藤谷治のレビュー一覧

  • 小説にできること

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    ネタバレ

    今まで読んでこなかった新書を読んでみようと思って、読みやすいと聞いたちくまプリマーから小説が好きだからという理由で選んだ一冊。

    砕けた文章で書かれていて本当に読みやすい。
    スルスル読める。

    当たり前のことを改めて気付かされて小説家の先生方への感謝や尊敬の気持ちが溢れてきたし、これからはもっと大切に読もうと思った。
    私は分析や考察が苦手でいつも感覚で楽しんでいるけれど、もう少し深く小説のことを考えるきっかけになったかな。

    初めて読む新書に選んでよかったなぁと思う一冊だった。

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    2026年02月08日
  • 船に乗れ! III 合奏協奏曲

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    私立高校の音楽科に通う男の子の物語

    以下、公式のあらすじ
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    青春の苦悩をリアルに描いた大作、完結

    高校三年に進学し、同級生たちが進路に悩むなか、津島サトルは音楽家としての自分の才能に見切りをつけようとしていた。その頃、南枝里子は人生をかけた決断を下す。
    青春のすべてをかけてきた恋人と音楽とを失い、自暴自棄になったサトルは、思いもしない言葉で大切な人を傷つけてしまう。サトルは、人間の力ではどうにもならないことに向かって泣いた。
    自らの人生を背負い、それぞれの想いを楽器に込めて演奏する合奏協奏曲。これが最後の演奏となってしまうのか? そしてそこへ現れたのは――!?
    サトルの船は、青春を彩るニーチェの言葉とともに、大海へと漕ぎ出る。
    すべてを飲み込み、切なく美しく響く青春音楽小説三部作、最終章。
    巻末に、宮下奈都さんによる解説を収録。
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    音楽一家の金持ちのボンボンで、チェリストを目指していたが芸高に落ち、失意のまま祖父が創設者である新生学園大学付属高校に入学した津島サトル
    フルートの名手で美少年の伊藤慧
    ポニーテイルで気さくな関係を築いているヴァイオリニストの鮎川千佳
    努力家のヴァイオリニストでサトルと良きライバルでもあり恋人のような関係性になる南枝里子
    サトルの副科でピアノを教える北島先生


    大人になってからの回顧録という形式で綴られている
    そのアドバイスから察するに、チェリストか、少なくとも音楽に携わる立場から書いているのかと思いきや、最後まで読むと「そうなってしまったのかー」という若干の残念さを感じる

    わかりもしないのにニーチェなどの哲学書を読み、自分が特別で他の人とは違うという傲慢さを持つあたり、中二病にどっぷりと漬かっている

    1巻の解説で、津島という名字は太宰治の本名と同じという指摘で、もしかしたら碌な将来を送っていないのでは?という疑問を持つ
    実際、その恵まれた環境の自覚と、それに付随する挫折は高校2年生の頃に訪れるわけだけれどもね

    ドイツのハイデルベルグで二か月間のチェロ留学という機会
    これさえなければなー…… とは想うけど、サトルはいずれこんな事になってたような気もする
    ただ、南さんの行動にも個人的には納得いかないものがある
    詳しくは語られていないけれども、それなりの関係性を築いていたからこその選択なのではとも思う

    その事実を知ったショックによる自暴自棄な八つ当たりとしての金窪先生への問い
    「何故人を殺してはいけないのか?」
    結局は自分が折れてその場を治めたと思っていたけれども、先生の態度に嘲りを感じ、結果として先生を退職に陥れるという暴挙
    そんな事をしても何もならないのにねぇ

    後は転がるように自尊心が剥がれ落ち、結果として音楽を辞める事になる


    入学時は芸高に落ちたというコンプレックスもありながら、1年生にして学内で一番のチェリストという自負もあったのに
    様々なものが壊れ、手にしていたものがこぼれ落ちていき、せっかく得た大切な人を失い、謝罪をしても許される事のない傷を自ら追う
    後の人生を見るに、そんなに幸福には思えないように書かれている

    まぁ回顧録として書かれてあるので、実際どうかはわからないけどね

    1巻の解説で太宰治に触れていた事は、全部読み終わって納得した


    それにしても、本屋大賞のノミネート作はちょいちょい音楽関係の作品が選ばれるけど、個人的には音楽に詳しくないので、いまいち入り込めない
    知っている人にとってはリアルなんだろうけどね……

    音楽の世界で必要な才能、努力、環境など元々狭き門なのにそこに挑むにも様々な求められる条件があるのがわかる
    ただ、これは音楽の世界に限らず、世の中にはそれを生業にするには狭き門というのがそこかしこにある
    その苦悩と挫折に関しては理解できる

