立花隆のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なんの折だったか、ふと立花隆氏って最近見ないけど(例によってオレが見ないだけの話だけど)、どうしてるのかしらと思って調べてみたら、思いがけず武満徹氏の本を出していることを知った。
届いてみてびっくり、ゆうに780ページあり、しかも開いてみたら二段組、活字がページの隅までギッシリという大著であった。
まあ、氏の著作はいずれも大著が多いが、これまでいくつか読んだ限りでは、長くても面白く読み通せるのが常である。テーマというか背骨がビシっと決まっているのと、文体(ロジック)がきれいなせいではないかと思う。
そういうわけで、この本も大変面白く読んだ。
「文學界」という雑誌にかなり前に(武満氏の存命中から)連載されたものだそうだが、綿密な文献検索とインタビュー(武満氏やその周辺の肉声)がほぼ切れ目なく混交した、リズミカルな文章で氏の足跡を追っていく。
作曲家(音楽家)を志すきっかけとなった「蓄音機のシャンソン」のこと、街角でピアノの音が聞こえるたびに、その家に触らせてもらいに行ったこと、病気(結核)のこと、「デビュー作」酷評のこと、「ノヴェンバー・ステップス」の成立過程(と、前にも読んだ名手たちとのやりとり)、幅広い交友関係、音(だけでなくものごとの成り立ち)に対する鋭い感受性と洞察、そして何より「ノヴェンバー」後も含む、人生を通した音楽的な変転など・・・。これまで見聞きした内容がいかに点描に過ぎなかったと思わさる、その深掘りぶりには圧倒された。
しかし本の2/3辺りまで来たところで、突如として武満氏が亡くなってしまう。インタビューが柱の連載ゆえ・・・というか、著者自身これからあれも訊こう、これも訊こうと思っていた矢先のできごとで、相当な衝撃を受けたらしい。一読者としても、その巨大な思索が永遠に喪われてしまったことに改めて思いを致さずにはいられない。
そこから先は遺されたインタビューをテーマ毎に配置した記事になるわけだが、どうしても尻切れの印象は残ってしまった。
ともあれ雑誌の連載は最後(がどこなのかはともかく)まで続けられた。単行本化もゲラ刷りの状態までは進んだらしいが、その後18年も寝かされたままだったのだという。それほど、立花氏のショックが大きかったのである。
後書きに、出版がまた動き出した理由が書いてあった。
ショックから立ち直れないまま長年原稿を寝かせてしまったが、取材の過程で知り合ったパートナーの女性(箏楽家)が2015年に癌で亡くなるのに及び、立花氏に本の完成を望んだというのである。
そこから作業は一気呵成に進み、本は昨年上梓された。これでようやく武満氏と、(癌の戦友でもあった)その女性のもとに届けることができる・・・と結ばれる。
最後に、すっかり泣かされてしまった。 -
Posted by ブクログ
青春とは...?
著者の言葉を借りると「あらゆるの失敗の可能性を見すえつつ大胆に生きること」
それが青春であるかどうかなど考えるゆとりもなく、精一杯生きることに熱中してるうちに過ぎ去ってしまうのである。
遮二無二がんばって、ある日ふと過ぎ去った青春に気づくものなのかもしれない。
「恥なしの青春、失敗なしの青春など、青春の名に値しない。」
この言葉が特にジーンときた。
何者でもない自分という存在に苦悩し、生きる意味を必死で追い求め続けた若者達がどのような道を選んだのか。
精一杯生きようとする人にとって何らかの道しるべとなってくれる本だと思う。 -
Posted by ブクログ
"立花隆さんの本。
1つのアウトプットを出すためには100のインプットが必要という著者のインプットの数々が紹介されている本だ。
ぜひ読んでみたいと思った本を下記に列挙しておく。
・「真説バブル」日経ビジネス編 1400税
・「円の支配者」草思社 2000税
・田邊敬貴「痴呆の症候学」医学書房 4300税
・牧野信也訳「ハーディス」中公文庫全六巻 計9239税
・キッシンジャー「外交」上下 日本経済新聞社
・ジェーイムズ・A・ホート「世紀末宗教戦争マップ」時事通信社 1845税
・河合忠編「基準値と異常値の間」中外医学者 1300税
・マニヌ・モレリ「戦争プロパガンダ10の法則」草思社 1500税
・山田風太郎「戦中派焼け跡日記」小学館 2095税
・永野護「敗戦真相記」バジリコ株式会社 1000税
・ロバート・ローラー「アボリジニの世界ドリームタイムと始まりの日の声」青工社 5800税
・ジェイムズ・バムフォード「すべては傍受されている」角川 3333税
・ロバート・ケーガン「ネオコンの論理」光文社 1500税
・松岡環編「南京戦切り裂かれた受難の魂」社会評論社 3800税
・門田隆将「裁判官が日本を滅ぼす」新潮社 1500税
・フリーマン・ダイソン「ガイアの素顔」工作舎 2500税
・ブライアン・フェイガン「古代文明と気候大変動」河出書房新社 2400税
・牛尾政之「失敗百選」森北出版 3600税" -
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2013-2017のエッセイを順不同でまとめたもの。
