【感想・ネタバレ】パチンコ 下のレビュー

あらすじ

ドラマ化され、米放送映画批評家協会賞を受賞!

イサクを亡くし、劣悪な環境下で戦中を生き延びたソンジャ。二人の息子を育てた彼女の前にハンスがまた現れる。ハンスは日本の裏社会で力を持ち、陰でソンジャを支えていた。しかし大学生になった長男のノアが実の父について知ったとき悲劇が起きる。国家と歴史に翻弄されながらも生き抜く家族の姿を描いた、比類なき最高傑作完結!

※この電子書籍は2020年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

思わぬ事情で釜山から大阪に移住し、異国に根付いた少女から始まるコリアンの四代記。圧倒的な質と量で本を置くことができず、展開に何度も目が眩むような心地がした。

頭木弘樹の「絶望名言」の中で、ゲーテの一生について、「あらすじで言うと幸福な一生だが、その中にはたくさんの悲しみがあり、また逆のこともある」と語られた。光だけの人生はありえないし、闇の中にもきらめきはある。とはいっても、親として耐えがたい出来事が起こるたびに胸が潰れそうにはなった。

あと、有吉佐和子の「紀ノ川」「助左衛門四代記」をもう一度読みたくなった。

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2025年11月11日

Posted by ブクログ

親子4代に渡る物語。
「苦労は女の宿命ですから」
今の日本においては、全くピンと来ない言葉かもしれないが、戦前・戦後の多くの人には当たり前と捉えられたかもしれない。昔読んだ小説で同じような表現を見たことがある。

この作品は、在日朝鮮人を描いている。いまでこそ、ここまで強い差別が表立って出てこないかもしれないが、いまだに日本に居住する外国人(除くく白人)に対する、いわれのない差別や嫌悪があるのだと思う。

直近の選挙では、それが表面化していたのでは?

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2025年10月28日

Posted by ブクログ

過去に虐げられ、不当に扱われた歴史というのは今もなお個人に、家族に、民族に深く根差している。
日本人がチャイニーズやコリアンに対して抱くマイナスの感情というのは、メディアの印象操作や何の根拠もない事実に基づいたステレオタイプであり、逆もまた然りだと思う。
いい日本人もいれば悪い日本人もいるというのは本当にその通り。

民族的ルーツと生まれ育った町が異なるということは、想像以上に生きづらさや肩身の狭さを感じてしまうのかもしれない。
すごく考えることの多い作品だった。

在日の歴史、パチンコと在日コリアンの深い結びつき、もっと深掘りして勉強したい。

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2025年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どの人の挫折も壮絶だった。差別がもたらした失意。挫折や失意などの言葉では足りない。

差別されると、相手をクソと思いつつ、差別からどうしても逃れたいと思う。特に子どもには同じ思いを絶対に経験して欲しくない。

この物語は誰に向けて書かれたのだろう。日本や日本人を単純に糾弾したわけではない。在日コリアンとして生きる哀しみ、苦しさを書いたのだろうか。

ノアの自殺は痛切だった。思い出すだけで息が止まる。涙が滲む。

ソロモンとフィービーの別れも悲しかった。ソロモンの解雇も。

殉教したイサクだけが救いだ。

そして、ハンスを通してある意味カネが全てであることも感じた。

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2025年08月19日

Posted by ブクログ

在日コリアンは韓国では日本人扱いされ、日本では外国人扱いをされる。故郷がない。

という言葉にとても納得した。

そのような扱いを受けるのは彼らが日本へ渡ってきた頃からずっと変わっていない。

現在4、5世などが増えていくにつれ、かつての1世や2世などが持っていたアイデンティティや帰属意識などは確実に薄れていっているように思う。

自分は何人なのか、と読後より考えるようになった。

母語は日本語であり一生を日本で暮らしてきた私にとって、自分は韓国人だといえるのか。だからといい日本人ともいえない。

今まで自分が何人なのかをキッパリと答えられない自分を正直恥じていた。しかしこの本を読んで、在日コリアンである、と自信を持って言えると思う。


日本籍へ帰化することは個人の自由でありいけないことだとは思わないが、過去の1世や2世が必死に生き繋いできた在日コリアンという血筋をこれから守っていきたいと感じた。

