あらすじ
雨に溶けていく、罪も穢れも――。彼が現れたのは、雨の日だった。美しく出会う人すべてを魅了してしまう、アイドルの堀尾葉介。葉介と意外な形で関わる人々は知らぬうちに、皆その人生を変えられていく。そして葉介自身の苦悩もやがて――。雨の降るいくつもの情景の中で、悶え苦しみながら生きる人々とカリスマを持つ男が邂逅する。哀切と意外性に満ちた連作短編集。
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人生の苦しみから救ってくれるきっかけはは幸せを手に入れることだけではない。心の傷がいつか天使となって救ってくれるのではないか。そう信じたくなる作品でした。
葉介が自分の呪いから解放されて、「どこへでも」と答えた最後に希望を感じます。
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初めての遠田潤子さん、こんなに面白いなんて!
北上次郎氏がこの人の本は〜ってよく話題に出していたのでずっと気になっていた。
今作は連作短編集で、中心にいるのは堀尾葉介という芸能人。
過去に取り返しのつかないことや何かに囚われている人たちが彼との邂逅で人生を前に進めるだけの力をもらうみたいな話。
ぜんぶで8話あるけど全てがとんでもなく面白い。
2話目の時点でこのまま読み終わりたくないなって感じるくらいストライクすぎた。
探偵の話もいいし、炭焼きの話も好きだし、たまご屋さんの話もいいなあ。
遠田さんの持ち味はもっと人が苦しむ話が多いみたい(笑)今作は明確に救いが待ってるので安心できた。
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「小説宝石」連載作品
「美しく、才能に恵まれ、努力も怠らない」という、完璧とも思える俳優・葉介。
全八章のうち七章までを、彼に触れた悩みを抱える男女たちに語らせる、連作短編の構成となっていいます。
葉介は俳優である自分を演じ続けながらも、彼に触れた人々に、自分自身を見つめ直させてしまう存在として登場する。
最終章では、演じることから降りた彼が、本来の自分の人生を取り戻していく。その姿が、静かに、そして素敵に描かれる。
遠田さんって 今の自分にちょうど良い読書だなって思う。
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最終章で知れた、俳優でない堀尾葉介がよかった。
実はトラウマ級の過去を持っていたなんて。
明らかに今までと口調が違うし、翼を救って自分も救えた。
時代劇うんぬんから始まって、
時代劇、、いつの話だろこれ、ついていけるかな、と思ったけどそれは最初だけで、結果普通に読めた。
強いて言うなら、どの章もピシッとしまって終わるわけではなく、ふわ〜と、この章に出てくる人たちの人生はこれからも続くんだな〜という感じで終わった。それがこの本の特徴なんだろうけども、たまに物足りなさを感じた。
炭で作った木琴を堀尾に渡すのはちょっと意味不明だったかも。自己満すごい。
堀尾葉介、一般人に声かけられて返事しちゃうの、良い人すぎるよ、
現実世界の芸能人で言ったら誰だろ?と思ったけどあんまり思い浮かばなかったなー
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遠田さん、相変わらずとても良い作品を書きます。今まで読んだことのないような視点から、それぞれの登場人物によって1人の男性にまつわるストーリーが語られていて興味深かった。最後の終わり方も考えさせられるものがありました。
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重苦しーーい話しか読んだことがなかったので、この作家さんがこんな風に優しい感じの話も書くんだなと、それが第一印象。相変わらずどの風景もきれい。登場人物みんなの人生に関わってくる彼が、豪雨をきっかけに生まれ変われたのは良かったけど、お父さんの人生はちょっと気にくわないかも。
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以前読んだ著者の『雪の鉄樹』が重苦しい展開だったこともあり、本書もその傾向かと読み始めた。
そんな思いを裏切るような話が続く。
第2章など、ハッピーエンドなハートウオーミングな物語。
各章に端役的に顔を出す俳優の堀尾洋介は、ずば抜けた容姿と才能の持ち主で、人気のアイドルグループから独立して俳優としても確固とした地位を築いている。少しも気取ったところのないそれでいて完璧なスター。
彼の訪ねた店は、スターが訪れた店との評判で行列の賑わいとなり、周りの人びとに幸運をもたらす天使のような存在。
しかし、中盤から彼の家族が描かれ始めると、次第に不穏な雰囲気が漂いだし、最終章の「美しい人生」では彼の知られざる過去が明らかにされる。
最後、彼の苦悩の先に希望が見出され、救いがあり、ホッとするエピローグ。
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登場する映画を知っていれば、より一層楽しめたと思いますが、わたしが知っていたのは「長七郎江戸日記」と「忠臣蔵」だけでした(笑)。大洲の町並みや、臥龍山荘の景観の美しさも、思い浮かべることができて、第一章は想像とが現実がうまい具合に相まって、景色が流れるように読めたのがよかったです。アイドルの握手会は、見たことなかったので、うすぼんやりとしか想像できませんでしたが。
どの章にも、登場人物が基本的に、一回なんかしら暗い過去があって、それに捕らわれているんですが、それを昇華して気力を取り戻していくために切っ掛けになった人物が描かれています。ちょっとずつ出てくる過去が繋ぎ合わさって、一人の人物になっていくのが面白かったです。
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202308/謎と映画を絡めつつ、人間と人生を見事に描いた連作短編集。これもまた遠田潤子の恐ろしさ凄さが詰まった名作!第二章の「だし巻きとマックィーンのアランセーター」が何故か一番心に残った。
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どこかしらで一人の俳優と繋がっている主人公の短編が電車で読むのにちょうど良い長さ。そして、ちょうど雨の日に最終章を読み終えて、なんだかほわっとした。
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八篇からなる連作短編集。各短編の主人公は過去の傷や重いものを背負って生きていてそれに不器用。子供の頃のことや、男女間のこと、仕事などさまざまな環境や生活が描かれている。各短編に共通するのが一人の俳優が何かしら影響を与えていること。それがそれぞれの心を少し軽くしてくれる。知らず知らずのうちに影響を与えていた俳優のこれまでが語られるラストもとてもいい。これまでの遠田作品にはない温かみがありこういう作品をもっと読みたくなった。
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各章で映画のシーンや台詞が登場すると、自分の頭の中にあるその映画のシーンが再生されて話を更に盛り上げ、より先を読み進めたいと言う原動力となった。
文字が映像を引き出し、引き出された映像が文字を補完してくれる1読で2度おいしい小説だ。
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堀尾葉介という1人の芸能人を軸にして紡がれる短編集。と同時に、堀尾葉介自身の物語として成立する長編小説でもある。悔恨と愛憎と狂気が混在する世界観ではあるが、くるんでいるオブラートが厚すぎて、どれも少しばかりきれいすぎるのが物足りない。それでも登場する映画のタイトルが知っているものばかりだったのは幸運だった。特に真夜中のカウボーイとスカーフェイスは大好き。そして中島みゆきさんの船を出すのなら9月も好きでした。それにしても遠田さんって、本当にストーリーテラーですよね。
でも本音は、それまで美しかった短編の世界観が、最終話でもっと劇的に醜く姿を変える様が見たかった。次も期待しています。