SF・ファンタジー - 創元推理文庫作品一覧

  • 熊と小夜鳴鳥
    4.1
    ルーシ北部の領主の娘ワーシャは、変わった少女だった。人には見えない精霊を見る力をもっていたのだ。だが母が亡くなり、新しい母アンナがやってきたことで、彼女の運命は一変した。アンナは熱心なキリスト教徒で、精霊を悪魔と呼び、怯え嫌ったのだ。さらに都から派遣された司祭が村人の精霊信仰を禁じたため、本来人々を悪しきものから守っていた精霊たちの力が弱くなってしまった。ある冬、村を極寒と夜の化け物が襲った。ワーシャは精霊を助け、化け物と戦うが……。心のままに自由に生きようとする少女ワーシャの闘いを描く、三部作開幕。
  • 蛇苺の魔女がやってきた
    3.5
    ディアーヌ学院での水晶玉占いの授業中、綾乃は突然気を失う。雪之丞の心配をよそに、その後の夏至祭も大成功に終わり、期末テストを終えれば楽しい夏休み……のはずだった。ところが気になる噂が綾乃の耳に入る。群馬県の山奥にある五郎丸湖で、ネッシーに似た生物が目撃されているというのだ。忘れもしない二年前の夏、故郷の角田村で綾乃を襲った首長竜、あれは確かにアロウが倒したはずだ。そんなとき、綾乃たちは五郎丸温泉にある先輩の別荘に招待される。妖怪と人間が共に学ぶ魔女学校を舞台にした、人気の学園ファンタジイ第3弾!
  • 星砕きの娘
    4.1
    鬼が跋扈する地、敷島国。鬼の砦に囚われていた少年鉉太は、ある日川で蓮の蕾と刀を拾う。砦に戻ると、驚いたことに蕾は赤子に変化していた。蓮華と名づけられた赤子は、一夜にして美しい娘に成長する。彼女がふるう刀〈星砕〉は、人には殺すことのできない鬼を滅することができた。だが、蓮華には秘密があった。〈明〉の星が昇ると赤子に戻ってしまうのだ。鉉太が囚われて七年、都から砦に討伐軍が派遣されるが……。鬼と人との相克、憎しみの虜になった人々の苦悩と救済を描いたファンタジイ大作。第四回創元ファンタジイ新人賞受賞作。/解説=乾石智子
  • 星水晶の歌 上
    -
    季節外れの嵐、雨のない雷、全てを覆い尽くす白い霧。世界を襲う異常気象は、アトーリス王国が秘密裏に開発した兵器〈氷河〉の影響か。敵国ギルデアがその兵器を奪おうと画策するなか、王室の諜報員ステランは危機感を募らせる。内外から迫る脅威。立ち向かうすべはあるのか。ランドリアはひとつの覚悟を胸にギルデアに赴き、ウィルナーは故国の激戦に身を投じる。一方、サラファーンの星の雫を預言の英雄に届ける途上、砲弾に倒れたジョーは、九死に一生を得るが……。戦乱に翻弄されながら精一杯いまを生きる人びとを描く壮大な四部作ついに完結。
  • 星の羅針盤
    4.0
    人の住む六つの王国と神秘に包まれた種族フィーンの王国は、長いこと平和のうちに栄えていた。だがフィーンのもとから大いなるダイヤモンドが奪われると、暗い影が世界を覆いはじめる。ギルデア王国が隣国に侵攻、戦火はいくつもの国を巻きこんでいった。戦火の迫る故国を脱し、母と兄とともに母の故郷の村に身を寄せたリーヴは、村はずれの深い森で、紫の瞳をもつ不思議な少女に出会う。永遠の友情、初恋、遙かな国の伝説、そして陰謀……。戦の影に怯えながらも、平和を願い、ひたむきに生きる少女の姿を描く〈サラファーンの星〉4部作開幕。
  • 星巡りの瞳
    3.7
