小説 - 光文社文庫作品一覧

  • 野望の果て~蛇足屋勢四郎(三)~
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    「お武家さまは、和泉屋の者かえ」と経帷子に能面をつけた女に声をかけられた直後、勢四郎は鎖鎌を持った男に襲われた。巷を騒がす「幽霊女」だと言われ、件の和泉屋からその正体探しを依頼されるも、襲ってきた男とのかかわりも含め、なかなかつかめない。手がかりもないまま商売敵の店を当たり始めたところ、老舗の辻屋に不審なものを感じたのだが――!
  • 死者を笞(むち)打て
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    鮎川哲也が推理雑誌に発表した短編《死者を笞打て》に盗作の疑いがかかった!? 10年ほど前に石本峯子なる作家が書いた《未完の手記》と内容が同じだと批評家から指摘を受けたのだ。早速、新聞社が取材に訪れ、出版社からは刊行中止の連絡があった。作家生命の危機にさらされた鮎川は、自ら真相究明に乗り出したが……。巨匠の異色作に加え、激レアな短編も併録!
  • 銀行告発 新装版
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    大日朝日(だいにちあさひ)銀行広報グループにかかった一本の電話。暴力団がからんだ不正融資の告発だった。電話を受けた峰岸貴之(みねぎしたかゆき)は、反社会的取引解消の特別任務を命ぜられた。合併再編によって生まれたメガバンクの派閥争いに振り回されながら、峰岸が「巨悪」に挑む! 実際に広報部員として不祥事に対応した著者が、正義感溢(あふ)れる中堅バンカーの奮闘を描いた意欲作!(『統治崩壊』改題)
  • 不屈の野獣
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    大型クルーザーで美女たちを相手にエロティックなパーティを開いていた伊達邦彦に、内務局保安部からの依頼が入った。LSD中毒者の事故が多発している。密輸組織を暴きだしてもらいたい……。多額の報酬のため、邦彦は調査を開始した。やがて、事件の背後にある大物の影が浮かんだ(「狂気征服者」)。30代半ばの伊達邦彦。マンハンターの冷酷な笑みを見よ!
  • 優雅なる野獣
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    法務大臣の娘・佐伯英子を相手に、ベッドで引き金を絞った英国破壊工作員・伊達邦彦に連絡が入った。「日ソ不可侵条約再締結を阻止しようとするアメリカ中央情報局の計画をつぶせ」。英国外務省情報局からの命令だった。危険な作戦を開始する邦彦。酷薄な彼は手段など選ばない(「C・I・Aの暗殺者を消せ」)。生還できる保証なし。伊達邦彦、工作員として日本で活躍!
  • 日銀ダイヤ作戦
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    日銀の地下大金庫に眠る時価250億円のダイヤを、マフィアが狙っている! もし、共産側にダイヤが流出すれば、ミサイルの心臓部に使われてしまう。英国情報部の破壊活動班員・伊達邦彦が、強奪作戦を阻むため、帰国した。彼は、マフィアに乗り込み、日銀襲撃に加わると申し出るが……!? 永遠のヒーロー伊達邦彦が活躍する、アクション界の傑作!
  • 諜報局破壊班員
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    紺碧の地中海が輝くモナコ。F1グランプリで起きた大事故の混乱にまぎれて、王子と王女が誘拐された! そして身代金5億フランの要求が……。人質救出の任務を帯び、英国から送り込まれた男は、諜報局破壊班員YZ-九……日本から脱出し、国籍を変えていたはずの伊達邦彦であった。野獣の復活を描いた、記念碑的作品。(『伊達邦彦 地球を駆ける』改題)
  • 天国荘奇譚〈ユーモア篇〉~山田風太郎ミステリー傑作選6~
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    奇想天外な悪戯を企む悪童4人が、寄宿舎・青雲寮の屋根裏に「天国荘」と名付けた遊び部屋を作った。彼らはそこを参謀本部と呼び、教師いじめのさまざまなアイデアを練る。最初の標的は数学の教師で、その名も糞便攻撃なる途方もない作戦だった(表題作)。度肝を抜く着想と空想力、大胆不敵な悪戯を奔放に描く、ユーモアと皮肉のきいた青春小説。他6篇収録
  • 月を撃つ男
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    かつて、戦闘機で夜空を翔(か)け昇り、月を撃ち落とそうとした大尉がいた。その孫である刑事・貴舟玄舟(きふねげんしゅう)は、ある日、何者かに拉致され一億円で命を賭けた死のゲームを受け、旅立つ。逃避行中、彼は偏屈な老人や謎の美女に救(たす)けられ、追走劇の裏で蠢(うごめ)く組織を知る。玄舟は、組織の巨大な謀略を暴(あば)こうとするが……。壮大な構想で描く、長編ハード・サスペンス。
  • 修羅の峠
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    木曾経文村(きそきょうもんむら)の守り神・地蔵菩薩が盗まれ、村の代表として、越路武平(こしじぶへい)が探索の旅に出た。ひと月後、武平は帰村の途中、修羅の峠の十王像の前で、何者かに惨殺された。大正時代、流浪の石工(いしく)が怨念をこめて刻んだという十王像には、何が秘められているのか? 事件を追う武平の娘・津恵と五堂捜査員の前に、やがて大物政治家の影が……。著者、異色のハード・サスペンス。
  • タイタニック撃沈
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    1943年、豪華客船・タイタニック2は、3千人の米軍将兵を乗せ、NY(ニューヨーク)を出発した。ヒトラーが出した撃沈指令――だが、Uボート艦長・ブリーンは、攻撃直前に魚雷発射を中止した! 一体なぜ? 40年後。ブリーンの手記を入手した作家・イーサンは、美貌のアメリカ人留学生・ジュリーとともにその謎を追う。同時に正体不明の敵が二人を襲い始めた……。壮大なスケールで描く歴史ロマン!
  • その罪を撃て~市民警察・志津四郎~
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    志津四郎――元県警刑事で、現在は、直接選挙で住民から選ばれた保安署長、63歳。鍛え上げられた肉体は衰えを見せない。志津の管轄する菊名町で、フィリピン女性が殺された――。連続する猟奇的殺人、フィリピン犯罪組織の影、NBI(特別国家警察)との確執、日本人とフィリピン人とのいがみ合い……。2014年、移民社会・日本に命を賭けるニュー・ヒーロー誕生!!
