Posted by ブクログ
2018年02月15日
私はこれを読むまでは南京事件などなかったのだとか、一般人というのはすべて便衣兵だったのだ、30万人など当時の南京にいなかったのだからその数字は中国のでっち上げなのだという意見を信じたいという側の人間だった。それは現代の平和な日本に住み、優しくまじめな日本人を見ていてそんなことがあり得るのだろうかと考...続きを読むえていた。しかし、この本を読んで、兵士の日記や写真から人数の正確さは証明できないまでも日本兵が犯した殺戮は否定しようもない。人数は関係ないのだと思える。兵士の日記には切り取られて事実がわからない部分が何ページかあったそうだ。それだけでどれほどの恐ろしいことが行われていたのかが逆に想像できてしまう。これまで朝鮮への軍隊の出兵は日本人を保護するためと言われていたりするが、後々まで日本軍は兵を引くことをしなかった。朝鮮にも中国にも明らかな侵略だったと思える。私は戦国時代の日本を思い起こした。切腹と捕虜になるくらいなら自害するという考え方は日本人の独特のプライドの高さだと思った。もちろん戦争とはこういうもので日本だけがそうではないが、他国と同様日本人も相当なひどいことをしたという事実はしっかりと認めていく必要があり、決して消し去られるものではなく、また繰り返してはいけないと思った。被害者は忘れることは不可能だと思うけれど、それでも未来に向かって互いに手を携えていかなくてはいけないと思う。互いに自分たちの都合の良いように解釈するのはもうやめなくてはいけない。