藤谷治のレビュー一覧

  • あの日、マーラーが

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    3.11の日の夜に行われたクラシックコンサートの、観客や出演者、関係者の物語。マーラー五番という大曲の、それぞれの捉え方は異なるけれど、底辺はつながっている感じがしました。すず婆さんの、生き方好きです。周りが不幸だと言っても、本人は全く幸せに考え、今が一番充実していると感じている生き方は素晴らしい。堀くんもツーショット撮れて良かったね〜。

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    2023年02月23日
  • 本をめぐる物語 小説よ、永遠に

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    ネタバレ

    第二弾はとばして。どれも面白かったが、やはり最後の藤谷治さんの『新刊小説の滅亡』。本に関わる全ての人の背筋を正すような問いかけ。もともこもないが結局本を読む人は新刊がなくても読むし、読まない人は最初から読まない。想像・創造の場が失われたわけでもない。原作なしオリジナル面白ドラマが増えるのも個人的には良い。確かに積ん読は増えてる。再読で事足りるかもしれない。「青」と「赤」のように埋もれていた既刊小説に救われる人もいる。
    けど、「それでも……!」(by バナージ・リンクス『機動戦士ガンダムUC』)と言いたい。答えになってないが(笑)、う~ん、悩む。考えさせられる

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    2023年01月15日
  • マリッジ:インポッシブル

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    主人公目線の独特な語り口調。
    句読点も独特で、かなりコメディ強めの1冊かなと。
    ほんとにこんな婚活パーティーあるの?!という仰天相談所に、
    やっぱり見る目がないだけ…?というまさかの展開も。
    このまま良い感じに関係が進展してほしいところ!

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    2022年11月18日
  • ニコデモ

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    大人の寓話です。
    人知れず天才音楽家が歩んできた戦前戦中戦後の歴史。魔法のような歌と悪魔。
    色々な事が絡まり合うのが好きなのは藤谷さんの毎度の好みだと思います。ちょっとわかりにくいけど面白いとは思う。

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    2022年07月06日
  • ニコデモ

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    作者のインタビュー記事のようなものを読み、
    やっと何が書かれているのか、
    その片鱗に触れられた気がする。

    だからといって、
    理解できるかは別の話。
    むずい。

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    2022年06月19日
  • 花や今宵の

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    ネタバレ

    地方に伝わる山で起きた不思議な出来事のお話です。民俗学とか、地方の伝承が好きだとより楽しめるかもしれません。

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    2022年01月20日
  • 小説は君のためにある ──よくわかる文学案内

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    以前小川洋子の物語の役割を読んだが、同じようなことを書いている部分があり、やはり同じところに行き着くんだなと思った。

    一方、小川洋子のほうが体系化されているイメージ

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    2022年01月12日
  • 小説は君のためにある ──よくわかる文学案内

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    これはちくまプリマー新書だから中高生に小説を紹介する本というコンセプトだと思うが、小説とは何か、というところに文字数を割きすぎてる感じがした。著者の熱い思いは伝わるけど、個人的な思い入れはそこそこにして、作品紹介にもっとパワーを割くべきだったのでは、と思う。

    巻末に、「とっかかりが欲しい人のための小説案内」という推薦図書コーナーがあり、高慢と偏見、宝島、二都物語(私はオリバー・ツイストでもいいと思うなあ)などが紹介されているが、日本の作家は三島、川端、谷崎なんかはわかるけど、三遊亭円朝や寺山修司の「あゝ、荒野」が入ってるのは変わってる。本文で草枕と鼻、十九歳の地図が出ているので夏目、芥川、中

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    2021年06月12日
  • 世界でいちばん美しい

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    ネタバレ

    せった君と島崎哲は幼馴染であった。
    せった君は音楽家、ピアニストであり作曲家、大いなる才能の持ち主。野心や、現世的な欲とはあくまで無縁で、ただ音楽と戯れ、音楽と共にあった人。
    そんな彼を間近で見続けた島崎哲。せった君の音楽仲間で、最後まで彼の理解者。
    けむりに魅入られ、自己正当化をとことん進めた挙げ句に破滅へ走った不協和音の津々見勘太郎はせった君を火事で消してしまう。
    島崎哲と津々見勘太郎はどこか似ている。何者かになれる、ならねばならぬという青臭い思い込み。しかし、島崎が津々見にならなかったのは、幼い頃からそばにせった君がいたからだと考えられる。せった君という素直で音楽のことばかり考えるまっす

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    2021年06月04日
  • 船に乗れ! III 合奏協奏曲

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    音楽学校を出て音楽家になるのは一握り。
    これを一般の人はどれだけ知っているだろうか。
    普通の音大だけではなく芸大や桐朋の一流でもある話です。

    この本のテーマはブランデンの5番。
    演奏会って一期一会なのでそういうのもありかなと思う。
    逆に譜面は一生残るのでサトルに届いた譜面は今でもあるでしょう。

    最後に「船に乗れ!」の題名の理由が出てきます。

    「音楽は趣味の方が良いのよ、一生続けられる趣味よ」
    「仕事にしないほうがいいのよ、楽しめないから」
    と昔自分の師匠が言った言葉をこの本を読んで思い出しました。

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    2021年01月09日
  • 船に乗れ! II 独奏

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    この本の曲のテーマはレ・プレリュード。
    リストはピアニストとして優秀だったかもですけど
    正直オーケストラ作家としてはもひとつ。