  • 鬼の武蔵
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    この世では種族の違う鬼と鬼が争っている。鬼一法眼(きいちほうげん)が秘蔵する鬼族の滅亡を図る方策を記した「六韜三略」を巡って積極派と穏健派が暗闘。数奇な運命をもつ穏健派の宮本武蔵は、兵法修行の後、吉岡一門や槍の宝蔵院流といった積極派の鬼族を倒した。そんな時、武蔵は巌流(がんりゅう)・佐々木小次郎と出会う。彼は武蔵と対極に立つ鬼なのか……?長編伝奇巨編!
  • 木曽駒に幽霊茸を見た
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    北多摩警察署のウマさんこと相馬美之(よしゆき)刑事といえば、食欲からナニからウマ並みで知られる快男児。本書が初主役作品だ。ウマさんがドライブ中、ワゴン車と衝突、運転手は逃げ、助手席には他殺死体が!?――この総会屋殺しが、北多摩署を揺るがす連続殺人の発端だった。強盗傷害事件、爆弾恐喝事件と日々大活躍のウマさん、木曽駒で出会った美女との関係は?
  • 殺しのクレジット・カード~赤かぶ検事シリーズ~
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    若い女性の変死体が発見され、捜査に奔走(ほんそう)する赤かぶ検事や行天燎子(ぎょうてんりょうこ)警部補。そんな折り、彼らのクレジット・カードで、知らないうちに多額の買い物がされていた! ハッカーの仕業らしいが、コンピューター犯罪が相手では、赤かぶ検事も快刀乱麻とはいかない。ところが、殺された女性とハッカーに奇妙な符号が見つかった!(表題作) 正義派ユニーク検事、大活躍!
  • 「万葉集の謎」殺人事件
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    “額田王(ぬかたのおおきみ)の秘密を教える”との謎の手紙を遺(のこ)し、一人の女が殺された。筑波山や潮来(いたこ)を巡る〈万葉の旅〉の参加者・山際房江だ。死体発見前夜、房江と待ち合わせの約束をしていた出版社の文芸部員・笹谷美緒は、嫌疑がかかることを恐れるが、彼女もまた万葉集から引用された不気味な脅迫文を、何者かから送られていたのだった! 意表をつく新トリックが冴える傑作長編!
  • 昏き日輪
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    ボルネオ島上空で15名の日本人を乗せた飛行機が忽然と行方を絶った。母親、恋人の捜索に刑事の白川武秋、ヤクザの宮田雷四郎、医師・剣持雅晴の奇妙な組み合わせの3人が現場へ飛んだ。そこで彼らは、娼婦街で得た情報を頼りに密林深く分け入るが、その前に謎の軍団が……。陰謀渦巻く熱帯の地を舞台に、性の乱舞と暴力の極致(バイオレンス)をダイナミックに描く。〈宮田雷四郎シリーズ〉
  • 幻想都市
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    記憶喪失に陥った宮田雷四郎は、行者峠で地蔵の供物を掠めて生きていた。だが、魔人と恐れられた彼は、追跡隊に追われる羽目に……。峠を下る途中、二人のヤクザによって性交奴隷と化した人妻を救出。街を彷徨う雷四郎は、妖しい魅力を秘めた組紐の宗家、里原真砂の下僕となり、やがて妖女たちの死闘に巻き込まれていく。好評幻(めくらまし)戯シリーズ雷四郎五部作完結。
  • 都会の狼
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    「殺(や)ったのはおれじゃない。伊勢佐木(ザキ)町のジャックだ!」無実の叫びを残して絞首台に消えた死刑囚・小山。小山に恩のあるヤクザ・荒井は復讐を誓い、真犯人捜しに乗り出す。“ジャック”とは何者なのか。しかし、“ジャック”と関係のある人物が次々と殺され、荒井に容疑が。事件は意外な展開へ……。 霧島三郎、因縁の縺れを解く!
  • 不敵な男(上)
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    1~2巻550円 (税込)
    石川豊太(いしかわぶんた)は身長192センチ、体重90キロの巨漢。山羊(やぎ)を相手に自慰(じい)にふけるうち、急所を蹴られて巨根(きょこん)の持ち主となる。人生何が幸いするかわからない。女にもてた。苦学の末、弁護士になり、その間に覚えた経済のカラクリと勘のよさで、次々と事業を成功させていった。彼の巨根はその都度(つど)、大いに役立ったのである……。痛快ビジネス小説。
  • 十三度目の女~南郷弁護士シリーズ~
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    女にはめっぽう弱いが、悪には敢然と立ち向かう好漢・南郷次郎(なんごうじろう)弁護士。彼が2年前に国選で引き受けた麻薬所持の男、徹底した黙秘権を行使し、また身元調べも付かぬまま、判決、服役。その2年間、これまた名前も知らぬ女に頼まれて、南郷は彼に差入れを続けていた。出所後すぐに行方をくらました男、そして謎の女は……!?(『南郷次郎の逆襲』改題)
  • 麻薬(コカイン)カルテル対特殊部隊
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    「中南米の麻薬組織による、コカインの日本持ち込みを阻止せよ」海原首相は特殊部隊の砦洋介に命じた。砦はまずコロンビアのコカイン地帯へ飛び、米軍特殊部隊と協力して、コカの葉絶滅作戦を開始! 部隊の面々も日本へ向かう謎の貨客船を追跡した。……麻薬をめぐる政治、経済、軍事問題を、豊富なデータと綿密な取材で描く。
  • 殺人指令
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    NASA(米航空宇宙局)の要人、ビルツ博士が他殺死体となって、ニューヨークのハドソン川に浮かんでいた。特別捜査官(スペシャル・エージェント)・響(ひびき)三郎は20日間の休暇で日本に帰る途中、この事件に遭遇。複雑な国際情勢の空隙(くうげき)から思いがけない犯人を探り出す。(「北からの殺人指令」)。ほかに世界を駆ける響三郎の胸がすく大活劇を連作で7編収録。
  • 地獄の捜査官
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    パリで日本人の若い女性観光客が行方不明になった。特別捜査官(スペシャル・エージェント)響(ひびき)三郎に応援の指令が下る。世界を駆ける男は顔が広い。パリの元刑事、ベテラン娼婦、ポン引きなどを味方に、誘拐殺人犯人を追いつめる(「狂った情事の果て」)。ほかに連作形式で7編の国際犯罪組織に挑む会心作を収録。いずれも日本版007を彷彿させる。
  • 黒い作戦
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    響(ひびき)三郎は国際犯罪を追って世界の舞台に颯爽と登場! 日本警視庁の超エリートでありながら、国際刑事警察機構の特別捜査員(スペシャル・エージェント)に起用されたからだ。本書は、このスーパー・スター響三郎シリーズの第一弾で、東京・港区で発生したコールガール射殺事件が国際犯罪組織の解明へ発展する。日本版007の期待十分な超傑作アクション。
  • 追憶
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    「新世界を象徴する通天閣みたいな男や」――剃り上げた頭に女郎蜘蛛の入れ墨。二メートル近い巨体。フリーの極道・ソクラテスの名は天王寺界隈で響き渡っていた。しのぎは、地の者の諍いや災難の始末を請け負うこと。渋い任侠道とは縁遠い、暴力付き人生相談所のような、けったいなしのぎが多いのだが……。地べたを這うような日常の喜怒哀楽を描く痛快+感動の傑作!(『さよならソクラテス』改題)
  • 戦士の挽歌(バラード) 上
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    1~2巻770円 (税込)
    190センチの長身。鍛え上げられた鋼(はがね)のような肉体。中堅製薬会社の腕利きプロパー・石川克也は手段を選ばない。食わせ飲ませ、女をあてがい、裏金を握らせ――腐りきった医師たちの醜い欲望を満たし、薬剤を売り込んでゆく。土下座を繰り返し、調子よく媚(こ)びへつらいながら、自らも大金を掠(かす)め取るのだ。綿密な取材を元に医療業界の暗部を抉(えぐ)る、著者渾身(こんしん)の超大作!
