ブックライブの書店員おすすめレビュー

すべて のおすすめレビュー

  • ブックライブ書店員

    「ラブコメが好き! でも、よくある展開じゃ物足りない…」とお悩みの皆様に読んでほしい一冊です。
    本作は、名手・丸戸史明が手がける“ヒロイン育成”ラブコメ。
    王道を踏襲しつつも、その枠に収まらない新しさが詰まっています。
    物語の始まりは、まさにラブコメの定番。桜の舞い散る通学路で運命の出会い——のはずが、相手は全く印象に残らない“冴えない”クラスメート。 しかし、主人公は決意します。「ならば、俺がお前をメインヒロインにしてやる!」と。ここから始まるのは、単なる恋愛物語ではなく、“ヒロインをプロデュースする”という斬新な視点のラブコメです。
    特におすすめしたいのは、丸戸節とも称される、女性キャラクターの心理描写の巧みさ。ツンデレ、幼なじみ、クール系…個性豊かなヒロインたちが、それぞれの魅力を存分に発揮しながらも、どこかリアルな感情を持ち合わせているのが本作の魅力。会話のテンポも心地よく、時に軽妙、時に切なく、読者を引き込んで離しません。
    また、文章が柔らかくて読みやすいため、読書初心者にもぴったり。
    ラブコメの新境地を開拓した本作、ぜひ手に取ってみてください!

    2025年03月12日
  • ブックライブ書店員

    「RPGのようにレベルアップして最強を目指していく作品が見たい!」
    そんな方に読んでほしい一冊です。
    本作は、韓国発のフルカラー漫画で、圧倒的な迫力のバトルシーンとスピーディーな展開が魅力です。
    物語の主人公は、人類最弱とまで言われるE級ハンター・水篠旬。しかし、ある日彼だけに見える“クエストウィンドウ”が現れたことで、状況は一変します。クエストをこなし、モンスターを倒せばレベルアップ——まるでRPGゲームのような成長システムが、読者の没入感を加速させます。
    特におすすめしたいのは、テンポの良さ。主人公がどんどん強くなっていく爽快感と、次の展開が気になりページをめくる手が止まらないストーリー構成は、まさに少年マンガの王道。
    また、フルカラーならではの迫力ある戦闘描写も見どころのひとつ。圧倒的な作画クオリティで描かれるアクションシーンは、まるでアニメを観ているかのような臨場感を味わえます。
    RPG好きの方、成長物語が好きな方、そしてとにかく熱いバトルマンガを求めている方に、自信をもっておすすめできる作品です!

    2025年03月12日
  • ブックライブ書店員

    繁殖犬。それは繁殖業者(ブリーダー)のもとでペットショップや個人に販売するための仔犬を産ませるための親犬を指します。
    産んでも我が子を育てることはできず、ただ産むだけの存在として扱われることも多いのが現状です。

    近年、悪質なブリーダーに関するニュースが後を絶ちません。
    本作は、悪質なブリーダーのもとで生まれたチワワの女の子が、自身も悪質なブリーダーの繁殖犬としてお母さんと同じ姿になり、
    初めてお母さんの苦しみを知ります。
    最後に女の子が「華」というはじめての、「本当の名前」をもらうまでの壮絶な、そして過酷な物語を、
    静かに向き合って読んでいただければと思います。

    作中、かなりショッキングな描写がありますが、これが日本のペット業界の姿の一部です。
    もちろん良心的なブリーダーもたくさんいますが、反面、悪質なブリーダーや保護ビジネスが後を絶たないのも事実です。

    擬人化しているからだけでなく、華ちゃんの表情をありのまま受け取ることで悲しさや苦しみが伝わってきます。
    私は本作を読んでは苦しくなり、何度も読み続けることができなくなりました。
    手を止めてはまた読んで、苦しくなっては手を止めてを繰り返し、泣きながら読み切りました。

    ペットショップに並んでいる子、ペットショップに並ぶことすらできなかった子、ペットショップに子を並べる為だけに強制的に産ませられる母犬。
    華ちゃんをにんげんに置き換えて読むとどうなるでしょうか。
    私たちが住む日本のペット業界がどれだけの犠牲の上に成り立っているのか、事実から目を背けずしっかりと知る必要があると感じます。
    作者もあとがきで伝えていますが、単純に「かわいそう」「泣ける」ではなく、何かの行動を取るきっかけとしていただればと思います。

