遠田潤子のレビュー一覧

  • 蓮の数式

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    13回目の結婚記念日もやっぱり三人で過ごした・・・
    不妊治療を始めて10年、「子を産めない」ただそれだけで、義母からも夫からも虐げられ、人間として認められなかった千穂。
    夫が車で起こした事故を身代わりとなって解決しろと言われた千穂は、被害者である高山透と出会う・・・

    遠田さん、やっぱり期待を裏切りません。「雪の鉄樹」に勝るとも劣らない重さ、切なさ、やるせない思い。。。
    ただ、賢治の真実を知りたいという思い、その妻の母としての正義が、周りのみんなを不幸にしたような気がして、正義って諸刃の剣だなとつくづく感じます。
    不妊、虐待、無戸籍、算数障害(ディスカリキュリア)、虐め、、、様々な問題がこれで

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    2017年03月20日
  • ミナミの春

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    山田風太郎賞

    星3.5
     
    本を選ぶ基準の一つに、賞をとったということも置いているので、山田風太郎賞を受賞した本作を読んでみる。

    初読みの作家さん。他の方のレビューでは、本作は、今までの作風とがらっと変わったらしい。
    本作では、ビジネス街のキタではなく、ミナミの雰囲気が漂っているが、今までの作品はどうだったのだろうか。

    連作短編集であり、時代も1970年の大阪万博、1995年の阪神淡路大震災あたりから、2025年の大阪万博あたりまで。(1970年の万博開催中、天六の地下鉄建設現場で79人もが亡くなる大事故が起きていたとは!)

    当然、登場する人物も歳を重ねているが、一貫して関係するのは、

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    2025年12月07日
  • ミナミの春

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    漫才姉妹コンビ、カラブランカの「チョーコ」と「ハナコ」に関わる人とか、関係ない人とかの主に親子関係をめぐる連作短編集。

    1話目 カサブランカの後輩コンビ「はんだごて」。もう解散してしまったが、解散のきっかけは妊娠だった。ただ「はんだごて」ハルミは阪神大震災で娘を残して死んでしまい…

    2話目 母は家族のためにご飯を作った。吐きそうでも満腹でも、とにかく残すことは許されない。ぶくぶくと太る。父が心筋梗塞で死ぬまで食事の強制が続く。

    3話目 編曲家と売れない歌手の話

    4話目 男運の悪い女たちの話

    5話目 義理の父娘の話

    6話目 一夜限りの「はんだごて」復活

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    2025年11月14日
  • 雪の鉄樹

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    祖父、父と続く庭師の家系に生まれた主人公・曽我雅雪。祖父も父も女たらしで、付き合う女を頻回に変えている。しかし父には庭師の才能が無く、祖父には無視される。一方、双子の兄がバイオリニストを目指す真辺一家。その二つの家が混じり合う。解説に、悪人が一人も登場せずとも、人は不幸になるとあるが、まさにその通り。

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    2025年10月23日
  • 雪の鉄樹

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    ネタバレ

    愛憎劇という言葉がぴったりで、
    テレビドラマを見ているかのような感覚で、ページを捲る手が止まらない。

    庭師である雅雪は、遼平という親のない子どもを支援している。
    しかし、前半は支援している理由は明かされず、さまざまな痛い展開が満載。
    後半になってから、この物語は雅雪の成長と葛藤を描くものだとわかっていく。

    愛と憎しみ、持てる者と持てないものの埋められない溝。
    その中で苦しむ人たち。
    悩むだけでは先に進めない。
    でも、進んでしまったら後には戻れない。
    その先のちょっとしたボタンの掛け違いから起きる悲劇。

    他人の不幸は蜜の味。愛憎劇のメンターテインメント。

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    2025年09月24日
  • 雪の鉄樹

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    とにかく心が重かった
    なかなか先が見えてこず、歯痒くて
    これでもかっていうくらいのトラブルが
    続いていくのだが…
    これだけ長いと中弛みしがちだが
    最後まで一体どうなるんだろう?状態で
    読み終えた

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    2025年08月28日
  • 銀花の蔵(新潮文庫)

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    一人の少女が奈良の醤油蔵の当主になっていくところを描いた小説。ただ、お仕事系の話と言うより、複雑な人間関係がメインである。座敷童が登場し、日本の因習という点では筆者らしい。最後はみんなが悪役ではなくなっていた。読後感は良。

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    2025年08月15日
  • ミナミの春

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    カサブランカという伝説の姉妹漫才師を軸に1970年の万博から2025年の万博まで物語が展開していく。
    ザ・大阪の人情ものなんだけど、なんというか、滑稽さが足りない気がして物足りなさを感じた。織田作之助や田辺聖子に比べるとなんか余韻がない、というか。
    最後のハナコ姐さんの挨拶は予期せず感動したが漫才やお笑いを小説にするのは難しいものだなぁ、と思った。(漫才の台本を挟まれて、伝説の舞台と言われても面白さが伝わらないから冷めるというか…)

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    2025年08月09日
  • ミナミの春

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    ネタバレ

    遠田潤子作品 2冊目を手に取りました。

    前回読んだ『人でなしの櫻』は ちょっとゾクゾクするような人の狂気が溢れて それでも一気読みの本だった。

    今回は舞台は大阪
    伝説の漫才姉妹の「カサブランカ」の姉 チョーコを中心に
    関りある登場人物たちが それぞれの人生の挫折や・孤独を味わいながら それでも前に進んでいく 
    連作短編小説

