遠田潤子のレビュー一覧
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ネタバレどんなに馬鹿げた予言でも、母親から向けられた言葉は呪いとなってその子の一生を縛ってしまう。その怖さを教えてくれる物語。
青川恭子が毒母と絶縁して呪いを断ち切るきっかけは何度かあったけれど、母から愛されたいって渇望が根底にある限り無理だったのかもと思うと苦しい。
生まれてくる孫に執着して妊娠した美沙を監禁する恭子の異常性を息子の英樹も夫の誠一も認めながら、最後は結局良い母良い妻として終わらせてるのが愛でもあり怖くもあり…男って…わかってねぇな…。
ネグレクトで車に閉じ込められた経験から鍵屋になった完の存在が秀逸。際立って印象に残った。 -
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主人公は何かを背負って生きてるのだけれど、なかなかそれが何なのか明かされず、理不尽に1人の少年とその祖母に怨まれ続けてる様子が描かれる。
献身的に世話をし真摯に過去の過ちを償っているように思えるのに、2人はひどい態度を取り続けるし、
まわりの人間でさえ主人公のその償い方が少年をダメにしていると窘める。
理不尽に感じるそれらは、事件の顛末が一から語られると納得に変わり、さらに読み進めると主人公の本当の思いに触れて涙が零れる。
誰にも関心を向けてもらえなかった幼少期、ヤングケアラー、挫折…関係者たちが歩んできた残酷な運命に言葉を失う。
そして、主人公が怨まれ続けても、甲斐甲斐しく少年の世話をしていた本当の理由。
償いではなかった、ただ楽しかった。
少年の世話をすることで子供時代をやり直せたと、どれだけ楽しかったか語る様子が切なくて堪らなかった。
純粋に一緒にいたかった、ただそれだけだった。
どんなに無茶苦茶されても、たった1人できた友達の頼み事を大事にし、自分のさみしさに気付いてくれた恋人を待ち続ける。
人は1人では生きていけないんだと、誰かに理解され認められることが必要なんだと改めて思わされた作品だった。 -
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「備前焼」の窯元の一家の話、ということで。
人間国宝の祖父、父、そして孫。
物語の第一部〜第四部までは主人公の孫の、幼少期からの父、祖父との歪な関係性への、内面の葛藤が中心に物語は展開していく。
そして恋愛、進学、身内の死、見えない将来など、普遍的な問題も現れるも、人間国宝の窯元の孫という立場、そして負けず偉大な父の存在、窯元の後継問題が常に主人公の前に大きく立ちはだかっている。
第四部の終わりに大きな物語の転換点があり、それには非常に驚かされた。そして第五部からは主人公の父の独白が入り、一気に過去の真相が明らかとなっていく。
最期の作品を焼き上げる場面は、読んでいてかなりの熱量、迫力があった。
ただ個人的には三点、気になった。
非常にテンポよく物語は進む。逆に、そのテンポが早すぎて、物語自体がぶつ切りの連続のように感じた。主人公の初体験、えらいあっさり終わったな、などと余計な事を考えてしまった。
次に、ラストがファンタジーのように感じたこと。これは著者の経歴を最後に読み、なるほど、と。良い意味で納得できた。
この二点は、初読みの著者作品なので、個人的な好みにはなるが「人間国宝」「備前焼の窯元」などをテーマにした作品で、読む前から重厚さを求めすぎていたのかもしれない。それだけこの作品への期待値が高かった。
最後に、これを言えば無粋になるが、「方言」の問題。
私は岡山県に所縁があり、現在も身内がいる。備前市伊部を訪れたことも当然あるし、備前焼は当たり前に目にしてきた。そういう意味では読む前からやはり、作品の期待値を勝手に天ほど引き上げすぎたのかもしれない。
もちろん岡山弁をそのまま表現すれば、まあ酷いことになるだろう(笑)
著者は上手く、そこを回避していた。
しかし岡山弁を知る者、いや、あくまで私個人は会話文に小さな違和感を常に覚え、それが最後まで抜けなかった。
こんなことは知らない土地の方言なら、私も何も気にせずふんふんと読んでいるはずだ。些末なことに引っかかる自分の器の小ささを覚えるも恥を忍んで、素直な感想を。
ストーリーはとにかく面白かったし、私にとっては懐かしい風景が随所に浮かび、望郷の念を強く感じた。
読めばきっと誰もが伊部を訪れたくなるだろうし、備前焼を手にしたくなるだろう。 -
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うーん、なんだろう。私には刺さらなかったなぁ。むしろ疑問の方が大きく頭を占めている。