  • 復讐に明日はない
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    実業家の鳥羽崇は、両親を自動車事故で失った。二人の体には不自然な傷があったが、警察は事故死で片づけてしまう。しかも、父の会社や財産の名義は、ある企業のものへと書き換えられていた。そして、何者かの魔手は、愛する妻の命をも……。復讐の鬼と化した鳥羽は、権力の中枢に巣喰う巨大組織に、単身、殴り込みをかける! 血で血を洗うアクション巨編!
  • 奴に手錠(ワッパ)を…
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    白鳥雅也は、インターポール日本支局の秘密捜査官。銃の腕、車の運転、女の扱い、どれをとっても超一級品だ。今回の任務は、ドイツ・ハンブルグの港に上がった日本人女性の腐乱死体の調査。事件の背後には、国際的な人身売買組織の暗躍があった――。ヨーロッパの裏社会に潜(もぐ)り込んだ白鳥は、強大な敵にたった一人で闘いを挑む! 凄絶なアクション巨編!
  • 絶望の挑戦者
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    武田進は、アメリカ三大自動車メーカーの一つ、クリンガー社の秘密工作員になった。クリンガーは東和自動車の乗っ取りを画策していたが、手口のあまりの卑劣さに、武田は叛旗を翻し、すべてを暴露する。だが、クリンガーはCIAをバックにもつ殺人組織であった。彼らは報復として武田の妻子を惨殺した!……血に飢えた復讐鬼と化す武田、米国巨大資本に挑む!
  • 裁くのは俺だ
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    毒島徹夫は、保守党の大物・川崎信夫に雇われた怪文書屋だ。今度の仕事は、川崎と敵対する江川首相らの致命的醜聞(スキャンダル)をマスコミに流すことだった。だが、毒島は政界の黒幕に捉えられ、拷問を受ける羽目に! 頼みの川崎も毒を盛られ、瀕死だという。辛くも脱出した毒島は、政財界の権力者たちを相手に、ただひとり、復讐の狼煙(のろし)をあげた! 不朽の大藪アクション登場。
  • 偽装諜報員
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    薄汚い諜報活動を退いた矢吹貴(やぶきたかし)に、ふたたび過酷な事件が! 愛車ミニ・クーパーを爆破され、恋人・由紀子とともに『平和促進同盟(P・P・F)』に捕らえられたのだ……体内に毒を盛られ、組織の一員としての行動を強いられる矢吹。与えられた任務は、日本国防省の秘密計画をソ連に漏洩させないことだった! 求めざる死闘に身をさらす矢吹の運命は? アクション小説屈指の傑作!
  • 南アルプス殺人峡谷
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    レジャー・ライターの釣部渓三郎(つるべけいざぶろう)は、笹子奥野沢(ささごおくのさわ)で女の全裸死体に出くわした! 恋人のアキと出かけた南アルプス・寸又峡(すまたきょう)では、身元不明の男の死体が! 男が残した百三十万円の大金と、一本の年代ものの毛バリ……。二件の殺人を繋(つな)ぐ謎を、釣部の名推理が解き明かす! おなじみ北多摩署の刑事、カニさん、ウマさんの活躍も光る、傑作渓流ミステリー!
  • 尾張路殺人哀歌~喪失の殺人者~
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    愛知県常滑(とこなめ)市の県道で、登校途中の少女が車に轢(ひ)かれ死亡した。「原因は飛び出し」とされ、ドライバーは不起訴に。少女の母親・深見貴子は居眠り運転との確信を得、自首を勧めにドライバー宅を訪れる。ところが男はすでに殺されていた! 事故に隠されていた真相──貴子の密かな復讐劇が始まった……。ドラマチックな展開、周到な伏線に彩られた傑作ミステリー!
