あらすじ
伊吹の最愛の双子の姉・朱里は20歳の誕生日を迎えた日、なんの前触れもなく自殺した。朱里の遺品の中から大衆演劇「鉢木座」の半券が見つかり、それが死ぬ前の最後の足取りであることを知った伊吹は、少しでも真相に迫るべく一座の公演に行った。公演後、座長に詰め寄る伊吹の姿を見た若座長の慈丹は、その容姿を見初め、入団を強く進めた。伊吹は何か手がかりが掴めるのではないかと入団を決意し、以降、訓練と舞台に追われる。そんなある日、ひょんなことから両親と鉢木座との繋がりが露見。それは鉢木座の過去に秘められた禁断の事実だった……。血脈に刻まれた因縁、人間の最果てと再生を描いた問題作。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
遠田潤子『紅蓮の雪』集英社文庫。
相変わらず遠田潤子は読者を物語の中に引き摺り込むのが巧い。双子の姉の自殺の真相を追う弟、姉が自殺する1週間前に観劇した大衆演劇、何故か大衆演劇の鉢木座に女形として入団してしまう弟。序盤からの怒涛の展開に気付けば物語の中に佇んでいる自分が居た。
そして、いつの間にか物語の世界に浸る自分に忌まわしき血脈の呪縛と禁断の真実が鬼気迫るかの如く烈しく襲い掛かって来る。もう何度も駄目だと思いながら、救いの無い物語として嫌な気持ちのままに結末を迎えるのかと思ったのだが……
読み終えて、これ程ホッとしたことは無い。
双子の姉、牧原朱里が20歳という若さで自殺する。大学の先輩で伊豆の老舗旅館の跡取りとの婚約を破棄して、自殺したのだ。彼女が自殺する1週間前の足取りを追い、遺された双子の片割れ、牧原伊吹は大衆演劇・鉢木座を訪れる。
伊吹は初めての大衆演劇に魅入られるかのように昼と夜の2回の公演を観劇し、公演が終了した後で座長に自分の姉のことを尋ねるが、何も知らないと言われる。
途方に暮れる伊吹の前に座長の息子の若座長・慈丹が現れ、伊吹を鉢木座の女形としてスカウトする。初めは伊吹の加入に難色を示した座長だったが、慈丹と伊吹の熱意に押され、加入を許される。
少しずつ鉢木座に馴染む伊吹は、幼い頃から自分は汚れているのだという思いから他人と触れ合うことが苦手だった。そんな訳で伊吹は座員や客との距離が縮まれば縮まる程、苦痛を感じていたのだ。
やがて明らかになる己の血脈の呪縛と禁断の真実。鉢木座と姉の自殺との関係とは……
本体価格880円
★★★★★
Posted by ブクログ
ふたごの姉が20歳の誕生日に実家の裏山にある城から飛び降りた。自殺だ。親に愛されず二人でけで生きてきたつもりだった。理由を教えず、なぜ姉は死んだのか。
主人公の青年は大衆演劇に身を投じて原因を探していく。両親も親に愛されず育った、許されぬ血のつながった関係。新たな事実が浮かび上がる。
最後に姉の自分への気持ちに気づいた主人公が切ない。
自分探しと大衆演劇。知らない世界が見えてなおかつ上質なミステリー。面白い。
Posted by ブクログ
大衆演劇に今まで触れたことがなかったが、伊吹の入団からの軌跡を一緒に見ることで非常に親近感が湧き、観てみたいと思った。序盤は謎なことが多く、伊吹の振る舞いにモヤモヤすることもあったが、きれいに伏線回収された最後には可哀想で居ても立っても居られなかった。救われてよかった、、
若座長が完璧な人間過ぎて、彼の舞台を観てみたくなった。ただ、きっと一度見たらお花をつけるために奔走してしまうんだろうなとも思った(笑)
情景が浮かびやすく、最後まで楽しめる作品でした。