遠田潤子のレビュー一覧

  • 蓮の数式

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    遠田潤子『蓮の数式』中公文庫。

    遠田潤子らしい果てしなく重く、暗い物語。登場人物の一人として善人は居らず、登場人物の不幸が伝播してくるのではないかと不安になるような小説だった。決してつまらない小説ではなく、物語の展開と結末が気になる面白い小説だった。例えるならば、吉田修一の『悪人』が近いだろうか。

    不妊と家柄を理由に夫と義母にあらぬ限りの虐待を受け続けていた35歳の千穂は、ある日、夫の起こした交通事故の身代わりを押し付けられる。被害者の男性が算数障害を持ち、悩み苦しんでいることに気付いた千穂は男性に救いの手を差し伸べるのだが…

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    2018年01月28日
  • カラヴィンカ

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    彼女の本を読むのは2冊め。

    1冊目の「雪の鉄樹」では、思わず涙があふれましたが、

    今回は、読み終えた後に、ほぅ~。。。というため息に似た感動が。。。



    歌詞のない旋律を母音のみで歌う人気歌手、実菓子。

    彼女の自伝インタビューをすることになった、ギタリストの青島多聞。

    2人は幼い頃、同じ家で育ち、

    さらに、実菓子の夫は、多聞の亡兄だった。。。



    読み初めて、多聞が彼女を避けているのがわかり、

    過去に、何か複雑な問題があったことがわかってくる。

    それでも、断れないインタビューの仕事をこなそうとするのだが、

    そこで語られる、おぞましく悲しい出来事に、驚愕する。。。


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    2018年01月22日
  • カラヴィンカ

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    あまりに凄絶な、愛憎渦巻く家族の物語。いわくありげな人間関係が少しずつ小出しに語られるので、それに引っ張られて読む手は止まらず。どろどろしてひどい物語なのに、それでもぐいぐい惹きつけられて一気読みでした。そして実はミステリ……だったのだけれど。凄まじいまでの物語に引き込まれるあまり、どのあたりが事件であり謎であったのか全然気づかなかった! 愕然としてしまいました。
    登場人物にどうも醜悪な人間が多くて、えげつない物語ではあったのだけれど。読後感はそう悪くないし、印象としては美しい物語という気がしました。しかし実菓子の願いがそういうものだったとは……それもまた、あまりに凄絶。「幸せ」という言葉の重

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    2018年01月06日
  • 蓮の数式

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    【ネタバレ】マザコン夫と義母を疎ましく思う女と算数障害に悩む男の逃避行。ラブロマンスとしてもミステリとしてもきちんと両立している傑作。読後感は必ずしもさわやかではないのですけれどそれもまたよし。識字障害は知ってましたが算数障害は知りませんでした。

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    2016年03月03日
  • ミナミの春

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    表紙のイメージから、ほのぼのした話かと思ったら結構苦しいエピソードがきて少しびっくり。
    人生ってそんなものなのかもしれないけど…。

    とはいえ、読後感は良く、まさに春を思わせるような明るい終わり方で良かったです。

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    2026年05月22日
  • 邂逅(わくらば)の滝

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    遠田潤子『邂逅の滝』講談社文庫。

    恋人の若い武士と一緒に逃げていた『紅姫』は、逃げる邪魔になると途中で武士に見捨てられ、亡くなってしまう。その『紅姫』の魂を慰めるための祠が残る紅滝。その祠に1人で口を利かずに参れば『紅姫』が願いを叶えてくれると言う。

    そんな伝説に翻弄される男女の姿を描いた5つの物語で構成される連作形式の小説。5つの物語は現代から大正時代、江戸時代、安土桃山時代、南北朝時代と時間を遡っていく。

    輪廻転生、因果は巡る時空を超えた壮大な物語なのだが、描かれる不幸の形がわざとらしい。そのせいか、著者としてはかなりの覚悟で描いたと思われる男女の性愛描写も白けてしまう。


    『ファ

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    2026年05月03日
  • イオカステの揺籃

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    家族の愛憎劇。ひと言で言えばそうなんだけど、そんなひと言では説明できない生々しさがありました。最後にちょっと希望めいた光が見え隠れするものの、でもよく考えるまでもなくだれも救われてない。でもそれがまたよりリアルな感じに思えてきて怖くなる。男性と女性、また既婚と未婚とか立場や年齢によって感じ方が結構違ってくる気がします。

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    2026年05月01日
  • 天上の火焔

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    父と子の普遍的な葛藤や懊悩を、陶芸という舞台で描いた傑作。
    愛、才能、儘ならぬもので悩み苦しむ人間の姿は、美しくも愛おしい。

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    2026年04月20日
  • ドライブインまほろば

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    最近、全然本を読む気にならないが、これは読めた。憂がかわいそうで辛かったなぁ。兄弟も理不尽なことがある。上の子はなんでも出来て当たり前。同じ事を下の子がやると褒め称える。上は辛いんだよなぁ。こんなおばさんになってもそう思う。

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    2026年04月07日
  • ミナミの春

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    山風賞受賞作ってことで。氏の著作に触れるのは久しぶり。嫌いになった訳じゃないんだけど、なんだかマンネリズムを感じてしまい、遠ざかってしまっていた。本作は、信を置く賞を取ったってのと、いつもと勝手が違いそうなあらすじ紹介を見て、それならちょっと読んでみようかな、と。まず、連作短編集ってことですでに新しい印象。相変わらず、人間の業に触れる内容なんだけど、それはスパイス的に扱われていて、全体的に結構ライトなタッチなのも好印象。楽しめた。パスしてきた数作品も、機会があれば改めて手に取ってみたく。

