穂村弘のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本の情報誌、『ダ・ヴィンチ』の読者投稿企画の連載「短歌ください」を文庫化した一冊。読者から寄せられた短歌の中から、歌人の穂村弘さんが選出し、講評が添えられています。
読者からの投稿とはいえ、どれも日常を鮮やかに切りとった傑作ぞろい。思いもよらない視点、考えたことのない世界を見せてくれます。
穂村さんの講評がまた良くて、短いながらも歌の本質に触れるような優しい誉め方が印象的です。こんな講評を頂けるなら、短歌を投稿してみたい! という気持ちになりそう。
読み進めるにつれ、「常連さん」の名前を憶えてきて、推し歌人みたいなのが出来てくるのも楽しいです。
私は現代歌人に詳しくないのでわからなかったのですが、解説の俵万智さんによると「投稿者のなかには、その後、歌集を出版したり、歌壇で活躍している人の名前が散見する」らしく、そういった意味でも楽しい一冊なのではないかと思います。 -
Posted by ブクログ
『例えば、「君から電話がこなくてさみしい」という言葉は、次の瞬間に電話がきたら「君から電話がきてうれしい」に簡単にひっくり返ってしまいます。現実の出来事的には勿論それでいいんだけど、歌としてはちょっと困る。
(中略)
「さみしい」や「うれしい」や「こわい」や「むなしい」や「おもしろい」を、五七五七七という定型のなかで宝石のように結晶化させたい。
そうすれば時が流れて現実の状況がどうても、恋が消えても、つくったひとが死んでしまっても、歌の煌めきだけるからです。』
という筆者が選んだ、様々な年代の読者が送った単価を集めた本です。
短歌は教科書で触れて以来でしたが、ほんとうに面白かったです。
⚪︎選ばれた短歌に対する筆者の捉え方やこんな良さ
がある という〝見方〟挟んでくれる
⚪︎定型もありつつ自由型も多く、初心者が入りやすい
⚪︎作者が様々だからどのページを開いても新鮮に面白
い
Twitterとも紙一重の一瞬の感性が、定型や短歌を作るという意識の縛りによって作品になっている感じがしました。
余白があるから何度も読んで、じわじわとたのしかったです。私も短歌をしてみようと思いました! -
Posted by ブクログ
ネタバレちょっとした違和感とかぞわってすることを、コミカルな文章で書いてあって、その中には、わたししか怖いって思ったことないと思ってた!ってものもあって、ちょっと安心すると共に、逆に、こんなことこわいんだなぁ、と、人の感性の唯一無二さと無限さを感じる面白い本です。
そして、装丁がスゴイヨ!
装丁(鳥肌に見立ててぶつぶつになってる!のと、マットな肌触り)とタイトルと中身と、フォントどこをとっても面白い本でした。
_φ(・_・
■自分フラグ
自分が何をしでかすかわからないという恐怖、これ本当に自分だけ頭の回線おかしいのかもと思っていたけど、他にもいて(少なくとも穂村さんがそうで)ちょっと安心、、、よかった、、、
よく思うのは、舞台やライブ観劇中に、私が今ここで舞台に上がったらどうなるだろう、という意味わからんことをよく考える。自分でも謎。いつかやっちゃうのかな。
■他人に声をかける
これこそみんな持ってるものなのでは。
電車で席を譲れないのは、譲ることに抵抗があるわけではなく、他人に声をかけることに抵抗がある、いいことだろうが悪いことだろうが他人という未知の扉を叩くことは本質的には恐ろしい。という一文は、分かる人にはわかるのではないだろうか。
幼少期のほうが、こういう、他人に対して素直にやってあげたいな、とおもうことをできていたのはどうしてだろうか。
世の中とか他人とか社会とかを知りすぎてしまったからなのか。
逆に、わたしは、時によってはむしろ声をかけないでくれオーラを放ちまくることもあるし、オーラとか目に見えない雰囲気というのは本当にあるんだろうな、と思う。
■原材料という不安
これもわかるよ〜!!最近、加工食品の原材料みては慄いて、棚に戻すっていうのを繰り返してる。人間の生命維持のために遠ざかるほど怖さが増す、のもわかる。
肉食というのも怖いし、それが弱肉強食というのであれば、娯楽的に(化粧とか皮とか)他の動植物を搾取しているのって、やっぱり、なんとなく、いい気持ちはしない。
こないだ、プラセンタが入っててとてもお肌にいいですよ〜プラセンタって豚(牛?)の胎盤なんです〜って言ってるお姉さんみた時は、ほんとにちょっと恐怖だった。
-
Posted by ブクログ
食べ物に関するエッセイです。
予め言っておくと、本書の穂村さんのへなちょこ度は弱め。
弱めと言っても捻れたシャイが斜に構えて食べ物関連を語っているので、かなり面白いです。(注:褒め言葉です。私は穂村さんのファンです。)
逆ソムリエなんて本当にサイテーです(注:私はファンです)
伊坂幸太郎の小説に逆ソクラテスなんてものもあるが、あの読後の爽快感とは真逆を行くサイテーぶりだ。
しかし中毒性のある文章、ピュアな心と類いまれなる表現力のギャップ、穂村さんのへなちょこ過ぎてキュートに思えるお人柄、忘れた頃にひょいと投げ込まれる強烈な短歌に、私はもっともっとと穂村弘を求めてしまう。
穂村さんの文章は、例え外出先のカフェや電車内で読んでいたとしても、思わず顔が笑ってしまう。
うっかり声出して笑ってしまうことすらある。
今回の書はなんとかそれを耐え、おぉ珍しく乗り越えたと思いきや、本上まなみさんの解説内にある穂村さんの短歌「ナタデココ対…」で吹いてしまった。
穂村弘、油断大敵である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズもので3作目だったとは…!