  • ごろつき
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    暴力団有栖川組の一員となった大門瞳(あきら)と倉科涼。同い年の二人は妙に気が合った。やがて、下積み修業が始まり、怒鳴られ殴られの生活に嫌気が増す瞳と涼だったが、なぜか悪の魅力に惹かれていく。だが、組は対立暴力団との抗争を余儀なくされ、二人にヒットマンへの運命が! 綿密な取材をもとに、変貌する現代ヤクザ社会に生きる若者の生態を描く傑作異色長編!(『悪友(ごろつき)』改題)
  • 夜の果ての街(上)
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    暴力、頽廃、死の街・池袋。この無国籍不法地帯を牛耳るミスター沈(シェン)に、柾目仁(まさめじん)たち三人の刑事が惨殺された! だが、なぶり殺しにされる寸前の女刑事・淡路悦子を救ったのは、死んだはずの柾目だった!? 数日後、〈こちら側〉と〈向こう側〉がつながり、世界は破綻を迎えるという。タンゴのリズムで崩壊の秒読み(カウントダウン)が始まった! 著者渾身のホラー問題作が登場。
  • 禽獣(きんじゅう)の門
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    立花春睦(たちばなはるむつ)は能楽のシテ方S流家元の次男である。彼は能楽に奥深い美を見いだしながらも、虚無を感じていた。能の世界を離れデザイン関係の会社に勤めた春睦は、妻を連れて日本海の漁村を訪れる。そこで起こった衝撃的な出来事が、二人の関係に裂け目を生み出す(表題作)。巡りくる宿命、まとわりつく情念を描いた10作品を収録。
  • 花の嵐(上)~小説 小佐野賢治~
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    1~2巻660円 (税込)
    戦時中、そして終戦直後の混乱期を抜群(ばつぐん)の商才で乗り切り、蓄財に成功した小佐野賢治に大きな飛躍の機会(チャンス)が訪れた。東急電鉄のオーナー五島慶太(ごとうけいた)との出会いである。五島に勧(すす)められた箱根の強羅(ごうら)ホテルの買収、これが賢治にツキをもたらした。熱海、山中湖に所有のホテルが駐留米軍の休息所に指定され、膨大な家賃が支払われたのだ。賢治は次に運輸事業へ乗り出した。
  • 砂漠の影絵
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    2004年6月、イラクの武装組織に日本人5人が拉致された。商社勤務の橋本優樹はバグダッドへ向かう途中だった。組織の要求は、自衛隊のイラクからの撤退だ。日本政府はその要求を拒否、予告された処刑の日が迫ってくる。憎しみ合いと、殺し合いの果てにたどり着くのはどこなのか。人と人は分かり合えないのか。人間の生き方を問う、渾身の傑作長編小説。
  • 獣(ウルフ)たちの黙示録(下)死闘篇~エアウェイ・ハンター・シリーズ~
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    ソ連の最高軍事機密を奪取し、クレムリン要人一家の亡命を幇助せよ。さらにKGB幹部3名を暗殺せよ――遂行不可能とも思える数々の密命を受け、鉄のカーテンの向こうへの潜入を図る西城秀夫。だが、その動向はすでにKGBに察知されていた。組織を挙げての襲撃に絶体絶命の窮地へ追い込まれる西城の運命は!? 殺人機械の最後の戦闘を描くシリーズ最終章!
  • 森下雨村 小酒井不木~ミステリー・レガシー~
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    1920年創刊の「新青年」は、江戸川乱歩をはじめ数多くの作家を輩出した名雑誌であり、初代編集長の森下雨村は日本の探偵小説の生みの親と称される。その雨村が作家として見出した小酒井不木も専門の医学研究に材をとった、すぐれた評論や小説を著し、現代ミステリーの源流となった。この両者の“遺産”ともいえる傑作長短編を収録した読み応え充分の一冊!
  • 飛鳥II SOS
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    旧友の依頼で、十津川警部は豪華客船「飛鳥II」に乗り込むことになった。船内で奇妙な事件が続発して心配だというのだ。その後、女性客が海に落ちる事故が起こるが、すぐ救助され、無事クルーズは終了したのだが――。数日後、その女性が多摩川の河原で殺されているのが見つかる! さらに、新たなクルーズで起こる殺人事件。豪華クルーズに潜む陰謀に十津川が挑む!
  • 探偵・竹花 潜入調査
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    約20年前、金融会社社長が事務所で金庫破りと鉢合わせをして刺殺された。社長の娘から依頼を受けた探偵・竹花は、情報を受け犯人と思われる男が暮らす新潟に赴く。だがその男の身辺を探っていくうちに、竹花の周りで不可解な出来事が次々と起こる……。(表題作) しぶとく、そしてクールな男・竹花が、人間の悲しい性と心に寄り添い事件を解決する、珠玉の全4編!
  • ボディ・ピアスの少女 新装版~探偵・竹花~
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    夏の深夜、探偵・竹花は男に襲われていた少女・夏子を助けるが、ボディ・ピアスをした彼女は翌朝消えていた。殺人事件の新聞記事に、夏子の所持品の写真と同じ男を見つけた竹花は、被害者の家を訪れる。夏子は大手企業会長の孫だった。会長からの依頼で失踪した夏子とその兄の行方を追う竹花。だが彼の前に、新たな殺人が……。人気シリーズ第一作が新装版で登場!
  • 和解せず
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    クラシック音楽のプロモーター・伊木章吾は、絶縁状態にあった大物政治家の父親の通夜に赴くが、参列を拒否される。その直後、章吾が招聘したチェロ奏者が逮捕され興行は中止に。さらには同業プロモーターの殺害事件、弟と妹に起きた不正献金疑惑と、次々と困難が降りかかる。そこへ現れたかつての恋人、美香子。孤独のなかに生きる男の愛は、どこへ向かうのか!?
  • たまゆらの愛
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    私設美術館の館長として静かな日々を送る宝田正太郎は、息子の結婚式で新婦の母親・希代を紹介される。希代は、かつて正太郎が兄から奪った女性・美津江の実の姉だった。『宝田さん、覚悟はおあり?』強烈に惹かれ合うふたりは関係を深めていき、正太郎の人生の歯車は狂っていく……。しがらみに満ちた大人の男女が、それでも究極の愛へと突き進む長編恋愛小説。
  • 木足(もくそく)の猿
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    明治9年の横浜で、瓦斯(ガス)灯の鉄柱に英国人の生首がさらされた。居合の達人にして左足が義足の男・奥井隆之は、親友の仇を追い放浪していたが、連続殺人の背景にその仇がいると聞きつけ、事件の真相に迫っていく。思惑が入り交じる謎の先に、友の復讐を誓った奥井は何を見るのか――。第20回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞の傑作長編!
  • 探偵・竹花 女神
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    大阪あいりん地区のロッカー屋から届いた宅配便。古ぼけた鞄に入っていた手紙にある山本という名に、竹花は覚えがなかった。中身はガラクタのようなものだったが、鞄を引き取りたいと申し出る男が現れた。そして、山本の娘だという女優・清香から依頼を受け、竹花は大阪へ向かう。地元の探偵・明珍を相棒にして調査を進めると……。鞄の中身に秘められた謎とは!?
  • 殺人は女の仕事
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    大手出版社に勤務する志賀子は、幾人もの一流作家を抱える敏腕編集者として忙しい日々を送っていた。そんな折、ミステリー作家志望の美しい青年に出会い、少女のように胸をときめかせ、彼との将来を夢見るようになった。だが、青年が妻帯者だと知ったとたん、殺意が……。著者の体験に基づく表題作などミステリー本来の洗練された味わいが光る珠玉の8編を収録!
