上田惇生のレビュー一覧
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ドラッカーの労作 「イノベーションと起業家精神」のエッセンシャル版
頭出し、理論と実例、深堀り、まとめが各部、各章ごとに設けられていて、わかりやすいが読み進むのにかなり時間がかかりました。最初は全体の構成を掴むのに著者のまえがきと、目次を一読されるのがよいかと思います。itツールとかはともかく、スタートアップや、成長戦略などは、ほぼドラッカーによって、この時代に体系化されてしまっていると感じました。
大見出しとして、3部に分かれています。
第1部 イノベーションの方法:イノベーションの7つの機会を解説したもの
第2部 企業家精神:既存企業、公的機関、ベンチャーそれぞれに対して、イノベーションに対してどうマネジメントするのかを、何をすべきで、何をすべきでないのかをまとめたもの
第3部 企業家戦略:総力戦略、ゲリラ(2番手)戦略、ニッチ戦略、顧客創造戦略という、4つの戦略の内容と、特徴を表したもの
第3部の終わりに、終章がもうけられていて、以下が述べられています。
・世代世代について、それぞれがイノベーションを必要とすること
・イノベーションが成熟し、利益を上げられるようになるには、ある程度の年月が
必要なこと
・現代では、学校で得てきた学習だけでは生き残ることは難しく、全く新しいスキル、知識、道具を必要とし、そのために継続学習やそのための方向付けの責任を負うことなること
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マネジメント〔エッセンシャル版〕
基本と原則
著:ピーター・F・ドラッカー
編訳:上田 惇生
出版社:ダイヤモンド社
正しくあれというマネジメントの精神から始まる管理のための教科書
マネジメントなしには組織はない
マネジメントとは、成果に対する責任に由来する客観的な機能である
基本と原則に反するものは、例外なく破綻する
第1に、マネジメントには基本とすべきもの、原則とすべきものがあるということ
第2に、それらの基本と原則は、それぞれの企業、機関、NPOのおかれた国、文化、状況に応じて適用していかなければならない
第3に、もう1つの、しかもきわめて重要な「しかし」があった。それは基本と原則に反するものは例外なく破綻するという事実だ
目次
日本の読者へ
まえがき──なぜ組織が必要なのか
序──新たな挑戦
Part1 マネジメントの使命
1 マネジメントの役割
第1章 企業の成果
2 企業とは何か
3 事業は何か
4 事業の目標
5 戦略計画
第2章 公的機関の成果
6 多元社会の到来
7 公的機関不審の原因
8 公的機関成功の条件
第3章 仕事と人間
9 新しい現実
10 仕事と労働
11 仕事の生産性
12 人と労働のマネジメント
13 責任と保障
14「人は最大の資産である」
第4章 社会的責任
15 マネジメントと社会
16 社会的影響と社会の問題
17 社会的責任の限界
18 企業と政府
19 プロフェッショナルの倫理──知りながら害をなすな
Part2 マネジメントの方法
20 マネジメントの必要性
第5章 マネジャー
21 マネジャーとは何か
22 マネジャーの仕事
23 マネジメント開発
24 自己管理による目標管理
25 ミドルマネジメント
26 組織の精神
第6章 マネジメントの技能
27 意思決定
28 コミュニケーション
29 管理
30 経営科学
第7章 マネジメントの組織
31 新しいニーズ
32 組織の基本単位
33 組織の条件
34 五つの組織構造
35 組織構造についての結論
Part3 マネジメントの戦略
36 ドイツ銀行物語
第8章 トップマネジメント
37 トップマネジメントの役割
38 トップマネジメントの構造
39 取締役会
第9章 マネジメントの戦略
40 規模のマネジメント
41 多角化のマネジメント
42 グローバル化のマネジメント
43 成長のマネジメント
44 イノベーション
45 マネジメントの正統性
結論
付章 マネジメントのパラダイムが変わった
編訳者あとがき
ISBN:9784478410233
判型:4-6
ページ数:328ページ
定価:2000円(本体)
2001年12月13日初版発行 -
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ネタバレドラッカー教授、29歳のときの著作。マネジメントで有名な教授の処女作は、意外にも政治、それもファシズム全体主義についての本です。しかし、この著作からは後年重要なキーワードが述べられています。以下、気になった箇所。
