遠田潤子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
遠田潤子『廃墟の白墨』光文社文庫。
ファンタジックな一面を持つ、ハードでミステリアスな不思議な小説。少しずつ明らかになる過去に起きた事件の真相。後半の予想外の飛び道具で物語の世界は一変するのだが、もっと違う方法で展開を変えた方がしっくり来たようにも思う。
遠田潤子の小説では珍しく、グルーヴの効いたジャズの演奏がいきなり飛び込んで来たド演歌のメロディーで転調するかのような違和感を感じた。
病床で死を目の前にする父親の元に届いた黒板に白いチョークで画かれた薔薇の絵の写真と不可解な手紙に導かれ、和久井ミモザは大阪の廃墟のようなビルに辿り着く。ビルの中に住む正体不明の3人の男がミモザに語る父親と -
Posted by ブクログ
ネタバレ飲み屋を営む藤太の元に中学まで仲の良かった友人、秋雄が少女を連れて訪ねてくる。短い会話の後説明もなく少女を置いて去っていった秋雄。過去に何かあったはずだが最初はまだ明かされない。
ただ生きてるだけ、投げやりな生活を送る藤太。少女と過ごす共同生活を経て少しづつ心に変化がおき少女の為に生き方を改善しようと明確に決意したときは安堵の声が漏れるほど藤太に感情移入していた。
そして少しづつ明かされる過去の凄惨な出来事。
藤太と秋雄といずみ、毒親の元でも3人 心寄せあって生きようとしていたのに、、その父親たちのあまりの人でなしさに言葉を失った。読み終わった後もずっと考え続けてる。なにかもっと救われる方法が -
Posted by ブクログ
『雪の鉄樹』の後に読んだ作品。主人公は相変わらず自縛し、自虐に苛まれる男性だが、前作の主人公よりは、その考えや在り方が理解できる。
遠田さんの物語は、箱庭のようだ。狭い世界で、少ない登場人物が行ったり来たりしている。物語を展開するには、箱庭に暮らす人々が様々な背景を負わなければ行けない。だから、一人ひとりの人生/描写が自然と重く、深くなる。
かと言って、スケールが小さいということではない。これほどまでに人々を深く書き込むことができるのは、作者が登場人物の生をともにする、つまり命を削るようにして作品へ向かう姿が見える。
物語はなかなか動かないが、焦らずじっくり読ませる作家さんだと思う。
浅く軽い -
Posted by ブクログ
ずっと読みたかった本。
少しずつ語られ明らかになる過去はあまりにも重苦しく、それでも続きが気になり手が止まらない。
何故?何故そこまでして?と、全てを知りたくなる中毒性も含む、愛を知らない男が人生をかけた壮絶な物語だった。
絶対的な安心感や安らぎを幼少期から与えられないまま成長し、一般的な常識を知らず、他人との関わり方も知らず、独りで生きてきた男が彼女と出会って惹かれ、「人間にしてもらった」。
初めて自分を見てくれた。
初めて関心を持ってもらえた。
そんな温かい目を向けてもらった事がなかった。
疎まれ、蔑まれ、好奇の目にさらされながらの13年という年月はあまりにも長い時間であったが、身代わ -
ネタバレ 購入済み
算数障害って初めて知りました。
まだ4巻までしか読んでないけど次はどうなるのか続きが楽しみです。算数障害って初めて聞いた言葉に惹かれて読み始めましたがこれから二人がどうなって行くのかとても楽しみです。絵も暗めでこの物語に合っていると思います。小説が原作になっているとのことですが機会があったら読んでみたいです。
-
Posted by ブクログ
本のタイトルから想像する情景をわざと裏切るかのように、最初のページを読み始めると、そこには夏がある。
祖父が経営する曽我造園の庭師として働く曽我雅雪は、どうやら7月7日に何かがあるらしい。
ーあと何年。あと何日。
その日を指折り数えるかのように繰り返される雅雪の心の声のつぶやき。彼が心待ちにしているのか、話が随分進んでも分からない。それが彼にとって一体どのような存在であるのか、知らないのは読者であるわたしと、赤ん坊のときに両親を亡くして祖母と二人暮らしの遼平だけだ。
遼平はずっと雅雪に面倒をみてもらっている。それなのに、なぜか雅雪を激しく憎んでいる。遼平の両親の死に雅雪が関係しているようなの