    2025年03月07日
  • ブックライブ書店員

    妊活中の七海は、夫・颯太が見知らぬ女性とラブホテルに入る瞬間を目撃してしまう。
    愛する人の裏切りに呆然とする七海の前に現れたのは、なんと浮気相手の夫だという男性。
    思いがけない出会いから、複雑に絡み合う人間関係が動き出していきます。
    颯太は、外では取り繕うのがうまいものの、モラハラ気質で平気で嘘をつく最低な夫。
    言葉巧みに七海を丸め込もうとしたり、七海を下に見ている姿に、読んでいて思わずイライラ…!
    さらに、浮気相手の美羽はというと、肝が据わっていて怖いくらいの堂々っぷり。
    それぞれのキャラクターが強烈で、感情を揺さぶられっぱなしなのに、気づけばどんどん読み進めてしまうのが不思議です。
    どうか七海には幸せになってほしい…! 颯太には地獄に落ちてほしい…と、願わずにはいられません。
    ドロドロした展開にハラハラしつつ、一気に読みたくなること間違いなし! 物語の結末を是非最後までご覧ください。

    2025年02月28日
  • ブックライブ書店員

    エリクサーの材料として、竜の鱗の隙間に根を張る龍鱗草という薬草を採りに行くため、護衛に元騎士のダーシャを雇った薬師のモイミール。エリクサー、つまり四肢の欠損や精神さえも癒すという万能の霊薬など伝説の類だと思っていたダーシャは、材料調達は困難だが作れないことはないと言うモイミールに、私でもエリクサーを手に入れられるだろうか?と尋ねる。モイミールは、普通に買えば城より高いが、すべての材料を持ってきたら、護衛のお礼に調合はタダでやると約束し、2人は材料集めに奔走することになるのだが…。
    ダーシャが「元」騎士である理由やモイミールがエリクサーを欲しがる理由はもちろん、モイミールやダーシャを取り巻く人間関係、そしてそれぞれの暮らしぶりなど、お話が進むにつれていろいろなことがわかってくるし、いろいろな人が登場するので、先が気になって気になって読み進める手が止まりません。個人的には、オリジナリティあふれるモンスターが出てくるのも楽しいです! ロールプレイングゲームのクエストをクリアするように、魔法やモンスターが出てくる世界で2人が材料を1つずつ手に入れていく冒険の過程を、あなたも見守ってみませんか?

    2025年02月28日
  • ブックライブ書店員

    この世にはありとあらゆる裏技が存在する…
    そう、夏休みの宿題を最終日に一気にやる方法や、学校のトイレがすべて埋まっているときの緊急時の裏技…
    ちょっとした便利情報やライフハックに関する裏技が数多く存在している…!!
    しかしその他にも…ある特定条件が重なった日、且つ日付、時間、場所で、とある行動をとると時間を巻き戻せることをあなたはご存じだろうか。。

    時間を戻せるなら絶対に戻したい!!と思っている私は、本作を手に取って今、裏技の世界に迷い込んでいます!!
    本作は、裏技を駆使する男子高校生の黒道と羊谷が織りなす、現実と裏技の世界が交錯する世にも奇妙な物語です。

    黒道が見せる「裏技」の数々は、とんでもないものからクスっと笑いを誘うものまで、多種多様にあります。
    もしあなたが現実逃避を望むなら、ぜひ『バグエゴ』を手に取って、裏技の迷宮に迷い込んでみても良いかもしれません。
    きっとあなたも新たな裏技を発見できるかも…。。

    2025年02月28日
  • ブックライブ書店員

    これはおハーブですわwww

    内容はといえば、くそ長いタイトルの通り。
    所謂ダンジョン配信ものの現代ファンタジーであり、ぶっ飛んだお嬢様系配信者がバズりまくって伝説になってしまうお話。

    主人公・山田カリンは、大好きなアニメ作品の優雅に可憐に戦うお嬢様キャラに憧れ、ダンジョン配信者になる。
    口調や服装を模倣し、優雅なダンジョン攻略で皆に元気を与える存在を目指すものの、一向に視聴者は増えずにいた。

    しかし、ひょんなことから話題になり、瞬く間にバズりにバズって数々の伝説を打ち立てることになるのだが…。
    “お優雅”を心がけているものの、どこかズレた言動、ちょいちょい露見する脳筋っぷりに視聴者のツッコミが止まらない!
    (彼らのコメントが的確すぎて、読者も完全に視聴者の気持ち。)

    この頭のネジの飛んだお嬢様の配信チャンネル、まじおすすめですわ。
    思わず「これはおハーブ」とコメントしてしまうこと必至ですわ。

    ともかく気軽に読めて笑えるダンジョン配信ものの傑作。

    2025年02月28日
  • ブックライブ書店員

    「時々子供にみとれてしまう
    あれあれこの子はどこから来たんだ
    ―――と思ってしまう」(「ときどき子供が降ってくる」より)

