遠田潤子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大人買いするほどは著作が出ていないため、マイブームになっているとまでは言えないけれど、まちがいなく今いちばん惹かれる作家です。
見初められて身分違いの結婚をした千穂。玉の輿に乗ったはずが、不妊のせいで姑と夫から嫌みを通り越して虐待を受けている。そろばん塾を経営する千穂は、透という若い男と知り合う。算数障害の透に親身になる千穂を見て、浮気を疑う夫。一方、かつて殺人事件で妻を亡くした老人は、殺人犯の息子で死んだはずの少年・麗の面影を持つ透を見かけ、麗と透が同一人物ではないかと考える。
引き込まれ度という点では満点です。主要な登場人物に心から共感できる人柄は出てこないのに、千穂と透の逃避行の行く -
Posted by ブクログ
自分的に、この作風が若干食傷気味になってきてしまってるんかな?確かに、毎回同じものばかり書かれても飽きてくるし、作者的にも違ったものを書きたいという思いもあるだろうし、そういう意味では、望みどおりのものが出てくることなんかないだろうし、それはそれでつまらん。リーダビリティの高さは相変わらず圧倒的ながら、今までに読んだ数作と、同じレベルで本作を好きになれなかったのは、おそらく主人公への反感かな。抱えている闇が深いとはいえ、相当な凶悪犯罪者やからね、これ。別に飽くが主人公だから気に入らんなんてことを言ってるんじゃなく、それに対する周囲の穏やかな眼差しが理解出来ん。まあ、病んでる人たちを上手く描くっ
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Posted by ブクログ
デビュー作から注目していたものの、あまりの昏い破壊力に、自分の気力が負けそうで、気になりながらしばらく手に取っていなかった遠田潤子さん。
が、近作で爽やかさをまとうようになったと知り、読んでいなかった過去作品を遡って読むことにした。
撃沈…
なんという絶望、悪意、閉塞感。
善意の人の好意すら受け止めることのできない、大きな欠落を抱えた、傷つきすぎた心。
それでも、泥の中から美しすぎる蓮の花が咲くように、そんな心にも、咲く花があるのだろうか。
くらくらしながらも、ぐいぐい読まされてしまう力は、やっぱりすごい。
読後しばらく、リハビリが必要になった。
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身勝手に思える行動も男の性なのだと同性だからか擁護してしまう。男にとって初恋とは一生忘れられない特別な宝物なのだ。だから許してもらえるとは思わないが・・・。個人的にはとても好きな作品でした。
あらすじ(背表紙より)
交通事故で唯一の肉親である父を亡くした、大学生の片瀬在。尊敬する父の「弔いごと一切不要」という遺言に戸惑いつつも、その通りにすませた。しかし、生前は立入禁止だった父の書斎で遺品整理をはじめた矢先、全く知らない女性と自分の名が書かれた母子手帳を見つけてしまい、激しく混乱する。父は一体何を隠していたのか――在は主を亡くした書斎で、まるで葬儀を営むかのように、父親の本当の姿と向き合ってい -
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遠田潤子『あの日のあなた』ハルキ文庫 。
2015年に刊行された『お葬式』の改題、文庫化。確かに『お葬式』という標題では余りにあからさまというか、えげつない感じがする。そういう点で改題は正解だと思う。
遠田潤子の『アンチェルの蝶』『雪の鉄樹』と何とも深く、重い、素晴らしい傑作を堪能したが、本作もまた余韻を残す素晴らしい作品だった。不満を言えば、主人公の片瀬在が極めてファザコンの清純で中性的に描かれている点であろうか。出来れば主人公の在には汚れて欲しかった。
二年前に母親を亡くし、父親の和彦と二人きりで暮らす主人公の片瀬在にとって父親は憧れであり、尊敬する存在だった。ある日、百合の花を買い -
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13回目の結婚記念日もやっぱり三人で過ごした・・・
不妊治療を始めて10年、「子を産めない」ただそれだけで、義母からも夫からも虐げられ、人間として認められなかった千穂。
夫が車で起こした事故を身代わりとなって解決しろと言われた千穂は、被害者である高山透と出会う・・・
遠田さん、やっぱり期待を裏切りません。「雪の鉄樹」に勝るとも劣らない重さ、切なさ、やるせない思い。。。
ただ、賢治の真実を知りたいという思い、その妻の母としての正義が、周りのみんなを不幸にしたような気がして、正義って諸刃の剣だなとつくづく感じます。
不妊、虐待、無戸籍、算数障害(ディスカリキュリア)、虐め、、、様々な問題がこれで -
Posted by ブクログ
主人公は何かを背負って生きてるのだけれど、なかなかそれが何なのか明かされず、理不尽に1人の少年とその祖母に怨まれ続けてる様子が描かれる。
献身的に世話をし真摯に過去の過ちを償っているように思えるのに、2人はひどい態度を取り続けるし、
まわりの人間でさえ主人公のその償い方が少年をダメにしていると窘める。
理不尽に感じるそれらは、事件の顛末が一から語られると納得に変わり、さらに読み進めると主人公の本当の思いに触れて涙が零れる。
誰にも関心を向けてもらえなかった幼少期、ヤングケアラー、挫折…関係者たちが歩んできた残酷な運命に言葉を失う。
そして、主人公が怨まれ続けても、甲斐甲斐しく少年の世話を