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2025年06月30日

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日韓併合から太平洋戦争を経て現在にいたるまでの、在日コリアン4世代にわたる物語である。まず、知識として、在日コリアンの歴史、生活、考え方について知ることができた。パチンコがコリアンが発展させた産業であること、在日コリアンの国籍など知らないことがたくさんあった。
そして、祖国を追われた外国人としてのアイデンティティのありかたが、1世から3世にいたるまで変化していくありさまが非常に鮮明にえがかれていることがなによりも印象的であった。貧しさ、そして、娘の妊娠のために、娘を異国におくりとどけることをだまって見送るしかなかった0世、貧しさと不義、愛する子供のためにただ働き続けるしかなかった1世、在日としての差別に直面しながら在日コリアンとしての2つの祖国にはさまれたアイデンティティに苦しむ2世、そして日本、韓国それぞれの祖国の由来するアイデンティティを受け入れていく3世。こうした境遇の人に思いをめぐらせる想像力をもてるようになりたい。

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2025年06月22日

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ネタバレ

在日コリアンがベースにはなっているけれども、それはあまり重要ではなく、どちらかと言うとアジア版のアンナ・カレーニナ。燃えるような恋、幸せな家庭、別れ、子供、自殺、死別、といった人生で起こることが詰まっている本。パチンコというタイトルが勿体無い気はする。

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2024年11月17日

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何世代にも続く在日コリアンのそれぞれの苦労が描かれていて、故郷とは血や系統か、それとも生きてきた場所で決まるのか...... 国の政治によって自分のアイデンティティが複雑になっていったんだなと思った。

下巻から、続きが気になって怒涛のように3日ほどで読み切った。
この本に出会えてよかったと思う。

在日コリアンの心のうちや、政治によって揺れるアイデンティティ、故郷とは何なのか、
知らなかったことがたくさんあった。


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2024年08月19日

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ネタバレ

久しぶりに骨太の名作に出会えた。
登場人物が自分の中で今も生きていてフィクションとは思えない読後感。
特に、読者を惹きつけるのはイサクとノア。善人に限って、というか善人だからこそその生涯をあのような形で終えなければならないあたり、悔しさや無力感を覚えた。

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2024年06月17日

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朝鮮をルーツに持つというだけで、日本ではこんなにも生きづらいとは想像以上だった。
日本で生まれ育ち朝鮮語も話せないのに、両親だって日本で生まれ育ってるのに、パスポートは韓国発行のものを持つらしい。14歳以降は定期的に外国人登録をしなければいけないらしい。20世紀の後半になっても日本の公務員にはなれなかったらしい。
アメリカの一流大学に留学卒業し、一流企業に勤め高収入を得る身分になってさえも「俺たちコリアンに誇れることなんてあるか」と卑屈な感情を持ち続けている。
日本人が知ろうとしてこなかった在日韓国人の苦しみや諦めを知ることができたのはとても良かった。
でも日本を糾弾する内容では決してない。

後半はソンジャたち一族がお金に困らない裕福な生活を送ることができたのが不幸中の幸い。

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2024年01月11日

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親子三世代に渡る在日コリアンの一大叙事詩。
"人が何者かであるかを決めるのは血だけではない"
理不尽な差別に人生を狂わされながらも、逞しく生き抜いた人間の言葉に心打たれる。
ソンジャにあなたの人生は幸せだったと言ってあげたい。

Black Lives Matterなんてよその国の話と思っていたけど、日本も他人事ではない。
しかし、それをことさら批判的に描くのではない。
血が違えど信頼し合える人と支え合って生きていくのだ。
ソンジャがまるで国と歴史をひとりで背負っているかのような壮大なドラマだった。

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2023年12月09日

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この小説は誰かを糾弾するような物語ではない。過去はかえられないけど、学んで受け止めることはできる。そうしたいと思えるような物語でした。

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2023年10月30日

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在日、コリアン、ってその単語自体がなんとなく蔑称のように思ってた。当時日本が、日本人が、その人たちにしたこと、その事実を変えることは出来ないけど、その事実をしっかり受け止めて考えることは出来る。そうすることが、今の私たちの義務だと思う。
私の周りにも、半島出身の人たちになんとなくの嫌悪感を抱いている人たちがいるけど、そういう人にこそ読んで欲しい作品。
隣の人に優しくする、シンプルだけど意外と難しいのかもしれない、そのことだけはきちんと忘れないようにしようと思った。

