【感想・ネタバレ】サバイバー〔新版〕のレビュー

あらすじ

燃料が底をつきた航空機のコクピット。ただ一人残されたカルト教団の生き残り。全てが最悪の方向へ転んだ僕の物語を聞いてくれ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

カルト宗教の最後の生き残りが自身の半生を独白します。
わずか三分半の差で長男になり損ねたことで、彼は教義により、子を成せず教会の奴隷として労働に一生を捧げ、何者にもなれない、と決めつけられていたはずでした。
しかし、彼は教会の生き残りになってしまう。
ケースワーカーとエージェントを得てしまう。
予言者・ファーティリティと出会ってしまう。

それは運命か否か。読後に考えさせられます。

生い立ちは彼自身の選択ではありません。でも、その後の人生は?選択の余地もこれまでの人生からの転換も、十分にあり得たと思います。
結果として、彼は他者に人生を委ねようとしました。それこそが選択であるにも関わらず。
教会の洗脳に従い、ケースワーカーによるDSMに基づいた診断を求め、エージェントのプロデュースに任せ、最後には予言の実行者に名乗りあげていました。
彼は、死に方だけは自分で選ぼうとしていたのだと思います。何度も自殺を思い止まった。兄に殺されるのを恐れた。
ハイジャック犯として独りフライトレコーダーに語りかけることが、運命だったのか自由意志によるものだったか、そして遂げられたのかどうか。読み終えても判然としません。
この手放しに委ねられる不安感と問い。彼の独白を読まされてきた最後に突きつけられ、物語を普遍的なものにしています。

ここまで過激な人生でなくとも、日々暮らす中でふと運命だとか宿命だとか、始めからこうなることが決まっていたのかなと思ったり諦めたりする瞬間があります。
環境や条件によってパターンはあるにしろ、身の上に起こったことを自分の意志で選択した結果なんだと思えたとするならば、それは幸せなことかもしれません。

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2023年01月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ハイジャックした飛行機が墜落するまでの間、カルト教団で生まれその後社会生活を送った自身の半生をブラックボックスに語る。P443から始まりP1で終わる。比較する世界がなければ疑問も生じず幸せに生きられるけれど現実にはあり得ない。世界を知ることは生死にも強く影響するのに価値観をゼロから構築し直すのも無理。経験を手放すことはできないと思うとちょっと怖い。でも赤裸々に語り切るということは癒しなのかもと思った。もし彼が生き残ったとして、その後の物語は面白そうじゃないところが面白いな。

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2024年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

世間への風刺や自分を縛り付けていたものからの解放みたいなものをテーマにした話なのかな。自分みたいに物語としてラストに爽快感を求める人には少し面白さを理解するのは難しいのかもしれない。でも冒頭に主人公が自分を「さまよえるオランダ人」に例えたのがすごく気になる。ファーティリティが主人公を愛してあげられたら何か変わったんだろうか。

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2022年04月10日

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