【感想・ネタバレ】ミナミの春のレビュー

あらすじ

愛する娘を傷つけたくない。著者渾身の人情譚

痛みも後悔も乗り越えて、いつかみんなできっと笑える。
『銀花の蔵』で直木賞候補、
いま注目の作家が放つ“傑作家族小説”!

売れない芸人を続ける娘、夫の隠し子疑惑が発覚した妻、父と血のつながらない高校生……
大阪・ミナミを舞台に、人の「あたたかさ」を照らす群像劇。

◎松虫通のファミリア
「ピアニストになってほしい」亡妻の願いをかなえるために英才教育を施した娘のハルミは、漫才師になると言って出ていった。1995年、阪神淡路大震災で娘を亡くした吾郎は、5歳になる孫の存在を「元相方」から知らされる。

◎ミナミの春、万国の春
元相方のハルミが憧れた漫才師はただ一組、「カサブランカ」。ハルミ亡き後も追い続けたが、後ろ姿は遠く、ヒデヨシは漫才師を辞めた。2025年、万博の春に結婚を決めたハルミの娘のため、ヒデヨシは「カサブランカ」に会いに行く。

(他、計6篇)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ミナミの街の匂いがする小説。宮本輝の道頓堀川を彷彿させる。泥臭く貧しい日常の人々の人情がミナミにとても合ってる。いい作品だなぁ。

0
2025年12月07日

Posted by ブクログ

大阪を舞台にしたオムニバス形式の物語、中心にいるのは姉妹の漫才師
それぞれの話が人情深く心に優しく届いてきました
とてもいいお話でした

0
2025年05月24日

Posted by ブクログ

大阪・ミナミを舞台にして、平成初期から現代にかけて紡がれる群像劇。この人の作品って、いつも登場人物の境遇が圧倒的に不幸でしんどいイメージなのですが。今回はそれほどでもないかな。それぞれの登場人物にやはり不幸なことはありますが、しかし不幸なことが何ひとつない人生を送れる人なんてそうそうないと思えば、悲愴感は薄め。そしてもちろん、その不幸を自分自身で乗り越えていく彼らの姿は力強く、読後は温かく希望の持てる物語になっています。
お気に入りは「黒門市場のタコ」。血のつながらない父との関係に悩む少女の物語。ただし彼らの関係は理想的な親子のように見えて、いったい何が不満なの、と周りからは思われそうです。たしかにこれは傍目にはわからないしんどさですね。わかってもらえないことがさらにしんどいだろうし、悪意など欠片もない方が対処しづらいし。実は一番しんどい話でした。
「道具屋筋の旅立ち」も好きな話。これもまたしんどい話。でも横暴に見えた人たちも実は苦しんでいたのか、ということが分かると、ややしんどさが薄れる気もします。そしてラストが素敵。
そして全編を通して見えてくるチョーコの姿が印象的でした。凛として美しく、しかしとてつもない悪女とも言われる苛烈で奔放な女性。毀誉褒貶の分かれる彼女だけれど、どれが本当の姿なのか。読み終えた後では、とにかくカッコいいとしか言いようがありませんが。彼女が実は一番いろんなものを抱えて生きていた人なのかも。

0
2025年04月08日

Posted by ブクログ

私にとって普段馴染みのない「大阪」描ききった物凄い作品でした。お笑い芸人を通して人生の浮き沈みや葛藤を描いた素晴らしい作品でした。各章ごとに関連性のある人物が出てきて泣かせてくれます。ラストは涙なくしては読めなく感動しっぱなしでした。あなたもぜひ読んで感動して下さい。涙して下さい。

0
2025年02月10日

Posted by ブクログ

閑古錐 八角磨盤空 壺中日月長し 惺惺着 
一笑すれば千山青し 花開く万国の春
これらはこの小説の各章に出てくる言葉。禅の言葉だったりするようだ。その言葉に登場人物がこれらの言葉に自分を顧みる。
どれもなるほど、いい言葉ばかりだ。

物語は大阪の姉妹の漫才師が関わりながら展開していく。
最初は若くして亡くなったピアニスト夫婦の娘が芸人になり、その娘が最後の話を締める。
ファミリアの子ども服 懐かしかった。
私も大好きだった。娘と息子、お揃いで着せた。
でも、この亡くなったピアニスト、自分の夢を亡くなってまで娘に押し付けるのは娘にとって重すぎるのでは。
基本的に親のエゴに子ども達が振り回されている状況が底辺に流れていた。天才漫才師姉妹然りだ。
「親は愛情で子供を壊せる」漫才師の姉が言ったこの言葉、ドキッとした。
親から、そして最後は先輩から自立していく者達の物語だった。
身勝手な親の姿に腹を立てながら、自分の子育てを振り返りながら、読み応えのある物語だった。