    双眸に星を宿した天の申し子。人々を真なる道に導く――そう予言され生まれてきた柳宮家の嫡男白珠は、ある事件をきっかけに右目ばかりか宮城内での地位もすべて失い、世捨て人のような生活を送っていた。だが、妹の代わりに旧都香久の御所守を買ってでたことから、運命の歯車は大きく回り始める。うち捨てられ、鬼の巣窟となったかつての都。そこに巣くっていたのは、元は人でありながらも妄執に囚われ鬼と化した、鬼の王陽炎だった。『星砕きの娘』から遡ること数百年、星の目を持つ男と鬼との壮絶な闘いを描いたファンタジイ大作!/解説=東雅夫
  • 滅びの鐘
    3.8
    北国カーランディア。建国以来、土着の民で魔法の才をもつカーランド人と、征服民アアランド人が、なんとか平穏に暮らしてきた。だが、現王のカーランド人大虐殺により、見せかけの平和は消え去った。娘夫婦を殺され怒りに燃える大魔法使いが、平和の象徴である鐘を打ち砕き、鐘によって封じ込められていた闇の歌い手と魔物を解き放ったのだ。闇を再び封じることができるのは、人ならぬ者にしか歌うことのかなわぬ古の〈魔が歌〉のみ。『夜の写本師』の著者が、長年温めてきたテーマを圧倒的なスケールで描いた、日本ファンタジイの金字塔。
  • ほんものの魔法使
    4.4
    魔術師――時に奇術師や手品師とも呼ばれる人々が住まう都市マジェイア。偉大なる魔術師の娘ながら周囲からできそこない扱いされていた少女ジェインの前に、ある日ふしぎな青年があらわれる。ものいう犬モプシーとはるばる山のむこうから旅してきたという彼は、魔術師ながら肩書きのない“ただのアダム”と名乗る。魔術師名匠組合(ギルド)への加入を希望するアダムのために、ジェインは助手となって審査会に臨むことに。そこで彼女が目の当たりにしたのは、種も仕掛けもない“ほんものの魔法”だった。矢川澄子の名訳で贈る、色褪せぬファンタジイの名作。/解説=井辻朱美
  • 魔術師ペンリック
    4.2
    ペンリック・キン・ジュラルド19歳、兄が決めた婚約式のために町へ行く途中、病で倒れている老女の最期を看取ったのが、すべての始まりだった。亡くなった神殿魔術師の老女に宿っていた庶子神の魔が、あろうことかペンリックに飛び移ってしまったのだ。おかげで婚約は破棄され、ペンリックは10人の人間とライオンと馬を経てきた年古りた魔を自分の内に棲まわせる羽目に。魔はすべて庶子神に属する。魔を受け継いだペンリックは魔を制御すべく訓練をはじめるが……。中編3編を収録、ヒューゴー賞など5賞受賞の〈五神教シリーズ〉登場。
  • 魔術師ペンリックの仮面祭
    4.5
    庶子神祭を目前にした運河の町ロディ。大神官庁での仕事にいそしんでいたペンリックは診療所から患者を診て欲しいとの依頼を受ける。海で救出された若者が、魔に憑かれて錯乱していたのだ。ペンリックは魔を剥がすことができる聖者を見つけるが、患者は祝祭に沸く町に逃げこんでしまった……。「ロディの仮面祭」ほか、海賊に襲われたペンリックが囚われの姉妹とともに脱出を図る話「ラスペイの姉妹」、義兄が指揮をとっている砦で蔓延する疫病の原因を探る「ヴィルノックの医師」の中編3作を収録。ヒューゴー賞シリーズ部門受賞シリーズ第三弾。/【目次】ロディの仮面祭/ラスペイの姉妹/ヴィルノックの医師/訳者あとがき
  • 魔術師ペンリックの使命
    4.4
