様々な年代・職業の方々50人からお題をいただき、穂村さんが短歌で、堀本さんが俳句で、それに答えてゆく。
それぞれの短歌と俳句にはエッセイも添えられているという楽しい企画。
なんだけど、実はあまり面白くなかった。
どうしてなのかは自分でもよく分からない。
堀本さんの文章の中に「この2015年の…」とある。
そうか、この作品たちは大体十年前のものなのだね。
このところ益々熱を帯びてきている短歌界隈、流行り廃りの流れもあるだろうし、十年前の作品たちを、どこか古く感じてしまったのだろうか。
出されたお題に対しての歌や句に、あまりぶっ飛んだものがなくて正直少し退屈に感じてしまったのもある。
勿論、いいなと思うものはあった。
●穂村弘さん
どろどろのバナナの皮を抱きしめて猿が謀反の夢をみている
青空にエンドロールが流れだす蝉が鳴いてるだけだった夏
やわらかいひかりに頬を照らされて ポカリスエットだけの自販機
火星移民選抜適正検査プログラム「杜子春」及び「犍陀多」
●堀本裕樹さん
炎天の校区飛び出す謀反かな
夕焼に塗り込められてゆくこころ
切り口の楕円うつくし胡瓜漬
ところが私が一番好きだと思ったものは今作のために作られた作品ではなく、エッセイ部分に紹介されていたものだった。
ジャムパンにストロー刺して吸い合った七月は熱い涙のような 穂村弘
これこれ!
こういう短歌好きだ!
この鋭角にぶっ飛んだ感じにキュンとしてしまう。
そして何故か切なさも感じる。
ムチャクチャやった夏も、もう戻ってこないな…みたいな。
そして俳句は堀本さんのものではなく、堀本さんのエッセイで紹介されていた高浜虚子。
先生が瓜盗人でおはせしか 高浜虚子
あの先生が瓜を盗んでいたなんてという驚きと悲しみ。
「おはせしか」という敬語が余計に切なさを呼びながらも、どうしても漂ってくるおかしみ。
お二人のあとがき対談もついていたけれど、それよりも良かったのは壇蜜さんによる解説。
壇蜜さんの文章、結構好き。
面白かった。