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2023年08月08日

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ネタバレ

ノア衝撃。
現代では少なくなってきたと思うが、ちょっと昔はかなり、出生に関係したいざこざが絶えなかったんだな。悲しい
ノアの決断が哀しい。
しょうがないよなとも思える。
主人公が変わりすぎてちょっと味気なくもあるが、面白かった。だからパチンコかー。

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2025年11月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

祖国にとどまるのも、出ていくのも。
祖国に戻るのも、戻れないのも。
生まれる国は選べないのに、どちらも、貧しく困難な道のりとなる。
それでも彼らは、誠実に生き抜いていく。

ソンジャの母ヤンジンも辛抱の人だ。でも、最後に抱えていた内面を吐露してしまう。そんな親娘の感情のぶつけ合いが印象に残った。

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

夫ではない男の子どもを宿し、ソンジャは日本に渡ってきた…4世代に渡る在日コリアン一家の過酷な物語。 

大好きな韓国と日本との関係を考えさせられるという意味ではモヤモヤ感がありますが…

とても読みやすく…壮大で救いの物語面白いかったです。

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2025年10月17日

Posted by ブクログ

「在日韓国人」というテーマや「人生をパチンコになぞらえた解釈」などはおもしろく読めたが、それよりも韓国ドラマのお約束感が非常に目立つ。例えば、正反対の性格を持つ異父兄弟(もちろん成績はトップクラス)、飛ぶように過ぎてゆく年数、重要人物たちの突然の死、不動産業界での土地をめぐる問題、そして裏切り…。上巻はともかく、下巻では韓国ドラマでよく見かける内容がぎっしり詰まっていた。

ハンスがソンジャを庇護し、生涯その存在を求め続けていたのは、おそらくソンジャが唯一手に入らない存在だったからだと推測する。常にビシッと決まった身なりで紳士的なハンスが、若く綺麗でわがままな日本人女性をボコボコに殴ったことがあった。彼女はその後、鼻が元に戻らず勤め先のクラブから風俗店に流され、悲惨な終末を迎えた。わずか数行だったが、このシーンが一番強烈で印象に残った。

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2025年07月29日

Posted by ブクログ

在日家族のヒストリー。私は想像もできてなかったんだと反省。登場する韓国人に対しても日本人に対しても感じる作者の愛。

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2025年04月29日

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ネタバレ

子の世代ではなんとかこの窮状から抜け出してほしいという親世代の強い願いが何度も書かれていて、子にとっては重責だろうなと思った。そして願いを叶えるのは簡単なことではないのだと、物語の中で示されることになる。どれだけ真面目で優秀であっても、在日コリアンというだけで日本では差別され職がなく、さまざまな場面で理不尽な目に遭ってきたということを、リアルな視点で読むことができた。知らなければ想像もできないことだ。
人種や生まれに関係なく良い人もいれば悪い人もいて、どの国にも色んな面があることが丁寧に描かれていた。一方的に善悪を決めつける書き方はされておらず、登場人物たちがそれぞれの立場でものを考えている。現実の多種な問題に対する読者の意識を刺激し、考えさせられる内容になっていた。

ノアは正当に認められなければと思うあまり、自らも差別をしてしまう状況になっているのが悲しかった。たとえばモーザスの職業についても、ノアは良く思っていないようだった。人並みの日本人になりたがったノアの苦悩は計り知れない。なにか別のものになる必要はなく、自分が自分のまま生きられる国にならなければいけないと思う。
人生はパチンコのようだとはいえ、あまりみんなが運命に振り回されてほしくないと願ってしまった。そんな読書体験だった。