    私自身だったら、研究という世界で生きているのは自分には無理だなと自覚したし
    そもそも、そこまでの意欲があったわけでもないし
    作中でいうその他大勢の生徒のようなものだったからなぁ


    タイトルの由来は、ニーチェの哲学書を金窪先生が訳してくれた一節から
    今いる現実から目をそらさず、努力し続けろというメッセージなのだろうな
    そこに希望がある

    先生の授業で、哲学とは善く生きる事について考える事としていたように
    どんな人生であれ、自分の人生に向き合う姿勢はいくつになっても必要

    音楽に関してはよくわからないし、サトルに共感するようなところもそんなにない
    だけど、タイトルの意味を知るところは良かったなぁと思う

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    2025年07月22日
  • 小説にできること

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    ネタバレ

    小説に興味をもたせるための本である。子どもでは少しむずかしい本もあげているが、この本を読んだ子どもはきっと読むと思われる。

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    2025年07月21日
  • 明日町こんぺいとう商店街2 招きうさぎと六軒の物語【電子限定特典付】

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    シリーズ第二弾。

    アンソロジーなのに前に出てきた登場人物がちゃんと出てきて、なんだか嬉しい。

    今回は切なく苦い話しも多かった。
    でも、2冊目の方が好き!

    あと2冊、続けて読みます!

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    2025年07月11日
  • 小説にできること

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    “「客観的」というものは、本当にあるのか?“
    “人間にキャラクターなんてあるのか?“

    小説の話を読んでいるつもりが、いつの間にか、自分を取り巻く世間や社会について考えてた。生活していると、あまりにも効率よく、要領よく、生きることに焦点が当てられがちだが、そうでないところに光が当たっているから、自分は小説を読むのが楽しいと思うんだな。

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    2025年07月07日
  • 小説にできること

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     小説 物語は、私を色々な体験をさせてくれたり(その気にさせる)、想像力を膨らませてくれたり、色々な感情にさせてくれたり。
     私の知らない世界を教えてくれる。

     ブク友さんが本棚登録していたのを見て、興味を持った。
    小説を読む視点が変わりそうだなと思った。

     色々な本 世界に出会いたい!と思えた。

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    2024年12月19日
  • 小説にできること

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    「なんでもいいよ」と言われるのが一番困る。

    誕プレ何が欲しい?
    今日の夕飯に食べたいものある?
    今度のお休みどこいこっか?

    「なんでもいいよ」って、自分の提案を相手が真面目に考えてくれてない気がする。
    時々腹が立つ。
    考えるのがめんどくさいからって丸投げしてんじゃねえよ、と思ったりすることもある。

    ******

    私は「ちくまプリマー選書」のシリーズがかなり好きだ。
    想定される対象は若い読者だと思うのだが、それだけに著者たちが言葉を厳選して伝わりやすく、言いたいことができるだけ届くようにと祈るような気持ちで書いていることが伝わってくる気がするからだ。

    本書は、自身も小説家である著者が「小説とは何であり、どのようにして書かれているものなのか」を古今のさまざまな小説を例に出しながら紹介するものである。

    何でも書ける。
    何をどのように書いてもいい。

    自由である、と著者は言う。
    この自由さは、しかし苦痛でもある。
    何でもある、は何にもない、と同義なのだ。
    自分から、ゼロから産み出していかねばならない苦しみ。
    苦労したから面白いものができる保証はなく、自分にとって面白いものがみんなにとっても面白い保証はない。
    苦労して書いたものがたとえ受け入れられたとしても、それは一回消費されれば終わることも少なくない。

    けれど「書かずにはいられない」というのが小説を生業とする人の業なのであろう。
    素材はどこにでもあるが、どれでもいいわけではない。どれが良い素材になるのかはわからないし書いたものの責任は全て書いた人が負うことになる。厳しい批評や批判だって受けるかもしれない。

    古くから人は物語を作ってきた。
    それはほとんどが絵空事であって、私小説といわれるジャンルでも"作品"に昇華できる程度には脚色がなされているはずだ。

    かつて小説は低俗なものとして低く見られていた(「小」説、という言葉がそれを表しているらしい)と聞いた。
    それでも洋の東西を問わず、物語が絶えず作られ続けてきたことには意味があるのだろう。
    そんな物語や小説について、若い読者に向けて言葉を綴る著者。その語り口はとても魅力的だ。

    読んだけど自分には面白くなかった、それもひとつなのだ、意味があるのだ、と著者は言う。
    そうなのかもしれない。
    私たちは自分が触れてきたものたちでできている。
    本棚はその人を映す鏡、みたいな言い方もあるし。