p55『一人ひとりの人間が位置と役割をもつ秩序が崩壊したことによって、当然、合理の秩序だったはずのこれまでの価値の秩序が無効になった。』
後のドラッカー教授の重大な視点の一つになる「位置と役割」が、ここで出てくるとは意外でした。
p132『農民が「民族の背骨」であるならば、労働者は「民族の精神」である。経済的地位などとは関係なく、いつでも自らを犠牲にする用意があり、自己規律に富み、禁欲的にして強靭な精神をもつ「英雄人」なる理想的人間像である』
「経済人」の社会が崩壊したのち、ファシズム全体主義が模索したのが「英雄人」だった。本書自体は深く書いていないものの、この「英雄人」こそ、ファシズム全体主義が「位置と役割」をドイツ国民に提示できたキーワードと言えます。
p195『ナチズムにとって、人種的反ユダヤ主義は手段にすぎない。本当の敵はユダヤ人そのものではない。ブルジョア秩序である。ナチズムは、ブルジョア秩序にユダヤ人の名を付して闘う。ナチズム反ユダヤ主義は、ブルジョア階級の秩序や人間観に代えるべき肯定の概念を構築できなかったことに起因する。階級闘争に走るわけにはいかないナチズムとしては、別の観点からブルジョア資本主義と自由主義を攻撃せざるをえない。悪魔の化身を発見したからには、その論理的、力学的帰結として、さらには、そもそもの目的からして、それら悪魔の化身との闘いには容赦なきことが求められる。』
ドラッカー教授がどこまで予想していたかは明確ではありませんが、本書刊行後に更に激化するユダヤ人迫害、虐殺を予期させる文章です。
p203『つまるところ、組織そのものが自らを正当化する社会的秩序であるとしなければならない。社会組織の外殻はあらゆる社会実体に勝る。容器としての形態こそ最高の社会的実体である。こうして組織が信条そのものとなる。』
後年、ドラッカー教授は「組織は目的ではなく手段である。」と述べていますが、この考察が念頭にあるのかもしれません。
p227『現実には、独ソ戦が希望的観測以上のものだったことは一度もない。しかし、現在の状況が続くならば、西ヨーロッパ諸国に対抗するために両国は同盟を結ぶと考えられる。』
チャーチルでさえ見誤った独ソ不可侵条約締結を的確に見定めていたのは驚きです。
ドラッカー教授のその後の思想を予感させる名著です。 -
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ついに最終巻、下巻。より実践的・近代的なテーマ、ただし本当に直面していなければイメージしにくいテーマが多いかもしれない。
そして、多角化、グローバル化、そして成長とイノベーションのマネジメントは、選ばれしもの向けのマネジメントではないかとも思った。とはいえ、「どんな組織であれ組織としての責任の真髄は、一人ひとりの人間の強みを生産的なものとし、成果をあげさせるということ」であり、「マネジメントはその責任を負わなければならない」とするならは、企業規模・業種に関係なく、組織のリーダーとされる人間は、等しく本書の読者として該当するはず、と思い直した。
書いてあることは普遍的で古さは感じない。イノベーションについて、『イノベーションは技術用語ではなく、経済用語であり社会用語、イノベーションをイノベーションたらしめるのは、科学や技術そのものではない』とあるが、その旨は今もって有効。ただし2021年においては技術要素の比重は最大限高まったように見える。
あとどんな業種、規模、形態の企業でいようが、多角化の誘因〜多角化のマネジメントに至る論調は、頭に入れておくべし、と感じた。 -
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「経営者」とあるが、本書が指すのは「エグゼクティブ」。上司からの指示以外にも進んで行動をする、いうなれば「できる人」を指す。つまり、本書は「できる人の条件」と捉えてもよい。
さて、ではエグゼクティブとは何か。エグゼクティブたる条件は何か。それは「仕事をする」のではなく、「成果を上げる」ことだ。
そのために必要な能力は5つ。
・タイムマネジメント
・成果へのフォーカス
・強みを基盤に置く
・成果を上げる領域に集中する
・意思決定する
そんなの当たり前じゃないかって?そうかもしれない。これらが全て当たり前に実践できている、つまり習慣化できているならばあなたは「できる人」だ。
