遠田潤子のレビュー一覧

  • 廃墟の白墨(はくぼく)

    Posted by ブクログ

    私が近い父親の元に届いた
    薔薇の絵の写真と手紙
    息子ミモザは 父に代わって指定された場所へ
    そこは廃墟のようなビル
    待っていたのは三人の老人
    そこで語られる 父親も若かった頃のそのビル
    での出来事

    物語の導入部分で 四人の男達と明石という女性
    そして彼女の娘、白墨との生活が語られる
    「ティファニーで朝食を」を陰鬱にした雰囲気で
    どうも苦手と思ってしまう
    そして、それはさほど間違っていなかったようで
    小説半ばで「ティファニーで朝食を」の映画に行くといったシーンでタイトルが使われる
    奔放な女性として作者も意識したのかと思う

    当然遠田さんが奔放な女性で終わる事はなく
    明石が抱えていた父親の問題

    0
    2025年02月03日
  • ドライブインまほろば

    Posted by ブクログ

    ドライブイン、懐かしい響きだ。
    東北の田舎出身なので、子供の時にドライブインに家族で立ち寄ったことはあるし、ドライブインという言葉も馴染み深い。
    ただ、それがどういう位置づけのものなのかよくわかっていなかった。
    そうか、ドライブインという言葉が死語になったのは道の駅が普及したことも原因なのか。田舎なら、駐車場の広い飲食店もあるし、わざわざドライブインを選ばない人も増えたのだろう。

    ノスタルジックで温かみのあるタイトルではあるものの、登場人物たちは余すことなく負の連鎖、不幸の連鎖だ。
    想像を超える、陰湿な不幸だ。
    色々つらいんだけど、私が一番きつかったのは、憂が唯一好きだったおじいさん、それも

    0
    2025年01月14日
  • 緑陰深きところ

    Posted by ブクログ

    なんだかピンと来なかった。登場人物の振る舞いが納得できないことだらけ。リュウという人物と出会ったことで主人公の心が変化して行くのはわかるが、たった数日で70年余り壮絶な人生を過ごしてきた人が、こんなに変わるかな?リュウの恋人という女性の設定も取ってつけたよう。漢詩とかオールドカーとか雛飾りとか、小道具は凝ってるけど、それだけ。リーダビリティは高いからすぐ読める。

    0
    2025年01月03日
  • オブリヴィオン

    Posted by ブクログ

    遠田さんが惹かれるという「理不尽ななにか」

    妻を殺害した男の服役後
    迎えたのは 実兄と義理の兄

    男のそれまでの人生を丁重に遡って
    男とそれぞれの兄との関係性が
    物語が進むにつれて変化していきます
    そして 登場人物達とそれぞれの父親との関わりが物語の重要な課題になります

    妻を殺してしまったその理由は
    可愛い一人娘が誰の子供かわからず
    父親としての混乱からか

    亡くなってしまった妻と 出所後知り合った
    出自の不幸な女の子を重ね合わせながら
    これからの幸せを探すラストは素敵だなと思いましたが、奇跡の出来事をストーリーの重要なポイントにしない方が良かったのでは、とちょっと思う
    理不尽な何かは奇跡

    0
    2024年12月24日
  • 月桃夜(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    2009年第21回日本ファンタジーノベル大賞
    そして、遠田さんのデビュー作

    薩摩の支配下にあった江戸時代の奄美
    その階級社会最下層の少年と少女
    現代の奄美の海上を カヤックで漂流する少女
    その兄との生死を彷徨う事故と病気

    奄美の伝説が元にはあるようです
    ファンタジーであり
    歴史物であって
    兄弟の物語になっています
    そして 兄達は過ちを犯す

    デビュー作とは思えない物語の幅の広さです
    私には この両方の兄達の頑なさが
    憐れから 穢れへと移りゆく事が苦しかった

    0
    2024年12月18日
  • 二周目の恋

    Posted by ブクログ

    7人の短編。初めて読んだ波木銅の「フェイクファー」が意外に面白かった。学生時代のサークル「ミッシング」で着ぐるみを作ったり着たりして楽しんだ頃と仲間たちの話し。
    「裁縫は暴力の逆だから好き」と言う発想も面白かった。

    0
    2024年09月28日
  • 蓮の数式

    Posted by ブクログ

    夫と義母からのモラハラに耐え続ける千穂。その生活から透をきっかけにして生きるために逃げる。

    ディスカリキュリア(算数障害)の透との刹那的な生活に希望を抱く千穂。でもその生活が続かない事は千穂がよく分かっている。そんな生活に希望を見ないといけない千穂の心情が破滅的だ。

    出てくる人がみんな幸せではない重い内容だった

    0
    2024年09月17日
  • 緑陰深きところ

    Posted by ブクログ

    大阪ミナミの旧家の医者の息子と言っても70歳を超えてるんだけど、大分の日田の兄からハガキが届く。
    二人の父は戦争帰りで命の恩人の娘と兄が許嫁となる。結婚式の日、弟と娘が駆け落ちしていた。連れ戻された娘と兄は結婚するが5年後に嫁と娘と義父を巻き添えにした無理心中をはかり、死にきれずに刑期を務めた後、日田で暮らしていたようだ。
    70歳を超えた弟が最愛の女を殺された恨みを晴らすために思い出の日野のコンテッサに乗って兄を殺しに旅立つ。このコンテッサがニコイチの悪徳車で売った店の元店長がついてきたり、病気だったり、その恋人が現れたり、クネクネしながら最期に向かう。
    そして兄は既に死んでおり、無理心中とい

