穂村弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
正直に言います。冊数稼ぎのために手に取りました。実際、1時間もかからずに読むことができます。
だけど。笑った笑った。直前に読んだ本があまりにヘヴィーで(好きなんですけど)、ずどんと落ち込んでいた気持ちを一気に明るくしてくれました。
歌人の穂村さんの書くものは、歌だけじゃなくて何でも楽しい。日記形式の本作は、どこまでがホントなのだか、もしかしたら『現実入門 ほんとにみんなこんなことを?』のようにすべてがホラなのかも。しかし『絶叫委員会』のようにふきだしてしまうことも多数。いやはや楽しい。
この人が言うと、たとえ下ネタでも下品にならないのがすごい。金玉挟まれて「ぎゃん」という、この経験は女性たちは知らんだろうと胸を張りつつ、でも女性の知っていることで男性の知らんことのほうが多いはずと、きっちり女性をフォローする。だから女性に人気があるのかも。そう言われると思い出す、生理用品のCM。「2日目でも安心」というフレーズを聞いて、「2日目ってどうなるん!?」と本気でおののいていた男性がいました。すごいんですよ、2日目(笑)。
解説に代えた西加奈子の日記も傑作で、穂村さんと東さんの歌のやりとり『回転ドアは、順番に』にあまり乗れなかった私は、穂村さんと西さんの交換日記のほうが読みたいと思いました。
息抜きにと思って読んだら、息抜き以上に効果のある作品。これでまたヘヴィーなやつを読める。 -
Posted by ブクログ
ネタバレほむほむこと歌人の穂村弘さんの‘恐怖’をテーマにしたエッセイ。講談社エッセイ賞受賞。
子供の頃から怖がりの私にはドンピシャな本でした。
次々繰り出される恐怖エピソードにいちいち共感、というか共震(恐怖なだけに(* ̄∇ ̄*))しまくり。
ちょっと怖がりで心配性な人のあるあるエピソードから、ある意味病的で読んでいると『鳥肌が』立ちそうなものまで。
共通するのは自分や他人、それを含む‘世界’の訳の分からなさ。分かっているはずのモノが突然分からなくなる、そんな恐怖。
私が一番怖くて面白いと思ったのが穂村さんの友人の話。
‘私の友人がある日ひどく怒っていた。
「ビール券なんか送ってきたんだよ」
「ビール券...」
「どういうつもりなんだろう」
「......」
「ふざけてる」
「......」
「もうあいつとは付き合わないよ」
「......」
(中略)
穂村「ビール、好きじゃないんだね」
友人「え、ビールは飲むよ」’
ご友人の理由は「ビール券=通俗的なもの」で自分が通俗的な人間と見られたのが許せない、というもの。
一見コントのようだがやっぱりオソロシイ、と思う。
彼には(もしかしたら読んでる方にもかもしれないけど)常識なのだ。
ぞくり、や、ぞわり。
日常の底が抜けかかるような、そんな気分になるエッセイ。 -
Posted by ブクログ
この本、いつものエッセイよりも、少し踏み込んだ感じがする。
おなじみの日常の中の暗黙のルールに右往左往する話のレベルが
常識と思うラインを少し逸脱しそうな、きわの部分に焦点を合わせてる。
読みながらゾクッとするような、
普通と見えていつの間にか違う世界に踏み込んでいる恐怖。
「そっくりさん」の話はかなり怖かったー。
挿絵の、気持ちがさわさわするようなタッチ。
つるつるして冷たさのある紙質も、内容を補完するようで。
1本と見せかけて、細い糸がたばねられていた栞も
読んでる途中に気付いてドキッとした。
「私の人生を四文字で表すならびくびくだ」の記述に爆笑する。
タイトルとしては、連載時の「鳥肌と涙目」の方が好きかも。 -
Posted by ブクログ
豊かな想像力ゆえにいつもなにかに怯え、鳥肌を立てている。そんな穂村氏が日々見聞きするちょっと怖いお話の数々。
例えばビルの屋上で、そんな事は絶対にしないと理屈では分かっているけれど、気の迷いでふと飛び降りてしまうのではないか、そんな自分の不確実さが怖くて、だから屋上のフェンスは頑丈で高くないと嫌だ。そんな事を考えるのは私だけではなかったのだと安心した。
小心者同士だからか、穂村氏のエッセイには共感するところが多くて困るやら嬉しいやら。
でもこのエッセイで一番怖かったのは、時々唐突に差し挟まれる穂村氏自身の心霊体験だった。夜寝る前に少しずつ読んでいたので、深夜の心霊話は凄まじく恐ろしかった。
表紙がエンボス加工で鳥肌仕様になっているのも、不気味な挿絵も、隅から隅まで少しずつ怖い。そういえば、しおり代わりの紐(なんていうのあれ)が3本の糸で、これが何かの拍子に手の甲をスルッと撫でた時の「い、いま手に何が触った?」という気持ち悪い感触もなかなかの効果だった。 -
Posted by ブクログ
まず、二〇〇〇年代の短歌に触れられる機会となったことに感謝。
有名歌人が選者を務める、毎週新聞に載る歌壇の歌風とずいぶん違うことに驚いた。
それは、プロとアマチュアの違いということではないだろう。
それから、これまで読んだことがある穂村さんのおちゃらけた(失礼!)エッセイとは、ずいぶん文体が違って、それにもびっくり。
直接顔を合わせることもある歌人を相手とすることになり、配慮も必要なんだろうと思いつつ読んだ。
緻密な論じ方だなあ、と思う一方で、感覚的に納得できない話もあって、もう一言、説明があったら、と思うところも、特に前半にあって、不思議な感じがする。
例えば、割と分かる気がしたのは、「言葉を軽く握る」言葉遣いをせよ、というアドバイス。
一方で、わかりにくかったのが「言葉のモノ化」。
句またがりという手法が、戦後短歌の中で試みられてきた技法であるとのことであった。
これが「言葉のモノ化」と相まって、現代の歌人のリアリティの表現に影響しているという議論は、とても刺激的な議論だと思うが、「言葉のモノ化」のイメージが今一つわからなくて、じれったく思う。
もっと丁寧に読めば分かるのかもしれないけど。