藤谷治のレビュー一覧
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いいっすー。泣けます。
どこにでもいそうな極々普通の29歳、たなだ君が
迷い込んだワンダーランドでの恋愛ストーリー。
まか不思議なその町では、まったく非日常な出来事ばかり
が起こりますが、たなだ君はその町で見かけた女性への
想いが溢れていて、そんな非日常が、さほど可笑しなことではなく
自然に描かれて、しかもユーモアを上手く使いながらなので
違和感なく自然に自分もその町に溶け込めます。素晴らしいー。
イガラシさんとヤタガラシさんのくだりは最高です。
後半のたなだ君が想いをぶつけるシーンは感動的だし、
彼の口から発する言葉の真摯さと誠実さは胸を熱くします。
なんのとりえも無いなんてとんでもない。 -
購入済み
シリーズ第2弾。スカイツリーを見上げる下町の片隅に、ひっそりと息づく商店街を舞台に人間ドラマ。ひとつの商店街を舞台に6人の人気作家が紡ぐ、ほっこりおいしいアンソロジー。
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不思議なお話でした。
第一景から最後の第十九景までのタイトルは、すべてエリック・サティの作品名になっています。
エリック・サティは、ご存じのとおりフランスの作曲家で、1866年に生まれ1925年に亡くなりました。パリで活躍し、個性的な作風と不可思議な作品名が知られていますよね。
お話の舞台は、「第一景 ピカデリー」とあるように、ある三階建マンションの一階部分にある「喫茶 ピカデリー」です。
店長は、このマンションの家賃収入があるので、ピカデリーの営業にはあまり力が入っていません。なのでメニューは、コーヒーとカフェオレと紅茶だけ。しかもホットだけで、紅茶のフレーバーはアールグレイしか -
Posted by ブクログ
"あの日"って2011年3月11日だったのですね。事前知識全くなしにタイトルだけで購入したので知りませんでした。また、著者は"船に乗れ"の人だったのも読み始めて知りました。随分と前に読みましたが良い印象を持っています。
でも、この本は読むんじゃなかった。読んで後悔、嫌なことを思い出させられました。
ダニエルハーディング指揮の新日本フィルが、当日、マーラー5番のコンサートを決行したのはもちろん知っていました。NHKの特集番組も見ました。あの瞬間、私は新国立劇場でオペラを聴いていました。始まって45分で中断、打ち切りになってしまいました。17時くらいまでロビ -
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2011年3月11日、東日本大震災の起きた日。
その日の夜に行われたオーケストラのコンサートと、そこへ赴いた何人かについて、描かれている。
全然知らなかったけど、実際にコンサートが行われ、賛否両論あったそうだ。
明確にどちらということでもなく、「こんなときに音楽なんて」という気持ちも、「今こそ音楽を」という気持ちも、両方感じるような気がする。
コンサートをやったということは、そこで演奏した人も(僅かとはいえ)聴きに行った人もいるわけで、そういう人たちの思いを少し感じられる。
登場人物たちが少しだけ関わるのも、ちょっといい。すずさんが好きだったな。 -
Posted by ブクログ
本は数え切れないくらいたくさんあり、そのうちの小説もたくさんあります。
なぜ、小説がたくさんあるかというと、まず、小説が消耗品だからだと、著者である小説家の藤谷 治さんは言います。普通、小説は1度しか読まれないから、たくさんの小説が必要なのだと。
そして、もうひとつの理由は、小説というものは、いろいろなことができるものだから、たくさんあるのだと言います。
本書は、そうした小説にできることが、その特徴に合わせて書かれています。
下記の目次にあるように小説には、いろいろな書き方があり、いろいろなことができます。
本書の帯には、三宅香帆さんの言葉が書かれてありました。
『本書で、小説の -
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