    ペンリックは、アドリア大公からセドニアのアリセイディア将軍に宛てた内密の手紙を携え、船でセドニア帝国に向かった。だがなぜか港についた途端、間諜として拘束され、投獄されてしまう。自らの内に棲む庶子神の魔デズデモーナの助けで牢を脱出したはいいが、なんとか尋ねあてた将軍は既に捕らえられ、両目をつぶされていた。最初から全てが将軍を狙った政敵による罠だったのだ。責任を感じたペンリックは医師と偽り、将軍の手当てを買ってでる。だが再び将軍のもとに敵の手が……。表題作を含む中編3編を収録。〈五神教シリーズ〉最新作!/【目次】ペンリックの使命/ミラのラスト・ダンス/リムノス島の虜囚/訳者あとがき
  • 魔女誕生
    4.0
    30歳で夭折した天才作家が創造し、すべてのヒロイック・ファンタジーの源となった傑作シリーズを、最新の校訂研究にもとづいて贈る第2集。女王の死んだはずの双子の妹が魔女となって帰還、小王国カウランは一夜にして、女王と入れ替わった魔女ひきいる傭兵軍団の手に落ちた。これに立ち向かう守備隊長コナンの苦闘を描いた、圧巻の表題作をはじめ5編を収録する。また巻末には、著者と親しかったH・P・ラヴクラフトの手になる、詳細なハワード評伝を収めた。【収録作】「黒い怪獣」/「月下の影」/「魔女誕生」/「ザムボウラの影」/「鋼鉄の悪魔」/「ロバート・アーヴィン・ハワード――ある追想=H・P・ラヴクラフト」/解説=中村融
  • 魔人の地
    3.0
    腕利きの絨毯乗りターリクは、絨毯競争の最中にひとりの女を助けた。太守の待女だというその女は彼に、絨毯でサマルカンドを脱出し、カリフの治めるバグダッドに行ってほしいともちかける。だが絨毯に乗るのも町を出るのも死罪。そのうえ町の外に広がる砂漠には恐ろしい魔人がいる。いったんは断ったものの、仲が悪いとはいえたったひとりの弟が女の口車に乗せられてバグダッドに向かうのを知り、あわててあとを追う。かつてターリクはバグダッドをめざしたことがあった……。千夜一夜的世界を舞台に繰り広げられる魔法ファンタジー三部作開幕。
  • 魔道師の月
    4.1
    こんなにも禍々しく怖ろしい太古の闇に、この悪意に、邪悪さに、なぜ誰も気づかないのか。繁栄と平和を謳歌するコンスル帝国の皇帝のもとに献上された幸運のお守り〈暗樹〉。だが、それは次第に帝国の中枢を蝕みはじめる。魔道師でありながら自らのうちに闇をもたぬレイサンダー。心に癒しがたい傷をかかえた書物の魔道師キアルス。若き二人の魔道師の、そして四百年の昔、すべてを賭して闇と戦った一人の青年の運命が、時を超えて交錯する。人の心に潜み、破滅に導く闇を退けることはかなうのか。『夜の写本師』で読書界を瞠目させた著者の第2作。/解説=妹尾ゆふ子
  • 魔法使いにキスを
    4.3
    免疫者(イミユーン)のはずなのに、〈月の目〉を破壊した時の衝撃でどういうわけか魔法を使えるようになったケイティ。本業のマーケティングが暇なため、同様に魔力が戻ったボーイフレンドのオーウェンに魔法の使い方を教わる毎日だ。そんなある日、ケイティはアシスタントのエルフの様子がおかしいことに気づく。〈魔法使いがエルフを抑圧している〉というビラが配られ、(株)MSIに勤めるエルフたちも動揺しているというのだ。周囲では、エルフたちが次々と姿を消しはじめる。ひそかに調査に乗り出したケイティとオーウェン。やがてふたりの身にも敵の魔の手が伸びる……。大人気シリーズ第7弾。
  • 魔法使いの陰謀
    4.2
