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1972年「赤旗」平壌特派員となった私は、大阪の定時制高校で席を並べた親友の尹元一(ユンウォニル)を訪ねた。友は「地上の楽園」で幸せに暮らしているはずだった──なぜ金日成は帰国運動を必要としたのか。書かれざる日本共産党と在日朝鮮人運動の関係とは。「突出する力作」(深田祐介氏)、「人を動かす力をそなえた作品」(立花隆氏)。明らかにされる重大事実とともに理想を信じて北へ帰った人々の悲劇を描き、満票で第30回大宅壮一ノンフィクション賞に輝いた記念碑的名作。
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Posted by ブクログ
[暗闘に消えた友情]戦後間もない頃、共産主義運動に青春を傾けながら友情を分かち合った著者とその友人の尹。北朝鮮への帰国事業に参加した後、音沙汰が途絶えてしまった2人の関係であったが、「赤旗」の平壌特派員として北朝鮮に送り込まれた著者は、ある人物から「尹が今ここにいるから来ないか」との誘いを受け......続きを読む...。満場一致で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した渾身の作品です。著者は、本書の執筆中も身の安全への不安から震えにたびたび襲われたという萩原遼。 自らの人生路をたどりながら帰国事業の真相、体制が糊塗しようとしたもの、平壌における生活の一端などを明らかにしていくのですが、若き頃から朝鮮が身近であった著者だからこそ書ける臨場感に満ち溢れていました。また、友人を死地に追いやってしまったかもしれないという懺悔にも似た思いから溢れる切迫感も著者の筆からひしひしと伝わり、北朝鮮の底深き一点を著者と共に覗かせてもらったように思います。 本書の白眉は北朝鮮への帰国事業の内幕を、公文書などを用いながら徹底的に暴ききったところ。「地上の楽園」と北朝鮮を喧伝しつつ、迎える側も送る側もその虚偽を知りながら、いわば独善と少数のための影響力確保の観点から進められたこの事業の恐ろしさ(そしてこんなことを許したというやり切れなさ)を改めて知ることができました。戦後初期の日・朝鮮関係に特に顕著に見られる、国家単位の関係までには表立ってこないどろどろした感じを体感できたところも有意義でした。 〜お人好しもまた罪悪である。〜 いろいろと目を開かせてくれました☆5つ
大分前に購入した本です。部屋に積んでおいたら父がこの本読みたくて探していたんだ、と持って行きました。そう言えば読んでなかったなあ、と父の部屋から取り返してきました。 重い話です。在日の方が帰国運動で北朝鮮に帰ったのは1960年からとありますから自分が生まれる大分前の話です。なんとも辛い話です。で...続きを読むも実際にかの国で生きていかなければならない人達にはいかほどの辛苦があるのだろうか。想像するに余りあります。 お隣の国なのに済州島の4・3事件の事も初めて知りましたし、朝鮮戦争の事もほとんど知らない事に不勉強だなあと恥ずかしく思いました。もう少し日本史とアジアの歴史を調べよう。 韓徳ス(漢字が出てこなかった)が熱海に居たとあり祖父を思い出しました。そういう時代に祖父は生きていたんだなあ
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