0
2025年10月18日

Posted by ブクログ

大阪ならではの話。お笑いと人情コテコテ。ちょいちょい出てくる禅の言葉が馴染みがなくて違和感があった。

0
2025年09月19日

Posted by ブクログ

人間関係ってややこしいなと思うけど、あぁ、よかったと思うこともあり、後からジワーっとくる物語やった。なんで自分だけと思い悩むことはない。

0
2025年09月06日

Posted by ブクログ

大阪を舞台にしと人情味のある短編集。ところどころに禅の言葉が出てきて考えさせられる。“閑古錐“、いけないなと思いつつも心の錐はなかなか丸くならない。

0
2025年08月30日

Posted by ブクログ

人の温かさや優しさに溢れる物語だった。
一方で親から受けた期待の重さが子供を不幸にしてしまう怖さをまざまざと感じさせられた。
チョーコもハナコも華やかな世界にいながら、裏で人知れずいろんな苦労をしていたにも関わらず、ヒデヨシやハルコに優しくしてくれていたのには救われた。
やはり、人を信じたいと思った

0
2025年06月08日

Posted by ブクログ

遠田潤子作品ははじめて。芸人コンビのカサブランカがつなぐ6編の物語は、映画のようなテイストで読み応えあり。ジワジワくるのが心地よいです。

0
2025年05月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2025/03/28予約 21
盛りだくさんのエピソードが少しずつまとまっていく。大阪に詳しくないが地元ならもっとリアルに楽しめたのかも。
1970年の万博から2025年の万博まで、大阪近辺の事件に合わせて売れっ子漫才コンビのカサブランカ、売れないコンビのはんだごて、に関わる人々。みんなどこかに親との関係を引きずっている。クセのある登場人物の中で一番共感できたのは、翼の養父である福永充。たくさんのプレッシャーの中、気を抜ける瞬間や場所はあるのかな。
遠田潤子作品にしてはスピーディーに読み進めることができた。
大阪に土地勘のある人に読んでほしいと思った。

0
2025年05月19日

Posted by ブクログ

作者の名前読み間違えてる?と思うほど明るい表紙で思わず手に取ってしまいました。私の中のハズレない作者のうちの1人なので、今回も読み応えは◎

0
2025年05月10日

Posted by ブクログ

売れっ子お笑いコンビや編曲家などが大坂で、栄光と挫折を味わう連作短編集。

義理と人情的な「大阪っぽい」人達の話。面白かった。

0
2025年04月16日

Posted by ブクログ

旅立ちの春にピッタリのお話。遠田さんの小説は大河ドラマのように重厚でいて、ホロリとくる。「花開く万国の春や」1日でも早く世界中にめでたい春が来てほしい。心底願う。「閑古錐・先が丸くなって使えなくなった錐。つまり役に立たないポンコツ。でもポンコツにはポンコツにしか出せへん丸みがある。円熟。若いうちがすべてやない。歳をとってからできるようになる事もある」「じゃ俺もいずれ閑古錐になれるかな」関西独特の慣用句?「スーパーのかごにミカンを放り込んだような笑顔」うーむ。

0
2025年04月15日

Posted by ブクログ

大阪・ミナミを舞台に人の「あたたかさ」を描いた家族小説。
1995年から2025年の春までの連作短編集である。
要所に『カサブランカ』のチョーコ・ハナコの姉妹漫才師が出てくる。

○松虫通のファミリア〜ひとり娘のハルミが、漫才師になると出て行ってから、阪神淡路大震災でその娘が亡くなり、五歳の孫の存在を知らずにいた吾郎はそのことを元相方から知らされる。

○道具屋筋の旅立ち〜優美の母親が家族のために作り続けた大量の食事の悲惨な結末に感じたことは。

○アモーレ愛合橋〜杉本が歌手・柿原登に作曲家として作った「アモーレ愛合橋」はヒットしたが、その後転落の人生で43歳で亡くなった柿原。
唯一最後に愛する人に作った「千羽鶴に乗って」も柿原に譲ることになったのだったが…。

○道頓堀ーズ・エンジェル〜夫の隠し子疑惑が発覚した58歳、結婚詐欺に遭い一千万を騙し取られた38歳、失恋した18歳が、戎橋の前で泣く。

○黒門市場のタコ〜母が亡くなり父と2人の生活になった翼だったが、不自由さはないはずだが自由ではないと感じている。お互いに無理してる、遠慮があると…。

○ミナミの春、万国の春〜元相方の娘の結婚式に彼女のためにヒデヨシが見せたものは、憧れのカサブランカとの漫才だった。


大阪感が満載で、ミナミの町が思い浮かぶようだった。どこにいても漫才師が近くにいるような感じがするのは大阪だからだろうか。

道頓堀ーズ・エンジェルがとても濃い〜と感じた。
「温かいもんと甘いもんはいつでも女の味方や」というのがわかる。
どん底かという思いをしても誰かが泣いていたらほっとけるわけがない。
自分だって相当な思いでいるだろうに、励まして声かけている。
それも見知らぬ人やのにな…。






