遠田潤子のレビュー一覧

  • 天上の火焔

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    はぁぁぁぁぁ…
    ふぁぁぁぁぁ…
    すごいぃぃぃ…
    心が揺さぶられる作品に出逢ってしまった


    日本六古窯の一つに数えられ、備前焼の町で知られる岡山県備前市伊部
    備前焼の窯元を舞台にした、父子三世代の家族の愛憎と葛藤を描いた物語──


    城は偉大な人間国宝の祖父・路傍に可愛がられて育つ
    だが、孤高の轆轤名人である父・天河からは氷のように冷たく無関心な態度をとられ、その間で悩み苦しみ続ける


    なぜ、そのような歪な親子関係になってしまったのか?

    親と子の関係は天命なのです
    たとえ、それがどのような関係であっても


    天河は城を愛していないわけではなかったのだ
    天河自身も苦しんでいたのだ

    その苦し

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    2025年12月08日
  • ミナミの春

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    ミナミの街の匂いがする小説。宮本輝の道頓堀川を彷彿させる。泥臭く貧しい日常の人々の人情がミナミにとても合ってる。いい作品だなぁ。

    0
    2025年12月07日
  • 天上の火焔

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    読後、すぐにドヴォルザーク第十番を検索。
    幸せに包まれる夢「焼き芋の夢」
    誰にでも、気づかないけれど
    そんな記憶があるのかもしれない。

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    2025年12月06日
  • 二周目の恋

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    ネタバレ

    かなりおもしろかった。個人的に好きだったのは最初のバーの男との話、お母さんに食べ物は残すなと言われて大食いを強制されてた女性の話、最後の海の同性愛の話でした。

    短編ものなので面白い話と面白くない話と私には共感できないな、と感じる話もありましたが、どれも楽しく読むことが出来ました。
    読みやすくわかりやすい読み物でとても良かったです。読み終わったあと、好きな人に会いたくなりました。

    0
    2025年11月30日
  • 天上の火焔

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    備前焼の窯元を舞台に、陶芸に身を捧げる三世代の親子を描いた長編。

    生後すぐに母親を亡くし、人間国宝の祖父に愛されながら育った主人公は、冷徹な父親との関係に幼い頃から悩み苦しむ。が、その父親もまた、長年苦悩を抱えていた。
    父親や恋人との関係や、陶芸への思いなど、主人公の青臭く屈折した感情が、陶芸の窯の熱とともにひしひしと胸に迫ってくる。

    作者の作品は、これでもかと悲惨な境遇に置かれ苦しむ主人公が多いが、今回はそれを乗り越えて成長していく喜びもあって、重いながらも胸を打たれる読み応えのある1冊だった。

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    2025年11月27日
  • 天上の火焔

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    ネタバレ

    弱さで傷つけられるのは強さで傷つけられるよりずっと辛い。だからこれ以上弱さで人を傷つけないで。弱さという武器を振りかざす人間にはならないで。でも弱さを失わないで。それは城の強さだから

    大切なことは小さい声で信頼できる人へ

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    2025年11月14日
  • 天上の火焔

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     感想になってない気がしますが、
    読み終わった直後の今書きたくなりました。
    私事ですが、一昨年ALSで義兄を亡くしました。
    病名が判明してあっという間に病状が進み、わずか4ヶ月でした。
    大河さん最後まで頑張りました。
    そのこととも相まって、涙なしでは読めませんでした。
    家族間の愛情って本当に難しいですね。
    一気読みしてしまったくらい面白かったです。
    香月さんが撮った写真が見えるようでした。
    読み終わった後、城さんの心情を思うと、自分も夕焼けを見てるように心が温まった気がしています。

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    2025年11月06日
  • 天上の火焔

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    備前焼の人間国宝である深田路傍の孫に生まれた深田城。城の父深田天河。
    城の母の七瀬は阪神淡路大震災に遭い城を出産後すぐに亡くなっています。

    城の住む伊部の町に小学6年生のとき、東京から浜本香月が転校してきます。
    城と香月は陸上とゲームを通して親しくなり同じ中学、高校へと進みます。

    城は祖父に大変可愛がられて育ち、「お祖父ちゃんみたいになりたい」と言って粘土をこねます。
    しかし祖父はくも膜下出血で城が中学の時に亡くなります。

    父の大河は城が幼いころから全く城に構ってくれませんが城に大学に行くお金は出してくれます。

    一方とあることをきっかけに香月は城の前から姿を消します。

    そして城はなぜ

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    2025年11月01日
  • 天上の火焔

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    人間国宝である祖父の路傍と、轆轤の名手である父の天河。備前焼の窯元に生まれた城は、歪な家庭環境に悩んでいた。優しい祖父に対し、父は冷淡で会話すら交わすこともほとんどない。父の才能に憧れながらも父を恐れ忌み嫌う城は、自らの進む道も分からなくなっていく。つらい読み心地だけれど目が離せず、だけど最後には心に熱いものがこみ上げる物語です。
    城の家庭環境は決して悪いものとは言えないのだけれど、父との断絶が彼の人生に及ぼす影響は甚大なものだと感じました。城が魅せられる天河の作陶の冷徹なまでの完璧さもまた、畏怖としかいうほかなく。彼らの過去にいったい何があったのか、恐れおののきながら物語を読み進みました。城

