藤谷治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
高三の秋。サトルはチェロを辞めることを決意する。
これだけ音楽の美しさと喜びを知っている人が音楽から離れられるのかとも思うが、十八歳の主人公には0か100かの答えしかなかったのかも。
ミニコンに南を参加させたことは理解できないけれど、妊娠発覚後から彼女がとった行動はとうてい高校二年生の女子ができるものではないので強い人だと思う。
祖父、佐伯先生、脇を固める人が良かった。そして金窪先生との再会。タイトルは先生がくれたニーチェの言葉から。
分かってはいたけれど、主人公がさえない中年になっていたことを少なからず残念に思う気持ちがあったのは、それが甚だしく現実的だったからに他ならない。
ポプラ文庫版で -
Posted by ブクログ
8篇の物語が収められている。
今回の物語に特徴的なのは、「小説とは何か」という疑問だ。
「青と赤の物語」では、物語が禁止された世界を描いている。
物語があるから悪いことをする人がいる、そんな考えを持ったエライヒトたちが物語を禁じてしまったのだ。
全く因果関係はないのに、AだからBと決めつけてしまったのだ。
物語は、文学は、何の役にも立たない。
本当にそうだろうか。
物語は時に残酷なものも、悲しいものも、苦しいものもあり、そんな世界を目にするのは時には恐ろしい。
けれども、そんな世界があるから救われる人もいる。
物語に書いてあることは、どんな物語にせよ、誰かから、読者に、あなたに、向けたメッセ -
Posted by ブクログ
タイトルの通り、小説にまつわるアンソロジー。
ラノベっぽい軽さのものが多くて中高生向けかな。
それでも小説の存在意義を説くような話が読めてなんだか嬉しかったです。
本を読んで驚いたり、感動したり、幸せな気持ちになったり、そういう純粋に読書を楽しんでいた頃の初々しさを思い出しました。
「青と赤の物語」 加藤千恵
「あかがね色の本」 千早 茜
「新刊小説の滅亡」 藤谷 治
この3つが好きです。
私の人生、何度小説に救われてきたんだろう。
探さなくてもいつだって必要なときは必ず寄り添ってくれてた。
その経験はその本とともに、何年経っても何が変容しても移ろわなくて、私にとって本当にかけがえのないも -
Posted by ブクログ
ネタバレ仕事でアメリカに赴任した短い数年の出来事。
日本では地下鉄サリン事件が起きた年で、ワシントンD・Cは大雪が降ったなかで
友人もいない異国での、たった一人での静かな生活。
国籍も様々なそっけない国で誰もが差別に敏感で
風俗店で知り合ったエミイは店を逃げ出して
日本の知り合いはオウム真理教に皆が傍観者だった。
その他短編。
新宿から金沢まで逃亡劇。
メタボ解消のためのサイクリングと、その途中で出会った世田谷の壁を見つめる老人。
最後のじいさんの神託はちょっと不可思議で不気味だった。
村上春樹の影響受けすぎかな~。
カッコつけている感じが鼻持ちならないけど
嫌いじゃあないよ)^o^(