    洗足 レプレ youtube ぐらいでヒットします。youtubeの指揮は現田さん。
    本ではずっとデフォルメしてひどく書かれていますが
    舞台となっている洗足の演奏はずっと素敵です。

    ハイデルベルグまで教えてもらいに行ったチェリストが先生から
     Das ist cello.
    と言われ弾いた先生の音階が次元の全く違うものなので正直打ちのめされますよね。
    教えられていたものが実は「私の常識=世界の非常識」というあるあるネタ。
    更には「音を出している‡音楽をしている」とい

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    2021年01月06日
  • 船に乗れ! III 合奏協奏曲

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    向き合うことも、認めることも、許すことも、
    今はできないかもしれない。

    (以下抜粋)
    ○僕には先生の言葉より、その前の一瞬の沈黙のほうがはるかに重要だった。(P.20)
    ○僕に限らず、自分が懸命にやっていたことを、新参者がさらに器用に、そして熱心にやっているのをまのあたりにすれば、ショックを受け、無力感を覚えることは誰にでもあることだ。(P.37)
    ○「オーケストラに出られないんですか、って訊いたんです」(P.45)
    ○本当になりたいものになるには、僕はあまりに不徹底で、卑怯だ。なまけもので才能のかけもない、情けない人間なんだ。(P.153)

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    2020年12月27日
  • 船に乗れ! II 独奏

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    誰しもが持つ、あの時のあの選択。

    (以下抜粋)
    ○先生はそれを、抽象的なはげましの言葉なんかじゃなく、親指の位置で、十六分音符で、つまりはひとつひとつの鍛錬でもって、僕に伝えていたのだ。(P.120)

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    2020年12月27日
  • 船に乗れ! I 合奏と協奏

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    隣の芝生はいつだって青いし、氷山も一角らしいし、
    世の中には表面だけ見て分からないものが多すぎる。

    (以下抜粋)
    ○指が動くだけじゃ表現できないものが多すぎるんだ(P.88)

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    2020年12月27日
  • 猫がかわいくなかったら

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    猫をこよなく愛する、愛すべき家族の物語です。藤谷治 著「猫がかわいくなかったら」、2019.2発行。

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    2020年02月11日
  • 小説は君のためにある ──よくわかる文学案内

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    文学とは何か→不特定の人に向けて書かれた文章
    文学は読者=君に読まれることで存在できる、君のためにある

    読みたくなった本・作家
    カレル・チャペック『山椒魚戦争』
    サマセット・モーム
    室生犀星
    ジェイン・オースティン『高慢と偏見』
    ヴァージニア・ウルフ『オーランドー』
    ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』
    トルストイ『戦争と平和』
    ガルシア=マルケス『百年の孤独』
    ボルヘス『伝奇集』
    川端康成『みずうみ』

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    2019年11月10日
  • 綾峰音楽堂殺人事件

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    ネタバレ

    ミステリとしては首を捻る。が、ここで書かれている地方都市の現状、音楽の存在意義、煽動者に乗せられてヒートアップしていくシンパの姿、かき消される良識的な声、といった部分は、現実とかぶり、うすら寒い思いがする。

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    2019年09月18日
  • 猫がかわいくなかったら

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    65歳の定年まで、あと4年。
    吉岡は妻の多恵子と静かに暮らす。
    ところが、近くのアパートに住む老夫婦が入院。
    アパートには、老夫婦が飼う猫が残された。
    誰が世話をするのか。
    それぞれに事情があり、簡単に「引き取ります」とは言えない。
    吉岡夫妻の猫への愛情と苦心にホロリとさせられた。
    老夫妻の過去など、エピソードも満載。
    おもしろく読み終えた。

    思い出しことがある。
    公園の茂みから子猫の鳴き声が聞こえた気がするが、空耳だとわかった時の安堵。
    もし、そこに子猫が捨てられていたとしたら。
    吉岡夫婦の様に親身になることができるだろうか。

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    2019年07月28日
  • 猫がかわいくなかったら

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    近所のアパートに住む老夫婦が揃って入院する事になる。たまたま顔見知りだった吉岡夫妻が部屋に行くと、そこには一匹の猫がいた。やや変わり者の老夫婦は猫の事はどうしていいかわからないようで、大家は当然保健所に連れて行けばいいという態度。猫好きの吉岡夫妻は仕方なくアパートに通い、世話をする羽目に。でも老夫婦の今後を考えると、そんな一時的な問題ではなくなってきて…,。
    吉岡夫妻が始めは仕方なく世話をしていたのに、だんだん周りに振り回されるうちに決断する姿が、すっきりしてよかった。

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    2019年07月27日
  • 綾峰音楽堂殺人事件

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    綾峰県綾峰市にある古い県立音楽堂と、そこを活動拠点とする綾峰フィルに俄かに湧き起こった音楽堂の取り壊しとオケの解散問題。音楽堂跡地の有効活用とオケの助成金打ち切りを煽るカリスマDJと、なんとか音楽を、文化を守ろうとする綾峰フィルの関係者の対立。
    そんななか、綾峰フィル最後の音楽堂でのコンサート中に、楽屋で男が殺された。その男こそ、音楽堂取り壊しを先導したDJだった。
    綾峰フィルの顧問としてたびたび綾峰市を訪れていた音楽評論家であり、英文学教授の討木穣太郎と共に事件を目撃した小説家・フジツボムサオ。
    どうみても作者の分身(笑)のフジツボ氏が、いたって冷静に討木氏本人を分析し、ツッコミをいれながら

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    2019年07月10日