藤谷治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
いいっすー。泣けます。
どこにでもいそうな極々普通の29歳、たなだ君が
迷い込んだワンダーランドでの恋愛ストーリー。
まか不思議なその町では、まったく非日常な出来事ばかり
が起こりますが、たなだ君はその町で見かけた女性への
想いが溢れていて、そんな非日常が、さほど可笑しなことではなく
自然に描かれて、しかもユーモアを上手く使いながらなので
違和感なく自然に自分もその町に溶け込めます。素晴らしいー。
イガラシさんとヤタガラシさんのくだりは最高です。
後半のたなだ君が想いをぶつけるシーンは感動的だし、
彼の口から発する言葉の真摯さと誠実さは胸を熱くします。
なんのとりえも無いなんてとんでもない。男として羨ましい。
解説にもありましたが今作は一気読み...しかも夜に
暖かくして読み耽ると一層この不思議な町の世界に
スッと入って行けそうですよ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレそっちに行くならこっちに手を出すな(読後第一声)
久々にこのアプリの存在思い出した。ちょうど読み終わったのがこの本。めちゃくちゃ読みやすい文章で、長文でも飽きずに面白く読めるのが楽しくて最後まで一気に読んだ。
内容については、冒頭に尽きる。手を出すな…いや兄とその友人(私)のことではなく…いろんなおもしろ要素が空中分解して最後はなんの味もせず終わったな…になったのが悲しい…溶解って、そういう意味で?二倍の厚さにしてでももう少し膨らませて読ませて欲しかった。何故なら好きな文体だったので。
このテイストじゃ無い別の本も読んでみようかなあ -
購入済み
シリーズ第2弾。スカイツリーを見上げる下町の片隅に、ひっそりと息づく商店街を舞台に人間ドラマ。ひとつの商店街を舞台に6人の人気作家が紡ぐ、ほっこりおいしいアンソロジー。
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Posted by ブクログ
不思議なお話でした。
第一景から最後の第十九景までのタイトルは、すべてエリック・サティの作品名になっています。
エリック・サティは、ご存じのとおりフランスの作曲家で、1866年に生まれ1925年に亡くなりました。パリで活躍し、個性的な作風と不可思議な作品名が知られていますよね。
お話の舞台は、「第一景 ピカデリー」とあるように、ある三階建マンションの一階部分にある「喫茶 ピカデリー」です。
店長は、このマンションの家賃収入があるので、ピカデリーの営業にはあまり力が入っていません。なのでメニューは、コーヒーとカフェオレと紅茶だけ。しかもホットだけで、紅茶のフレーバーはアールグレイしかありません。ケーキ類はあるものの、レモンケーキとシュークリームとプリンだけ。それも隣のパティスリーから仕入れているものです。
そんな店なので、そこに勤めている「ぼく」は、ピカデリーを辞めるつもりでした。
しかし、この何の変哲もないさびれた喫茶店に、興味を惹くお客が来るようになったことから、「ぼく」は辞めるのを止めて、お客の観察をするようになります。
お客のひとりは男性で、地味な茶色のジャケットを着て地味な深緑の中折れ帽子をかぶった、のっぽで痩身の無表情な人です。一時間半から二時間かけてカフェオレを飲んでレモンケーキを食べます。
この人は上のマンションに住むピアニストのようなのですが、なぜかいつも黒いよれよれのスーツを着た二人組の男たちから見張られているのです。
そして、もうひとりのお客は女性で、この人は「第二景 風変わりな美女 1」から登場します。
この女性は、いつも歩道に近い壁際の席に腰かけて本を読んでいます。注文はいつも紅茶でケーキは付けたり付けなかったりですが、必ず紅茶はおかわりします。
ワンピースを着ていたり、ふわっとしたスカートだったり、デニムをはいている時もあります。長い髪を一本にまとめていて、一時間か一時間半くらい本を読みます。
紅茶のおかわりを飲み干すと大きな布のバッグを持ってトイレに行きますが、本を読みながら行きます。そして本を読みながら支払いを済ませて、本を読みながら店を出ていくのです。なんとこの女性を街で見かけた時には、本を読みながら買い物をしていたのです。
さあ、この二人のお客はいったいどんな人たちなのでしょうか??
不思議な物語の始まりです。。。
(気になるでしょ)
サティの作品名がついた章の名前を書いておきますね。
プレイリストを作ってそれぞれの曲を聴きながら読んでいただくと楽しいかもしれません。
コーヒーか紅茶(アールグレイ)と、レモンケーキかシュークリームかプリンを召し上がりながら、いかがですか?
第一景 ピカデリー
第ニ景 風変わりな美女 1
第三景 右や左に見えるもの(メガネもないのに)
第四景 舞踏への小さな序曲
第五景 最後から二番目の思想
第六景 風変わりな美女 2
第七景 星たちの息子
第八景 風変わりな美女 3
第九景 猿の王様を目覚めさせるためのファンファーレ
第十景 ジムノペディ
第十一景 冷たい小品集
第十二景 ねじれまくった数章
第十三景 官僚的なソナチネ
第十四景 メデューサのたくらみ
第十五景 あなたがほしい
第十六景 パラード
第十七景 びっくり箱
第十八景 行こうショショッテ!
