。翻訳の巧みさもあるのだろうけど、文章が平易で読みやすいし、おっ、と思わせる新しい視点もふんだんに盛り込まれていて、読んでいて楽しいのが、その理由だと思う。でも、文章は平易なのだけれども、内容自体は決してやさしいものではない、と私自身は思っている。マネジメントの分野というか、実際の組織運営のために用いられているツールや手法で、ドラッカーの発案とされるものは数多くある。例えば、「目標管理制度」などは、日本企業にとって非常になじみの深いものであり、少なからぬ会社が制度として導入しているのではないか、と思う。実際にこの本の中にも、「目標と自己管理によるマネジメント」という題名で一章を割いている。が、ドラッカーの書いていることは、制度についてではなく、「目標と自己管理によるマネジメント」の原理と原則についてのみである。そういう意味で、ドラッカーの著作は、ノウハウ本やハウツー本でもなく、また、経営管理に用いられる理論や制度を体系的にまとめた、経営学や経営管理の本でもない。すなわち、ドラッカーの考えに賛成し、実際に企業の中に目標管理制度を導入しようとする者は、それをどのような形で導入するのかを、自ら考え抜く必要があるのだ。目標管理制度は、今の日本企業では、いわゆる成果主義の考え方と結びつき、報酬決定の補助制度として利用されることが多いのではないかと思うが、その制度内容は、実際には千差万別であろう。そのうちの何割かは、もともとドラッカーのイメージしていた内容とは、全く考え方自体の異なるものになっているように思う。上で、「ドラッカーの書いていることはやさしくない」と書いたのは、そういう意味であり、読む人間によって、解釈が、すなわち、「ドラッカーの言っていることはこういうことだろうな」と理解する内容が、大きく異なり得るのだ。そういう観点から、というか、ドラッカーの書いていることを、ふむふむ、と読むのではなく、自分の直面している仕事に関連づけて読む、ということが出来る、すなわち、「考えるヒント」的な読み方が出来る、というのがドラッカーが広く読まれている理由の1つだと思う。
Posted by ブクログ
マネジメントの役割
→目的を果たす、生産的な仕事を通じて生き生きと働けること、社会問題の解決に貢献すること。
我々の事業は何か、顧客は誰かという問いをし続ける。
我々の事業はどうなるか
会社の定義から3年に一度見直す。 NPOはどの程度自分が成功しているのかを知るために外に目を向ける。
無給だからこそ心の満足を求める。
限界を知ることの大切さ。
組織の原則→透明性、責任者、決定者。上司は1人。
評価は定量プラス定性でおく。
レターを上司に送る。その中で仕事の目標を明確化する。
→家族への手紙を書かせる。そして渡させる。会社関係なく。ここでお金も渡す。
成果を上げれない奴は人事の責任。
責任感あるものが成果を上げれるようにするのがマネジメント。
人事には外のものにいきなり大きな仕事を与えないなどさけないといけないことがある。
強みを見るのが大切。
何人かの考えを聞くのが大事。
なぜ面接は複数回できない?
未来の探し方→人口構造、知識、他の国の産業など、産業構造、企業内の摩擦など。
信じることにより、バイアスがかかるリスク。
既存事業と企業家的なものを一緒に行ってはならない。
ベンチャーの成功要因
市場に焦点を合わせる、財務上の見通しを持つこと、トップマネジメントの用意、起業家の決断。市場中心で考える。
Posted by ブクログ
なにげに今までドラッカーを読んだことがなかった。どこぞの社長がこの1冊を読めば十分と語っていたので、読んでみた。
現代のマネジメントは、知識の基盤が存在しなければ成立しえない。逆に、それらの知識や知識労働者に成果をあげさせることのできるものが、マネジメントである。しかも、マネジメントだけである。知識を装飾と贅沢の地位から、生産資源に変えたのはマネジメントである。
第一に、マネジメントとは、人間に関わることである。その機能は、人が共同して成果をあげることを可能とし、人の強みを発揮させ、弱みを無意味なものにすることである。これこそ組織の目的である。したがって組織の成功にとって、マネジメントは決定要因である。…
第二に、マネジメントは、人と人との関係に関わるものであり、したがって、それぞれの国、それぞれの土地の文化と深い関わりをもつ。…
第三に、あらゆる組織がその成員に対し、仕事について共通の価値観と目標をもつことを要求する。それなくして、そもそも組織は成立しえない。…
第四に、マネジメントは、組織とその成員を成長させなければならない。…
第五に、組織は、異なる仕事をこなす異なる技能と知識をもつ人たちから成る。したがってそこには、意思の疎通と個人の責任が確立していなければならない。…