  • 地面師~昭和ミステリールネサンス~
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    放漫経営のツケが祟り、倒産寸前の苦境に陥った栄養剤メーカーのS製薬。銀行は融資を渋り、他社への吸収合併を迫って来た。社長の女婿で経理部長の滝沢は、資金調達に狂奔する中、九州に広大な不動産を有する資産家の知己を得たが……。愚昧な企業経営陣の顛末を描いた表題作を始め、伝説の“流行作家”が、ジャーナリスティックな視点で綴った傑作推理6編を収録。
  • Nの悲劇 東京~金沢殺人ライン
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    美緒は、担当する作家の西崎彩から、相談を受けた。“The Judge”と名乗る相手からの不審な手紙。彩は、まったく心当たりがないと言う。立川で起こった殺人事件の現場に残された「死刑執行!」と書かれたカード。そして、彩の住む金沢での殺人事件でも同じカードが。2つの事件、そして彩との関わりは!? 壮と美緒が炙り出した“The Judge”の正体とは!?
  • 模倣密室 新装版~黒星警部シリーズ5~
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    埼玉県のとある地域で、女性が次々と猿に襲われる事件が発生。捕獲に出撃して疲弊する黒星警部のもとに、不可解な密室事件が飛び込んできた――。(表題作) 豪邸、旧本陣の離れ家からゴーストマンションまで、数々の「密室」で起こる事件に、推理小説マニアの“迷警部”黒星が挑む! 古今東西のミステリーに詳しい著者ならではの傑作が、加筆修正のうえ新装版で登場。
  • 十津川警部 幻想の信州上田
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    都内で、会社社長とクラブホステスが相次いで殺害された。どちらも背中を刃物で刺され、死体の顔の上には6枚の一文銭が置かれていた。同一犯による凶行と見られたが、被害者2人には共通点が見つからない。六文銭が戦国武将・真田幸村の旗印であることに注目した十津川警部は、真田家ゆかりの地、信州上田へ――。戦国と現代が交錯する傑作長編ミステリー!
  • 棟居刑事の黒い祭
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    交通事故で息子を失った悲しみに暮れる妻が、故郷の同窓会へ出かけていった翌日、遺体で発見された。現場には似た手口で殺害された見知らぬ男性の遺体が。同一犯の仕業か? 犯行の動機は何か? それまで知りえなかった妻の交友関係をはじめ、事件の真相が徐々に明らかになっていく。ドラマ化され人気を博した棟居刑事らも活躍する、森村ミステリーの傑作長編!
  • 越後・八海山殺人事件
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    安曇野市の国道で見つかった男性の遺体。轢き逃げかと思われたが、刺し傷から殺人の疑惑が浮上する。被害者の足立信吾は40年前に新潟から引っ越し、父親の壮介とふたり暮らしだった。信吾の元妻からは周囲でいやがらせなどが続発していたことを知る。渦巻く悪意の元凶は何処に!? 刑事・道原伝吉は、足立家の過去を探るべく新潟に向かう。人気旅情ミステリーシリーズ!
  • ゴッドマザー
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    元人気女優で、今は芸能事務所の社長を務める東堂美都子。所属女優が主演する映画の製作を進めていたある日、美都子に13人を殺害したとされる容疑者の弁護士から呼び出しがかかる。容疑者が美都子に話した衝撃の事実とは――。多彩な人物の揃う東堂ファミリーも色を添える画期的な《芸能ミステリー》の傑作。「このミス」出身作家の光文社文庫デビュー作品。
  • 札幌・オホーツク 逆転の殺人 新装版
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    新人作家・鳥海昌夫へ処女作の見本を届けるため、笹谷美緒は札幌を訪れた。だが、彼は待ち合わせに現れず、焼死体となって発見される。東京に戻った美緒に、坂本留実という女性から連絡が。その女性は鳥海から文学賞の賞金500万円を託されていたのだった。鳥海の周囲に蠢く怪しい男たちも死の渦に巻き込まれ……。過去と現在が交錯する謎に、壮・美緒が挑む!
  • 消えたタンカー 新装版
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    インド洋上で原油を満載した巨大タンカーが炎上沈没した。船長以下6名が救出されたが、残り26名の生死は不明のまま、捜索は打ち切られた。だが、その船長が変死を遂げ、十津川警部補のもとに、犯人を名乗る人物からさらなる殺人を予告する挑戦状が届く。警察の必死の捜査を嘲笑うように次々と殺害される元乗組員たち。十津川は狡猾な犯人を挙げられるのか!?
  • 二十年かけて君と出会った
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    再会は雪降る静かな夜だった。店にやって来た女性は、流葉爽太郎の中学時代の級友・菜摘。ふと淡い思い出が蘇る。もちろん彼女の訪問には理由があった。それは日本初上陸となる海外ファッション・ブランドの広告制作依頼。彼らの前に立ちはだかる無数の壁、少しずつ近づく二人の距離。そして、プライドをかけた広告戦争の行方は!? 流葉シリーズの新たなシーズンが始まる!
  • 信州・奥多摩殺人ライン
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    推理作家の荒木とともに向かった信州・穂高の別荘で、編集者の笹谷美緒は、荒木の妻の絞殺死体を発見する。数日後、奥多摩で若い女性の全裸死体が。2人の女性と関わりのある男が容疑者として浮かぶが……。美緒の恋人・黒江壮は、慶明大学に勤める数学者。端整な顔立ちで、とても無口な「名探偵」である。寡黙にして、精緻な推理で、壮が導き出した真相とは!?
  • 釧路・札幌1/10000の逆転
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    夫・耕一と別居中の泉恵理は、交際している藤波鉄郎から結婚を迫られていた。離婚について三人で話し合うため、恵理は耕一の住む北海道に向かったが――。数日後、恵理は釧路湿原に放置された車のトランクから死体となって発見される。動機が思い当たる二人の男性には、それぞれアリバイがあった。恵理の友人、笹谷美緒が恋人の壮とともに、事件の解明に乗り出す!
