池田真紀子のレビュー一覧
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上巻を読んでいた時にずっと感じていたのは、140年前の冤罪事件が、なぜ現代の女子高性を殺害しなければならないことに繋がるのかが理解できなさ過ぎたこと。
ただ単に「殺してやる」くらいの殺意ではなく、腕利きのプロの殺し屋を雇ってまでなぜ殺さねばならないのか。
しかも、プロのくせに、どうも共犯者との連絡がうまく取れているように見えない。
それぞれが自分の判断で勝手に動いているように見える。
そういうやり口のプロなの?
最初はレイプ目的を偽装して殺そうとした。
次は、テロリストたちの見てはいけない何かを目撃したからという理由で。
それらの違和感は、読んでいるうちにすっかり解消した。
全てに納得したわけではないよ。
黒幕の動機があまりに弱いよね。
ずっと損得勘定で生きてきた人が、自分の人生を賭けてまでやることかね。
私なら全財産を持って姿を消すけどなあ。
不本意かもしれないけど、安全な位置にいられる。
そんな事件のあれこれよりも、今回勉強になったのは、アメリカにおける二重政府のあり方だ。
アメリカの州は日本の県とは違い、独立した政府と法律を持っている。
ただそれを野放しにすると、合衆国として成り立たなくなるので、合衆国としての一段上の連邦政府と法律が存在するわけだ。
合衆国憲法と権利章典は、連邦政府から国民を守るにすぎず、州による人権侵害からは守ってくれない。
そこで憲法修正第○○条を作り、州法上の行き過ぎた人権侵害を防ぐ(例えば人種差別や選挙権等)のだけど、そもそもその修正法のあり方が適法ではないという人たちが今も多数いて、揉めているらしい。
この辺り、日本の憲法9条と似てるかも。
”アメリカ国民は常にバランスを求めてきました。国外の脅威から国民を守り、国民の生活を規制するだけの強さを持ちながらも、暴君となるほどには強くない政府を望んだのです。”
今、アメリカのバランスは結構危ういところで何とか均衡を保っているように見えるけど、無批判にイケイケどんどんと流れに乗っていくと、大きなしっぺ返しがそのうち来るような気がする。
日本だって、そう。 -
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アメリカの自己啓発っぽい本は突然、知らない一般人の体験や起業家の話が出てくるから、本論がなんなのかわからず混乱する。
アメリカの人からすると自分に近い一般人の話が出てくると解像度が上がるが、海外の読み手からすると逆効果で遠い世界の話に思えてしまう。
それは置いておいて、attention economyという言葉を初めて知ったが、GAFAはユーザーのattention (注意)や時間を消費させることに莫大な労力を割いている。
その策略に巻き込まれているのかと思うと途端にバカバカしくなった。
オフラインの交流を強化するためのSNSはそのSNSを使う時間が多すぎて、むしろ、オフラインの交流を減らしているというのももっともだった。
仲良しの友達の写真にいいねしたところで、簡単なメッセージをしたところで、実際に会って交流すること以上の効果はないのだ。
誰かとつながりたいという気持ちをSNSに消費されて、実際に友達と会う機会がどれほど減ったことか。
僕らは物理的に存在してるのに、魂や認知はオフライン、バーチャルな世界に乗っ取られていると感じた。
スマホで意味のないshortsを見ているときに人生はないがしろになっているし、そこに人生はない。
わかってはいるけど、やめられないスマホいじりを頭で理解して、本当にやめるために必要なことと思った。
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博物館でマイクロフィルムを閲覧していた16歳の少女が、襲われる。
直前に気づいた少女の機転で、なんとか逃げ出すことができたが、代わりに図書室長が射殺される。
会話の最中に室長が狙撃されたことにより、刑事ロン・セリットーは精神的に大きな打撃を受ける。
狙撃犯の狙いは少女・ジェニーヴァだが、彼女が閲覧していたマイクロフィルムが持ち去られたことにより、事件の裏には別の動機があるのではないかとライムたちは考える。
問題のマイクロフィルムにはジェニーヴァの曽祖父について書いた記事があり、公民権運動の旗手でありながら犯罪者として追われたジャニーヴァの祖父が抱えていた秘密とは何か?