どこまでが事実でどこまでが空想なのか。でも、考えたことを記すのが日記だとすれば、全て本当。穂村ワールドに飲み込まれて、あっという間に読み終えてしまいました。もちろん、即本屋に駆け込んで1・2作目もゲット。
言葉の選び方、オチのつけ方、どれをとっても好みです。
みょんみょんのパンツなんて、そんなの思いつかないのに、言われたらみょんみょんとしか言えない。かわいい、みょんみょん。
以下、特に好きだったり気になったりしたもの。
元気さの単位、1ハイジ=10クララ
眼鏡の話。一回ごとに顔を撫でずにはいられない。見える!ある!
ロンロン!懐かしい…。ロンロンロ。ロンロン口。
ラクロス肩。その発想、他にも応用したい。
ランドセル効果。 -
Posted by ブクログ
「世界音痴」に続く、穂村弘さんの二作目のエッセイ。
元の単行本は2004年発売(かろうじて結婚前)ということで、お姫さまは来ないかもしれないと思い始めた穂村さんが、自力で何とかしようとした、「ボールペンで生まれ変わる」のエピソードに、さっそく爆笑。実際に零時零分零秒ちょうどに、それをしているところを想像すると・・もうダメだ(笑)
そもそも、何故それで新しい素晴らしい〈私〉に生まれ変わっている筈だと思ったのか、考えなくていいのに、考えれば考える程、余計に面白くなってくる。
前作は、穂村さんのカミングアウト的な、本人にその意図が無くても、自然と笑えるような内容が多かったが(それにしたって、背表紙の『衝撃的なダメッぷり』はひどい)、本書はそれだけではなく、穂村さん独自の視点からみた考察も興味深い。
例えば、八十年代が、『高度に洗練されたイメージと自意識の時代』であった事について、コカコーラのキャッチコピーを一つの例に取っていることに、なるほどと。
当時は全く気にもしなかったが、確かに「アイ・フィール・コーク」って意味不明だし、『意味の明確さとは無関係に支配力を持つところがイメージの怖さ』という、穂村さんの文章にも納得させられるものがあって、感じることにも信頼性のようなものがあるのですね。はたまた、センスの良し悪しを判断するのが困難な時代だったのか。
そんな中に現れた、「ドブネズミみたいに~」で始まる、あの曲の衝撃も共感でき、当時の音楽番組でのMCとの噛み合わない遣り取りは、ある意味、痛快で面白かったなあ。
また今回は、穂村さんの古書好きというか、本好きなエピソードが多く、改めて短歌だけの人ではないことを実感し、またその話のひとつひとつに、想いの深さを感じ取ることができて、他人事ながら、私まで嬉しくなり、読みたくなった本が増えました(特に往年の女性作家の漫画作品)。
それからやはり、素敵で面白いエピソードを拾い上げる、穂村さんの素晴らしさは今回も変わらず、特に、「恐怖的瞬間」の、漫画家、吉野朔実さんの完璧な三点セットや、ストライクが出てしまったらどうしようと心配する「ボウリング砂漠」に、『お砂糖はエネルギーのもとなのよ』とキツネっぽい母親が、子供たちに云っている商店街のポスターに、胸が締め付けられる「壊れた笑顔」は印象的でした。
また、更に印象的だったのが、ナンパをしたことがないことから生まれたような、告白的小品の「林檎」で、最初、くすくす笑いだったのが、次第に切なさを帯びてくる展開に、詩的で素朴な感動を覚えつつも、これを素で書いているのか、狙って書いているのか、分かりづらい感じが、また穂村さんのミステリアスな一面なのかもしれないと思いました。