池田真紀子のレビュー一覧

  • ネヴァー・ゲーム 上

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    著者は、もう結構なお歳なのに、その歳でまた新たなシリーズを書くとは、その点にまずは脱帽です。ストーリーは軽快なテンポで進み、魅力的な登場人物たちとも相まって、グイグイ読ませられました。主人公は、懸賞金ハンターというちょっと変わった設定。なかなか面白いのですが、この著者の本領は、後半に発揮されますので、ここからが楽しみです!

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    2024年08月21日
  • ウォッチメイカー 上

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    ネタバレ

    ウォッチメイカーたちは10件の殺人を計画していて、物語開始時点で2件の殺人事件を完了しているが、捜査班の動きに阻まれてその後が計画通りにいかない。
    四肢麻痺の元刑事リンカーン・ライムは科学捜査に基づく推理により3件目の現場に警察を先回りさせて阻止する。相棒であり恋人でもあるアメリア・サックスを自分の事件に完全に引き入れたいが、彼女自身の事件を全うさせてあげたくもあり葛藤がある。
    アメリア・サックスは刑事に昇進したばかりで自身の事件解決に意気込んでいる。しかし、刑事であった元恋人のかつての犯罪により立場が怪しくなりつつある。また、巡査であった父が現役時代に不正をしていたことを知り、打ちひしがれて

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    2024年08月20日
  • サバイバー〔新版〕

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    運命を悟った人物が、初めて自由意志を持ってそれに抗おうとする姿はやはりかっこいい。
    テンダーブラウソンはカルト宗教のドグマにより生まれの時点で悲劇的な人生を辿ることが確定していて可哀想すぎる。彼もそれを自覚していて宗教から離れていてもゴミ溜めのような生活を送っている。しかし、宗教から離れている時点で抗う才能があり、終盤の行動においても主人公に値する人物だと思った。
    ファーティリティ(豊穣の意を持つ)の未来予知がテンダーにとって人生の豊穣さに全く寄与せずむしろ逆効果になるのは、未来予知が人間が本来できないはずの能力で、できるという奴は金儲け目的で人を不幸にするだけだと皮肉を効かせているようで面白

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    2024年08月19日
  • デジタル・ミニマリスト スマホに依存しない生き方

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    読む前からSNSは削除してたり、スマホと適度な距離をとって生きているつもりだったので、その考えを後押ししてくれるような一冊だった。人によって最適な関わり方が異なるからこそ、何より大事なことは、自分で利用するツール類を意識的に選択することが幸福感につながるという事実だ。

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    2024年08月14日
  • デジタル・ミニマリスト スマホに依存しない生き方

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    世の中のほとんど全ての人がスマートフォン・SNS中毒となっていて、必要以上にネットワークに繋がっている時間が多くなったことにより、自分自身と向き合う時間がなくなった弊害が大きいから、
    意識的にネットワークから距離を置き、自分にとって本当に大事な物事にフォーカスしよう、という内容だ。

    自分はその内容に共感し、読み始めてすぐにX、Instagram、Tiktokを削除(アカウントは消していない)し、iPhoneのホーム画面を整理して一頁目に最低限のアプリしか配置しないようにした。

    今後考えるべき問題は、ほとんどすべてのヒトがSNSに毒されている状態の中、産まれたばかりの息子を今後どのように育て

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    2024年08月09日
  • トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー

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    ネタバレ

    面白かった!
    30年という長い時間軸だけれど、自分の世代と重なっていることもあり、物語の中に自分がプレイしたり知っているゲームや、時代背景が出てきたのも楽しく読めた要因かもしれない。
    自分の幼少時代にもこの物語の主人公達のような同世代がいたかもしれない、と思いを馳せたり想像を巡らせてしまう。
    私自身はそこまでゲームをやり込んだタイプでもないし、詳しいわけではないけれど充分に楽しめる一冊だった。
    長編だけど飽きることなく、読み終わったときはもっとセイディとサムのこれからを読みたい、という気持ちになった。
    この2人の関係性は、間違いなくソウルメイト、絆、運命、そんなふうに言えると思う。人生でこんな

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    2024年08月03日
  • デジタル・ミニマリスト スマホに依存しない生き方

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    facebookを見ないと決めてからしばらく経って読んだので説得力高い。間違いなく見なくなってからのほうが穏やかな日々が過ごせている。著者が提示するレベルに到達するかはわからないけど、その価値は認識できていると思う

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    2024年07月31日
  • 幼年期の終わり

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    弟にSFの名著として勧められ手に取りました。
    名著の名に違わぬ内容だった。
    当初読んで自分で予想した結末から全く違う結末、オーバーロードの目的、驚きながら読んだ。
    この話はもちろんSFだが、我々人類は争いなどの社会問題を克服し成熟できるのか、皆が少しずつ良き影響を発揮し、元気玉のイメージでより良い世界になればと感じさせられた作品。

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    2024年07月27日
  • エンプティー・チェア 上

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    今度ばかりは流石にシリーズ終了かと思った。だって………、いや、ネタバレになるから書かないが、いくら何でもこれで続けるのは無理でしょ、と後半はずっとそう思いながら読んでいた。結論から言えば更にこの後もシリーズは続く訳だが、私自身は今まで読んだシリーズ中で一番面白かった。爽快感的な面白さではない。どちらかと言えば読みながら眉をひそめるような描写も多々ありながら、最後に読み終わった時の達成感というか疲労感というか、その脱力感はピカイチだった。
    車椅子探偵ものとしては異例の犯人の逃走先を予測するというハンター設定。物証を元にした動かない科学捜査で果たしてそんな事が可能か?と思わせる難題をリンカーンは次

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    2024年07月17日
  • ハンティング・タイム

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    バウンディハンター コルター・ショーシリーズ第4作目。