しかし成果を上げるための必要条件は、時と場合によって変わっていく。普遍的な原理は存在するが、銀の弾丸は存在しない。ある時点での有能さは、明日の無能だ。
本書にあるように、問い続ける姿勢というのが欠くべからざる性質として存在する。
タイトルから「自分は経営者ではないからな…」と回避しているならばもったいない(まあ、自分もそうだったのだが)。「できる人」への道は誰にも開かれている。 -
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P30
真のマーケティングは、顧客から出発する。すなわち、人間、現実、欲求、価値から出発する。「われわれは何も売りたいか」など考えない。「顧客は何を買いたいか」を問う。「これがわれわれの製品やサービスにできることだ」とはいわない。「これが顧客が求め、価値ありとし、必要としている満足だ」という。
P34
企業の目的を定義する場合、出発点は一つしかない。顧客である。まず、顧客によって事業は定義される。
P43
いかなる企業にも三種類のイノベーションがある。製品におけるイノベーション、市場、消費者行動、価値観に関わるイノベーション、製品を市場にもっていくまでの間におけるイノベーションである。
P73
では、彼ら無給のスタッフが求めているものは何か。いつでも去ることのできる彼らをとどまらせるものは何か。彼らが求めているものは、第一に、活動の源泉となるべき明確な使命である。
P116
組織が危機に瀕していたとき、その命運を決するのは明快な命令の有無である。船が沈没しかけているときに、会議を開く船長はいない。
P118
上司はひとりでなければならない。三人の主人を持つ奴隷は自由人であるとのローマ法の格言こそ真理である。
P226
予期せぬ成功や失敗など、予期せぬものを体系的に探さなければならない。予期せぬものを例外として片付けず、機械として調べなければならない。
P246
これが創造的模倣戦略である。誰かが新しいものを完成間近までつくりあげるのを待つ。そこで仕事にかかる。短期間で、顧客が望み、満足し、代価を払ってくれるものに仕上げる。ただちに標準となり、市場を奪う。
ドラッカーを読むと、根本を問い直される。そこに対して、自分が正しく行動できているか考える機会になった。 -
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ネタバレドラッカーの名著。
npo編。
メモ
・非営利組織はアメリカにおいて地位のコミュニティになっているということ。、さらにそれは個人が選択可能であるということ。、
・今日の非営利組織の課題
1 寄付者を参画者にすること。
2 あらゆる人に絆としてのコミュニティと目的の共有を与えること。
・重要なのはカリスマ性でなくミッション。組織のミッションを定義することがリーダーが初めに行うべきこと。
・ミッションは行動本意たるべきもの。さもなければ単なる意図に終わる。組織に働くもの全員が自らの貢献を知りうるようにするもの。
病院の場合、健康を維持するといったものでなく、患者を安心させることといったようなもの。
・非営利組織には機会、卓越性、コミットメントの三本柱が不可欠
・優れたリーダーは私を考えず、我々と考える。チームを考える。自分の仕事がチームを機能させることだということを知っている。
・リーダーの能力
人の言うことを聞く意欲能力姿勢
コミュニケーションの意志。自分の考えを理解してもらう意欲
言い訳をしないこと。
仕事の重要性に比べれば自分などとるに足りないことを認識する
・リーダーは部下の可能性と強みを見極め、自己実現できるよう権限移譲を行うこと。未来志向でかつ現実を見たビジョンをもてることが非常に大事。
・リーダーシップとは行動。思索にとどまってはならない。
・非営利組織には四つのものが必要。プランニング、マーケティング、人、資金。
・イノベーション成功の条件
変化を脅威でなく、機会としてみること
責任者となってくれる者を探すこと
戦略を持つこと。あらゆることにニッチの可能性を求めること。
・意思決定において最も重要なのは、何のための決定か、を考える部分。意思決定が見えた通りの問題であることは稀。問題と思ったものは現象にすぎない。
・検討はリスクからではなく、機会から始めるべきである。うまくいったら何を意味することになるかを考え、そのあとリスクを考える。
・リスクには3種類ある。負えるリスク、失敗したら深刻な害をもたらし元に戻せないリスク、失敗すれば害は大きいが負わざるをえないリスク。