0
2025年03月24日

Posted by ブクログ

1995年から2025年までのミナミ(南大阪)を舞台にして、姉妹コンビの漫才師・カサブランカを軸に描いた連作短篇集。6篇の短篇で構成された群像劇だ。
これまでの遠田さんの著作のイメージと漫才が噛み合わなくて最初は戸惑ったが、読み進めていくうちに違和感は消えた。一筋縄ではいかないしがらみ、様々な形の家族、愛が次々に現れる。登場人物の1人が言う“一笑すれば千山青し”という禅語が象徴していた。
「黒門市場のタコ」と「ミナミの春、万国の春」が特によかった。

0
2025年03月22日

Posted by ブクログ

山田風太郎賞

星3.5
 
本を選ぶ基準の一つに、賞をとったということも置いているので、山田風太郎賞を受賞した本作を読んでみる。

初読みの作家さん。他の方のレビューでは、本作は、今までの作風とがらっと変わったらしい。
本作では、ビジネス街のキタではなく、ミナミの雰囲気が漂っているが、今までの作品はどうだったのだろうか。

連作短編集であり、時代も1970年の大阪万博、1995年の阪神淡路大震災あたりから、2025年の大阪万博あたりまで。(1970年の万博開催中、天六の地下鉄建設現場で79人もが亡くなる大事故が起きていたとは!)

当然、登場する人物も歳を重ねているが、一貫して関係するのは、『カサブランカ』という女性漫才コンビ。
最後の一作は書き下ろしということだが、あらかじめ構想してあったのか、話がうまくまとまっている。ちょっとうまく行き過ぎの感もあるが。

印象に残ったのは、東京アクセントで話す男の人が複数出てきたところ。このことで、その人の性格や生い立ちなどを現しているのだなあと感じた。(奈良の十津川村が標準語アクセントとは初めて知った。)

全編が共感できるわけではなく、ちょっと極端な家族の話もあったが、文章も読みやすく、大阪の空気感を感じさせる本作のような小説をまた読みたい。

0
2025年12月07日

Posted by ブクログ

漫才姉妹コンビ、カラブランカの「チョーコ」と「ハナコ」に関わる人とか、関係ない人とかの主に親子関係をめぐる連作短編集。

1話目 カサブランカの後輩コンビ「はんだごて」。もう解散してしまったが、解散のきっかけは妊娠だった。ただ「はんだごて」ハルミは阪神大震災で娘を残して死んでしまい…

2話目 母は家族のためにご飯を作った。吐きそうでも満腹でも、とにかく残すことは許されない。ぶくぶくと太る。父が心筋梗塞で死ぬまで食事の強制が続く。

3話目 編曲家と売れない歌手の話

4話目 男運の悪い女たちの話

5話目 義理の父娘の話

6話目 一夜限りの「はんだごて」復活

0
2025年11月14日

Posted by ブクログ

カサブランカという伝説の姉妹漫才師を軸に1970年の万博から2025年の万博まで物語が展開していく。
ザ・大阪の人情ものなんだけど、なんというか、滑稽さが足りない気がして物足りなさを感じた。織田作之助や田辺聖子に比べるとなんか余韻がない、というか。
最後のハナコ姐さんの挨拶は予期せず感動したが漫才やお笑いを小説にするのは難しいものだなぁ、と思った。(漫才の台本を挟まれて、伝説の舞台と言われても面白さが伝わらないから冷めるというか…)

0
2025年08月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

遠田潤子作品 2冊目を手に取りました。

前回読んだ『人でなしの櫻』は ちょっとゾクゾクするような人の狂気が溢れて それでも一気読みの本だった。

今回は舞台は大阪
伝説の漫才姉妹の「カサブランカ」の姉 チョーコを中心に
関りある登場人物たちが それぞれの人生の挫折や・孤独を味わいながら それでも前に進んでいく 
連作短編小説

この作品の面白いところは 1作品ごとに
人生に寄り添うような禅の言葉が出てくるところ
・閑古錐(かんこすい)
・惺惺着(せいせいじゃく)
・一笑すれば千山青し
・花開く万国の春  などなど

