あらすじ
燃料が底をつきた航空機のコクピット。ただ一人残されたカルト教団の生き残り。全てが最悪の方向へ転んだ僕の物語を聞いてくれ。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
人に勧められて
5年ぶりに読書をしたせいもあるとは思うけど、文が読みにくく、とっつきづらい印象
ただ中盤以降の面白さが半端なくて一気に読めた
とても20年前の作品とは思えない
まさに未来予知
Posted by ブクログ
運命を悟った人物が、初めて自由意志を持ってそれに抗おうとする姿はやはりかっこいい。
テンダーブラウソンはカルト宗教のドグマにより生まれの時点で悲劇的な人生を辿ることが確定していて可哀想すぎる。彼もそれを自覚していて宗教から離れていてもゴミ溜めのような生活を送っている。しかし、宗教から離れている時点で抗う才能があり、終盤の行動においても主人公に値する人物だと思った。
ファーティリティ(豊穣の意を持つ)の未来予知がテンダーにとって人生の豊穣さに全く寄与せずむしろ逆効果になるのは、未来予知が人間が本来できないはずの能力で、できるという奴は金儲け目的で人を不幸にするだけだと皮肉を効かせているようで面白かった。
Posted by ブクログ
とにかく内容が濃い上状況が目まぐるしく移り変わり、飽きる暇がない。
あることないこと言うメディア、金のために「僕」にたかるケースワーカー、とにかく人の醜さが見れる1冊だった。
Posted by ブクログ
2023.06.19
ちょっと難解。適当に読み進めることはできない。
この本の凄いのは、書かれたのが20世紀であるということ。9.11よりも前であるということ。
最近書かれた本と言われても違和感ないくらい未来を見通しているのは凄いと思う。
Posted by ブクログ
カルト宗教の最後の生き残りが自身の半生を独白します。
わずか三分半の差で長男になり損ねたことで、彼は教義により、子を成せず教会の奴隷として労働に一生を捧げ、何者にもなれない、と決めつけられていたはずでした。
しかし、彼は教会の生き残りになってしまう。
ケースワーカーとエージェントを得てしまう。
予言者・ファーティリティと出会ってしまう。
それは運命か否か。読後に考えさせられます。
生い立ちは彼自身の選択ではありません。でも、その後の人生は?選択の余地もこれまでの人生からの転換も、十分にあり得たと思います。
結果として、彼は他者に人生を委ねようとしました。それこそが選択であるにも関わらず。
教会の洗脳に従い、ケースワーカーによるDSMに基づいた診断を求め、エージェントのプロデュースに任せ、最後には予言の実行者に名乗りあげていました。
彼は、死に方だけは自分で選ぼうとしていたのだと思います。何度も自殺を思い止まった。兄に殺されるのを恐れた。
ハイジャック犯として独りフライトレコーダーに語りかけることが、運命だったのか自由意志によるものだったか、そして遂げられたのかどうか。読み終えても判然としません。
この手放しに委ねられる不安感と問い。彼の独白を読まされてきた最後に突きつけられ、物語を普遍的なものにしています。
ここまで過激な人生でなくとも、日々暮らす中でふと運命だとか宿命だとか、始めからこうなることが決まっていたのかなと思ったり諦めたりする瞬間があります。
環境や条件によってパターンはあるにしろ、身の上に起こったことを自分の意志で選択した結果なんだと思えたとするならば、それは幸せなことかもしれません。
Posted by ブクログ
「ファイトクラブ」などの代表作の著者が書いたカルト宗教にまつわる小説。
ファイトクラブでわかるようにその作風はタブー無しの胸糞悪くなるような内容を含むが、不思議と人を引き付ける。
この本も同様。
小説はハイジャック犯の独白から始まる。
その犯人は自分たちで閉じたコミュニティを形成するカルト宗教で生まれ育ち、生き残った最後の一人だった。
