遠田潤子のレビュー一覧

  • カラヴィンカ

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    アンチェルの蝶も面白かったがこちらも甲乙つけ難い。錯そうする情と思惑があらゆる人々を不幸にしていく。ハッピーエンドとはいかないがあの二人のこれからに救いが見えたのが良かった。
    あらすじ(背表紙より)
    歌詞のない旋律を母音のみで歌う「ヴォカリーズ」の歌手として絶大な人気を誇る実菓子。彼女の自伝のインタビューの相手として選ばれたのは、売れないギタリストの青鹿多聞だった。なぜ実菓子は、多聞を指名したのか―2人は幼い頃同じ家で育ち、さらに実菓子の夫は、多聞の亡兄だったからだ。インタビューが進むにつれ、明らかになっていく、おぞましく哀しい出来事。その真実が解き明かされた時、新たな事件が起きる。

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    2018年10月08日
  • 蓮の数式

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    先の展開が気になって一気読み。
    結末は物悲しくて気持ちもすっきりしないけれど、行き着く先で幸せになれることはない展開だったから致し方ないか。

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    2018年09月22日
  • カラヴィンカ

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    ネタバレ

    重い。閉鎖的な村で、封建的な旧家が2軒。

    大人たちの最低な振る舞いにむかむかする。でも、読むのをやめられない。

     多聞はちょっとお人好しすぎやしないか。
     

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    2018年08月18日
  • 蓮の数式

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    このストーリーはなかなかキツい。世の中には普通では分からない病気がある。そういう知識がないと、その人を救おうと一生懸命になればなるほど話は複雑化する。却って追い詰めてしまい皆んなが不幸になるかもしれない。

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    2018年07月31日
  • 蓮の数式

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    ネタバレ

    10年間不妊治療をしている主人公・安西千穂。高圧的な夫、口うるさい義母、精神的に追いつめられた千穂と高山透との運命の出逢い。透が送ってきた人生があまりに痛ましい。お互いを補い合える二人が出逢ったのはまさに運命。哀しい結末、ラスト、事件から二年後、恵梨の近況と心情が描かれているが、それより千穂の心情を知りたかった。

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    2018年07月01日
  • アンチェルの蝶

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    救いが殆どない哀しい話だが、圧倒的な描写力にどんどん引き込まれる。とても女性の作家さんが書いたとは思えない骨太さ。罪人の末路と言えばそれまでだが、運命に抗う藤太の最期が眩しい。藤太は竹原ピストルさんをイメージしながら読んだ。

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    2018年06月18日
  • 蓮の数式

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    大人買いするほどは著作が出ていないため、マイブームになっているとまでは言えないけれど、まちがいなく今いちばん惹かれる作家です。

    見初められて身分違いの結婚をした千穂。玉の輿に乗ったはずが、不妊のせいで姑と夫から嫌みを通り越して虐待を受けている。そろばん塾を経営する千穂は、透という若い男と知り合う。算数障害の透に親身になる千穂を見て、浮気を疑う夫。一方、かつて殺人事件で妻を亡くした老人は、殺人犯の息子で死んだはずの少年・麗の面影を持つ透を見かけ、麗と透が同一人物ではないかと考える。

    引き込まれ度という点では満点です。主要な登場人物に心から共感できる人柄は出てこないのに、千穂と透の逃避行の行く

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    2018年05月14日
  • 蓮の数式

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    主人公の名前や悩み、職業まで自分に似てるところが多くて、書店でちょっと立ち尽くしてしまった…。

    長編ですが、はらはらするストーリー展開、明らかになっていく謎、そしてちょくちょく挟まれる濡れ場のおかげで、中だるみなく読めます。
    ほんとよくセックスする…この男…。

    最近読書から遠ざかってたんですが、やっぱ本読むの楽しいな!って思えたきっかけの本です。

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    2018年05月05日
  • 蓮の数式

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    こんなヒドイ夫や姑との生活によくも耐えたものだ。
    大体、夫婦のことにそれ以外の人が口出しすること自体おかしいと思う。姑が一緒でなければ、もっと早くにこのおかしな生活に気づけたのかも。
    逃げ出すことは正解だと思うけれど、その手段はちょっとね〜。それほど追い詰められていたということか。
    自分のことを受け入れてくれる人がいるということが心の支えになるのかもしれない。

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    2018年04月29日
  • 蓮の数式

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    なかなか残酷なお話でした。
    透の生い立ちが残酷。弓場の過去も残酷。千穂の生きる世界も残酷。あっさり人を殺してしまうあたりも残酷。
    みんなの気持ちがどこかわかるようでわからない感じでした。

    千穂の義母が一番残酷で気持ち悪かった。

    2018.4.7

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    2018年04月07日
  • 蓮の数式

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    遠田さんの作品は初めて。どこまでも重いという噂通り、救いがほとんどない。殺人を犯した犯罪者の逃避行という点では「悪人(吉田修氏)」と通じるところもある。いろんな社会問題を織り交ぜていて、筆力はあると思うので、これから少しずつ読んでいきたいな。

