遠田潤子のレビュー一覧
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大阪ミナミを舞台に、超人気コンビ・カサブランカは美人のチョーコと双子のハナコ。それを目標に励むハンダゴテのヒデヨシとハルミは夢破れ、しかもハルミは娘を残して亡くなっている。そこへ連絡を受けた娘・彩の祖父が引取にくるところから始まる連作短編。カサブランカの2人が常に登場人物たちに絡んでくるが、むしろ2人のことはあまり語られなくて、回りの幸せになりきれない人生模様が悲しくも染みる感じでした。
最初の話は、本当に胸くそ悪くて、読むの止めようかと思ったくらい。まあ、その後はそこまで嫌なやつに人生ダメにされてばかりではないので我慢して読んでよかったです。
夜の話も不倫も色々でてくるので、中学校以上。基本は高校くらいから。 -
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祖父、父、孫――三世代にわたる家族の物語。
そこに「陶芸」という厳しくも美しい世界が重なり、それぞれが抱える思いや確執がむき出しになっていく。
祖父と孫は強い絆で結ばれている一方、父と子の間には埋めがたい断絶がある。
読み始めた当初は、父の抱える闇こそがすべての原因に思えた。しかし物語が進むにつれ、その背景や積み重ねてきた人生が見えてきて、誰か一人を悪者にはできなくなっていく。
登場人物への印象が少しずつ変わっていく構成が見事で、「この先どうなるのか」と引き込まれ、気づけば最後まで一気に読み切っていた。
人の心のすれ違い、受け継がれるもの、そしてその先にあるわずかな希望。
遠田潤子さんらしい繊細な人物描写が光る、重厚で切ない一冊だった。 ★4.0
余談だが、本作で遠田潤子さんの作品に興味を持った方には『銀花の蔵』もおすすめしたい。こちらも人の心の機微を見事に描いた作品で、きっと遠田作品の魅力をさらに味わえると思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前に一度、読んでた時は、ただ面白いって思いながら一気に読めた。
今回読んだら、記憶にあった以上に胸糞話やった。
いや、面白いのは面白いねん。
伊吹が少しずつ鉢木座に馴染んでいけたり、慈丹との仲やったりとか。
でも、両親も、座長も、ストーカーの和香も、みんな自分勝手でそうなったらあかんやろみたいな。
理解が全くできひん人間たちで。
両親も座長も、過去を知っても一向に同情する気にならない。
和香も、話の中では伊吹が原因やみたいになってるけど、絶対違う。伊吹には伊吹の問題があってたまたま傷つけてしまったけど、その後はもう関係なくただただ和香の問題やし、ひたすらヒステリックになってる和香の母親もわけわからん。たぶん、和香の家もひどい。
2回目に読んだ時も、すらすらと2時間くらいで読めたから、面白いのは面白いねんけど、ちょっとひどい人が多すぎて、伊吹よかったねって簡単になれてない今です。 -
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備前焼の窯の温度は約1200度。
この温度になるまでの大変さと、時間をかけて焼いたものでも少しでも気に入らない点があるとその場で割ってしまうということに、焼き物の世界の厳しさを感じました。
天上火窯の人間国宝の祖父、深田路傍に優しくのびのびと育てられた深田城。轆轤名人の父、深田天河の冷たさに、幼い頃から悩み続け、いつの間にか憎しみさえ持つようになります。彼は備前焼の天上火窯を受け継ぐことへの葛藤と父への疑問を抱えながら成長していきます。
なぜ父は自分に冷たいのか?
その事をずっと疑問に持ちつつ、怒りに変わりそれでも父のことが気になってしまうのは、やはり親子だからなんでしょうね。
深田城が父親の深田天河から聞いた真実は、祖父の代からの複雑にもつれた事情で、震災の不幸も重なっていました。
幼い頃たくさん傷ついた深田城が、焼き物のようにじっくりと自分の信念を固めていく様子が印象的でした。今後は表向きは華やかな世界の厳しさと、複雑な家庭での不幸を乗り越えて、新しい時代を築いていくような気がしました。
約15年間の物語は、深田城の成長と共に「許す」ということと向き合うものでした。