はるさんのレビュー一覧
レビュアー
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野生的な無精髭はお花を愛す
こんなに感覚に訴えるストーリーは初めてです。薔薇を、香り、視覚はもちろん、花弁を口に含んでみたり、花びらの手触りと登場人物を通して読者に魅せるんです。ちょと薔薇を育ててみようかなと、思わずネットで検索しちゃいました。
フラワーアレンジメントの作品に一目惚れしてその世界に飛び込んだ美優が一目惚れした作品の作者の永悟に密かに恋をする。でも、永悟は美優に対してだけ意地悪で乱暴で、という始まりで。
ちょっと嫌だなぁと思ったんですが、後になってあーなるほどと納得。彼は自分に正直で思いやりのある中々のイケメンでした。売りは風貌と中身のギャプ萌えなんでしょうかね?現代ものとしては明るい未来を感じさせる纏 -
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ファンタジーなのに、リアル。
この作者さんのファンタジーは初めてだけど、何と言ったらいいのか、ファンタジーなのに、リアルな感じでうまいんです。
一定の条件の下で、狼に変身してしまう人狼男子と人間の女子がカップルになっていくお話。嵐が変身していく姿も丁寧に描かれ、どういう時に変身してしまうのかとか、細かいところも省かず丁寧に描かれ、感情の機微の描写も上手いので、読者は置いてきぼりにならず、最後まで安心して読めます。
個人的には部分的にユーモアがあるのが好きで、嵐が熊の母親に説教されるところが気に入ってます。最後に可愛いく幸せな未来が見れるのでオススメです。 -
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農村社会で恋を味わう
いやー、1巻辺りを読んでいた頃は、治春はひどいヤツだなぁと思っていて、先を読み進めるか迷ったが、結果的には良かった。何回も読み返すほど。
農村社会は良く言えば皆んな家族のように知っていて、家は鍵をかけないような大らかな環境だ。反対に、狭い人間関係やしがらみが嫌で若者は都会に出て行ってしまう、外から来た人も簡単に去って行ってしまう。外からやって来た人が旅人の内は良いだろうが、長期滞在しようものなら、アウエー感は折々に感じられるだろう。
その農村社会でずっと生きてきて、外から来た人を好きになってしまう治春と、都会の社会生活に疲れて農村にやってきた美鳥、互いの視点から見た互いの姿がよく描けてる。 -
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ヤクザの親父の、父の、夫の、愛
文章が上手いというか、言葉選びが上手いのか、とにかくぐいぐい世界に引き込まれます。他の方もコメントされているように、文芸の方も書ける作家さんだと思います。
ヤクザの組織や力関係など理解するのが大変だけども、登場人物像も背景もしっかり描かれてるので、問題ないです。
ヤクザのケジメとやらの某シーンは怖すぎて、一度目は斜め読み、二度目でちゃんと読みました。大きめの魚を捌いた人なら、ちょっと感覚が分かるかも。
佐渡島が息子を挟んで妻を抱きしめながら、3日ごの(ヤクザの)会談には「万が一の場合に備えて、防弾チョッキを着ていこう」と思いめぐらす場面が印象的です。何気ないちょっとしたところに作者の力量 -
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社会派?
軽い気持ちで読んでいたら、なかなか重かった。主人公やその仲間達の歯に絹を着せぬ物言い、子気味のいい丁々発止が重さを大分緩和しているんだと思う。これは恋愛ものではなかったんだ!?
我が子の親権問題、シングルマザーに対する偏見、育児放棄、DV、児相。何が子供にとって幸せか?親のエゴのために子供の未来の可能性を狭めてしまうのか?
自分にない設定と環境なので、ニュースで聞いても今一つピンと来なかったんだけど、主人公を通して、こういうことなんだと考えさせられた。幼児の口から世の中のもんだを語らせるところなど、とても巧く、変な言い方だけど、無駄なく描けていると思う。読む価値あり。皆んな上手く着地できる -
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ヒロインは濃いーリケジョ
読んでいてちょっとヒロインについて行けず、しんどかった。ヒーローは大変だ。人間惚れてしまうと、耐えられるのか!?やはり顔なのか!AIのマッチングの仕組みを出会いに利用しているところはなるほど面白い。
リケジョと接する機会が自分には何度もあったが、理屈でもの言うところや、自分の興味があることは興奮して一方的に喋り続けるところ、自説を曲げないところはよく表していると思う。
彼女達は質問に来たハズなのに、こちらが言葉と手振りを交えてストップをかけるまで喋り続ける、口を挟ませない。何故か世の皆さんが認める高学歴な人ほど目立った。あぁ、久々に思い出させてくれたヒロインでした。