というのが大きな謎ではあるのだけど。
私としては、たかだか16歳の少女を執拗に狙う理由が、そのヒントが、この上官に掛かれていなければフェアではないと思うのだけど、一向にそれがわからない。
逆に殺し屋のほうの少し悲しい半生などが描かれているんだけど、これが事件のヒントになっているのかなあ。
ジェニーヴァの両親もあまり愛情深くは見えないし、彼女の身近の誰かが殺し屋を雇ったとなると、疑えるっちゃ疑える。
彼女が死ぬことで、誰にメリットが…?と考えると、親戚だって無関係ではないかもしれない。
だけど、殺し屋たちはジェニーヴァの住所も高校も知らなかったんだよね。
うーん、黒幕は誰なんだろう?
あと、セリットーだけではなく、ライムもまた心に屈託を抱えていて心配。
定期的に訪れる死への願望というか…。
サックスを置いて死んじゃダメでしょ。 -
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「これまでの作品の中で最高の”どんでん返し度”を誇る」と著者が豪語したらしいけど、これ、フェアですかね?
たしかにどんでん返しだったけど。
それまでに何らかの伏線あった?
シリーズを考えると、いい話ではあった。
魔術師の師弟コンビだけではなく、ライムとサックスの師弟コンビについても、それぞれの今後を考えさせる。
弟子はいつか師の元を離れて自分の足で立たねばならない。
そしてその時師は、きちんと弟子を送り出すことができるか。
今回は事件の捜査と並行して、サックスの昇進試験があった。
いつまでも平の巡査ではなく、現場での裁量範囲を広げるためにもサックスは昇進したいと思っていた。
で、結果は、市警史上トップ3の成績を叩き出すのだが。
サックスが鑑識の作業を行っている時に、現場にずかずかと入ってきた男が、実は下院議員で、報道カメラの前で被害者救出などのいい場面を見せようとしていたのに、サックスにつまみ出されてしまったところがテレビに映し出され、昇進試験を不合格にしろ、とか、無給の停職処分にしろとか言いはじめる。
もちろん言うだけではなく、実際に警察組織を動かすわけで。
本当に、質の悪いやつに目をつけられちゃったね、って感じでした。
どこにでも下らん政治家っているんだね。 -
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まさに、よくぞここまで書いてくれた!である。
そして読んでいて時々背筋がゾッとする。
世界がじわじわと動いていくのは、1人ひとりのエゴイズムと、それを無責任に後押しする利益至上主義に覆われた企業論理だ。
そこに異を唱えるのは並大抵のことではない。しかも、すぐに大きな波にさらわれてしまう。
排外的なポピュリズムの台頭、差別、表と裏の顔の差、どんな時にどんな対応をするか。
これらの具体的な話を読むだけでも、「胸糞悪くなる」
大きな波に逆らわず、のまれていれば安心、という層もたくさんいるけれど、そういう人たちにこそこの本を読んでもらいたい。
資本主義ってどうよ?と思う気持ちがどんどこ強くなってしまう。
そして改めてこの本を書いた著者の勇気と行動力に喝采を、今後彼女が自分の道を歩めることを願い、応援したい。 -
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二重に鍵をかけていても部屋に入ってくる。
手錠をして身柄を拘束しても、するりと抜け出してしまう。
そして、ライムの家に忍び込んで部屋に火をつけることさえ難なくできてしまう犯人。
これは手ごわい。
今回は、実行犯の後ろにいる人はなんとなくわかるんだけど、事件の本来の目的がわからないので、どう関わっているのかがまったく不明。
あと、ローランド・ベルが抱えている事件から引きはがされてライム率いる捜査チームに入って来たけど、代わりにライムがベルの保護対象者がいつどこで狙われるかを注意することになった。
この二つの事件は、どこかで交差するはずだよね、物語的に。
そして、サーカスもどこかで関わってくるんだろうと思う。
犯人の目的とは?
それがわからないので、事件の全容がまったく見えない。 -
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これは、すっかり騙されました。
第1作の『ボーン・コレクター』こそ犯人の目星がつかないまま最後の直接対決まで読んでしまったけれど、2作、3作と実行犯の後ろにいる黒幕はわかったので、今回も余裕をかましていたのですが。
今回は黒幕であるはずの”ゴースト”が実行犯でもあるので、混乱したのです。
2作目も3作目もライムが実行犯を追い詰めて、その後ろから黒幕があぶりだされるというパターンでした。
しかも、黒幕はライムのわりと近くに現れる。
ところが実行犯のゴーストはライムから逃げているのですから、黒幕としてのゴーストはライムのそばにいられない。
だから、誰がどうやってライムの動きをゴーストに教えているのかを考えながら読んだのですが。
ゴーストの正体がわかった時の衝撃たるや。
しかもそれが引き起こすであろう悲劇をどうやって回避するのかが全然想像できない。
というか、想像する間も惜しんでストーリーにのめり込む。
だって、結構ライムの味方も命を失ったり障害を負ったりしがちだからさ。
今回は、珍しくライムと意気投合した彼の死が本当に惜しまれる。
なのにゴーストは平然とライムたちの目の前でアメリカ国外へ脱出しようとする。
なんでそんなことになるの?
