【感想・ネタバレ】綾峰音楽堂殺人事件のレビュー

あらすじ

音楽評論家として著名な英文学教授・討木穣太郎は、綾峰県立音楽堂を活動拠点とする綾峰フィルの顧問としてたびたび綾峰県を訪れていたが、ある日この音楽堂の取り壊しと綾峰フィルの解散を告げられる。釈然としない思いのまま迎えた音楽堂の最終公演の日、音楽堂で殺人事件が起きた。殺されたのは、音楽堂の取り壊しを引導した男だった―。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

地方のクラシック楽団を舞台にした殺人事件解決ミステリー。まずミステリー部分から言うと、最後まで諦めずに読まないと「おい、殺人事件はどうすんねん?」と思うし、一応の解決を観たところで「やっぱ謎解きはおまけなんか」と思うんで、絶対最後の1行まで気を抜かないこと。さすれば、背中にゾーっが走るラストが楽しめる。

そして、脱線したかのような、地方交響楽団運営の苦しさと、地方行政の問題。大阪では維新の会があれだけ人気で、文楽潰そうとしたり、カジノ作ろうとしたりしても、結局トップとってしまうあたり、他人事やないねんなぁ。まぁ、これまでも横山ノックやったし、太田房江やったし、なーんも変わってないのかもしれんけど…。っちゅか、地方行政なんて有象無象の怪しい連中のたまり場やから。

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2022年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリとしては首を捻る。が、ここで書かれている地方都市の現状、音楽の存在意義、煽動者に乗せられてヒートアップしていくシンパの姿、かき消される良識的な声、といった部分は、現実とかぶり、うすら寒い思いがする。

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2019年09月18日

Posted by ブクログ

綾峰県綾峰市にある古い県立音楽堂と、そこを活動拠点とする綾峰フィルに俄かに湧き起こった音楽堂の取り壊しとオケの解散問題。音楽堂跡地の有効活用とオケの助成金打ち切りを煽るカリスマDJと、なんとか音楽を、文化を守ろうとする綾峰フィルの関係者の対立。
そんななか、綾峰フィル最後の音楽堂でのコンサート中に、楽屋で男が殺された。その男こそ、音楽堂取り壊しを先導したDJだった。
綾峰フィルの顧問としてたびたび綾峰市を訪れていた音楽評論家であり、英文学教授の討木穣太郎と共に事件を目撃した小説家・フジツボムサオ。
どうみても作者の分身(笑)のフジツボ氏が、いたって冷静に討木氏本人を分析し、ツッコミをいれながら事件と、事件に至った経緯を記していくという作中作。

藤谷さんらしい音楽要素満載の物語はその大部分を綾峰フィル存続の反対派と賛成派のやり取りを中心に語られ、苦しい地方財政の中で文化を維持していくことの難しさや市民オケの存在意義、音楽を守ることの難しさなどに頁の大半が割かれている。

あとで推理に役立つかと一生懸命書き出したオケのメンバーの編成図すら全く必要もなく、肝腎の殺人事件はどどうなったんだ~と思った頃にあっさり犯人と事件のあらましが明らかになり、なんだか完全に添え物じゃん!と思った最後の最後、討木氏が示す事件の裏側にゾワッ。ん~後味わる~。

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2019年07月10日

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