藤谷治のレビュー一覧
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私立高校の音楽科に通う男の子の物語
以下、公式のあらすじ
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青春の苦悩をリアルに描いた大作、完結
高校三年に進学し、同級生たちが進路に悩むなか、津島サトルは音楽家としての自分の才能に見切りをつけようとしていた。その頃、南枝里子は人生をかけた決断を下す。
青春のすべてをかけてきた恋人と音楽とを失い、自暴自棄になったサトルは、思いもしない言葉で大切な人を傷つけてしまう。サトルは、人間の力ではどうにもならないことに向かって泣いた。
自らの人生を背負い、それぞれの想いを楽器に込めて演奏する合奏協奏曲。これが最後の演奏となってしまうのか? そしてそこへ現れた -
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Posted by ブクログ
「なんでもいいよ」と言われるのが一番困る。
誕プレ何が欲しい?
今日の夕飯に食べたいものある?
今度のお休みどこいこっか?
「なんでもいいよ」って、自分の提案を相手が真面目に考えてくれてない気がする。
時々腹が立つ。
考えるのがめんどくさいからって丸投げしてんじゃねえよ、と思ったりすることもある。
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私は「ちくまプリマー選書」のシリーズがかなり好きだ。
想定される対象は若い読者だと思うのだが、それだけに著者たちが言葉を厳選して伝わりやすく、言いたいことができるだけ届くようにと祈るような気持ちで書いていることが伝わってくる気がするからだ。
本書は、自身も小説家である著者が「 -
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ネタバレこれは、音楽の小説というより哲学の小説だった。第1巻を読んでいるときは、音楽がテーマの十代くらいが対象のほのぼの青春小説だと思っていたが、いえいえ、私のように大人になってから何年も過ぎた者の胸にずっしりくる作品だった。
主人公のサトルは通っている音楽高校で一年生の時には「学校で一番チェロが上手い」と言われていたが、二年生のある時の事件を境に、チェロを弾くことが楽しくなくなってしまった。そしてまた、自分には思っていたほど才能がなかったことを悟り、「チェロを辞める」ことを決心する。サトルはプライドの高い人間なので、チェロを続けるかぎりはソリストや有名なオーケストラのチェリストにならなければ -
Posted by ブクログ
後半はキツかった。
前半は絶好調だった。
南さんとお付きあいを始め、毎日音楽や演奏について熱く語りあい、「二人で一緒に芸大に行ってデュオを組む」という夢も語り合う。
演奏のほうでも二人とも学校のオーケストラの第二バイオリンとチェロのそれぞれトップを任され、パートを引っ張っていく存在に。さらにサトルはフルートの貴公子伊藤君から、文化祭でバッハのフルート・ソナタの伴奏を頼まれ、美人のピアノ講師、北島先生からもイベントでのデュオの相手を頼まれる。個人レッスンの曲もどんどんレベルが上がり、毎日が忙しくて、楽しくてたまらない。
そして、極めつけはドイツ・ハイデルベルクへの短期留学。サトルが知ら