第十九景 本日休演
《出版社による内容情報》
2025年7月、エリック・サティの没後100年を迎える。21世紀によみがえる古今並ぶ者なき偉大なる作曲家の代表曲を冠した、全十九景の現実的幻想劇。『船に乗れ!』『世界でいちばん美しい』など、音楽小説に定評のある作家が綴る、エリック・サティへのレクイエム&オマージュ作品がここに誕生。各篇にサティの曲名を付した短編を織り重ねた連作。
今が不安なあなたに贈る、シュールで奇想天外、ちょっとお洒落なストーリー。
《内容説明》
エリック・サティの小劇場。古今並ぶ者なき偉大なる作曲家エリック・サティの代表曲を冠した、全十九景の現実的幻想劇。
《著者情報》
藤谷治[フジタニオサム]
1963年東京都生まれ。2003年『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』でデビュー。2014年『世界でいちばん美しい』で第31回織田作之助賞受賞。作家活動のかたわら、東京・下北沢で書店「フィクショネス」の経営も体験。 -
Posted by ブクログ
"あの日"って2011年3月11日だったのですね。事前知識全くなしにタイトルだけで購入したので知りませんでした。また、著者は"船に乗れ"の人だったのも読み始めて知りました。随分と前に読みましたが良い印象を持っています。
でも、この本は読むんじゃなかった。読んで後悔、嫌なことを思い出させられました。
ダニエルハーディング指揮の新日本フィルが、当日、マーラー5番のコンサートを決行したのはもちろん知っていました。NHKの特集番組も見ました。あの瞬間、私は新国立劇場でオペラを聴いていました。始まって45分で中断、打ち切りになってしまいました。17時くらいまでロビーで待機した後、下北沢の自宅まで歩いて帰りました。
東日本大震災と東京電力の原発爆発は日本政府の戦後の数々の嘘を暴露してしまいました。あの出来事により私のこの国への信頼は全て消えてしまいました。この国を覆い尽くす同調圧力や盲目的な国民性も明らかにしました。今でも一番嫌いな言葉は"絆"です。あれから15年になりますが、その思いは強まるばかりで確信になっています。驚くべきことに、今でもこの国は本当に全く何も変わっていません。これはもう喜劇と思うしかないと諦めています。
最後に、クラシック音楽を趣味として長年聴いていますがクラシックジャンル以外も含めて音楽はとても素晴らしい芸術だと思います。ですが、あまり意味など考え過ぎずに音に浸るだけで十分なのではないかと思います。その意味で第五章の曲の解説の様な部分は私には邪魔でした。ストーリーや描写など、全体としても小説としてこの本はほとんど評価できません。 -
Posted by ブクログ
2011年3月11日、東日本大震災の起きた日。
その日の夜に行われたオーケストラのコンサートと、そこへ赴いた何人かについて、描かれている。
全然知らなかったけど、実際にコンサートが行われ、賛否両論あったそうだ。
明確にどちらということでもなく、「こんなときに音楽なんて」という気持ちも、「今こそ音楽を」という気持ちも、両方感じるような気がする。
コンサートをやったということは、そこで演奏した人も(僅かとはいえ)聴きに行った人もいるわけで、そういう人たちの思いを少し感じられる。
登場人物たちが少しだけ関わるのも、ちょっといい。すずさんが好きだったな。 -
Posted by ブクログ
本は数え切れないくらいたくさんあり、そのうちの小説もたくさんあります。
なぜ、小説がたくさんあるかというと、まず、小説が消耗品だからだと、著者である小説家の藤谷 治さんは言います。普通、小説は1度しか読まれないから、たくさんの小説が必要なのだと。
そして、もうひとつの理由は、小説というものは、いろいろなことができるものだから、たくさんあるのだと言います。
本書は、そうした小説にできることが、その特徴に合わせて書かれています。
下記の目次にあるように小説には、いろいろな書き方があり、いろいろなことができます。
本書の帯には、三宅香帆さんの言葉が書かれてありました。
『本書で、小説の無限の可能性を知りました。』
人は、なぜ小説を読むのか?
人は、なぜ小説を書くのか?
中高生など若い読者向けのプリマ―新書で、改めて読んでみませんか。
いろいろな小説の引用があって、楽しいですよ♪
『小説にできること』目次
第一章 小説にはなんでもできる(技術篇)
第二章 小説にはなんでもできる(内容篇)
第三章 小説は道徳にとらわれない
第四章 小説は人間の多様性を描きわける
第五章 小説はダメな人間を輝かせることができる
第六章 小説は空想を描ける
第七章 小説は時代を描くことができる
第八章 小説は理想を託すことができる
第九章 小説は美を追求することができる
第十章 小説は人を励ますことができる