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2024年11月28日

Posted by ブクログ

下巻は1955年から1989年までの話。
二人の男の子を抱え、お菓子を作って屋台で売る生活。相変わらず忙しくて生活に追われているソンジャ。
夫の兄ヨセプは長崎で被爆して寝たきり。
でも子供たちも大きくなり、長男は学問、次男は商売の道に進み始め、明るい兆しが見え始めてきたが、その間もずっと長男の父親ハンスの援助が見えないところで行われていた。
やがて長男はその父親の存在を知ることとなり、ソンジャはまた奈落に突き落とされるごとく絶望の淵に立たされる。
次男はパチンコ業界で、誠実にコツコツと努力を重ね順調に業績を伸ばしていくが、在日=パチンコという図式は日本人には色眼鏡で見られてしまう。
どんなに謙虚で、実直でまじめにやっていてもそれは払しょくされない。
アメリカの大学を出て教養を身に着けた我が息子には継がせたくない。
でも結局息子はアメリカより日本で生きることを選択し、仕事を手伝うことに。
何年日本で暮らしても、日本で生まれ育っても在日コリアンという出自は彼らを苦しめる。
パチンコとはその生業からきているタイトルだが、はじかれた球はどこに飛ぶかわからない、自分の意志ではどうにもならない。という意味合いでもあるようだ。
この物語は何かを求めて朝鮮半島からやってきた、ある一族の話だ。

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2024年11月16日

Posted by ブクログ

三世代に渡る在日コリアン一家の話で、物語が終わる年に生まれたのは縁を感じます。実際的に知りたかった両親や祖父母のこと、全然違う経緯ではあるけど同じく過ぎた時間について学べました。ノアの終わり方に驚きすぎて、え、え、え、え、と声に出して動揺したけど追いつかなかった。そしてそれからのことも。ただとても楽しく読めました。

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2024年09月22日

Posted by ブクログ

「1910年日本が大韓帝国を併合した。」
貧しい漁師夫婦に生まれた一人息子。年頃になり嫁に迎えた働き者のヤンジン。その一人娘ソンジャが主人公。

ソンジャが未婚の母になりかけた時に、結婚し救いだした牧師の夫イサク。二人はイサクの兄ヨセプを頼り大阪に渡る。

ソンジャの息子、ノアとモーザス。ヨセプの妻キョンヒ。そしてノアの実父コ・ハンス。
ソンジャと彼ら、4世代にわたる在日コリアンの家族の物語。

懸命に働きに働いても楽にならない生活。差別と偏見。子供たちが生まれて幸せになったかと思うと、イサクの逮捕やヨセプの悲劇など、次々にどん底に落とされる。ソンジャの人生に入り込む形で喜んだり悲しんだりしつつ一気読み。

NHKの朝ドラ・アメリカのテレビドラマ、同様に途中で止めることはできない。アップルTV連続ドラマになるのも納得。
下巻になる頃にようやく、タイトル『パチンコ』を理解した。

著者の謝辞に記載された多くの方のお名前。構想から30年の歳月をかけた著者の熱い想いを感じた。

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2024年09月16日

Posted by ブクログ

在日の友達がいる。在日3世の彼女は頭がよくてものすごく優しく、しかも美人、その上とっても面白い。今から30年くらい前、出会って数か月経った頃に、日本国籍ではないと知らされて、びっくりし、しかも反応に迷ったことを覚えている。「日本人じゃないんだ」「日本人だと思った」というのは失礼だし、「そうなんだ」だけだと冷たいかな…等々一瞬のうちに色々頭をよぎり、結局、「韓国語も話せるの?」と聞いた。当時は韓国についての情報もほとんどなく、私自身も無知だったけれど、在日の人を偏見の目で見て差別する人もいるということは知っていたので、ただ、私自身はそうではないということだけ伝えられたら良いなと思った。
彼女の実家もパチンコ屋を経営していた。パチンコ屋を経営することに対して私自身は何も思うことはない(騒々しい場所で働く人は大変だなとは思う)ので、職業差別の対象にもなっていたことに、「世間」とは本当に面倒くさいなと思ってしまった。大勢が遊びに行く場所を経営している人を差別するって、本末転倒というか…変なの。
とにかく、読んでいる間、友達のことや友達の家族のことが思い浮かんだ。彼女の家族もこんな苦労を経てきたのかなと思うと、なんだかやるせないし、友達が理不尽に傷つけられるのは、許せない。
私はなるべくフラットな目で、背景などではなく、その人自身を見て接することを心がけたい。