    主婦・山川ちはるの些細な日常を切り取った作品。
    本作は1981年~1984年に連載されていたのだが、不思議なほど時代を感じない。母としての自分とかつて少女だった自分。その統合が難しい二つのアイデンティティの狭間を見事に表現した作品だ。読みながら、椎名林檎「ありきたりな女」が耳を掠めた。まだ娘の立場に甘えている私としては、この作品を読み、母から何を奪い、何を与えられただろうかと少し考え込んでしまう。

    そして、子供や家庭は夫という存在なくして生まれない。ところが、夫は「母」にとって異物だ。
    「あの人は知っているかしら
    この頃のわたしを知っているだろうか
    わたしがあの人の「女房」だ―――ということのほか
    何を知ってるだろう」(「わたしは誰か」より)
    だが、彼女を承認できるのは夫一人なのだ。

    1話1話丁寧に詰め込まれた寂寥感と多幸感は、世の凡ての家庭にあるものなのではないだろうか。

    2025年02月28日
  • ブックライブ書店員

    長きにわたって数々の国を滅ぼしてきた「黒き魔竜」と呼ばれる存在が封印され、しばらく経った交易都市・ハンザルクの冒険者ギルド「銀月の狐」のドノバンは、B級冒険者でギルド有数のベテランにもかかわらず、“討伐”の依頼ではなく“輸送”ばかりを引き受けている。曰く「年のせいか重い武器を振り回す“討伐”とかきつくてさー」「“輸送”だったら丸腰でもこなせるからさぁー」。それを聞きとがめた同じギルドのB級冒険者・ヘイブンから「もしも本気でおっしゃっているのであれば」「引退してもらえないだろうか?」と諭されると、「…目標もなくなったし」「それもいいかもしれないな」とつぶやくが、そのとき、ヘイブンが仕留めてギルドに持ち込んでいたはずの魔殺熊が…!と始まる『引退したおっさん冒険者、再雇用で最強ギルドマスターになってしまう』。内容はもう、このタイトルがすべてを物語っていると思うのですが、それがわかっていてもなお、描かれるその過程がめちゃくちゃおもしろいのです!!
    ハチャメチャなダメおやじっぷり、そして同じくらいハチャメチャな強さのドノバンは、どうやら何かを調べているらしいのですが、それは何なのか。新たなギルドマスターになるために向かった城塞都市・ニーベルグのギルド「赤鉄の龍」にも問題があるようだし、気になるポイントが盛りだくさんで目が離せません。表紙でふにゃけているドノバンの様子からは想像できないくらい熱いバトルファンタジー、ぜひご一読ください!

    2025年02月27日
  • ブックライブ書店員

    「仕事は女を救わない」
    オンナにとって仕事とは何だろうか。いつかは自分の家庭をもって子供を育てることがオンナの幸せだとするならば、生活に仕事が入り込んだオンナは不幸なのだろうか。
    広告代理店で働く藤井ミナミは、27歳にして7年間つき合っていた彼氏に振られる。惰性で付き合っていたとしても、悲しいものは悲しい。傷ついた彼女に残されたものは、憧れを抱いて入社した会社での激務と新しい恋への可能性! 限られた人生で、彼女は一体何を選び、何を捨てるのだろうか。

    仕事をどれだけ頑張っても男性にはなれず、仕事に入れ込めば入れ込むほどその溝は深まる。女性として扱ってくる社会と自分自身に刷り込まれた女性としての幸せへの希求は止まらない。何も間違っていないのに何も正しくもない。そんな気持ちを抱えながらもがく主人公に共感し、勇気をもらい、明日も頑張ろうと思える作品だ。

    2025年02月27日
  • ブックライブ書店員

    独身イケメン社会人の結婚相手にAIが選んだのは…まさかの男!?
    相性最高? それとも最悪?
    楽しみすぎる同居生活BLがはじまったよ~~~~!!!

    結婚なんて興味ナシの杉野谷遥が、国の制度でマッチングしたのは10歳年下の大学生・折原歩。
    しかも、折原は開口一番「あんた俺のタイプじゃないもん」って、え、そういう問題?
    そんな相性最悪(?)なふたりが強制的に1か月間の同居生活をおくるっていうんですから、
    何も起きないはずがなく~~~~!?!?!?

    ゲイの折原くんは、クールな態度で「俺は同じベッドでもよかったけど」とか、
    小悪魔な発言をしちゃうんです!!!! ダウナー受けメロすぎるっ♥
    これにはノンケの杉野谷さんも翻弄されっぱなしで…!?
    ひとりが好きでカタブツな独身貴族の杉野谷さんも、タレ目イケメンでビジュ良すぎ♥

    そんなふたりの最悪な出会いから始まった、
    年の差 × 強制マッチング × 相性最悪(?)の同居ラブ、要チェックです!