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    2025年10月30日
  • 天上の火焔

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    備前焼の窯元を舞台にした、偉大すぎる祖父と冷たすぎる父をもった少年の成長と再生の物語。母は彼が幼い頃に亡くなっており、祖父母に育てられた。もちろん、お仕事小説としての側面も見逃せない。
    いつもの遠田作品と違う?いやいや、そんなことはない。確かに、小学生から順を追って語られるスタイルや、妙にお行儀のよい主人公には違和感がある。が、息子に対する父の態度の理由が明らかになるとき、それまで見えていた景色が一変し価値観が反転する。ここからが遠田さんの真骨頂だ。ただ、今回はそこまでエグくはなかった。
    本年度ベスト級の作品であり、遠田作品としてもかなり上位に来るのではなかろうか。

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    2025年10月19日
  • 雪の鉄樹

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    ネタバレ

    はじめての作家さん。
    なかなかに重い内容。でも読後余韻がすごくてしばらくぼーっとしてしまった。
    登場人物それぞれが辛い。
    愛情と憎しみのどちらに転んだらいいか分からず自暴自棄になっている遼平痛々しかった。
    雅雪の償いは自己満足のようにも思えるけど、それでも悲しい結末にならなかった事で安心した。

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    2025年10月17日
  • 天上の火焔

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    備前焼人間国宝の孫に生まれた城の、家族との確執の物語。一番理解してほしい家族である父親に愛されない哀しみ、理解されない苦しみ、もがいても抗っても冷たく突き放される絶望。そして同じように苦悩を抱えて生きてきた父親。残された日々の中で命を燃やして作り上げた天河の最期の茶碗を、スラヴ舞曲集第十番が流れる中、天上の火焔で焼き上げる城は、父親を救うとともに、真に自分を解放できたのだと思う。美しい伊部の町と備前焼が心に浮かぶ、壮大な物語だった。家族とは何か、考えずにはいられない物語だった。

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    2025年10月13日
  • 緑陰深きところ

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    ネタバレ

    登場人物が背負う過去や想いは非常に重たいものがあるのに、瑞々しさがあり、読後間が清々しい。過去の絃次郎と睦子の恋愛の様子や青春の様子は、とても爽やか。だからこそ、事件の凄惨や人物の苦しさがツラい。最後のシーンは、緑の背景に金髪の人、コンテッサの赤が鮮やかに思い浮かぶ。タイトルの漢詩の意味も、深い。

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    2025年08月28日
  • 人でなしの櫻

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    是非手に取って読んで欲しい。
    そう思う作品でした。
    依存、愛、家族の形、血の繋がり色々考えさせられました。

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    2025年08月27日
  • イオカステの揺籃

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    遠田潤子『イオカステの揺籃』中公文庫。

    古くから続く『家』や『家督』、『跡継ぎ』といった日本文化を土台にした、息が詰まりそうになるほど非常に重苦しい家族小説だった。遠田潤子らしいと言えば、全くその通りなのであるが、最期には救いが用意されていることが、何時もの遠田潤子らしくない。

    ストーリーの大半は、過去から心の中で引き摺る罪の意識と、それぞれが強い思いを抱える家族が、突然起きた小さな波により脆くも壊れていく姿を描いている。家族の絆というのは、こんなにも脆い物だったのだろうか。


    妻の美沙と幸せに暮らす新進気鋭の建築家の青川英樹は、大手ゼネコンで働く仕事熱心な父親の誠一と上品で美しい母親の

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    2025年08月06日
  • 銀花の蔵(新潮文庫)

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    古本屋さんをぶらぶらしてて見つけた本です

    以前読んだ、この作家さんの本が面白かったので購入。



    醤油蔵を継ぐことになった

    ひとりの女性の一代記なのですが



    主人公、銀花は、

    波乱万丈の人生にもかかわらず、

    けなげで、可愛い心の持ち主で、

    頑張れ!と応援しつつ

    何度も涙をぬぐいながら読みました。



    遠田潤子さんの本は

    やっぱり私好みだわ~(*^^*)

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    2025年07月26日
  • 雪の鉄樹

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    なにこれ,めちゃくちゃカタルシスがやばい.
    家族愛がないことで家族愛を描いている.家族愛がない果に歪な関係性が形成され,過去を語る構成で徐々にそれを描きつつ,現在を語る部分で歪さが変化していく.しかもそれらが決して不快ではない.モヤモヤするし,キツく思うこともあるし,納得いかないところもあるが,総合的に自身を浄化していく感じがする(自身の中で納得し浄化するのではなくて).
    人間ドラマだ.

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    2025年06月18日
  • ミナミの春

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    大阪を舞台にしたオムニバス形式の物語、中心にいるのは姉妹の漫才師
    それぞれの話が人情深く心に優しく届いてきました
    とてもいいお話でした

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    2025年05月24日
  • 人でなしの櫻

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    一気に読ませられるくらいに傑作です!

    本の1頁1頁から醸し出される怪しげで乱れでそして深い愛情。

    遠田潤子先生の表現には毎回驚かされます。

    竹井清秀の描いた絵をみてみたい。
    何かに狂うほど夢中になれるって高揚する。

    ラストはなんともいえずしびれた!


    ぜひ〜

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    2025年05月21日
  • 二周目の恋

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    めちゃ豪華な女性作家を集めたアンソロ。恋のお話なんだけれど、読後感が違うのが良きりお気に入りは、着ぐるみ同好会のお話、波木銅 「フェイクファー」と、久しぶりに再開する双子のお話、一穂ミチ 「カーマンライン」。

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    2025年04月29日