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2024年09月05日

Posted by ブクログ

家族の物語。登場人物がみんな魅力的で、もっと読んでいたいと思った。山崎豊子ばりの読み応えでとにかく面白かった。(山崎豊子さんが好きなので)

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2024年04月13日

Posted by ブクログ

アメリカの作者が、よくここまで調べて執筆したものだ、と驚き。訳も素晴らしい。もともと日本語で日本の作者が書いたと言われても違和感はない。
ストーリー自体も面白いが、史実としても知っておくべき(作品自体は創作)。
アメリカのKorea系が、生活や食、価値観を維持せず、言葉を維持している一方、日本のKorea系の維持するものが逆であることに関心を持った。どちらが幸せなのか。日本人による酷い差別、アジアの特性なども関係するのだろう。

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2024年02月17日

Posted by ブクログ

上巻より下巻の方がページをめくる手が早かった。
それだけ話の展開が早かったのだが、原爆被害の苦しみ、出自の苦しみ、そして大切な家族の死など胸が痛むシーンも多かった。パチンコ業界は、朝鮮系が多いと聞いていたが、こういう歴史があって成り立っているんだと改めて知った。でもタイトルは、そういう意味でのパチンコではなく、人生に例えておりとても納得感があった。それにしてもノアの人生は辛すぎた。

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2023年10月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

苦労しながらも、自分の生き方に誇りを持っていて、背筋がのびていた人物の描き方が、平坦になり、特にハンスは、賢くて、自分なりに愛を貫いていたのに、完全にヤクザになっていてとても残念。

波のような歴史の中で、二、三、四代目となってもなっても、在日であるが故の苦悩と葛藤が、とてもしんどかった。 アメリカで暮らした筆者が、在日と呼ばれる多くの人に思いを馳せ、この本が、アメリカて注目を浴びたということを知った時、同じように移民として苦労してきた多くの祖先たちのいる彼らにとつて、心を通わす小説だということに思いが至った。

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2024年03月05日

Posted by ブクログ

さまざまな事情が絡まり合い、期待しているようには全く進まない人生の数々。貧困、日本人による朝鮮人差別、アメリカ人によるアジア人差別、歯がゆい思いをしながら物語に引き込まれた。上巻の途中からページをめくる手が止まらなくなったが、下巻の途中からの話の展開の速さとあまりにも多い死に残念な気持ちはあった。

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2023年08月16日

Posted by ブクログ

親子3世代(4世代?)を描くとなると、
間伸びするのはしょうがないとは思うんですが、
やっぱり上巻がピークで、下巻は少し間伸びしてしまった印象でした。

内容は誠実かつ公平に描かれていて、
在日コリアンの貧困や差別、裏社会との繋がりや
2世3世の苦労など、興味深く読ませていただきました。

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2023年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

《あらすじ》
第二部 母国 1939〜1962(承前)
勤勉なノアとは対照的に喧嘩っぱやく学校が嫌いなモーザスは、靴下屋での警察沙汰をきっかけに後藤のパチンコ屋で働き出し、順調に出世していく。後藤懇意の仕立て屋はモーザスの学生時代唯一の友人春樹の実家であり、2人は後にモーザス退学以来の再会を果たす。また、モーザスは仕立て屋の従業員裕美と恋仲になり結婚する。
ノアは浪人の末無事念願の早稲田大学に合格し、ハンスの金銭的援助の元大学生活を送る。そこで晶子という聡明で蓮っ葉な美人の恋人を得るが、ある日晶子がノアの了承を得ずハンスとの会合に顔を出したことがきっかけで喧嘩が勃発。ノアは彼女のうちに秘めた差別意識に気づき、別れを告げる。また、晶子から「ハンスに似てる」と言われたことで出生の秘密を知ったノアは、絶望から大学を退学して家族との縁を切る。
そしてチャンホは帰国事業の波にのって北朝鮮へ渡り、音信不通となる。

