穂村弘のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ穂村弘さん、2017年7月〜2020年7月、3年間の読書日記。やはり面白かった!
「すごく面白い作品に出会うと、その本の世界からいったん顔を上げてきょろきょろする癖があるんだけど」には、私もです〜と心の中で呟きました。
あと、すごいな、とおもったのは"ぎっくり背中"という自身の状態から、シリアの小説の作家の書きたい内容をそのまま表現できない環境に共通点を見つけた「不可思議の理由」。
身(?)をもって説明されたのでなんだかものすごい説得力。こんなレビュー書けるのは穂村さんだけだと思う。
ミステリ、少女マンガ、句・歌集。
穂村さんの書評は、様々なジャンルから新しい気づきを -
Posted by ブクログ
ネタバレそうか、31年前の歌集なんだ!そんなに前の歌集なのにちっとも昔な感じがしない。
瑞々しくて可愛らしいことばで哀しみやおかしみを表現している。穂村さんってこんな歌を作る人だったんだ。
わたしの頭のなかでは松本大洋さんの絵になって情景が浮かんでいる。そんなイメージ。
好きな歌5首。
・体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ
・「キバ」「キバ」とふたり八重歯をむき出せば花降りかかる髪に背中に
・「自転車のサドルを高く上げるのが夏をむかえる準備のすべて」
・許せない自分に気づく手に受けたリキッドソープのうすみどりみて
・子供よりシンジケートをつくろうよ「壁に向かって手をあげ -
Posted by ブクログ
穂村弘さんのデビュー歌集。31年前に自費出版されたというこの歌集が、ヒグチユウコさんの装画、名久井直子さんの装丁で、新装版となって生まれ変わった。
お三方のサインが入ると聞きボリス雑貨店まで行って購入してきました!手に持ったときの幸福感がすんごい。
繊細な糸綴じで、こういうのコデックス装というんですね。好き……。
一首ごとに放たれるきらめきは目が眩むほどで、一瞬の永遠、永遠の一瞬が見事にとじこめられている。定型の色気。私とあなたで世界を睨みつけたり、終焉を二人やわらかな毛布にくるまれて眺める、そういう感じがほんとうに甘やかでいいんです。
〈ゼラチンの菓子をすくえばいま満ちる雨の匂いに包まれて -
Posted by ブクログ
私もレビューを拝見して読み始めました。
毎晩一人ずつの対談を読むのが楽しく、第2弾があると良いのに!と思ったほどです。それほど穂村さんのホストぶり(?)お話の引き出し具合が素晴らしかった。
16人の気になる人と歌人穂村弘さんが短歌談義を繰り広げています。
作家の北村薫さんを始め、マンガ家の里中満智子さん、翻訳家の金原瑞人さんなどなど。三浦しをんさんも短歌されるんだ、と驚きました。
気になった人は、圧倒的に歌人の鳥居さん!それと小説家の高原英理さん。
壮絶な生い立ちから短歌に出会い救われ歌人になった彼女の歌は、はっきりした輪郭があってカッコいい。歌集読みたいなと。
高原英理さんは澁澤龍彦さん -
Posted by ブクログ
日常の幸せ云々を謳った帯がついていたので癒されたくて読んだけど、なんだか悲しくなってしまうエピソードが多かった…
不器用さやちょっとしたぽんこつ具合に共感しつつにっこりできるかと思ったらなんだか少し落ち込んでしまったな。私自身のせいかしら。
穂村さんのことは相変わらず好きだ。
等身大の自分を見せられてかっこいい。ファンにナメられているのがなんか辛いが…
ずっとエッセイばかり読んできたけど、紹介されていた短歌があまりに素晴らしく、そっちにも興味が出てきた。
出版されるまでのエピソードも相まって魅力が増した。(自費出版して、新聞で褒められて、でも会社はずっとやめられず、とかリアルだけど夢がある -
Posted by ブクログ
タイトル通り、書評ではなく感想が綴られていて、すいすいと読んでいける。それでも穂村さんなので、ところどころで、お、と思う。
・松浦理恵子「最愛の子ども」について、「社会的にはほとんど価値を持たない小さな感情の襞が丁寧に描かれていて、少女たちの心をこの上なく大切に扱おうとする書き手の意識を感じる。」とあるが、これに続く一文に、はっとした。「我々の未来を変える価値観は現在の他愛なさの中にあると思う。」きっとそうなんだろう。それが何かは今見えないけれど。
・つげ義春について色々述べられている。
「この『旅年譜』には『秘境』という言葉が何度も出てくるのだが、旅情を求めるという次元を突き抜けて、もは -
Posted by ブクログ
極個人的な感覚だと思っていたものが、他の人によって鮮やかに言語化され、共有される驚きだったり、思いもよらない角度からのものの見方におお!となったり、かつて感じたことのある心の揺れがアルバムのように並んでいたり、31文字、季語がなくてOKな現代短歌の世界はとてもユニークで豊かでした。
このシリーズの他の本も、読んでみようと思います。
気になった短歌をいくつか
さかあがり靴を飛ばして落下するもう懐かしい地上ただいま
明日からも生きようとする者だけが集う夕べのスーパーマーケット
戦争はもうなかったよ 飴を噛む六歳にとって私はおとな
煮え切らぬきみに別れを告げている細胞たちの多数決として