  • 安曇野・箱根殺人ライン
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    製薬会社社長・倉上秀代が、田圃に脱輪した車のトランクから遺体となって発見された。秀代の甥・肇が中学時代、家庭教師を務めた壮は美緒とともに、事件の謎を追うことに。別れた夫の小沢敏正は秀代に付きまとい、犯行現場と目される別荘へも出入りしていた。その小沢も殺され、事件は混沌の渦へ。血縁で経営する会社の後継問題も絡み、それぞれの思惑が交差する。
  • 多摩湖・洞爺湖殺人ライン
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    女優から画家に転身した日下部沙織が東京・多摩湖畔の自宅寝室で殺された。第一発見者は夫の稔。彼の経営する人材派遣会社は資金繰りに窮していた。妻に一億円の生命保険をかけていた稔を警察がマークしているさなか、第二の殺人事件が北海道の洞爺湖畔で発生――。編集者の笹谷美緒が、恋人の黒江壮とともに事件の謎を追う。二人は鉄壁のアリバイを崩せるのか!?
  • 十和田・田沢湖殺人ライン
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    十和田湖畔に立つ乙女像の近くで、若い女性の死体が発見された。被害者は大学院生の田中春菜。容疑者の一人として、彼女の指導教授だった岸佳彦の名が上がる。岸には、春菜へのセクハラが元で大学を辞任するという過去が――。岸は事件を想起させるメッセージを関係者に送り姿を消してしまう。岸が残した「謎」を解き明かし、壮&美緒コンビが事件を解決へと導く!
  • 佐渡・密室島の殺人
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    真っ赤な文字で《殺》と書かれた車が発見され、トランクから女性の死体が――。殺されたのは女優の矢野礼子。彼女は現在不倫関係にある塩沢裕一、その妻と話し合いをする予定だった。以前、恋人だった礼子に頼まれ、その場に立ち会うことになっていた作家・春木真之に嫌疑がかけられる。“完全密室”と化した佐渡島を舞台に壮と美緒コンビが堅牢なアリバイ崩しに挑む。
  • 長崎・壱岐殺人ライン
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    笹谷美緒が宿泊する壱岐のペンションで、男性客三人組のうち一人が殺害され、一人が姿を消した。三日後、失踪した男の溺死体が平戸港に上がり、「俺たちはもう逃げられない」と書かれた遺書が発見された。そして、残る一人も……。完全犯罪の裏に隠された、驚愕の真相とは? 美緒と黒江壮の名コンビが、鉄壁のアリバイとトリックを崩す、傑作旅情サスペンス。
  • 十津川警部 「荒城の月」殺人事件
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    一人の資産家が絞殺されて1000万円が奪われた。彼は、その金で「荒城の月」の作曲家・滝廉太郎の幻の原曲楽譜を買うつもりだったらしい。偽物で釣られ、金を奪われて殺されたのか? 十津川警部の元を訪れた男の娘は、自らの手で犯人を捜し出そうとしていた。さらに、引退した贋作者が刺殺されて……。十津川が美術界の深い闇に迫る長編ミステリー!
  • 鬼首(おにこうべ)殺人事件~〈浅見光彦×歴史ロマン〉SELECTION~
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    「オニコウベデアッタ」秋田県雄勝町での小町まつりの最中に老人がこう呟いて絶命した。事件を目撃した光彦は町役場観光課の職員と調査を開始するが、警察からの圧力がかかる。遺体からは毒物が検出されたのに、何故か自殺と断定。さらに第2の殺人も発生! 深まる謎の向こうに超大企業と大物政治家の影を見た光彦に巨大な闇が迫る。傑作推理小説!
  • 警察庁番外捜査班 ハンタークラブ
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    違法捜査も厭わない超法規的捜査班「ハンタークラブ」。未解決事件が減少しないことを憂慮し、警察庁内に設置された番外捜査班である。スタッフはいずれも過去に傷があり、一癖ある捜査官たち。そこへ警視庁捜査一課から、猟奇殺人事件の依頼が入る。捜査が進むうちに見えてきた被害者の別の顔――。はたして、彼らは真相に辿り着けるのか。渾身の新シリーズ第1弾。
  • 若狭殺人事件~〈浅見光彦×歴史ロマン〉SELECTION~
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    水中綱引きの神事で賑わう福井県若狭の名勝日向湖に男の死体が流れ着く! その1年後、東京・高島平で広告代理店勤務の細野久男が絞殺された。細野が死の前に、同人誌に発表していた短編小説「死舞」には、若狭を舞台とし、黒い服の男の謎の行動と暗い過去が描かれていた。浅見光彦は、小説が結びつける2つの殺人事件の接点に引きつけられ、若狭へ向かう!
  • 金メダルのケーキ
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    オレンジの甘い香りの後にあふれ出す熱いチョコレート――。東京オリンピック女子バレーボール決勝戦の夜、二人の幼い少女は、ひとくち食べたケーキの虜になった。そのとき明日実と未来の二人は、「ケーキ作りの世界でいちばんになる!」という夢を抱くのだった。12年後、二人はコンクール優勝を目指し、競い合うことになるのだが……。美味しくて熱い青春小説!
  • 愛に生きる~旧約聖書の女たち~
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    旧約聖書には、人類の草創(そうそう)の時代から、キリストが誕生するまでのユダヤの興亡が書かれていて、どんな盛大な王の栄華(えいが)も、一茎(ひとくき)の野の百合(ゆり)の花に及ばないと言ったキリストの言葉を、まざまざと思い知らせてくれる。ことに私はこの中に、女の業(ごう)をむき出して生きる女たちの姿が、現代の女たちにも共通していることに、深い感動をそそられる(著者のことば)。
  • 新約聖書の女たち
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    心むなしいとき、心かなしいとき、私は聖書をひらく。子供のときから今日に至るまで、聖書はどんな友よりも親しくそばにいてくれ、心をはげまし、心を慰めてくれた。聖書の言葉はいつも新しく、いつも生き生きとしていて、もし、永遠の書というものがあるなら、聖書こそそれにふさわしいと思う(著者のことば)。
  • 枕草子への招待
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    自分の好きな古典を一冊あげるようにと言われたら、迷いなく私は「枕草子」をあげる。 好きという意味は、何度くりかえして読んでも飽きないから、くりかえして読むたびに、新しい発見があるからとでも言おうか。 一人でも多くの読者が「枕草子」とその作者の清少納言の好ましさを思い出してくれたらうれしい。(著者のことば)
  • 密命警部
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    警視庁捜査一課で強行犯殺人捜査第六係係長を務めていた真崎航は、事件を巡り不正を隠蔽した上司に暴力をふるい、処分される。しかし、真崎の正義感と才能に目をつけた天野勇司刑事部長は、直接彼の命令を受けて捜査する「密命警部」に抜擢した。そして、ある日、真崎に池袋署管内で発生した「警官殺し」の捜査が任されたのだが――。著者、渾身の新シリーズ第1弾。
  • 遊撃警視
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    歌舞伎町の裏通りでノンフィクション・ライターが殺された。数日後に犯人を名乗る男が自首するが、その供述は矛盾だらけで、捜査本部は男を釈放せざるを得ない。だがその2日後、男が不審死したことで捜査は一気に混迷する。そこで隠れ捜査の密命が下ったのが警視総監直属の捜査官加納卓也警視だ。捜査一課の管理官まで出世したが、現場を選んだ破天荒な警視の活躍を描く!