その宗教ではひたすらの労働のみが美徳とされ、性をふくむあらゆる欲望や快楽は忌み嫌うべきとされていた。
そしてもう一つ、現世からの「脱出」が実行された場合、宗教に属する者はそれに続かなくてはならない。
その脱出を実行せず、生き残った主人公は稀有な宗教的存在として世間に祭り上げられていく。。
出てくる人は皆が皆モラル崩壊していた。
一番恐ろしいと思ったのは、カルト宗教以上にモラルを無くし欲望に支配された拝金主義の資本主義構造だと思った。
確かに極端な教義を持つカルトも非常に怖い。
しかし歯止めのない欲望への精神的な後ろ盾を求める資本主義の極致もそれ以上に恐ろしかった。
やはり人を人と思わなくなるように仕向けるのはカルト宗教にしろ、資本主義にしろ恐ろしいと思う。
Posted by ブクログ
ハイジャックした飛行機が墜落するまでの間、カルト教団で生まれその後社会生活を送った自身の半生をブラックボックスに語る。P443から始まりP1で終わる。比較する世界がなければ疑問も生じず幸せに生きられるけれど現実にはあり得ない。世界を知ることは生死にも強く影響するのに価値観をゼロから構築し直すのも無理。経験を手放すことはできないと思うとちょっと怖い。でも赤裸々に語り切るということは癒しなのかもと思った。もし彼が生き残ったとして、その後の物語は面白そうじゃないところが面白いな。
Posted by ブクログ
すごく難解だけど果てしない狂気を感じることができる作品だった。
やはり日本人にはキリスト教的価値観や1990年代後半のアメリカ社会がよくわからないので、読者側の知識もかなり求められるなと思った。
Posted by ブクログ
著者は、『ファイト・クラブ』で有名なチャック・パラニューク。『ファイト・クラブ』(1996年)の次(1999年)に発表された作品。長らく絶版となっていたが、『ファイト・クラブ』に続いてようやく新訳版が発売されたので、この機会に手に取ってみた。
「ハイジャック犯の男が、墜落間近の機内でブラックボックスレコーダーに向けて語る、"社会"に翻弄され続けた半生。」
カルト教団の一員として生を受けてから教団に貢ぐためだけに働き続け、教団の崩壊後はその生き残りとしてメディアの"商品"として持て囃される。自分の意思などなく、ただただ"社会"に流されるだけの人生。現代社会の"闇"を存分に皮肉った物語。
彼のこの人生は"運命"としてそのまま幕を閉じてしまうのか、それは「0ページ」だけが知っていること―――。
Posted by ブクログ
世間への風刺や自分を縛り付けていたものからの解放みたいなものをテーマにした話なのかな。自分みたいに物語としてラストに爽快感を求める人には少し面白さを理解するのは難しいのかもしれない。でも冒頭に主人公が自分を「さまよえるオランダ人」に例えたのがすごく気になる。ファーティリティが主人公を愛してあげられたら何か変わったんだろうか。
Posted by ブクログ
チャック・パラニューク『サバイバー』ハヤカワ文庫。
新装版となり、復刊。443ページから始まった物語は読み進むとカウントダウンするかのようにページが減っていくという変わった構成の小説。結末は最初に解っており、結末に至る理由が少しずつ明らかにされるという趣向なのだが、凡人には理解し難い内容だった。
主人公のテンダー・ブランソンはハイジャックした航空機にただ独り留まり、燃料が刻々と減り続ける中、ブラックボックスに自身の数奇な人生を語り始める。
カルト教団で過ごし、外の世界で奉仕活動をする最中、とある間違い電話から日常生活に狂いが生じた主人公のテンダー・ブランソン数奇な人生。やがて、教団が集団自殺を図るが、生き残ったテンダーはメディアから持て囃される。謎の女、ファーティリティ・ホリスとの出会いで破滅への道を突き進むテンダー。
本体価格1,200円
★★★