遠田潤子のレビュー一覧
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備前焼窯元一家の再生と継承を描いた物語。
伊部の町の天上火窯の窯元で祖父は、人間国宝・深田路傍として名を馳せている。
祖父の器は遊びとゆとりがあり、気持ち良くて心が浮き立つ。
父・深田天河の器は、綺麗だけど哀しいと感じてしまう。
城は祖父に可愛がられいたが、父は冷たく話すらしてくれなかったことに悩み苦しんでいた。
陽と陰のような祖父と父の間で悩み苦しんでいた城は、祖父が亡くなり、祖母も亡くなって父も病に侵されていることを知り、高校卒業後京都の大学へ行ったままだったが、卒業後に伊部へ帰る。
やがて、身体の動きがままならなくなった父からこれまでのことを聞き…。
なんとも不器用な男たちだ… -
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感動しました❢
「優しい言葉、温かい言葉、泣かせる言葉、無責任に褒めたり励ましたりする言葉には気を付けろ。大きな声で大きなことを言ったり、人を安心させたり気持ち良くさせたりすることを言うやつは胡散臭いんだ。君という人間に向けてではなく、たくさんの人間に向けて喋るやつは信用するな」
「人を成長させてくれるのは気持ちのいい言葉じゃない。いつまでもそこにとどまっていたい、浸っていたいと感じる優しい世界じゃない。君を成長させてくれるのは優しく染み込んでくる言葉じゃなくて、疑問を持った言葉、違和感を言って憶えた言葉、もっと言うと君を不快にし、苛立たせる言葉だよ」 -
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備前焼の窯元一家の物語。人間国宝の祖父、轆轤の名人の父は陽と陰。子どもながらに確執を感じながら、その狭間で苦しむ息子の城。
三世代の対照的な男の人生が、焼き物を通してドラマティックに描かれていて、その世界にぐんぐん引き込まれていった。
三人の中で一番興味をひかれたのは父の天河。家庭内でほとんど口もきかず、一人を好む。それなのに、外では意外と気遣いも出来ていて…
次第に明らかになる彼の境遇を知るにつれ、冷酷さの裏にある苦悩が伝わってきて切なかった。
また、城を形容する言葉が、幼い頃の「ぐにゃぐにゃ」から「ふにゃふにゃ」に変わっていく表現が印象的だった。
こんな抽象的な言葉が、作中のその場面ではす -
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大満足の☆5です〜それ以上♪
何作か前から作風変わった?と感じていた遠田さん
変わらないのは登場人物、主人公の置かれた状況や苦悩、悲しみが中盤までこれでもかと謎なんです
遠田ワールド全開なんですよ〜
この作品は備前焼の人間国宝の祖父を持ち、父親も陶芸家。主人公は祖父の愛を一身に受け父親からは拒絶されるという少年です。
何故?何故そんなに父親に拒絶されるの?
その理由が明かされるまでが焦ったい!
そんな焦ったさに中毒性があるのよ笑
だがしか〜し!
この理由が分かるともう感動(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
お父さん!あなたが主人公でしたか!!
深田天河最高です。゚(゚´Д` -
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はぁぁぁぁぁ…
ふぁぁぁぁぁ…
すごいぃぃぃ…
心が揺さぶられる作品に出逢ってしまった
日本六古窯の一つに数えられ、備前焼の町で知られる岡山県備前市伊部
備前焼の窯元を舞台にした、父子三世代の家族の愛憎と葛藤を描いた物語──
城は偉大な人間国宝の祖父・路傍に可愛がられて育つ
だが、孤高の轆轤名人である父・天河からは氷のように冷たく無関心な態度をとられ、その間で悩み苦しみ続ける
なぜ、そのような歪な親子関係になってしまったのか?
親と子の関係は天命なのです
たとえ、それがどのような関係であっても
天河は城を愛していないわけではなかったのだ
天河自身も苦しんでいたのだ
その苦し -
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備前焼の人間国宝である深田路傍の孫に生まれた深田城。城の父深田天河。
城の母の七瀬は阪神淡路大震災に遭い城を出産後すぐに亡くなっています。
城の住む伊部の町に小学6年生のとき、東京から浜本香月が転校してきます。
城と香月は陸上とゲームを通して親しくなり同じ中学、高校へと進みます。
城は祖父に大変可愛がられて育ち、「お祖父ちゃんみたいになりたい」と言って粘土をこねます。
しかし祖父はくも膜下出血で城が中学の時に亡くなります。
父の大河は城が幼いころから全く城に構ってくれませんが城に大学に行くお金は出してくれます。
一方とあることをきっかけに香月は城の前から姿を消します。
そして城はなぜ -
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人間国宝である祖父の路傍と、轆轤の名手である父の天河。備前焼の窯元に生まれた城は、歪な家庭環境に悩んでいた。優しい祖父に対し、父は冷淡で会話すら交わすこともほとんどない。父の才能に憧れながらも父を恐れ忌み嫌う城は、自らの進む道も分からなくなっていく。つらい読み心地だけれど目が離せず、だけど最後には心に熱いものがこみ上げる物語です。
城の家庭環境は決して悪いものとは言えないのだけれど、父との断絶が彼の人生に及ぼす影響は甚大なものだと感じました。城が魅せられる天河の作陶の冷徹なまでの完璧さもまた、畏怖としかいうほかなく。彼らの過去にいったい何があったのか、恐れおののきながら物語を読み進みました。城 -
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備前焼の窯元を舞台にした、偉大すぎる祖父と冷たすぎる父をもった少年の成長と再生の物語。母は彼が幼い頃に亡くなっており、祖父母に育てられた。もちろん、お仕事小説としての側面も見逃せない。
いつもの遠田作品と違う?いやいや、そんなことはない。確かに、小学生から順を追って語られるスタイルや、妙にお行儀のよい主人公には違和感がある。が、息子に対する父の態度の理由が明らかになるとき、それまで見えていた景色が一変し価値観が反転する。ここからが遠田さんの真骨頂だ。ただ、今回はそこまでエグくはなかった。
本年度ベスト級の作品であり、遠田作品としてもかなり上位に来るのではなかろうか。