穂村弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本、いつものエッセイよりも、少し踏み込んだ感じがする。
おなじみの日常の中の暗黙のルールに右往左往する話のレベルが
常識と思うラインを少し逸脱しそうな、きわの部分に焦点を合わせてる。
読みながらゾクッとするような、
普通と見えていつの間にか違う世界に踏み込んでいる恐怖。
「そっくりさん」の話はかなり怖かったー。
挿絵の、気持ちがさわさわするようなタッチ。
つるつるして冷たさのある紙質も、内容を補完するようで。
1本と見せかけて、細い糸がたばねられていた栞も
読んでる途中に気付いてドキッとした。
「私の人生を四文字で表すならびくびくだ」の記述に爆笑する。
タイトルとしては、連載時の「鳥肌と涙 -
Posted by ブクログ
豊かな想像力ゆえにいつもなにかに怯え、鳥肌を立てている。そんな穂村氏が日々見聞きするちょっと怖いお話の数々。
例えばビルの屋上で、そんな事は絶対にしないと理屈では分かっているけれど、気の迷いでふと飛び降りてしまうのではないか、そんな自分の不確実さが怖くて、だから屋上のフェンスは頑丈で高くないと嫌だ。そんな事を考えるのは私だけではなかったのだと安心した。
小心者同士だからか、穂村氏のエッセイには共感するところが多くて困るやら嬉しいやら。
でもこのエッセイで一番怖かったのは、時々唐突に差し挟まれる穂村氏自身の心霊体験だった。夜寝る前に少しずつ読んでいたので、深夜の心霊話は凄まじく恐ろしかった。
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Posted by ブクログ
まず、二〇〇〇年代の短歌に触れられる機会となったことに感謝。
有名歌人が選者を務める、毎週新聞に載る歌壇の歌風とずいぶん違うことに驚いた。
それは、プロとアマチュアの違いということではないだろう。
それから、これまで読んだことがある穂村さんのおちゃらけた(失礼!)エッセイとは、ずいぶん文体が違って、それにもびっくり。
直接顔を合わせることもある歌人を相手とすることになり、配慮も必要なんだろうと思いつつ読んだ。
緻密な論じ方だなあ、と思う一方で、感覚的に納得できない話もあって、もう一言、説明があったら、と思うところも、特に前半にあって、不思議な感じがする。
例えば、割と分かる気がしたのは、「