藤谷治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
意図してそうしているのか、そうでないのかはわからないけれど、「船に乗れ!」の残像を求めて読むと、えらいしっぺ返しにあう。
「新潮」掲載の3作収録。
「我が異邦」は、「ヰタ・セクスアリス」なのか?と思いながら読んでいくと、エミリ・ディキンソンに着地。
「ふける」は逃避行の顛末をなぞっていく。偽悪か?とふと疑ってしまうほどなのであるが、いやいや。
「日本私昔話より じいさんと神託」の語り口はコミカルでもあり、ちょっと斜に構えた感じもあって、私はこの3作の中で一番面白く読めた。
ま、確かに「私には仕事もあれば、酒もあれば、他人への罵倒も、喫煙も、昔の女もある」わけで、彼の全体からすれば、「船に乗