  • 国籍抹消捜査官
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    犯罪の国際化に備え、警視庁は地方警官を抜擢、国籍を消され自由に世界を駆ける捜査チームを密かに育てた。そのエース格が一文字隆介(いちもんじりゅうすけ)。ときに猛毒パラチオンが日本で生産され、世界の内線地帯にバラまかれているとか。一文字の出番だ。が、毒薬はすでに中央アジアのテロ組織の手に。一文字は現地の刑事とアジトに肉迫!
  • 野獣葬列
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    鉄人・五條友彦に政府筋から秘令が下る。「遺伝子学の権威、折原博士が、兇悪集団『さそり』に攫(さら)われた。早急に救出せよ」と。『さそり』の背後には『北のバラ(セベルナヤローザ)』というソ連の黒い組織がある。もし手遅れの場合、博士の研究が盗用され、狂暴人間が横行するはずだ。五條は、死線を越えながら、ソ連に拉致された博士を探し求めるが……。
  • 要塞都市炎上
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    若き戦士、五條(ごじょう)友彦に危険な仕事が舞い込んだ。九州宮崎を根城に大躍進する「神州教」が、実は武力革命で日本制圧を狙っているという。この恐るべき指導者は公文剛(くもんごう)。一匹狼の五條と陰謀グループの血みどろな対決で、「神州教」の要塞は遂に落ちる。だが五條の知らないところで、新しい危機が! 活字が劇画を超える俊英の野心作。
  • 死神は地獄へ行け
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    五條(ごじょう)友彦、人呼んでウルフ。出羽(でわ)山中で闘技を修め、狼のように駆ける若き戦士だ。超高性能で微小な記憶装置オメガ2000の奪取を図るクレムリン派遣の暗殺集団「死神」と対決。五條に課せられたこの企業秘密の死守が、国の安泰に通じる。相次ぐ死闘、粟(あわ)立つ恐怖、斃(たお)れる恋人……。新進アクション作家の、手に汗を握る野心作!
  • 密猟船
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    塩釜の沖合にある桂島から北の海を目指し北洋丸が出港した。オットセイやラッコを獲るためだ。時は明治39年3月。男たちは勇んでいた。幸先よくオットセイの大群を仕止める。が、ロシヤ官憲に拿捕され、毛皮を没収された。続いて漂流するロシヤ人の男女を救助したのに、銃撃を受け死者を出す。落胆のなかでの大猟。その感動も束の間に……。凄絶な人間と海との死闘!
  • 「活けじめ美女」殺人事件
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    活魚料理店で美貌のグルメ評論家が活けじめされ、女拓までとられて発見された! 雑誌で批判した料理人の逆恨みか。活けじめの名人、魚拓とりの達人も容疑者に……。その犯人像を追って酒島警視は博多から指宿温泉、済州島へと飛ぶ。お供の西郷刑事と恋人の由紀は愛する間もなく危険な罠に!! 旅情、歴史、官能、ご馳走を盛り込み、真犯人をさぐる贅沢な推理小説。
  • 秘湯ギャル探偵疾る!
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    伊豆の旅館で板前が殺された。容疑者は、「まずい料理の恨(うら)みは必ず晴らす」と喚(わめ)いて去った男女の客。女は津軽三味線を持ち、「次は太宰治の生家・斜陽館に泊まる」と語っていた。重要な手がかりだ。なのに酒島警視はアルツハイマー病、西郷刑事は重い糖尿病。そこで西郷の恋人・由紀が協力、逃亡情報を頼りに青森・秋田・山形の秘湯に潜入し、裸の検証を――。さて、成果は?
  • ラーメン殺人事件
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    味が評判のラーメン屋で、女店主が背中を刺されて絶命していた。事件発生! おなじみの酒島警視、平束刑事、人妻探偵・紫藤鮎子が額を寄せ合う。まず犯行現場に近い美容院の鏡で事の経緯を目撃した、ある夫人が重要証人に。すると彼女の指に被害者自慢のダイヤがピカリ。芥川賞受賞の覆面作家が、豊かな食通歴に推理の味を加えて面白く盛りつけをした連作集。
  • 白い華燭
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    スキー旅行の白馬で出会った朝子と高木。だが二人の愛は実らなかった。そして六年後の同じ白馬。再会した二人は激しく燃えた……。雪崩で死んだ高木の同僚・斎藤にかけられた業務上横領の疑い。遺された手帳は何を語るのか!? 白銀の世界に芽ばえた愛の行方と“謎の死”をみごとに融合させた長編推理小説の白眉。
  • シュウカツ[就職活動]
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    IT企業の最終面接に臨んだ河東俊介は、目を疑った。面接会場は無人で、テレビモニターとビデオカメラ、そしてスマホが置かれているだけだったのだ。スマホからの声は、彼にとんでもない指示を出し始めた――。(「見えない相手」) 強烈すぎる面接官、思いがけないトラップ……。学生たちの就職活動で起こる驚くべきできごとをリアルに描く、映画「シュウカツ」原作!
  • 十津川警部 姫路・千姫殺人事件
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    テレビのお宝鑑定番組に、大坂城落城の際に千姫が頭にかぶったという打かけが出品された。持ち主は千姫の末裔を名乗る、気品に満ちた美女だった。彼女が出品した打かけに、買いたいという申し出が相次ぐ。だが、彼女に近づく者は、次々と悲惨な死を遂げていった。謎めいた美女の周囲で続く殺人事件――十津川が解き明かした、そのあまりにも哀切な真相とは?
  • 妖魔戦線
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    奇怪な魔力で次々と美女を襲う妖魔! 最愛の婚約者を奪われ復讐に燃える工藤明彦は、念法を駆使し、幾多の妖魔らと対決してゆく。想像を絶するエネルギーを発する念法と魔力との壮絶な死闘。さらに、妖魔らを操る魔道士・淫藤龍雲との対決が工藤を待ち受ける。全編を貫く凄まじいバイオレンスとエロス。強烈な磁力を放つ、著者初期の大ヒットシリーズがついに復刊!