    瞬時にして、その場(部屋の中とかカフェの中とか風呂の中とか)から動くことなくいろんな世界に入っていける、自分の頭の中に描かれるイメージを味わう、そんな感覚は"小説を読む"行為でしか体験できないものだろう。
    うっかりすると仕事関係の本ばかりになってしまいそうな本棚に、もっといろんな小説を並べたいなと思う。

    ******

    ところで、自分が「何食べたい?」「どこに行きたい?」と聞かれた時につい「何でも」「どこでも」と答えたくなってしまうの、どうにかなりませんかねぇ。笑

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    2024年12月18日
  • 小説にできること

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    いい小説かどうかは、自分で読んで決めるとあって、なるほどと思った。小説にできることがいろいろ挙げられていて、中でも特に「人を励ますこと」がいいと思った。落ち込んだり悲しんだりしている時に、自分が選んだ小説に励まされたら嬉しい。私もこれからは小説も読んでいきたいと思った。

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    2024年11月13日
  • 小説にできること

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    子供の頃おもしろい小説に出会って、心が震えた。それから次々と色んな本を読んできたけど、はじめて感動し、物語にワクワクしていた当時の気持ちを思い出せた1冊。小説の解説の仕方も面白いし、引き込まれる。自然と小説を読みたくなる。

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    2024年10月24日
  • いなかのせんきょ

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    癖のある語り口
    癖強すぎの方言のセリフ

    やっと慣れてきたくらいに読み終えちゃう…


    誰かに「コレ、読んでみて!!」
    と勧めたい。
    知り合い少なくて
    ┐(´д`)┌ヤレヤレ

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    2024年06月30日
  • 本をめぐる物語 小説よ、永遠に

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    加藤さんの「青と赤の物語」と千早さんの「あかがね色の本」が好きでした。

    何度も出てくるテーマ、
    「物語がなくなったら?」。
    自然といつも以上に大事に読みましたとさ。笑

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    2024年03月06日
  • 小説は君のためにある ──よくわかる文学案内

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    作者の文章と自分との間には、作者の意図とは思いがけない形で離れた自分だけの経験が育まれ、秘密が生まれる。虚構から見出した、他の誰にも出力できない秘密を、これからわたしは幾つ持てるだろう?船を漕ぎ出すような気持ちで文学の世界へと送り出してくれる一冊

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    2024年03月03日
  • 船に乗れ! II 独奏

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    吐きそう…。津島の津島たる所以はここであったか…。もしかしてまだあったりする?こわいよー。

    途中まで熱い青春小説を読んでいたのに中盤超えたあたりから罪の話…太宰…罪の告白…

    なんでも書けるという藤谷治恐るべし…
    もう3巻読むしか無い。

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    2022年10月30日
  • 船に乗れ! III 合奏協奏曲

    購入済み

    再び音楽が流れ始めました。

    2巻目で一瞬鳴り止んだ音楽が再び流れ始めました。人生とは何かを問いかけられる最終巻でした。

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    2022年07月15日
  • 船に乗れ! II 独奏

    購入済み

    2巻目もおすすめです

    1巻目に続き一気に読み切りました。ずっと鳴り響いていた音楽がふと止まる瞬間もありますが、読み応えがあります。

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    2022年07月07日
  • 船に乗れ! I 合奏と協奏

    購入済み

    音楽の世界に引き込まれます。

    とても読みやすく、とても迫力のある小説です。読んでいる間ずっと、音楽が頭の中で鳴り響いていました。

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    2022年06月16日
  • 船に乗れ! III 合奏協奏曲

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    ネタバレ

     これは、音楽の小説というより哲学の小説だった。第1巻を読んでいるときは、音楽がテーマの十代くらいが対象のほのぼの青春小説だと思っていたが、いえいえ、私のように大人になってから何年も過ぎた者の胸にずっしりくる作品だった。
     
     主人公のサトルは通っている音楽高校で一年生の時には「学校で一番チェロが上手い」と言われていたが、二年生のある時の事件を境に、チェロを弾くことが楽しくなくなってしまった。そしてまた、自分には思っていたほど才能がなかったことを悟り、「チェロを辞める」ことを決心する。サトルはプライドの高い人間なので、チェロを続けるかぎりはソリストや有名なオーケストラのチェリストにならなければ意味がないとその時は思っていたのだ。
     決意を伝えた周りの大人のなかで、一番理解があったのは、サトルがチェリストになるように先回りして線路をひいてきた、新生学園大学学長でもある、お祖父様だった。「食うために腕を上げていった芸術家が一番好きだ。モーツァルトはどうして山のように名曲を残していると思う。いい曲を仕上げなきゃ、次の注文が来なかったからさ。精一杯いいものを書かなきゃならなかったんだ、生活のために。……芸術は芸術家が気ままに作ったもんなんかじゃないんだ。家賃のために、お上の機嫌をそこねないために、次の仕事に困らないように、切羽詰って作られたんだ。しかもそんな苦労は、ほらこの音楽からはこれっぽっちも聴こえてこやしねえ。」と音楽を辞めたところでその何倍も苦労するであろうサトルに花向けの言葉を送った。サトルはお金だけではなく、家族の愛情にも恵まれていた。
     上の音大(新生学園大学)には進まず、普通大学を受験すると決めても、高校卒業までの音楽活動は全うする。文化祭での三年生ばかりの小編成オーケストラなど、団結して練習、演奏する中で、一年生の時からの音楽科での友情を再確認する。