    0
    2024年08月24日
  • ドライブインまほろば

    Posted by ブクログ

    家族間の負の連鎖って続いてしまうものなのかな…どうか彼らの代でこの連鎖が終わりますように。みんな根は潔白で、優しい人々だから…(T ^ T)

    0
    2024年08月09日
  • 紅蓮の雪

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    202402/好みではないが物語に引き込む力がすごい。ちょっとVCアンドリュースぽいかも。母親はそれほど嫌悪感ない突き抜けつらぬいてるからか。生い立ちゆえとはわかってても伊吹と朱里の練習のほうが受け入れがたい…。父親弱さと無責任。伊吹は好きになれない。

    0
    2024年07月27日
  • 人でなしの櫻

    Posted by ブクログ

    なまめかしいというか、生々しい物語だった。普通に考えれば酷い犯罪である。でも登場人物たちは芸術に狂ってる。芸術とはそういうものなのか?少し倒錯が過ぎるかなと思ったが、耽美的でもある。自分にはちょっとついていけない世界だった。

    0
    2024年07月27日
  • 雪の鉄樹

    Posted by ブクログ


    改めて現実を見回すと、植物が生える庭を持つ家は少ないなと、手入れをしている庭の植物が気になるようになった

    0
    2024年07月25日
  • 雨の中の涙のように

    Posted by ブクログ

    堀尾葉介という1人の芸能人を軸にして紡がれる短編集。と同時に、堀尾葉介自身の物語として成立する長編小説でもある。悔恨と愛憎と狂気が混在する世界観ではあるが、くるんでいるオブラートが厚すぎて、どれも少しばかりきれいすぎるのが物足りない。それでも登場する映画のタイトルが知っているものばかりだったのは幸運だった。特に真夜中のカウボーイとスカーフェイスは大好き。そして中島みゆきさんの船を出すのなら9月も好きでした。それにしても遠田さんって、本当にストーリーテラーですよね。
    でも本音は、それまで美しかった短編の世界観が、最終話でもっと劇的に醜く姿を変える様が見たかった。次も期待しています。

    0
    2024年07月16日
  • 二周目の恋

    Posted by ブクログ

    「道具屋筋の旅立ち」
    「無事に、行きなさい」は、読んでてモヤモヤしつつ要点が掴めずにいた。
    カーマンラインはタイトルに合ってる気がした。
    ただ二週目ってなに?! 二度目ではなく二週目なのが、わからない。

    0
    2024年07月08日
  • 雪の鉄樹

    Posted by ブクログ

    お人好しの域超えて、むしろ迷惑かけまくりの主人公に呆れました笑でも1日で一気に読み切るほど面白かったです。こんなに誤ってばっかの人いるんだね〜

    0
    2024年06月15日
  • オブリヴィオン

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    読み手により色々な解釈ができる話だと思った。圭介は森ニをやり直させようとし、森ニも精一杯努力し、社会的には成功した。しかし、加藤や持田に邪魔をされるというか、自分達のレベルまで引き摺りおろそうとする。これは人間の嫉妬の力は非常に強いことが表現されていると思った。一方で物語終盤、主人公はすべてを受け入れ、それでもやり直そうとし、圭介が自分にしてくれた恩義を沙羅に再現しようとする。これは人間の愛情もまた強いことが表現されていると思った。

    0
    2024年05月15日
  • 雪の鉄樹

    Posted by ブクログ

    贖罪、愛憎、光。

    13年前に何があったのか?
    なぜ主人公はそこまでしなければいけなかったのか?
    気になって一気読み。

    自己満足の押し付けの償いであれ、
    遼平がその中でもちゃんと愛を感じ取ることが出来たのなら間違っていなかったんだろう。

    やるせないし、もどかしく思うけど最後まで読み切れて良かった。

    0
    2024年05月07日
  • 二周目の恋

    Posted by ブクログ

    普段は読まない恋愛小説。
    人気作家さん7人の短編集で大人の恋愛小説。
    もちろん初めての作家さんたちでした。
    二周目の恋とは何ぞや?と思いながら読み進めて、色々な恋愛がありました。
    「最悪より平凡」が1番好きでした。

    たまには恋愛小説も良いですね。

    0
    2024年04月11日
  • ドライブインまほろば

    Posted by ブクログ

    好きな作家さんでしたが、うーん、微妙。
    状況設定が受入れられなかったようです。
    一人一人は魅力的なので、同じメンバーでただただ幸せな設定で再会したいものです。

    0
    2024年03月14日
  • ドライブインまほろば

    Posted by ブクログ

    祖父母の営んでいたドライブインまほろばを復活させた女性。ある夏の日、幼稚園児と小学6年生の兄妹が現れ、夏休みが終わるまで雇って欲しいと言う。一晩泊めたところ、兄の憂は父親を殺したのだと告白する。3人は夏休みが終わるまでの間一緒に過ごすことになり…。
    …重い。重すぎる。憂少年の事情もそうなんだけど、少年の父親の過去とかほんと。読み終わった後なんか重いものが残る感じ。

    0
    2024年03月10日