  • 大尾行
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    最新機器の導入により完璧な尾行システムを実現したメガ探偵社・押田探偵社の前に、尾行不可能が現れた。大合併を目前に控えた橋浦製薬の先代社長の自伝執筆を手伝う遠野尚子だ。万全の備えで尾行を開始するベテラン村川昇平だったが、白昼、渋谷スクランブル交差点の真ん中で彼女は消失した。いかなる方法で? 謎を追う村川の前に、橋浦製薬の暗部が浮かび上がる。
  • 探偵は眠らない 新装版~ホテル・ディック・シリーズ~
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    国内外の観光客で賑わう浅草に聳える高層ホテル。その警備室に、不審な男から“殺人予告”の電話があった。悪戯とは思えないが、被害者も犯行動機も判らない。数時間おきにかかってくる予告電話だけが唯一の手がかりだった。応対する田辺は元警視庁刑事で、住み込み警備員として勤務していた。見えざる犯人との息詰まる30時間の攻防を描く傑作ハードボイルド!
  • 暴力刑事
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    病院荒らしの疑いのかかる山森に職務質問の最中、岩沼は、殴る蹴るの暴行を働いた。山森の女に岩沼が入れ込んだためか!? 熱血漢だが、すぐにかっとなる「暴力刑事」との評判もあるが……。(「暴力刑事」)「不倫刑事」「泥棒刑事」「退職刑事」……。小松川東署の若手刑事・浜野孝之が見た個性的な先輩刑事たち。彼らの「異名」の裏側に意外な真実が隠されていた!
  • 湯布院の奇妙な下宿屋
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    全部の部屋が別棟で点在し、トイレや風呂場まで三角形でできた奇妙な下宿屋。しかも居住者は芸術家ばかり。持ち主の狭霧(さぎり)吉宗は、姪の結婚相手を下宿人から選ぶことに決めていた。ところが発表の前日、吉宗は心臓発作で急死。その後も怪事件が続発し、姪の木綿(ゆう)は、一尺屋遙(いっしゃくやはるか)に調査を依頼する。――リゾート地・湯布院を舞台に、著者が大仕掛けで挑む驚愕の結末!
  • 殺人平家物語
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    日美子の友人・小野寺一代(おのでらいちよ)の夫・昌(さかり)の射殺死体が、北近畿の神鍋高原(かんなべこうげん)で発見された。昌は兵庫県選出の国会議員・平春樹(ひらはるき)の地元運転手。事件捜査に乗りだす日美子の夫・二階堂の前に、小選挙区制に絡んで県会議員・平丈太郎との確執が浮かぶ。やがて、第二の恐るべき惨劇が……。平家の末裔たちが繰り広げる愛憎と殺意の謎! 暗号トリックを駆使した本格推理の傑作。
  • 死角の時刻表
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    全国のSLファンが集まった伯備線(はくびせん)沿線の山林で、殺人事件が発生! 一方、秋田市内の公園で死体となって発見された貝塚充(かいづかみつる)は、熱烈なSLファンで、岡山県の事件当日、現場近くにいたことがわかった。だが、二つの事件の捜査線上に浮かんだ容疑者には、鉄壁のアリバイが……。時刻表に隠された意外な落とし穴。岡山―秋田を結ぶ殺人ルートの謎。長編推理の傑作!
  • 四万人の目撃者
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    最高打率を誇るセネタースのスター新海清が好打を放ち、走塁中に突然倒れ、絶命する。四万人が注視する真っ只中での不慮の出来事だ。観衆の一人だった高山検事が死の真相を追うが他殺の確証は掴めない。この検事が苦悩する人間性を中心にストーリーは進展し、焦点へじりじりと迫る。日本探偵作家クラブ賞に輝いた会心作。
  • 兵隊やくざ 戦中編
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    1~2巻770円 (税込)
    「私」は北満・孫呉を守る上等兵。同じ中隊に貴三郎と名乗るテキ屋上がりの初年兵が入隊してきた。坊ちゃん育ちの私は驚くばかり。その貴三郎の生活訓練を私が受け持つとは! 入隊式の日、貴三郎は早速、暴れた。が、私は彼に人間的な愛を感じていく。中隊に移動命令が下った。「列車を切り離して脱走を」と考えた二人は……。
  • 悪夢の果て 新装版~シリーズ・闇からの声~
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    「さらば、民主国家日本よ、だな」日下良治は自嘲気味に呟いた。政府の〈教育改革審議会〉が、徴兵制に道を拓く答申を出したのだ。翌朝、モンペ姿の妻に揺り起こされた日下は、息子の達郎に〈赤紙〉が来たことを告げられる。そこは昭和20年、太平洋戦争下の東京だった。(表題作) 羅針盤を失った現代の日本に、著者が警鐘を打ち鳴らす! 「危機意識」を呼び覚ます4編。
  • しにんあそび
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    女4人の同窓会。酔いから醒めると、全員が一室に閉じ込められていた。暗闇に潜む、恐るべき悪意とは?(表題作) 縁日のお化け屋敷で消えた夫と娘。必死でふたりの行方を探す妻を、戦慄の結末が待ち受ける。(「お化け屋敷」) 仕事に疲れた中年男が25年ぶりに帰郷した。再会した旧友たちが仕掛けたのは?(「昭和の夜」) 一読忘れがたい印象を残す「奇妙な味」の小説集。
  • マローン売り出す
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    秘密の結婚式をあげたばかりの花嫁ホリーは、その夜、不快な夢を見た。絞首刑用のロープで吊されている夢……。午前三時、謎のベルの音で目覚めたホリーは、その音に導かれ、胸にナイフを突き立てられて、凍りついている伯母を発見した! シカゴの名探偵にして名弁護士、ジョン・J・マローンがデビュー、ジェイクとヘレンの名コンビも初登場のシリーズ第一作。(『原題:8 FACES AT 3』改題)
  • 仮面銀行
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    創業者・小桧山誠造(こひやませいぞう)のワンマンぶりから光和相互銀行は乱脈経営に陥っていた。さらに小桧山の亡き後、実権を握っていた“四人組”と小桧山ファミリーとの間で利権を賭けた“お家騒動”が生じる。その事実を日銀と大蔵省が察知し、光和相銀はやがて自主再建か救済合併かの道を迫られるが……。金融バブルの源(みなもと)を描き、激動する今日の金融システムをいちはやく捉えた快作。

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