    セントラル・パークで若い女性の死体が発見され、現場に駆けつけた刑事マイケルは、水妖馬(ケルピー)を目撃する。さらに、子どもが連れ去られるなど妖精の関与が疑われる奇妙な事件が続く。妖精界の女王の座を祖母レオニーに譲ったソフィーは、ようやくバレエダンサーとしてのキャリアを再開していたが、そんなソフィーの前に現れた魔法使いのジョセフィーンは、事件を妖精の仕業と決めつけ、魔法使いと妖精の対立を煽る。このままでは戦争が起きてしまうと危惧したソフィーは、マイケル、エミリーらと共に戦いを阻止すべく動きはじめる。シリーズ第3弾。
  • 魔法使いのウエディング・ベル
    4.4
    この二年ほどの間、魔法の戦い(マジカルバトル)を戦い、陰謀の黒幕と対決し、魔法界のマフィアに潜入し、さまざまな任務を全うしてきた。だが、このミッションほど緊張したことはない。愛するオーウェンとの結婚式のために、ウエディングドレスのセールで最高の一着を手に入れるのだ。友人たちの協力を得て作戦開始。ところが、会場で魔法を使ったいざこざが発生。大勢の人々が魔法を目撃してしまう。誰かがわざと魔法を人目にさらそうとしている? ケイティはオーウェンの反対を押し切り、調査を始めるが……。大人気シリーズ、ついにグランドフィナーレ!
  • 魔法使いの失われた週末 (株)魔法製作所
    4.0
    (株)マジック・スペル&イリュージョン(MSI)はニューヨークの魔法界で魔術を開発販売する会社。CEOはあの伝説の大魔法使いマーリンその人だ。シリーズ第1巻『ニューヨークの魔法使い』が始まる数週間前の出来事を警備部長ガーゴイルのサムの目をとおして語る「犯罪の魔法」、(株)MSIの研究開発部理論魔術課の責任者オーウェンと養母、お互いを思いやりながらも素直に愛情を表現できない二人の心の交流を描いた表題作など、本国でも未発表の特別な短編1編を含む4編を収録。日本オリジナル編集。大ヒットシリーズ〈(株)魔法製作所〉初の短編集。/【目次】スペリング・テスト/街を真っ赤に/犯罪の魔法/魔法使いの失われた週末/訳者あとがき
  • 魔法無用のマジカルミッション
    3.7
    (株)MSIのマーケティング部長ケイティは退屈していた。魔法の悪用を企てる輩に勝利をおさめたのはいいが、競争相手のいない市場でのマーケティングなど、サルでもできる。そんなとき、魔力を失ったのを好機と、魔力をもつ者が読むと正気を失う古写本の解読にいそしんでいたオーウェンが、とんでもないことに気づいた。権力への渇望を生み出し、他者を支配する力を与える危険な石〈月の目〉が、こともあろうにニューヨークのティファニーに現れたというのだ。放っておけば、世界中が大混乱に陥ってしまう。オーウェンはケイティとともに追跡を開始する。大人気シリーズ第6弾、セカンド・シーズン開幕。
  • 魔物のためのニューヨーク案内
    3.0
    その求人広告は冴えない書店の掲示板に貼られていた。まさにゾーイが求めていた仕事。地方都市で雑誌の仕事をしていたが、既婚者の上司と恋愛関係になった挙句、ぼろぼろになってニューヨークに帰ってきた。大好きなこの街のガイドブックの仕事ができれば、願ったりだ。大喜びで応募したゾーイだったが、なぜか会社側はゾーイでは会社に馴染めないの一点張り。経歴も実力にも自信のあるのになぜ? 食い下がって面接にこぎつけたものの、そこで彼女が目にしたのは、とんでもない世界だった。おしゃれな街NYを舞台にしたポップなファンタジー。
  • 見守るもの
    3.3
