遠田潤子のレビュー一覧
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13回目の結婚記念日もやっぱり三人で過ごした・・・
不妊治療を始めて10年、「子を産めない」ただそれだけで、義母からも夫からも虐げられ、人間として認められなかった千穂。
夫が車で起こした事故を身代わりとなって解決しろと言われた千穂は、被害者である高山透と出会う・・・
遠田さん、やっぱり期待を裏切りません。「雪の鉄樹」に勝るとも劣らない重さ、切なさ、やるせない思い。。。
ただ、賢治の真実を知りたいという思い、その妻の母としての正義が、周りのみんなを不幸にしたような気がして、正義って諸刃の剣だなとつくづく感じます。
不妊、虐待、無戸籍、算数障害(ディスカリキュリア)、虐め、、、様々な問題がこれで -
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山田風太郎賞
星3.5
本を選ぶ基準の一つに、賞をとったということも置いているので、山田風太郎賞を受賞した本作を読んでみる。
初読みの作家さん。他の方のレビューでは、本作は、今までの作風とがらっと変わったらしい。
本作では、ビジネス街のキタではなく、ミナミの雰囲気が漂っているが、今までの作品はどうだったのだろうか。
連作短編集であり、時代も1970年の大阪万博、1995年の阪神淡路大震災あたりから、2025年の大阪万博あたりまで。(1970年の万博開催中、天六の地下鉄建設現場で79人もが亡くなる大事故が起きていたとは!)
当然、登場する人物も歳を重ねているが、一貫して関係するのは、 -
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漫才姉妹コンビ、カラブランカの「チョーコ」と「ハナコ」に関わる人とか、関係ない人とかの主に親子関係をめぐる連作短編集。
1話目 カサブランカの後輩コンビ「はんだごて」。もう解散してしまったが、解散のきっかけは妊娠だった。ただ「はんだごて」ハルミは阪神大震災で娘を残して死んでしまい…
2話目 母は家族のためにご飯を作った。吐きそうでも満腹でも、とにかく残すことは許されない。ぶくぶくと太る。父が心筋梗塞で死ぬまで食事の強制が続く。
3話目 編曲家と売れない歌手の話
4話目 男運の悪い女たちの話
5話目 義理の父娘の話
6話目 一夜限りの「はんだごて」復活 -
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ネタバレ愛憎劇という言葉がぴったりで、
テレビドラマを見ているかのような感覚で、ページを捲る手が止まらない。
庭師である雅雪は、遼平という親のない子どもを支援している。
しかし、前半は支援している理由は明かされず、さまざまな痛い展開が満載。
後半になってから、この物語は雅雪の成長と葛藤を描くものだとわかっていく。
愛と憎しみ、持てる者と持てないものの埋められない溝。
その中で苦しむ人たち。
悩むだけでは先に進めない。
でも、進んでしまったら後には戻れない。
その先のちょっとしたボタンの掛け違いから起きる悲劇。
他人の不幸は蜜の味。愛憎劇のメンターテインメント。 -
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ネタバレ遠田潤子作品 2冊目を手に取りました。
前回読んだ『人でなしの櫻』は ちょっとゾクゾクするような人の狂気が溢れて それでも一気読みの本だった。
今回は舞台は大阪
伝説の漫才姉妹の「カサブランカ」の姉 チョーコを中心に
関りある登場人物たちが それぞれの人生の挫折や・孤独を味わいながら それでも前に進んでいく
連作短編小説
この作品の面白いところは 1作品ごとに
人生に寄り添うような禅の言葉が出てくるところ
・閑古錐(かんこすい)
・惺惺着(せいせいじゃく)
・一笑すれば千山青し
・花開く万国の春 などなど
でも この話の中で ぐゎんと心に波を起こしたのは
「親は愛情で子どもを壊せる -
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大阪のお笑いの世界を中心にした連作短編集。
時代は1995年から現代まで。
大阪のお笑い界の頂点に立っている「カサブランカ チョーコ ハナコ」のチョーコを中心に色々な家族が登場します。
私はお笑いとか家族のものはあまり得意ではないので、星を少し減らしました。
チョーコとは一体、何者なのか…?
と思って読みました。
以下、各短編の、ネタバレしない程度のあらすじです。
「松虫通りのファミリア」
1995年。
漫才師の「カサブランカ チョーコ ハナコ」のチョーコに憧れて、親の反対を振り切ってピアノの世界からお笑い界に飛び込み、不倫の子を生んで阪神淡路大震災で亡くなった春美。
残された -
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芸術家・天才の感性を、人間の業と分かりやすく結びつけて書いていた。気持ち悪い、でも見ちゃう、で最後まで読ませる筆力が凄い。でもかなり人を選ぶ。
個人的には、天才本人がこんなに分かりやすく「描く理由や動機」を自覚するかな?と違和感もあった。読者を納得させなきゃいけないので仕方がないのだけど…
主人公が両親妻への愛憎をしつこいほど語るたび、これって天才というより、事実と作品を結び付ける評論家や研究家の目線だよな?と感じてしまった。天才の衝動を、我々一般人にも噛み砕けるレベルの情報まで落とした感。それって叔父(凡人)の小説と何が違うの?とも…
蓮子に、物語のための仕掛け以上の魅力を感じきれなかっ