     その中で、再び現れた南枝里子(サトルの元恋人でサトルが二年生の時、留学から帰ったあと、突然退学してしまった)は、サトルへの手紙の中で、望まない妊娠、結婚をしてしまったが生まれてくる赤ちゃんが幸せでいるために、いまの家族への愛情を一番大切にしているということを書いてきた。
     枝里子も数カ月の間に大人になってしまったのだ。そして枝里子は枝里子の道徳によって生きていた。

     この小説の1巻で、「合奏は皆でお互いの音を聞き、一つの音楽を作り上げる音楽だが、協奏は一人一人のソリストが相手より前に出ようと競いあう演奏だ。」というようなことが書かれていた。ではこの「合奏協奏曲」という副題がついているこの三巻は、調和しながらも各ソリストが個性を出して凌ぎあう演奏ということなのか。それが、ニーチェの「道徳の地球にも、その正反対に立っている人がいる!」という言葉に通じるということなのか。    ニーチェは私には難しいのだが、音楽の世界と哲学と青春と人生を結び付け、それを繊細なサトルに語らせた重厚感のある魅力的な小説だった。

     



     

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    2020年10月19日
  • 船に乗れ! II 独奏

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     後半はキツかった。
     前半は絶好調だった。
     南さんとお付きあいを始め、毎日音楽や演奏について熱く語りあい、「二人で一緒に芸大に行ってデュオを組む」という夢も語り合う。
     演奏のほうでも二人とも学校のオーケストラの第二バイオリンとチェロのそれぞれトップを任され、パートを引っ張っていく存在に。さらにサトルはフルートの貴公子伊藤君から、文化祭でバッハのフルート・ソナタの伴奏を頼まれ、美人のピアノ講師、北島先生からもイベントでのデュオの相手を頼まれる。個人レッスンの曲もどんどんレベルが上がり、毎日が忙しくて、楽しくてたまらない。
     そして、極めつけはドイツ・ハイデルベルクへの短期留学。サトルが知らないうちに親族のうちで着々と準備が進められ、「夏休みにハイデルベルクに行ってこい」と突然、お祖父様から言われる。向こうには伯父夫婦がいて、面倒を見てくれ、チェロの先生も斡旋してくれていて、言うことのない留学。恵まれたお坊っちゃん。
     しかし、ハイデルベルクのチェロの先生に言われたことは「君は、暫く音楽を演奏してはいけない。音階だけを練習しなさい。」「君のチェロの弦は鳴っていたが、楽器は鳴っていない」。
    大きな挫折。

     帰国すると、周りからは「音が変わった」と褒められるが、そんなことは耳に入らないくらい悲しい出来事が続く。自分が悪いのかどうかも分からない。理不尽で耐えられない出来事。そして、ムシャクシャして虚ろな心のまま罪を犯す。と言っても、警察に捕まるような犯罪ではない。傍目からは分からない、自分だけがずっと十字架を背負っていかなければならないような罪だ。
     前半はあんなに牧歌的で楽しい青春時代だったのに、急に大人にさせられたようだ。
     音楽あり、哲学ありの高校生活。こんなことを経て、サトルのチェロはサトルだけの本当の音楽を奏でることが出来るようになるのであろうか?俳優さんが自分の人生の波乱万丈を肥しにしているみたいに?
     第3巻が楽しみである。

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    2020年10月18日
  • 小説は君のためにある ──よくわかる文学案内

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    小説を読むとぐったりするから避けていたけれど、小説はそういうものだと知ってホッとした。これからもう少しずつ読んでみる。

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    2018年11月17日
  • 小説は君のためにある ──よくわかる文学案内

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    「船に乗れ!」の藤谷先生による小説案内、中身自体は誤解を恐れず言うとどおってことない内容。語り口を楽しむ本だと思う。この本で作者のことが気になったら、「船に乗れ!」とか「世界で一番美しい」とかを読んでみてほしい。是非。

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    2018年10月29日