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    2026年04月06日
  • ミナミの春

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    きつめの言動などがありながらも、それもひっくるめて魅力と思わせるような登場人物や関係性が多く、読んでいて応援したくなるような雰囲気がよかった。

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    2026年03月29日
  • 紅蓮の雪

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    ネタバレ

    前に一度、読んでた時は、ただ面白いって思いながら一気に読めた。
    今回読んだら、記憶にあった以上に胸糞話やった。
    いや、面白いのは面白いねん。
    伊吹が少しずつ鉢木座に馴染んでいけたり、慈丹との仲やったりとか。

    でも、両親も、座長も、ストーカーの和香も、みんな自分勝手でそうなったらあかんやろみたいな。
    理解が全くできひん人間たちで。
    両親も座長も、過去を知っても一向に同情する気にならない。
    和香も、話の中では伊吹が原因やみたいになってるけど、絶対違う。伊吹には伊吹の問題があってたまたま傷つけてしまったけど、その後はもう関係なくただただ和香の問題やし、ひたすらヒステリックになってる和香の母親もわけ

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    2026年03月27日
  • 二周目の恋

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    恋愛アンソロジー。

    どの作品も、一筋縄ではいかないけれど読後に希望の残る。こういうアンソロジーでは珍しく、どの作品も何かしら心に残る箇所があったのでとても得をした気持ち。

    特に「深夜のスパチュラ」のとりとめがないけどキュートな読み味や、「道具屋筋の旅立ち」のラスト、「海鳴り遠くに」のタイトルの意味が分かった瞬間が特に心に残った。

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    2026年03月21日
  • 天上の火焔

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    備前焼の窯の温度は約1200度。
    この温度になるまでの大変さと、時間をかけて焼いたものでも少しでも気に入らない点があるとその場で割ってしまうということに、焼き物の世界の厳しさを感じました。

    天上火窯の人間国宝の祖父、深田路傍に優しくのびのびと育てられた深田城。轆轤名人の父、深田天河の冷たさに、幼い頃から悩み続け、いつの間にか憎しみさえ持つようになります。彼は備前焼の天上火窯を受け継ぐことへの葛藤と父への疑問を抱えながら成長していきます。

    なぜ父は自分に冷たいのか?
    その事をずっと疑問に持ちつつ、怒りに変わりそれでも父のことが気になってしまうのは、やはり親子だからなんでしょうね。

    深田城が

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    2026年03月03日
  • 雪の鉄樹

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    「一体、何があったの?」
    事件の全貌が明かされるまで、頭の中はずっと疑問でいっぱいだった。
    事件の贖罪の為とはいえ、雅雪の行き過ぎともいえるほどの行動は見ている者も苦しくさせる。
    どこか歪んだ家族への絶望、悲しみ、それでも求めてしまう愛情…色んな感情がぐちゃぐちゃに入り交じっていて、そんな気持ちになったことのない私もつられて胸が痛かった。
    この先がどうか幸せでありますようにと思わずにはいられなくなる作品。

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    2026年02月26日
  • カラヴィンカ

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    特殊なある種閉鎖環境下で家同士の確執から展開される悲劇、読み応えあったしミステリーとして面白かった。幼少期だとしても人生の中で強烈な印象を受けた出来事は後を引くものだと感じた。

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    2026年02月18日
  • 天上の火焔

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    備前焼窯元父子三世代の物語。
    それぞれの葛藤、嫉妬、愛憎がぐるぐる回る。
    (それにしても全員不器用過ぎないか…?)

    備前焼の発する熱量が伝わってくるようだった。

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    2026年02月18日
  • 天上の火焔

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    備前の伊部が舞台と聞いて、それだけで紐解いた。備前焼のことに詳しくもなければ、伊部の場所は知っているけど、あまり詳しくもない。遠田潤子さんは初読み。けれども、なんとも懐かしい景色と世界だった。

    父子の確執は、漫画「美味しんぼ」や多くの小説で描かれた永遠のテーマである。まさか、ここまでストレートに描いているとは思わなかった。もっとどろどろとしたり、陰湿な作風かと思っていた。3代に渡る父親と息子の愛憎。それを見守るおばあちゃん、死に別れた母親、付き合い成長してゆく同級生、という3人の女性。物語は土と火の芸術、作陶が形を作ってゆく。

    伊部(いんべ)を歩き回ったことはないが、親戚家があったこともあ

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    2026年02月16日
  • カラヴィンカ

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    ボカリーズの名手実果子、ギター奏者の多聞、その兄の不動、彼らを巡り、不動の死に何があったのかを探りながら、驚くべき事実が明らかになっていく、そんな感じでストーリーが進行していくドラマで、読み応えがあった良作。

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    2026年01月28日
  • 人でなしの櫻

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    『雨のように』では、主人公に俳優の男を小説の中で演じさせ、本作では、日本画家の男を長谷川等伯の夭折した息子になぞらえながら
    作品を描かせる。
    芸術か愛情か、狂気なのか。
    愛情に恵まれなかった不幸の上の才能。
    父親との確執は より深い狂気を含む創作へ。

    遠田さんって、いろんな芸術の才能と確執を小説に落とすのがお上手です。

    そして 江戸川乱歩の「人でなしの恋」よりも
    罪深い「人でなしの桜」。
    遠田さんは、才能を祝福せず 才能が人をどこまで壊すかを、書いてしまいました。

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    2026年01月26日