    兄冬二と喧嘩別れした朱鷺は、体調を崩し気を失って倒れているところを時藤蓮香という女性に助けられた。目を覚ました朱鷺は、蓮香が何かに呪われていることに気づく。時藤家には一族を守る石が伝わっており、石に選ばれた蓮香は、常に得体の知れないものからの視線を感じるせいで、人付き合いもできず、引きこもって暮らしていたのだ。呪物ならば千蔵家の蔵に収めなければ。朱鷺は蓮香に石の所在を尋ねる。一方、朱鷺の元を去った冬二は、獣医に保護されていた――。呪物を求めて旅をする朱鷺と、獣の姿をした兄冬二の運命を描く、三部作完結。
  • やおよろず神異録 鎌倉奇聞 上
    3.8
    精霊の恵み豊かな地、遠谷(おちだに)。そこは“流れ神”がこの世にあらわれる地でもあった。遠谷に生まれ、薬の行商で各地をまわる真人(まひと)は、祭りのために帰郷した。だが、祭りを目前にしたその日、村を正体不明の武士の集団が襲った。彼らは村人を殺し、神域を穢し、神社から御神刀を奪っていった。それだけでなく、真人の大切な友、颯(はやて)も彼らに連れていかれてしまったらしい。友を救うべく、真人は刀に引き寄せられてきた流れ神と一緒に、武士たちが向かったとおぼしき鎌倉を目指す。二代将軍頼家の時代の鎌倉を舞台にした、華麗なファンタジイ絵巻登場。
  • 弥助、命を狙われる
    4.2
    「近いうちにおまえの愛しいその子を奪ってやるわ、白嵐」妖怪奉行所の牢獄から脱獄した女妖は、そう告げて姿を消した。以来、太鼓長屋に住む弥助は、養い親である千弥の過保護ぶりに息が詰まりそうだった。自分の命が狙われているのだ、弥助だって怖くないわけはない。だが、あんな女のせいで怯えて暮らすなんていやだ。意地でも普通に暮らし、妖怪の子預かり屋の役目も果たしたい。月夜公の強力な結界が張られた長屋の領域から出ないことを条件に、しぶしぶ千弥も弥助の願いを聞き入れたものの……。大人気のお江戸妖怪ファンタジイ第8弾。
  • 幽霊狩人カーナッキの事件簿
    3.8
    電気式五芒星と古文献を駆使し、オカルトと科学を混合させた技術で怪奇現象に立ち向かう、名うての“幽霊狩人”──トマス・カーナッキ。彼が事件をみごと解決して自宅に帰還するたび、わたしたち友人は食事に招かれ、その冒険譚に耳を傾けるのだ。無人の空間で起こった死傷事件、不気味な口笛の鳴り響く部屋の怪談、馬の魔物が出現する奇譚等々、ドイルの創造した名探偵ホームズと同時代に発表され、その怪奇版として名高いシリーズ全作を新訳で贈る。本邦初訳の資料的作品1編を含む、全10編を収録した。/【目次】礼拝堂の怪/妖魔の通路/月桂樹の館/口笛の部屋/角屋敷の謎/霊馬の呪い/魔海の恐怖/稀書の真贋/異次元の豚/探偵の回想/訳者あとがき
  • 妖怪の子預かります
    3.9
    弥助は十二歳。養い親である按摩、千弥と共におんぼろ長屋暮らしをしている。貧乏ながらも平和な毎日を過ごしていたが、ある夜、いきなり恐ろしげな烏天狗にさらわれ、妖怪奉行所に連れていかれる。悪夢を見た弥助が鬱憤晴らしに割ってしまった石が、子預かり妖怪うぶめの住まいだったというのだ。妖怪の御奉行に、「罰として、新たな住まいが見つかり、うぶめが戻るまで、うぬが妖怪子預かり屋になれ」と命ぜられる弥助。それからというもの、次々と家にやってくる子妖怪達に振り回される日々が始まるが……。心あたたまるお江戸妖怪ファンタジー。
  • 妖怪の子、育てます
    4.0