備前焼の窯元一家、親子三代に亘る物語。天真爛漫で人間国宝の祖父、路傍と轆轤の名人で冷徹な父、天河の元、歪な家庭環境で育つ城。
城は路傍には可愛がられて育てられたが、天河には全く可愛がられることがなかった。
路傍が亡くなり、天河も亡くなり、天河との葛藤も消え去り人間として、窯元として成長していく。
そんな物語なのだが、天河の城に対する態度があまりにも理不尽だし不自然に感じた。路傍と天河の関係もあまりにも歪だ。まあ、世の中にはこういう関係もあるのかもしれないけれど、ストーリーよりも、なんとなくそっちの方が気になった。 -
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皆様が 遠田さんの新作を読んでいるというのに…
今ならすぐ読めるコーナーに差し込まれていた本作を。
紅蓮とは、燃えさかる炎のように赤い蓮。
激しい怒りや情念、苦しみが噴き上がるさまを表す言葉であり、
仏教用語「紅蓮地獄」に由来する、激痛と怨念の象徴でもあります。
渦巻く地獄に堕ちた親子。
汚れた血脈は、双子の姉弟を幼少期から呪縛として絡め取っていく。
久しぶりの遠田潤子作品。
冒頭の展開は早く、あっという間に演劇の世界へ引き込まれた。ただ、あっという間すぎて
そんなには上手くいくまいとは思います。
歌舞伎でも繰り返し上演されてきた『三人吉三』の因縁が、物語の中に巧みに織り込まれていました。
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山田風太郎賞
星3.5
本を選ぶ基準の一つに、賞をとったということも置いているので、山田風太郎賞を受賞した本作を読んでみる。
初読みの作家さん。他の方のレビューでは、本作は、今までの作風とがらっと変わったらしい。
本作では、ビジネス街のキタではなく、ミナミの雰囲気が漂っているが、今までの作品はどうだったのだろうか。
連作短編集であり、時代も1970年の大阪万博、1995年の阪神淡路大震災あたりから、2025年の大阪万博あたりまで。(1970年の万博開催中、天六の地下鉄建設現場で79人もが亡くなる大事故が起きていたとは!)
当然、登場する人物も歳を重ねているが、一貫して関係するのは、『カサブランカ』という女性漫才コンビ。
最後の一作は書き下ろしということだが、あらかじめ構想してあったのか、話がうまくまとまっている。ちょっとうまく行き過ぎの感もあるが。(追記: 山田風太郎賞のスピーチを読むと、最後の章は当初書いたものが編集者からダメ出しされたため、書き直ししたそうだ。そのため受賞できたと思うとのこと)
印象に残ったのは、東京アクセントで話す男の人が複数出てきたところ。このことで、その人の性格や生い立ちなどを現しているのだなあと感じた。(奈良の十津川村が標準語アクセントとは初めて知った。)
全編が共感できるわけではなく、ちょっと極端な家族の話もあったが、文章も読みやすく、大阪の空気感を感じさせる本作のような小説をまた読みたい。 -
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漫才姉妹コンビ、カラブランカの「チョーコ」と「ハナコ」に関わる人とか、関係ない人とかの主に親子関係をめぐる連作短編集。
1話目 カサブランカの後輩コンビ「はんだごて」。もう解散してしまったが、解散のきっかけは妊娠だった。ただ「はんだごて」ハルミは阪神大震災で娘を残して死んでしまい…
2話目 母は家族のためにご飯を作った。吐きそうでも満腹でも、とにかく残すことは許されない。ぶくぶくと太る。父が心筋梗塞で死ぬまで食事の強制が続く。
3話目 編曲家と売れない歌手の話
4話目 男運の悪い女たちの話
5話目 義理の父娘の話
6話目 一夜限りの「はんだごて」復活 -
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ネタバレ愛憎劇という言葉がぴったりで、
テレビドラマを見ているかのような感覚で、ページを捲る手が止まらない。
庭師である雅雪は、遼平という親のない子どもを支援している。
しかし、前半は支援している理由は明かされず、さまざまな痛い展開が満載。
後半になってから、この物語は雅雪の成長と葛藤を描くものだとわかっていく。
愛と憎しみ、持てる者と持てないものの埋められない溝。
その中で苦しむ人たち。
悩むだけでは先に進めない。
でも、進んでしまったら後には戻れない。
その先のちょっとしたボタンの掛け違いから起きる悲劇。
他人の不幸は蜜の味。愛憎劇のメンターテインメント。