ネタバレ
Posted by ブクログ
2016年03月01日
東日本大震災が起こった日、東京フィルがそれでもコンサートを強行したという事実をもとに、再構成した小説です。
さまざまな立場の人間の群像劇になっており、それらはすべてフィクション。
ただし、だからと言って嘘はないんだと思う。
色々なバックグラウンドを持つ人々、音楽というものに対する知識も感じ方も関わ...続きを読むり方も違う。
未曾有の大災害に対して何を考えたかも違う。
何かドラマティックなことが起こったわけでもないし、
災害に対する音楽の力を強調する作品でもない。
ただ、あの日、東京にいたみんなが多分感じたことを、キャラクタを通じて描いています。
それは、罪悪感であったり、東北の現状を知りながら自分のことしか考えられない身勝手さであったり、非日常への戸惑いであったり。もちろん、それぞれの感じ方で。
そして、そこに音楽がたまたまあったというお話なんだろうと思います。
大きな理由はなく、人間が人間であるために、音楽がそこにあった。それを描きたかったのかなと思いました。