    江戸の片隅で妖怪の子預かり屋を営む一人の若者がいた。その名は弥助。妖怪に育てられたのだが、ある事件で育ての親を失い、かわりに授かった赤ん坊千吉を、今度は懸命に育てている。顔なじみの妖怪達は遊びにくるし、入れ替わり立ち替わり子供を預けに来る妖怪もいるしで、騒ぎの絶えない毎日だ。そんなある日、弥助の大家、久蔵の双子の娘が、不気味な黒い影にさらわれた。だがさらったのは妖怪ではないらしい。双子の捜索は、妖怪奉行所西の天宮の奉行で、犬神の長、朔ノ宮の手に託されることに……。大人気〈妖怪の子預かります〉第2部開幕。
  • 妖怪姫、婿をとる
    4.1
    「許嫁がさらわれた! 取り返すから手を貸してくれ」飛びこんできた久蔵の絶叫に、弥助は仰天した。人さらいなら、十手持ちにでも訴えるのが筋ではないか。だが、聞けば許嫁は妖怪、しかもいいところのおじょうさんだと言う。え? 許嫁が妖怪? 驚きのあまり言葉を失う弥助だったが、真剣な面持ちで頼みこむ久蔵に、千弥は厄介事が大好物の大妖である妖猫族の姫、王蜜の君を紹介する。王蜜の君の手引きで許嫁の初音がさらわれたと思しき、華蛇族の屋敷に忍びこんだ久蔵だったが……。遊び人久蔵に降りかかる試練を描く、人気シリーズ第5弾!
  • 妖怪奉行所の多忙な毎日
    4.1
    妖怪奉行所は、日夜様々な妖怪がやってきては、助けを求める場所。烏天狗一族が与力、同心から牢番までを代々務めている。飛黒はそんな烏天狗の筆頭であり、奉行の月夜公の右腕だ。ある日飛黒が双子の息子右京と左京を奉行所に連れてきた。双子も将来は奉行所でお役目につく身、今のうちに見学させておこうというわけだ。夫婦喧嘩の仲裁、淵の主の脱皮の手助けと、今日もてんてこ舞いの烏天狗達。だが、その陰で双子だけでなく、月夜公の甥の津弓、妖怪の子預かり屋の弥助まで巻き込む、とんでもない事件が進行していた。大人気シリーズ第7弾。
  • 夜の獣、夢の少年 上
    4.0
    ダンスホールで働くジーリンは、ダンス中に客の男のポケットに入っていたあるものを、偶然抜き取ってしまう。ガラスの小瓶に入れられた、干からびた人間の指。なんとか返そうと男の行方を探すが、彼女と踊った翌日に男は死亡していた。弔問客を装って男の妻からきいた話によると、その指はバトゥ・ガジャ地方病院の看護婦から手に入れた、幸運のお守りらしい。ジーリンは病院で補助スタッフとして働く、血のつながらないきょうだいのシンの手引きで、バトゥ・ガジャ地方病院に潜り込むのだが……。英国植民地のマラヤを舞台にした、東洋幻想譚。
  • 夜の庭師
    4.1
    モリーは14歳、思いのままに物語を紡ぐことのできる天性の語り手だ。弟のキップとふたり、故郷のアイルランドから海を渡って命からがらイングランドに辿り着いた。大変な苦労の末にようやく雇ってくれるところをみつけたものの、そこで彼らを待っていたのは、巨木に取り込まれたかのような奇妙な屋敷と、青白い顔をした主人一家、そして夜中に屋敷を歩き回る不気味な男……夜の庭師だった。だが、それだけではなく、この屋敷には恐ろしい秘密が隠されていたのだ。カナダ図書館協会児童図書賞受賞。ディズニー映画化決定の傑作ゴーストストーリー。
  • 龍の騎手
    3.7
