遠田潤子のレビュー一覧
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大阪のお笑いの世界を中心にした連作短編集。
時代は1995年から現代まで。
大阪のお笑い界の頂点に立っている「カサブランカ チョーコ ハナコ」のチョーコを中心に色々な家族が登場します。
私はお笑いとか家族のものはあまり得意ではないので、星を少し減らしました。
チョーコとは一体、何者なのか…?
と思って読みました。
以下、各短編の、ネタバレしない程度のあらすじです。
「松虫通りのファミリア」
1995年。
漫才師の「カサブランカ チョーコ ハナコ」のチョーコに憧れて、親の反対を振り切ってピアノの世界からお笑い界に飛び込み、不倫の子を生んで阪神淡路大震災で亡くなった春美。
残された -
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芸術家・天才の感性を、人間の業と分かりやすく結びつけて書いていた。気持ち悪い、でも見ちゃう、で最後まで読ませる筆力が凄い。でもかなり人を選ぶ。
個人的には、天才本人がこんなに分かりやすく「描く理由や動機」を自覚するかな?と違和感もあった。読者を納得させなきゃいけないので仕方がないのだけど…
主人公が両親妻への愛憎をしつこいほど語るたび、これって天才というより、事実と作品を結び付ける評論家や研究家の目線だよな?と感じてしまった。天才の衝動を、我々一般人にも噛み砕けるレベルの情報まで落とした感。それって叔父(凡人)の小説と何が違うの?とも…
蓮子に、物語のための仕掛け以上の魅力を感じきれなかっ -
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私が近い父親の元に届いた
薔薇の絵の写真と手紙
息子ミモザは 父に代わって指定された場所へ
そこは廃墟のようなビル
待っていたのは三人の老人
そこで語られる 父親も若かった頃のそのビル
での出来事
物語の導入部分で 四人の男達と明石という女性
そして彼女の娘、白墨との生活が語られる
「ティファニーで朝食を」を陰鬱にした雰囲気で
どうも苦手と思ってしまう
そして、それはさほど間違っていなかったようで
小説半ばで「ティファニーで朝食を」の映画に行くといったシーンでタイトルが使われる
奔放な女性として作者も意識したのかと思う
当然遠田さんが奔放な女性で終わる事はなく
明石が抱えていた父親の問題
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ドライブイン、懐かしい響きだ。
東北の田舎出身なので、子供の時にドライブインに家族で立ち寄ったことはあるし、ドライブインという言葉も馴染み深い。
ただ、それがどういう位置づけのものなのかよくわかっていなかった。
そうか、ドライブインという言葉が死語になったのは道の駅が普及したことも原因なのか。田舎なら、駐車場の広い飲食店もあるし、わざわざドライブインを選ばない人も増えたのだろう。
ノスタルジックで温かみのあるタイトルではあるものの、登場人物たちは余すことなく負の連鎖、不幸の連鎖だ。
想像を超える、陰湿な不幸だ。
色々つらいんだけど、私が一番きつかったのは、憂が唯一好きだったおじいさん、それも -
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遠田さんが惹かれるという「理不尽ななにか」
妻を殺害した男の服役後
迎えたのは 実兄と義理の兄
男のそれまでの人生を丁重に遡って
男とそれぞれの兄との関係性が
物語が進むにつれて変化していきます
そして 登場人物達とそれぞれの父親との関わりが物語の重要な課題になります
妻を殺してしまったその理由は
可愛い一人娘が誰の子供かわからず
父親としての混乱からか
亡くなってしまった妻と 出所後知り合った
出自の不幸な女の子を重ね合わせながら
これからの幸せを探すラストは素敵だなと思いましたが、奇跡の出来事をストーリーの重要なポイントにしない方が良かったのでは、とちょっと思う
理不尽な何かは奇跡 -
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大阪ミナミの旧家の医者の息子と言っても70歳を超えてるんだけど、大分の日田の兄からハガキが届く。
二人の父は戦争帰りで命の恩人の娘と兄が許嫁となる。結婚式の日、弟と娘が駆け落ちしていた。連れ戻された娘と兄は結婚するが5年後に嫁と娘と義父を巻き添えにした無理心中をはかり、死にきれずに刑期を務めた後、日田で暮らしていたようだ。
70歳を超えた弟が最愛の女を殺された恨みを晴らすために思い出の日野のコンテッサに乗って兄を殺しに旅立つ。このコンテッサがニコイチの悪徳車で売った店の元店長がついてきたり、病気だったり、その恋人が現れたり、クネクネしながら最期に向かう。
そして兄は既に死んでおり、無理心中とい -
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堀尾葉介という1人の芸能人を軸にして紡がれる短編集。と同時に、堀尾葉介自身の物語として成立する長編小説でもある。悔恨と愛憎と狂気が混在する世界観ではあるが、くるんでいるオブラートが厚すぎて、どれも少しばかりきれいすぎるのが物足りない。それでも登場する映画のタイトルが知っているものばかりだったのは幸運だった。特に真夜中のカウボーイとスカーフェイスは大好き。そして中島みゆきさんの船を出すのなら9月も好きでした。それにしても遠田さんって、本当にストーリーテラーですよね。
でも本音は、それまで美しかった短編の世界観が、最終話でもっと劇的に醜く姿を変える様が見たかった。次も期待しています。