近年の立花隆さんが思っている事が分かる。
日本の最大のセキュリティー問題は、安保法制やサイバー攻撃による情報漏洩でなく自然災害にある。
日本の政治状況は(与党も野党も)あまりにひどい。安倍首相の美辞麗句をならべた演説の裏側を見たらぞっとする。
経済成長の時期(機会の窓)は、日米欧露は終わった。中国も2025まで。これからはブラジル、イラン、インド。特にイランに注目。
日本は電子部品と各種素材が高品質で世界的に優位であり堅実な成長が見込める。かつて民主党が行った事業仕分けのような愚策で、日本の産業を支えている科学技術の予算を削ってはいけない。
最終章の「特別講義 未来を描く‐最先端技術と10年後の日本‐ノーベル賞興国論」は、悲観社会になっている日本に希望の光を見せてくれる。 -
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1930年代初めの共産党。
弾圧はますます強まり、スパイがますますはびこり、ついには組織の責任者がスパイだったり、最高指導部5人のうちの2人がスパイだったりという、まともな非合法組織だったらありえない状態になってしまう。
ここまでくると、悲惨というよりほとんど喜劇だ。スパイである幹部がスパイである別の幹部を立場上査問しなければならないなんて不条理な出来事も出てくる。
「これではまるで官製共産党ではないでしょうか」(p188)
と特高側の職員が語ったほど、戦前の日本共産は完全に警察の監視下に置かれていたわけである。命がけで活動していた労働者たちは、とんだ馬鹿を見たものだ。
最後の一撃、戦前の共産党運動の息の根をとめた事件の詳細は、次の第三巻。いよいよクライマックス。 -
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「甲乙丙丁」を読んでいて、あまり背景を知らなさすぎるので、本書を読んでみることにしました。
立花隆の本だから、おもしろいに決まっています。
おもしろい本を読みながら、日本共産党の歴史も学べるので、一石二鳥です。
「甲乙丙丁」では、いろんな人物の戦前の活動ぶりが語られますが、その当時の共産党への強烈な弾圧ぶりに、いまさらながら驚かされます。
しかし、本書、とくにこの第1巻の焦点は、そういった弾圧ぶりを描くことにあるのではなく、密輸した拳銃で武装し、潰されても潰されてもしぶとく再建を図る非合法共産党と、それに対して次々とスパイを送り込み、悪辣なまでに容赦のない殲滅を図る特高との闘いを描くことにあるようで、これが手に汗を握るおもしろさ。一気に読んでしまいました。
複雑怪奇な話でも、まるで波乱万丈の冒険小説を読んでいるみたいにスラスラ読めるのは、立花隆の論術がいつものようにクリアで分かりやすいおかげだと思います。 -
Posted by ブクログ
・これだけ多くの体験者の証言が一致しているのだから、たぶん、私が死ぬときも、それとよく似たプロセスをたどるのだろう。だとすると、死にゆくプロセスというのは、これまで考えていたより、はるかに楽なきもちで通過できるプロセスらしいことがわかってきたからである。現実体験説のいうようにその先に素晴らしい死後の世界があるというなら、もちろんそれはそれで結構な話しである。
・しかし、脳内現象説のいうように、その先がいっさい無になり、自己が完全に消滅してしまうというのも、それはそれでさっぱりしていいなと思っている。もっと若いときなら、自己の存在消滅という考えをそう簡単には受け入れられなかったかもしれないが。いずれにしても受け入れなければならないものを受け入れまいとジタバタするのは、幼児性のあらわれであり、あまりみっともいいことではないから、しないですませたいと思うのである。
・どちらが正しいかは、そのときのお楽しみとしてとっておき、それまでは、むしろ、いかにしてよりよく生きるかにエネルギーを使った方が利口だと思うようになったのである。
・生きている間に、死について、いくら思い悩んでもどうにもならないのに、いつまでもあれこれ思い悩み続けるのは愚かなころである。生きている間は生きることについて思い悩むべきである。 -
Posted by ブクログ
今の日本がいかに学問の自由や言論の自由が保障されているのかを、過去を振り返ることで思い出させてくれる本。今の学問の自由は、本当にかけがえのないものなのだと思った。江戸末期から、明治、大正時代を経て、帝国大学がどのように整備されていったのかが良く分かった。それにしても、国と帝国大学がここまで密接に関係しあいながら出来上がってきたのか、と改めて驚いた。特に面白かったのは、日露戦争開戦を訴えた法学部教授の抗議行動のところ。こんな時代もあったのだなあと思った。人事権も教授会にはなく、文部省、ひいては天皇にあった。現代の日本の状況を見ると、まさに、明治、大正時代の大学に逆行しているのだというのが、この本を読むとよく分かる。天皇との関係については、この本の半分もしめていない。これからもっと出てくるのだろうと思う。扱われている資料が幅広くて、すごい。旧字体は読みにくかったが。