でも この話の中で ぐゎんと心に波を起こしたのは
「親は愛情で子どもを壊せる。自分を助けられるのは自分だけ」という チョーコの言葉

意味を感じたい方は ぜひ 小説の中で出会ってください。おすすめです。

0
2025年08月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 大阪観光で歩いた橋やお店などが多く登場し、久しぶりに行ってみたくなった。
『アモーレ相合橋』『ミナミの春、万国の春』の2作が良かった。 「アモーレ相合橋」や「千羽鶴鶴に乗って」は実在しない曲のようだが、もしあるとしたら聴く人の心に響くいい曲なんだろうなとイメージする。
 
 ➖印象に残ったところ➖
 運命。自分にも他人にも、いついかなる時にも使えるこの世で1番陳腐でタチの悪い言葉だ。
 罰が当たったから、これが自分の運命だと言う。罰を当てたのは神様。つまり自分は悪くないとでも言うのか。

0
2025年06月28日

Posted by ブクログ

大阪人やから地名、店名とかは馴染みがあります。
年齢バレしますが各時代の熱みたいなんは感じられました。
カサブランカのチョーコさんのモデルが誰なんかわからん、そんな綺麗な芸人さんおったかなあ…
ミャクミャクは慣れるみたい(笑)

0
2025年06月24日

Posted by ブクログ

遠田潤子さんのイメージがだいぶ変わった。馴染みのある場所がたくさん出てきて楽しく読んだ。アモーレ相合橋の話が一番好き。

0
2025年05月12日

Posted by ブクログ

大阪のお笑いの世界を中心にした連作短編集。

時代は1995年から現代まで。
大阪のお笑い界の頂点に立っている「カサブランカ チョーコ ハナコ」のチョーコを中心に色々な家族が登場します。
私はお笑いとか家族のものはあまり得意ではないので、星を少し減らしました。
チョーコとは一体、何者なのか…?
と思って読みました。


以下、各短編の、ネタバレしない程度のあらすじです。





「松虫通りのファミリア」
1995年。
漫才師の「カサブランカ チョーコ ハナコ」のチョーコに憧れて、親の反対を振り切ってピアノの世界からお笑い界に飛び込み、不倫の子を生んで阪神淡路大震災で亡くなった春美。
残された漫才コンビの相方のヒデヨシのところに孫の彩を連れに行った春美の父、吾郎。
娘を自分より早く亡くした親は辛いでしょうね。


「道具屋筋の旅立ち」
優実25歳と大学生の誠のカップルのお話。
優実の家の食事シーンの描写がなんか凄いな~と思ったら。作者が遠田さんでした。


「アモーレ逢い相合橋」
昭和の大阪の音楽業界のお話。
「チョーコ ハナコ」のハナコと結婚した歌手の柿原登と作曲家だった杉原昭彦とその想い人ちづる。
昭和レトロ感がとっても漂っていました。


「道頓ーズ、エンジェル」
2018年10月26日から27日にかけてのお話。
男運のない橋本喜佐58歳と田島都38歳が大阪ミナミの劇場で「カサブランカ チョーコ」の演じる『細雪』の雪子を観に行って偶然出会い、さらにもう一人男運の悪い西木サエ18歳とも出会い意気投合します。
チョーコは56歳になっています・。


「黒門市場のタコ」
二歳の時に実父を亡くし、介護士の母の再婚で耳鼻科医の父をもった翼。
しかし母も亡くしてしまい、血のつながらない父娘になった二人。
そして家政婦の多恵子の母は昔チョーコの家で働いていたといいます。果たしてチョーコとは何者なのか…?
徐々にチョーコに近づいていきます。

「ミナミの春 万国の春」
春美の娘である彩の母は、阪神淡路大震災で亡くなりましたが、彩は祖父の吾郎に育てられ、成長して結婚することになりました。
春美は「チョーコ」に憧れてお笑いの道に進みました。
一緒にコンビを組んでいた「はんだごて」のヒデヨシは彩のためにチョーコにとあるお願いをしにいきます。
最後はとうとうチョーコが出てきてどう締めるのか…。

0
2025年04月05日

Posted by ブクログ

おもしろいのに乗り切れない面があったのは否めず。でもラストまで読んで良かった。
最初に読んだ作品良かったし、もっと読んでみたいと思ってる作家さんの1人です。

0
2025年03月29日

Posted by ブクログ

良かったんだけど、うーん。
思ってたのと違ったなぁ。
ちょっとずうつながってる短編集。
「道具屋筋の旅立ち」は軽くホラーだった。
「道頓堀ーズ・エンジェル」がいちばん良かった。
どの話にも出てくるカサブランカの話をもっと掘り下げても良かった気がするなぁ

0
2025年03月13日

「小説」ランキング