遠田潤子のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
算数障害って
まだ読んでる途中ですが大西麗の人格がどのようにして出来上がってきたか千穂と転々と旅をしながら徐々にわかってきます。生まれつき算数障害があるなんて悲しすぎる。まだせめて親が気付いて学校に通わせてたら人生が全然違ったかもしれません。そう思うとやりきれないです。
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物語は、事の真相が全くわからないまま、半ば以上まで進む。主人公はひどく屈折した愚直な男性で、終始イライラさせられっぱなし。もう読み進めるのを止めようか?と思ったあたりで、急速に一つ一つが明らかになってゆく。その引っ張り加減が絶妙で、結局最後まで読まされてしまった。
正直、人に薦めたくなる作品ではないし、誰にも共感できない。だが、棘のように刺さる。妙に忘れ難い。
煩悶、懊悩する人々に、自身が重なるようになり、まるでロシア文学を読んでいるように感じた。
人間とは、文学でどこまで深く潜っていけるのか?作者の挑戦心のようなものを感じた。
心に余裕があるときに一読を。 -
Posted by ブクログ
遠田さんの作品は、「月桃夜」、「アンチェルの蝶」と読んできての、この作品ですが、何となく共通点というか、伝えたい事が見えてきた気がしました。
人生には、楽しいことだけではなく、辛いこと、苦しいこと、やるせないこと等も存在すること。そして、それに向き合わなければならない。遠田さんの作品は、とても辛いことの方が多いのだけど、その中でも数少ないが、強く在り続けるひかりのようなものが、生き続けていれば見えてくること。そこに、辛い現実を生きてきた甲斐があったなと、思えるような素晴らしさ。この作品では、あたらしい世界ということになるのでしょうが、家族の在り方について、色々考えさせられました。
家族とい -
ちょっとしんどい
主人公は、子供が産めないことで夫と義母にないがしろにされ続けるのですが、それも読んでいてきついのですが、夫のあまりにも自分勝手な感じ(潔癖症?不潔症っぽいところ)と、えらそうな義母、わたし的はちょっと読むのがしんどいです。絵もきれいで気になっていた作品だったのではありますが・・・。
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ネタバレ第一回未来屋小説大賞受賞作
圧倒的な筆力で人間の激情を描ききった
先が気になり、寝不足になりながら読み進めた。そういう意味では、帯の通り「圧倒的な筆力」なのだろう。
そして、読後感も悪くはない。ずっと続く重く暗い雰囲気と、旧い因習にとらわれた小さな田舎町の人々の陰湿さと、読んでいて重たくなる一方の気持ちだが、最後は少し救われる。
評価をそこまで高くしなかったのは、個人的には、
これを現代の話の設定としては入り込めなったことと、なぜ倫次が愛美をそこまで好きになり(年の差も含めて)、甥っ子を殺めてしまったことを隠すことまでしたのか、徐々に事実が明らかになればなるほど、納得や共感よりも、なぜ?と -
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初・遠田潤子さん。
ざっくり、生まれ育った悪環境から抜け出すのは容易ではないという重いお話。
森二一家は父親のギャンブル狂いで家庭崩壊。
兄の光一とノミ屋を生業としていた森二は、ある事件で将来の義兄となる圭一と出会う。
圭一は良家の育ちの大学院生で温厚な人物。
森二に人生をやり直す機会を与えてくれた。
共に応援してくれた妹の唯と結婚し娘にも恵まれた。
なのに、なぜ唯を殺したのか。
それはそれは複雑に絡まり合った不運のドミノ倒し。絡まってるから綺麗には倒れないのがポイント。
予想つくところと私には不発なところがあったので
強引に複雑にしているようにも感じましたが。
足を引っ張る。と言うの -
Posted by ブクログ
不妊治療を10年続けていても妊娠しない主人公。同居の義母からもひたすら嫌味を言われ、夫は味方になるどろこか一緒に彼女をなじり全てを束縛しようとする。
4回目の流産が判明した日、夫が交通事故を起こすが、同乗中の彼女に責任を負わせる。事故の被害者の若い男性はは他人と関わりを持ちたくなさそうで治療費を受け取ることさえも拒んだが、彼が算数障害であることに主人公が気づき、それがきっかけで算数を教えることになったのだが、夫に浮気の疑いをかけられ、彼と共に逃亡する。
一方で妻をある女に殺された男性は、その事件に関わりのある若い男性を偶然映り込んだテレビ中継で発見したが、その男は子供の頃に死んでいるはずだった -
Posted by ブクログ
夫と義母に苦しめられながらも十年間不妊治療を続けてきた妻。その苦しみがやがて「事件」を引き起こし、彼女はとあるきっかけで出会っていた青年と逃避行に出ることになる、という物語。
最初から最後までどろりどろりとした展開で、主人公も青年も夫も誰もかれもが一癖あり過ぎて、簡単に感情移入を許さない「翳」をまとっている。だから例えば酷い目に遭って逃げている主人公にだって「可哀想」とだけ思うことができない部分があって、どう考えたって未来のない行動をしていくのをただ眺めていくしかできない。その無力感を抱かせる人々の物語を、けれど作者のよどみない筆致で読まされてしまう。苦しいと、楽しいことなどないとわかってい