あらすじ
薩摩の支配下にあった奄美。孤児のフィエクサは、父を失った少女サネンと兄妹の契りを交わす。砂糖作りに従事する奴隷のような身分の二人だが、フィエクサは碁を習い才覚を発揮、サネンは美しい娘に成長する。しかしサネンが薩摩の役人から妾に所望され、過酷な運命が動き出す――。濃厚な花の匂いの中、無慈悲な神に裁かれる禁断の絆。魔術的な魅力に満ちたファンタジーノベル大賞受賞作。(解説・吉田伸子)
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個人的にとても好きだった。
——濃く、そして哀切だ。
解説にそうある通りの印象。
結構狂気的な部分も感じるけれど、そこがよかった。
久しぶりに、ずるりと引きずりこまれたな、という感覚。
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好きな作家、遠田潤子のデビュー作。現代の海のはなしと江戸時代の奄美の鳥のはなしで構成されたファンタジー。「これがデビュー作か⁈」というくらい、素晴らしい秀作だ。
奄美の暗く、希望のない生活。囲碁という希望。禁断の愛に山の神、悪神。不思議な空気感と蜃気楼のように進む話。絶望で終わることなく、最後に前に進む道標を示す。
「この世の終わりで、また」
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2009年第21回日本ファンタジーノベル大賞
そして、遠田さんのデビュー作
薩摩の支配下にあった江戸時代の奄美
その階級社会最下層の少年と少女
現代の奄美の海上を カヤックで漂流する少女
その兄との生死を彷徨う事故と病気
奄美の伝説が元にはあるようです
ファンタジーであり
歴史物であって
兄弟の物語になっています
そして 兄達は過ちを犯す
デビュー作とは思えない物語の幅の広さです
私には この両方の兄達の頑なさが
憐れから 穢れへと移りゆく事が苦しかった
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遠田潤子『月桃夜』新潮文庫。
第21回日本ファンタジーノベル大賞受賞作にして、デビュー作。新潮文庫nexから刊行された作品を加筆修正したようだ。
やはり、遠田潤子にはファンタジー小説は似合わない。遠田潤子の小説なら『アンチェルの蝶』『雪の鉄樹』などハードな小説の方が断然面白い。
薩摩の支配下にあった奄美で孤児のフィエクサは父親を失った少女サネンと兄妹の契りを交わす。二人は砂糖黍から砂糖を作る奴隷のようなヤンチェという身分だった。
やがて、フィエクサは囲碁を習い、その才能を開花させる。一方のサネンは美しい娘に成長し、薩摩の役人から妾になることを要求される。
二人を待ち受ける過酷な運命……
本体価格670円
★★★