第六に、組織とそのマネジメントにとって、成果の評価基準は、産出量や利益だけではない。マーケティング、イノベーション、生産性、人材育成、財務状況などのすべてが、組織の成果として、また組織の存続に関わる問題として重要である。…
第七に、もっとも重要なこととして、組織にとって、成果はつねに外部に存在する。企業の成果は顧客の満足であり、病院のそれは患者の治癒であり、学校のそれは生徒が何かを学び10年後にそれを使うことである。組織の内部には、コストが発生するにすぎない。
かくしてマネジメントたる者は、心理学、哲学、倫理学、経済学、歴史など、人文科学、社会科学、自然科学の広い分野にわたる知識と洞察を身につけなければならない。
しかし実際には、「われわれの事業は何か」との問いは、答えるのがきわめてむずかしい問いである。わかりきった答えが正しいことはあまりない。実は、この「われわれの事業は何か」を問うことこそ、トップマネジメントの第一の責任である。
組織には、守るべきいくつかの原則がある。
第一に、組織は透明でなければならない。誰もが自分の働く組織の構造を知り、理解できなければならない。…
第二に、組織は最終的な決定を下すものを必要とする。危機にあっては、その者が指揮をとる。
第三に、権限には責任が伴わなければならない。
第四に、上司はひとりでなければならない。三人の主人をもつ奴隷は自由人であるとのローマ法の格言こそ真理である。…
第五に、階層の数を少なくしなければならない。
マネジメントの究極の手段は、人事である。その反面、人事は、マネジメントがどの程度有能であるかも、その価値観がいかなるものであるかも、仕事にどれだけ真剣に取り組んでいるかも明らかにする。
むかしから知られているように、組織の人間というものは、他の者がどのように報われるかを見て、自らの態度と行動を決める。したがって、仕事よりも追従のうまい者が昇進していくのであれば、組織そのものが、業績のあがらない追従の世界となっていく。公正な人事のために全力を尽くさないトップマネジメントは、組織の業績を損なうリスクを冒すだけではない。組織そのものへの経緯を損なう危険を冒していることになる。
そして最後に、全人格的な献身が必要とされる。「そのビジョンを心から信じているか。本当に実現したいか」「本当にその仕事をしたいか。本当にその事業を経営したいか」である。
未来に何かを起こすには、勇気を必要とする。努力を必要とする。信念を必要とする。その場しのぎの仕事に身を任せていたのでは、未来はつくれない。目の前の仕事では足りない。いかなるビジョンも、万事が順調というわけにはいかない。むしろ、そうであってはならない。未来に関わる構想のうち、必ず失敗するものは、確実なもの、リスクのないもの、失敗しようのないものである。
起業家マネジメントを行うためには、してはならないことがいくつかある。
第一に、もっとも重大なタブーは、既存の事業部門と起業家的な部門を一緒にすることである。…
第二に、すでに大企業の多くが起業家たちと合弁事業を組んでいるが、成功した例はあまりない。…
大企業が起業家として成功しているのは、多くの場合、自らの人材によって新しい事業を手がけたときである。…
第三に、いかなる企業であろうと、得意な分野以外でイノベーションを行おうとしても成功することはめったにない。イノベーションは、多角化であってはならない。…
第四に、買収、すなわちベンチャービジネスを所得することによって、起業家的になろうとしてはならない。買収しても、買収先の企業に早くマネジメントを送り込まなければならなくなる。
Posted by ブクログ
知識を行動に具体化することに責任をもつ者>現代の経営(1954年)
もはやマネジメントは専門的な技能ではない。本書でも明らかにしているように、一般教養になりつつある。一般教養とは、教育ある人間が、自らの役割を果たすために知っておかなければならないことである。明日の日本、あるいは明日の先進国において、マネジメントを理解せずに、教育ある人間の役割を果たすことはできない。あらゆる人間が、マネジメントとは何のことであり、その基盤となるものが何であるかを知らなければならない。それが前提とするもの、価値をおくもの、目標とするものが何であるかを理解しなければならない。(チェンジリーダーの条件、2000年)
Posted by ブクログ
ドラッカーの本は、本屋の経営ジャンルには結構いつも置いてあったが、今まで敬遠して読んではいなかった。この度、あるきっかけで読んでみたが、私的には目新しいという観念はない。「マネジメントと起業家精神(イノベーション)がコインの裏表である」というまさにそのとおりと考える。マネジメントとは、常に変化していかねばならない。なぜか、企業においても、ユーザのニーズの変化、人・物・金の資源状況の変化、社会情勢の変化など一つとして恒久的に変化しないものはないのだから。