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    2018年04月04日
  • カラヴィンカ

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    ドロドロした濃ゆい家族関係を描いた救いのない物語。
    家族というのは、ほんの僅かな人数の集まりに過ぎないのに、1人の人間を簡単に殺してしまえる恐ろしい装置です。

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    2018年03月25日
  • カラヴィンカ

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    不幸な人生を書かせたら、この作者の右に出る物はいないというレベル。
    因習にとらわれたド田舎の名家で繰り広げられるドロドロの愛憎劇(回想だが)。
    直前に読んだ遠田作品が「アンチェルの蝶」だったので、それと比べればまだ救いは残っている。

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    2018年03月10日
  • カラヴィンカ

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    ネタバレ

    重い、やはり。
    最も身近で最も濃密なコミュニティーである家族というユニットだからこそ渦巻き、振り払うことが難しい厄介な感情の数々。
    村という閉鎖空間を舞台に、その陰鬱さと対照的に今作も著者の筆は冴え渡っている。
    個人的には、最後のドンパチの部分はちょっと作品の格を損なっている気がして蛇足かなと思ったし、嘘の応酬こそが核とは分かりながらもその繰り返しがややくどいかな、とも感じた。

    「ごんぎつね」があのような形でラストに活きてくるところはまさに遠田潤子氏の真骨頂であり、さすがの腕力だ。

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    2018年03月02日
  • 蓮の数式

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    自分的に、この作風が若干食傷気味になってきてしまってるんかな?確かに、毎回同じものばかり書かれても飽きてくるし、作者的にも違ったものを書きたいという思いもあるだろうし、そういう意味では、望みどおりのものが出てくることなんかないだろうし、それはそれでつまらん。リーダビリティの高さは相変わらず圧倒的ながら、今までに読んだ数作と、同じレベルで本作を好きになれなかったのは、おそらく主人公への反感かな。抱えている闇が深いとはいえ、相当な凶悪犯罪者やからね、これ。別に飽くが主人公だから気に入らんなんてことを言ってるんじゃなく、それに対する周囲の穏やかな眼差しが理解出来ん。まあ、病んでる人たちを上手く描くっ

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    2018年02月02日
  • あの日のあなた

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    新刊だと楽しみにしていたら、『お葬式』の改題だったのか…。

    というわけで、感想は『お葬式』のところに。
    大幅改稿があったら困るなぁ。

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    2018年02月01日
  • 蓮の数式

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    婚家で虐げられ孤立する女、周囲誰にも心を開かない男。
    2人は出会い、逃避行が始まる。
    終始重い。息苦しい。
    でも、読むのを止められない。
    憑かれた様に読み進む。
    読む前に心配した、〝盛り込みすぎ?〟と言う思いも杞憂に終わる。全てきちんと回収されていた。

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    2017年12月25日
  • カラヴィンカ

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    本屋さんで見かけて手に取った本です。
    内容がとてもダークで不愉快なんだけれど、読むのをやめることができない!ああもう!すごく不愉快!いやなことばっかり起こる!でも先が知りたい!ああああああ!
    ・・っていう感じでした。
    すごく不愉快な内容なのに、読むのをほっぽり出せないというのは、すごいですよ。なんて読ませる本なんだろう・・・と呆れながらも読み終えて、この著者は、他にはどんな小説があるんだろうかと思ってしまいました。

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    2017年11月23日
  • あの日のあなた

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    身勝手に思える行動も男の性なのだと同性だからか擁護してしまう。男にとって初恋とは一生忘れられない特別な宝物なのだ。だから許してもらえるとは思わないが・・・。個人的にはとても好きな作品でした。
    あらすじ(背表紙より)
    交通事故で唯一の肉親である父を亡くした、大学生の片瀬在。尊敬する父の「弔いごと一切不要」という遺言に戸惑いつつも、その通りにすませた。しかし、生前は立入禁止だった父の書斎で遺品整理をはじめた矢先、全く知らない女性と自分の名が書かれた母子手帳を見つけてしまい、激しく混乱する。父は一体何を隠していたのか――在は主を亡くした書斎で、まるで葬儀を営むかのように、父親の本当の姿と向き合ってい

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    2017年06月18日
  • あの日のあなた

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    遠田潤子『あの日のあなた』ハルキ文庫 。

    2015年に刊行された『お葬式』の改題、文庫化。確かに『お葬式』という標題では余りにあからさまというか、えげつない感じがする。そういう点で改題は正解だと思う。

    遠田潤子の『アンチェルの蝶』『雪の鉄樹』と何とも深く、重い、素晴らしい傑作を堪能したが、本作もまた余韻を残す素晴らしい作品だった。不満を言えば、主人公の片瀬在が極めてファザコンの清純で中性的に描かれている点であろうか。出来れば主人公の在には汚れて欲しかった。

    二年前に母親を亡くし、父親の和彦と二人きりで暮らす主人公の片瀬在にとって父親は憧れであり、尊敬する存在だった。ある日、百合の花を買い

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    2017年05月16日