    この作品の面白いところは 1作品ごとに
    人生に寄り添うような禅の言葉が出てくるところ
    ・閑古錐(かんこすい)
    ・惺惺着(せいせいじゃく)
    ・一笑すれば千山青し
    ・花開く万国の春  などなど

    でも この話の中で ぐゎんと心に波を起こしたのは
    「親は愛情で子どもを壊せる

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    2025年08月09日
  • ミナミの春

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    ネタバレ

     大阪観光で歩いた橋やお店などが多く登場し、久しぶりに行ってみたくなった。
    『アモーレ相合橋』『ミナミの春、万国の春』の2作が良かった。 「アモーレ相合橋」や「千羽鶴鶴に乗って」は実在しない曲のようだが、もしあるとしたら聴く人の心に響くいい曲なんだろうなとイメージする。
     
     ➖印象に残ったところ➖
     運命。自分にも他人にも、いついかなる時にも使えるこの世で1番陳腐でタチの悪い言葉だ。
     罰が当たったから、これが自分の運命だと言う。罰を当てたのは神様。つまり自分は悪くないとでも言うのか。

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    2025年06月28日
  • ミナミの春

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    大阪人やから地名、店名とかは馴染みがあります。
    年齢バレしますが各時代の熱みたいなんは感じられました。
    カサブランカのチョーコさんのモデルが誰なんかわからん、そんな綺麗な芸人さんおったかなあ…
    ミャクミャクは慣れるみたい(笑)

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    2025年06月24日
  • あの日のあなた

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    主人公とお父さんの感じが、少し現実感に乏しく、読みやすくはあったけど、星3つ。
    課題が多い家族と完璧な家族と…人間味がもっとあったらいいのにと思います。

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    2025年06月11日
  • アンチェルの蝶

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    和製レオン(というには今一歩及ばず)な感じかな〜と思ってたら、ちゃんと遠田潤子さんぽさが炸裂してた。
    動機に「それ」を持ってくるのには安直な印象を受けつつも、遠田さんの筆力で読み切った。
    これまで読んだ著作の中では一番良かった。

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    2025年05月24日
  • ミナミの春

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    遠田潤子さんのイメージがだいぶ変わった。馴染みのある場所がたくさん出てきて楽しく読んだ。アモーレ相合橋の話が一番好き。

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    2025年05月12日
  • カラヴィンカ

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    ネタバレ

    「鳴いて血を吐く」の加筆修正、改題した作品とのこと。蔵や、ギター、閉鎖的なムラなど既視感があったのはそれか…
    藤屋と斧屋の二軒の旧家が濃厚かつ執拗に代々の人間にのしかかる。入り組んだ話が更にもつれ正しい事は何か分からなくなる。それぞれの言い分はあるものの全体に哀れで悲しく苦しい。
    遠田さん、これほどの作品を書いてすり減らないのかな…読んでるだけで疲弊してしまう。

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    2025年05月12日
  • ミナミの春

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    大阪のお笑いの世界を中心にした連作短編集。

    時代は1995年から現代まで。
    大阪のお笑い界の頂点に立っている「カサブランカ チョーコ ハナコ」のチョーコを中心に色々な家族が登場します。
    私はお笑いとか家族のものはあまり得意ではないので、星を少し減らしました。
    チョーコとは一体、何者なのか…?
    と思って読みました。


    以下、各短編の、ネタバレしない程度のあらすじです。





    「松虫通りのファミリア」
    1995年。
    漫才師の「カサブランカ チョーコ ハナコ」のチョーコに憧れて、親の反対を振り切ってピアノの世界からお笑い界に飛び込み、不倫の子を生んで阪神淡路大震災で亡くなった春美。
    残された

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    2025年04月05日
  • ミナミの春

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    おもしろいのに乗り切れない面があったのは否めず。でもラストまで読んで良かった。
    最初に読んだ作品良かったし、もっと読んでみたいと思ってる作家さんの1人です。

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    2025年03月29日
  • 人でなしの櫻

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    芸術家・天才の感性を、人間の業と分かりやすく結びつけて書いていた。気持ち悪い、でも見ちゃう、で最後まで読ませる筆力が凄い。でもかなり人を選ぶ。

    個人的には、天才本人がこんなに分かりやすく「描く理由や動機」を自覚するかな?と違和感もあった。読者を納得させなきゃいけないので仕方がないのだけど…
    主人公が両親妻への愛憎をしつこいほど語るたび、これって天才というより、事実と作品を結び付ける評論家や研究家の目線だよな?と感じてしまった。天才の衝動を、我々一般人にも噛み砕けるレベルの情報まで落とした感。それって叔父(凡人)の小説と何が違うの?とも…

    蓮子に、物語のための仕掛け以上の魅力を感じきれなかっ

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    2025年03月19日
  • ミナミの春

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    良かったんだけど、うーん。
    思ってたのと違ったなぁ。
    ちょっとずうつながってる短編集。
    「道具屋筋の旅立ち」は軽くホラーだった。
    「道頓堀ーズ・エンジェル」がいちばん良かった。
    どの話にも出てくるカサブランカの話をもっと掘り下げても良かった気がするなぁ

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    2025年03月13日
  • 人でなしの櫻

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    女の子誘拐っていう背表紙のあらすじと表紙の綺麗さで購入。
    久しぶりに文を読んだ私からしたら、中くらいの読みやすさ。
    主人公は、最も憎むべき人間と同じ血を持つことに葛藤しながらも、自らの道を模索する。世間から非難されようとも突き進む姿、羨ましいなと思う。


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    2025年02月21日