    例によって、ジェフリー・ディーヴァーお得意のどんでん返しが、物語後半に巻き起こります。でもね、ジェフリー・ディーヴァーの作品を数多く読んでいると、“あ、この人怪しいな”とか思っちゃうんですよね。なので、どんでん返しが起きても、それほど驚かなかったりします(笑)。逆に言うと、もっと激しくひっくり返されるかと思ったのですが、そこまででは無かったです。

    次は、リンカーン・ライムシリーズが読みたいですね。

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    2024年07月17日
  • 死亡告示 トラブル・イン・マインドII

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    上巻に続き、バリエーション豊富な短編集。といっても最後の『永遠』は中編的な長さ。どちらかと言えば変化球的な作品が多かった印象ですが、その切れ味は抜群。どの作品でも、何てことのない話が、一つの文章でガラッと、趣が変わる楽しみが味わえました!

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    2024年06月18日
  • デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する

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    デジタルなツールから離れ、自分にとって本当に大切なことに集中するための考え方を説いた本。断捨離のデジタル版とも言えるが、筆者はすべてのデジタルツールを削除するように主張しているわけではない。「惰性でSNSを見てしまう」というような状況を避け、もっと主体的に人生をコントロールするための一つの方法としてデジタル・ミニマリズムを提唱する。基本的な考え方やポイント、それらを踏まえた具体的な演習案なども提示してくれているので、本を読み進めながらデジタルの片付けを実践できるのはとても良い。デジタル・ミニマリストになれれば、デジタルツールやSNSに振り回されることなく、自分らしい生き方をすることができるだろ

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    2024年06月15日
  • 幼年期の終わり

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    読みやすいし、これが現在のSF世界観の地殻を固めたのだということが、なるほど分かった。早く幼年期を脱したい

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    2024年06月01日
  • ファイト・クラブ〔新版〕

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    昔見た映画の原作ということで、読んでみた。映画の雰囲気と同じで、治安が悪い男たちの話という感じが面白かった。ただ映画よりも、厭世的な雰囲気をより感じられたところは、映像とは違う良さで、文学もいいなと思った。話の終わり方も好きだが、これが映画と同じかどうか覚えてない事が悔やまれる。
    また、「大英博物館のエルギン・マーブルをハンマーで叩き壊し、モナリザでケツを拭いてやりたい」という表現も、最低な事をしてみたいという欲求を、洒落た?言い回しで表しているので好きだ。

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    2024年05月26日
  • ハンティング・タイム

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    釈放された夫から逃げる母娘、ある理由によってその2人を追跡する夫、雇われの二人組の殺し屋、ある事件から巻き込まれる懸賞金ハンター。複数人物それぞれの視点から一つの大きな流れへと収束してゆくドラマ的な王道の流れを楽しめた。巧みなミスリードや視点の切り替えの描写で一気に読めた。シリーズもののようだが、単体でも十分に楽しめる。

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    2024年05月15日
  • コフィン・ダンサー 上

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    文春ミステリーベスト10の1位発表を見て、リンカーン・ライムシリーズの記念すべき第1作「ボーン・コレクター」を読んだのが2000年。それから約四半世紀の時を経てシリーズ第2作となるこの「コフィン・ダンサー」をようやく読んだ。キャラ設定など覚えているはずもなく、ほぼ新作のつもりで読んだが噂に違わずとても面白かった。

    リンカーンは安楽椅子探偵ならぬ車椅子探偵だ。しかも最先端の機器を駆使して超微細証拠物から科学的な推理を行う。この一見「静」にも見える行動は非常にアクティブで「動」的だ。またアメリアを始めとする動けるキャラクターたちも銃撃戦はあるわ、飛行機は落ちそうになるわで全てが「動」に満ちた作品

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    2024年04月18日
  • 幼年期の終わり

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    ネタバレ

    人間の終焉をディストピアとして描く映画や小説は多い。人間が進化し、統合体という新たな上位の存在に生まれ変わるのはわたしにとって目新しかったし、美しいとさえ思えた。
    オーバーロードの最後の演説は、忘れ去られる人間に敬意もあり、素敵だった。

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    2024年04月14日
  • フルスロットル トラブル・イン・マインドI

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    ディーヴァーの長編は面白いのですが、実は短編の名手でもあると常々思います。著者の前書きが、読む前に期待感をグッと高めてくれますが、その期待通り第1話の標題作キャサリンダンスものも、犯人の騙し方、そしてちょっと読む人をクスッと笑わせる手際までの出来栄えが実に鮮やか!ライムの短編もいつものライムでした。ほかの短編も、一見事件性がないように見せながら、突如として、目の前に事件を広げる手際の良さは秀逸。面白かったです!

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    2024年04月13日
  • パチンコ 下

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    家族の物語。登場人物がみんな魅力的で、もっと読んでいたいと思った。山崎豊子ばりの読み応えでとにかく面白かった。(山崎豊子さんが好きなので)

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    2024年04月13日
  • トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー

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    アメリカの小説って意図的に時系列を前後させてる気がする。断片的に連想のように思い出す記憶の集合体みたいな本の構成。
    この本も、もっと続きが気になるってところで過去の話になったり時間が飛んだり、もどかしさもありつつ人生らしさが増す良さもある。

    以下、好きな文章のメモ
    「(娘の死をどうやって乗り越えられたか孫に聞かれた祖母が)朝、ベッドから出た。仕事に出かけた。病院に行った。家に帰った。ベッドに入った。次の日も同じことを繰り返した」
    「ヒトの脳は、大切な相手のAIバージョンを長い歳月をかけて構築する。」 
    「もしかしたらそれは、遊びを求める心ゆえではないのか。もしそうであるなら、それは、すべての

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    2025年08月16日