遠田潤子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
備前焼の窯元一家の物語。人間国宝の祖父、轆轤の名人の父は陽と陰。子どもながらに確執を感じながら、その狭間で苦しむ息子の城。
三世代の対照的な男の人生が、焼き物を通してドラマティックに描かれていて、その世界にぐんぐん引き込まれていった。
三人の中で一番興味をひかれたのは父の天河。家庭内でほとんど口もきかず、一人を好む。それなのに、外では意外と気遣いも出来ていて…
次第に明らかになる彼の境遇を知るにつれ、冷酷さの裏にある苦悩が伝わってきて切なかった。
また、城を形容する言葉が、幼い頃の「ぐにゃぐにゃ」から「ふにゃふにゃ」に変わっていく表現が印象的だった。
こんな抽象的な言葉が、作中のその場面ではす -
Posted by ブクログ
大満足の☆5です〜それ以上♪
何作か前から作風変わった?と感じていた遠田さん
変わらないのは登場人物、主人公の置かれた状況や苦悩、悲しみが中盤までこれでもかと謎なんです
遠田ワールド全開なんですよ〜
この作品は備前焼の人間国宝の祖父を持ち、父親も陶芸家。主人公は祖父の愛を一身に受け父親からは拒絶されるという少年です。
何故?何故そんなに父親に拒絶されるの?
その理由が明かされるまでが焦ったい!
そんな焦ったさに中毒性があるのよ笑
だがしか〜し!
この理由が分かるともう感動(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
お父さん!あなたが主人公でしたか!!
深田天河最高です。゚(゚´Д` -
Posted by ブクログ
はぁぁぁぁぁ…
ふぁぁぁぁぁ…
すごいぃぃぃ…
心が揺さぶられる作品に出逢ってしまった
日本六古窯の一つに数えられ、備前焼の町で知られる岡山県備前市伊部
備前焼の窯元を舞台にした、父子三世代の家族の愛憎と葛藤を描いた物語──
城は偉大な人間国宝の祖父・路傍に可愛がられて育つ
だが、孤高の轆轤名人である父・天河からは氷のように冷たく無関心な態度をとられ、その間で悩み苦しみ続ける
なぜ、そのような歪な親子関係になってしまったのか?
親と子の関係は天命なのです
たとえ、それがどのような関係であっても
天河は城を愛していないわけではなかったのだ
天河自身も苦しんでいたのだ
その苦し -
Posted by ブクログ
遠田潤子『イオカステの揺籃』中公文庫。
古くから続く『家』や『家督』、『跡継ぎ』といった日本文化を土台にした、息が詰まりそうになるほど非常に重苦しい家族小説だった。遠田潤子らしいと言えば、全くその通りなのであるが、最期には救いが用意されていることが、何時もの遠田潤子らしくない。
ストーリーの大半は、過去から心の中で引き摺る罪の意識と、それぞれが強い思いを抱える家族が、突然起きた小さな波により脆くも壊れていく姿を描いている。家族の絆というのは、こんなにも脆い物だったのだろうか。
妻の美沙と幸せに暮らす新進気鋭の建築家の青川英樹は、大手ゼネコンで働く仕事熱心な父親の誠一と上品で美しい母親の -
Posted by ブクログ
ネタバレ好きが詰まった盛り合わせ!めっちゃ良かった!
最悪よりは平凡 (岛本理生)
魔美のしんどさがしんどくて、それでも好きな人ができてこれから始まっていく感じに、人生捨てたもんじゃないよねと思えた。
深夜のスパチュラ (綿谷りさ)
ひとりで買物行く時のグルグルハイテンション感にめちゃくちゃ共感。スパチュラに泣けちゃう気持ちもわかりみしかなかった。
カーマンライン (一穂ミチ)
回想から始まるストーリー展開に安心感。「ホテル・ニューハンプシャー」読んでみようと思った。
無事に、行きなさい (桜木紫乃)
「アプンノ パイエ」の言葉の意味と2本の線のデザインがそのまま主人公へのメッセージになっていて良か -
Posted by ブクログ
この著者の紡ぐ物語がたまらなく好きです。たいていは暗い話で、めげそうになるぐらい重いときもあるけれど、最後に必ずひと筋の光が見えます。だから、著者が「救いはあろうがなかろうが気にならない」と言っていると知ってちょっと驚きました。
「救いがないならないできっちり書くべき」というのは確かにそう。安易なハッピーエンドに走らず、でも主人公たちのことを放り出したりはしないから、この人生に惹きつけられます。
こんな子どもに「生きていてひとつもいいことなんかなかった」なんて言わせちゃいけない。生きるのに理由は要らないとしても、生きたいと思ってほしい。 -
Posted by ブクログ
本の雑誌「おすすめ文庫2017」第1位
庭師の雅雪は、20歳の時から
両親を失った小年、遼平の面倒を見続けていた
初めて、預かった時にはまだオムツをしていた
男の子は中学生になっていた
庭師の男は、なぜここまで献身的なのか
何を償おうとしているのか
遼平には、未だ真実を言えないでいた
読みながら、少年と共に苦しむ
庭師はなぜそれほど自己犠牲を続けるのか
許されない罪、終わりのない贖罪
憎しみに隠れた愛情
贖罪に伴った悦び
報われる事はないのかと思われた庭師の献身が
真実の告白と共に受け入れられていく
とても素敵な作品でした
庭師が最後まで過酷すぎるけれど
人間の渇望、羨望が苦しいほどに描 -
Posted by ブクログ
(2023年12月21日の感想。帰りのバスで書く。)
アンソロジーっていいよね。宝箱みたい。いろんな作家さんたちが一度に会していて豪華。
この本を買った頃は丁度自分のなかで島本理生、窪美澄、一穂ミチのブームが来ていた。だからウッキウキで買って、そのあと暫く読めずにいたのを今になってようやっと読めた。
面白かったのは綿矢りさ「スパチェラ」
綿矢りさは、中学生の頃に『蹴りたい背中』、大学二年の秋に『勝手にふるえてろ』を読んだ。両方とも、それから今回の「スパチェラ」にも当てはまることだけど、今を生きる若い女の子を描くのが本当に上手。綿矢りささん自身は歳を重ねているのに、寧ろ作品のなかではより若く