でも、私もずっと気にはなっていたのだ。
いくら執念深い性質だとはいえ、なぜゴーストは、密入国者たち全員を殺すことにこだわるのか。
今回はすっかり作者にやられましたな。
次作はもっと注意深く、そして先入観を持たずに読もう。 -
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タイトル通り「驚愕の結末」が待っているミステリ短編集。短くても充分すぎるほどの盛り上がりと反転が楽しめる作品ばかりです。
ライムシリーズである「完全犯罪計画」にはどきどき。ライムの命を狙う何者かの存在。敵はいったいどのような攻撃を仕掛けてくるのか……そしてここから「真夜中の密室」へ繋がるようです。そういえばまだ読んでいなかった「真夜中の密室」。
多くの人物が登場する群像劇「魔の交差点」にもやられたなあ。まさかこんな展開だったとは。人間は一面から見ただけではわからないよね、という気分です。「麗しきヴェローナ」「どんでん返し」も一筋縄ではいかない物語。どんでん返しがあるだろうと予測はしていたものの、読めなかったなあ。 -
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序盤は少し退屈だったが、途中からは面白かった。朝鮮人4世代に渡る、在日の物語。
特に特定のテーマがある訳でもなく、物語にオチがある訳でもないが、不思議なリーダビリティによって読み終えた。
ただ韓国系作家だからなのか、同じ段落なのに文章の視点がコロコロと変わる文体で、始めはかなり戸惑った。日本や欧米の作品では、こんな事はないはずだが。。
まぁそれも途中から慣れたので、特に問題なし。
またあまり不快な人物が登場せず、差別についても話としては出てくるものの主人公たちが直接そういう被害に遭うような描写は少ないため、その意味でも読みやすい小説だった。
深い感銘を受けるような読後感ではないものの、優れた人物描写と勿体つけない話の展開が奏功して、質の高い小説になったと思う。 -
Posted by ブクログ
中国からの密航船に乗船している、国際手配中の犯罪者”ゴースト”を逮捕するため、ライムたちは密航船の位置を特定し拿捕しようとした。
しかしそれに気づいたゴーストは、船を沈没させ、証言者となり得る密航者たちを殺したうえで逃亡を図る。
ゴーストの手から逃れた密航者を執拗に追いかけるゴースト。
密航者たちを救出し、ゴーストを逮捕したいライムたち。
生き延びるために姿を消した密航者たちの居場所を、どちらが先に突きとめるのか。
それから、謎の、ゴーストの手下の正体も。
前回延期となったライムの手術が、近々行われる予定になっている状況での捜査。
ライムの詰めが時折甘くなるのと、サックスの集中が途切れがちなのが気になる。
頭脳では圧倒的に優秀なライムも、人を羨んだりない物ねだりをするところが、このシリーズのいいところなのかもしれないが。
今までシリーズを読んできて感じる傾向としては、黒幕の協力者はライムの懐近くにいる。
船に同乗していた手下と、ゴーストが買収している警察関係者のうちのどちらか、または両方が。
とすると怪しいのは…。
それから、ティーンエイジャーに対しては、怖い目に遭わせることはあっても、殺された人は今のところなかったはずだし、悪く見られていても根はいい子だったりするので、反抗期の少年は味方なんじゃないかと思っている。
さて、正解はいかに。 -
Posted by ブクログ
スマホはスロットマシーン‥。
スマホに自分を乗っ取られないために、一旦スマホから必須でないアプリを30日間削除しその間に、これは大事だと思えること、楽しいと思えることを再発見しておく。
アプリを再インストールする際には「人生において大事なことを後押ししてくれるかどうか(それが最善な方法か)」で判断する。
例えばギターでビートルズの曲を弾けるようになる、週一回文化的なイベントに参加するなど、具体的にスケジュールに書き込む。何かを修理する、レコードを頭から最後まで聞く、家庭菜園を始めるなど、アナログなことが良い。
大事な余暇に役立つテクノロジーは、存分に使えば良い。youtubeで修理の方法を学ぶなど。
SNSやサブスクなどを使用して良いタイミングも決めておく。(質の低い娯楽をそこに閉じ込めておく)何かしらを金輪際やってはいけないとなると、逆に長続きしない。
自分の生活の監督になったつもりで、ソーシャルメディアと関わる。