    領地を荒らすグリフォンの群れを退治してほしいという、メリーボーン卿の要請に応えてやってきたのは五人の騎手。騎手といえば誇り高く高潔な人物……のはずだが、メリーボーン荘園の事務官の次女アリザと、龍の騎手アラステア・デアレッドの出会いは最悪だった。アリザが仲良くしている庭妖精たちと争いになってしまったのだ。なんて高慢ちきでいやな奴! だが、グリフォンは大事な妹を殺した憎い敵。アリザは騎手たちのグリフォン退治に案内役として同行するが……。『高慢と偏見』×ドラゴンの世界を描いたロマンティック・ファンタジー。
  • 龍の刻
    3.0
    恐るべき力を秘めた古(いにしえ)の呪術品〈アーリマンの心臓〉を手に入れた黒魔術師。彼は〈心臓〉の用法に熟達した大神官を3000年間の死から蘇生させた。世界再編のためネメディア国を動かし、西方のアキロニア国を打ち倒すのだ。かの国の王は北の国から訪れた蛮族の子孫――その名をコナンといった。だが勇猛果敢をもって鳴るコナンさえ、大神官の妖術の前では虜囚となり果てる。逆襲はなるか? 30歳で夭折した天才作家が創造し、すべてのヒロイック・ファンタジーの源(みなもと)となった傑作シリーズを、最新の校訂研究にもとづいて贈る全集はここに完結する。/【収録作】「龍の刻」/資料編「I・M・ハワード博士からH・P・ラヴクラフトへの手紙」/「I・M・ハワード博士からE・ホフマン・プライスへの手紙」/解説=中村融
  • 皇女アルスルと角の王
    3.9
    皇帝の末娘アルスルは、特別な才能もなく人づきあいも苦手で、いつも皆にがっかりされていた。そんなある日、舞踏会に出席していた彼女の目の前で、父が何者かに暗殺されてしまう。アルスルは皇帝殺しの容疑で捕えられ、無実の訴えも空しく帝都での裁判で死刑を宣告される。部族の裁判を受けるため、一族の所領である城郭都市ダーウィーズに護送されたアルスルを待っていたのは、鍵の城の城主リサシーブ。だがその正体は……。人よりも優れた能力をもつ獣、人外が跋扈する世界を舞台に、変わり者と言われた少女の運命を描く異世界ファンタジイ。
  • わたしが幽霊だった時
    4.1
    季節は夏。昼下がりの林道は家に続いている。歩きながら(事故だわ!)ふいにそう思った。なにかが変。事故に遭ったって思うんだけど、頭がぼやけてて何も思い出せない。気がついたら、ここ歩いてるんだもの。あたしいま何着てるんだろう。わからないから下を見た。体がない! あたしは生垣を通り抜け、ドアを通り抜けて家のなかに入った。宙に浮きながら。部屋じゃ、だいっ嫌いな姉さんや妹たちが相変わらずのけんか。誰もあたしのこと気づきゃしない。あたし、幽霊になっちゃったんだ……でも、なぜ? 現代英国を代表する著者が贈る、おかしくてほろ苦くも暖かい時空を超えた物語。
  • ヴェネツィアの陰の末裔
    3.0
    ベネデットには、11歳で孤児院に拾われるまでの記憶がない。あるのは繰り返し見る両親の死の悪夢だけだ。魔力を発現して以来、彼の護衛剣士に志願した同じ孤児院出身のリザベッタと共にヴェネツィア共和国の魔術師の一員として、陰の世界に生きている。あるとき魔術師たちはハプスブルクの暗殺者による、元首(ドージェ)暗殺計画の情報を掴んだ。計画は未然に防いだが、背後にはベネデットらを巻き込む恐るべき陰謀が……。16世紀、異端と迫害されながらも、列強の権謀術数のただ中に身を置く魔術師の姿を描いた、第5回創元ファンタジイ新人賞佳作作品。/第5回創元ファンタジイ新人賞選評=井辻朱美、乾石智子、三村美衣

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