第三部 パチンコ 1962〜1989
大学退学後、ノアは在日であることを隠して長野のパチンコ屋にて経理の職を得、そこで知り合った理佐と結婚。4人の子供を授かるも、ソンジャがハンスに連れられて会いに来た翌日に自ら命を断つ。
春樹は仕立て屋の主任あやめと結婚するが、2人の間に子どもはできなかった。春樹の母の逝去をきっかけに、2人は障害を持つ春樹の弟大介を連れて横浜へと引っ越す。ある日、あやめは散歩の途中で同性愛者の性行為を目撃したことにより、自身の性的欲求を自覚する。そして発展場へ再び赴くことになるのだが、その際春樹が男性と性行為をしているところを目撃する。
モーザスと裕美の間には、2回の流産の末1人息子のソロモンが誕生。しかしソロモンが3歳になった年、交通事故によって裕美は命を落とす。数年後、モーザスは悦子と交際を開始。悦子は自身の不倫によって過去に家庭を崩壊させており、子どもたちとは今も関係が良好とは言えない。唯一口を聞いてくれる娘は10代にして悦子と同じように妊娠し、中絶する。花は母とモーザスの縁で出会ったソロモンに関心を抱き、やがて2人は関係を持つようになるが、しばらくして花は家を飛び出し行方をくらます。
数年後、モーザスと悦子は再婚。その頃花はホステスやソープで日銭を稼ぐ生活を送っており、後にエイズで若くして命を落とす。
ソロモンはアメリカの一流大学から投資銀行就職と出世街道を歩み出し、ガールフレンドのフィービーと共に日本へ戻る。
しかし、投資プロジェクト失敗の責任を負わされて会社をクビになり、フィービーとも別れる。ソロモンは花が死の床で放った「パチンコ屋になれば?」という言葉に導かれるようにして、父のあとを継ぎパチンコ屋になることを決意する。

《感想》
読み出してすぐ、「あ、これは苦手かもしれない」と悪い予感がした。主人公のソンジャはじめ、彼女の一族がまぁことごとく人間ができているかのように描かれているのだ。実際の言動を見れば「ん?」と思う箇所も散見されるのだが(もちろんその時代の朝鮮における倫理的価値観を現代に生きる私が受け入れ難く感じるのは当然のことではあるが)しかし、とにかく作者がこの一族をやけに持ちあげることには、やはりどうしても鼻白らんでしまった。

例えば
「フニは口唇裂と内反足を持って生まれたが、たくましい肩とがっちりした体つき、黄金色の肌に恵まれていた。優しく思慮深い性質は、おとなになっても変わらなかった」p9
「国中のあらゆる家族がこれほど分別のある父母に恵まれたわけではなく」p11
「嫁に与える食事や衣類を惜しんだりなど決してしない義父母だった。無事に育つ跡取りを産めない嫁に、暴力を振るったり非難を向けたりしたことも一度もなかった」p17
「ヨセプはおおらかで心の広い人物だ」p93

といった具合に、ちょっとパラパラページを捲っただけで、こうした褒め言葉にかなりの数遭遇する。もうおなかいっぱいですよ。。

あと、おそらく作者は在日を題材に「抑圧や差別の歴史に翻弄された人々」を描きたかったのではないかと思うが、メインキャラたちの不幸話が「不倫からの妊娠」「事故死」、「自殺」などかなり個人的なもので、歴史の渦に巻き込まれたダイナミックさにいまいち欠けるところがある点にも「うーん…」となった。
ヨセプの被曝や帰国事業の話などをもっと掘り下げてほしかったが、この2つはことの他あっさり流されてしまい、消化不良感が否めない。

それから、日本人女性が皆やけに性に奔放というか、性的倒錯を抱えている点には気持ちの悪さを感じた。しかもこれが揃いも揃って美女揃いで、ソンジャ一族の男たちをホイホイセックスに誘うのだが、この辺りはなんというかすごく村上春樹みを感じる。ノアは早稲田で英文学専攻してジャズ喫茶行ってるし。いや、もう春樹やん。
というか、モーザスの親友の「春樹」とあやめの話、なんやったん…??
あ、そして、ノアは結婚したのに在日って隠し通せているのはどういうこと…??あと父を自殺で亡くした妻と子ども4人を残して自殺するなよ。


と、不平不満をタラタラ書きましたが、とはいえこの四世代に渡る壮大な物語をサクサク読み進めていかせるリーダビリティの高さには目をみはるものがあり、飽きずに楽しむことができました。

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2025年08月23日

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