遠田潤子のレビュー一覧
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二周目の恋ってなんでしょ。
人気作家さんお揃いのアンソロジー。
「最悪よりは平凡」島本理生
妖艶な名前を持つ女の子は平凡を目指す
「深夜のスパチュラ」綿矢りさ
勝負のバレンタイン。彼氏は凄腕。
「フェイクファー」波木銅
着ぐるみ同好会。
「カーマンライン」一穂ミチ
アメリカと日本。離れて育った男女の双子の擬似恋愛。
「道具屋筋の旅立ち」遠田潤子
かわいいを振り切った女子は、カッコよく生きるのだ。
「無事に、行きなさい。」桜木紫乃
アイヌ語で アパンノ パイエ 「さよなら」がない民族
「海鳴り遠くに」窪美澄
程良い年齢の百合。
二度目ではなくて二周目ってキーワードが難 -
Posted by ブクログ
遠田潤子『月桃夜』新潮文庫。
第21回日本ファンタジーノベル大賞受賞作にして、デビュー作。新潮文庫nexから刊行された作品を加筆修正したようだ。
やはり、遠田潤子にはファンタジー小説は似合わない。遠田潤子の小説なら『アンチェルの蝶』『雪の鉄樹』などハードな小説の方が断然面白い。
薩摩の支配下にあった奄美で孤児のフィエクサは父親を失った少女サネンと兄妹の契りを交わす。二人は砂糖黍から砂糖を作る奴隷のようなヤンチェという身分だった。
やがて、フィエクサは囲碁を習い、その才能を開花させる。一方のサネンは美しい娘に成長し、薩摩の役人から妾になることを要求される。
二人を待ち受ける過酷な運命… -
Posted by ブクログ
再読。カレル・アンチェルとチェコ・フィルの9番を聴いた後で、改めて読みたくなったのだが、前回読んだときとは、また異なる思いを抱くことになりました。
藤太、秋雄、いづみ、この三人の人生は再読でも、とても痛々しく、思わず目を覆いたくなるような、筆舌に尽くしがたい悲しみに加えて、その要因が、それぞれの親なのだから、余計にやるせない。
しかし、それでも私は、アンチェルのあの出来事と、彼らの悲しみを比較するのは違うと思うし、それは、どちらがより辛いとかの概念ではなく、そもそも比べる事ができるような、そんな単純で軽いものじゃないでしょ、人生って。
ただ、それを生きる為の希望と感じられる事も、本書から