    2025年02月25日
  • 28歳の独身OL、高橋美瀬(たかはし みぜ)は、会社の先輩である桜井と付き合っているつもりでしたが、後輩の吉川あざみのSNSに桜井と親密そうな写真が投稿され、不安を抱くようになります。
    そんな中、美瀬の父親が怪我をしたことをきっかけに、彼女は実家のレストランを手伝うことに。
    そこで再会したのが、9歳年下の幼馴染、九条律(くじょう りつ)。
    彼は美瀬に対してずっと好きだったと告白するのですが…!?

    最初は年下男子との年の差LOVEまっしぐら…!かと思いきや…美瀬は、桜井への不安と律への新たな感情の間で揺れ動きます。
    先輩社員の桜井は仕事ができる人気者ですが、はっきりとした言葉で美瀬に気持ちを伝えないため、そりゃぁ美瀬の心も不安定になるってもんです。
    さらにそこに割って入ろうとする後輩女子・吉川あざみ。彼女のあざとさが不穏なフラグを立てまくり…!
    一方、律は美瀬に対して真っ直ぐな想いを抱いており、その純粋さにきゅんが止まりません。
    美瀬自身も明るく頑張り屋さんなので、思わず応援したくなる方も多いのでは!?

    不穏感はあるものの、どちらの男子も格好良いので、「美瀬、どっちにいくの!?」とドキドキしっぱなしです!!

    描くは『カモナ マイハウス!』や『隣のあたし』『青夏 Ao-Natsu』の南波あつこ先生。
    これまでの作品ではティーンの恋を描くことが多かった南波先生ですが、今回は今までのキュン魂はそのままに大人の恋愛を描いています!!

    美瀬と律、桜井、あざみの四角関係はどうなってしまうのか!?
    次の展開が気になること間違いなしです!

    2025年02月20日
  • 脱サラして古本屋「十月堂」を開業した若き店主。
    彼は本好きの客との会話を楽しみつつも、売れない本を処分する日々に不安を感じています。
    そんな中、亡くなった老人の蔵書買い取り依頼を受け大量の本を査定することになるのですが、故人の部屋から人となりを感じ取った店主は、自身の本への愛と古本を取り巻く人生の重みを再認識するのです。

    各話では様々なキャラクターが登場し、店主の目を通して本と人との関わりがオムニバス形式で描かれます。

    この作品の魅力は、何と言っても登場人物たちの個性豊かなキャラクターと、それぞれの本にまつわるエピソードです。
    例えば、本の中の耽美な世界に憧れる思春期の少女の揺れる想いや、本に囲まれる生活に憧れる人など、本好きなら共感できる物語が満載。
    また、店主の成長や葛藤も丁寧に描かれており、彼の人間味あふれる姿に心を打たれます。

    本作は本好きの人々にとって共感できる内容が詰まっており、読み終わる頃には「本探しに出かけたい」と思わせる魅力があります。
    そして古本屋の独特な雰囲気や、本の香り、手触りなど、五感に訴える描写が豊富で、「十月堂」を身近に感じられます!

    単なる古本屋の日常を描くだけでなく、本を通じて人々の心の交流や成長を描いた作品です。
    本好きの方はもちろん、そうでない方にもぜひ手に取っていただきたい一冊です。
    読み終わる頃には「本探しに出かけたい」と思わせる魅力があります!

    巻末にカバー下も収録されているのですが、是非そこもチェックしてください!!
    本好きの方はグっとくるハズ!!

    2025年02月20日
  • ブックライブ書店員

    「もしもあの頃に戻れたら 結婚なんか絶対しない」

    「ボールアンドチェイン」、つまり「鉄球と鎖」とは、囚人や奴隷が足に付けていた拘束具のこと。そこから派生して「束縛」の意を表し、男性が自分の妻を指して言うこともあったらしい。
    たしかに、この作品に登場する主人公2人は、見えない「鉄球と鎖」に縛られているようだった。特に驚いたのは、自分らしい生き方を貫いているように見えるけいとでさえ、悩み苦しむ日々を送っていたことだ。しかし、それも考えてみれば当たり前だろう。女性性から逸脱しようとしたって、「女性らしくしろ」という声が消えるわけではない。むしろ、気にしていないふりをすればするほど、その声は強くなったりする。一見自分のことを理解しているふうの彼からの言葉は、より一層けいとに刺さっただろうと、自分ごとのように胸が締め付けられた。
    「普通」ってなんだろう。そう問いかける作品は近年よく目にするようになったが、本作はその中でも群を抜いてリアルで苦しい。そして、「普通」なんてわからないけれど、同じような人がいるとうれしい。そんな2人に出会えて少し勇気をもらえた、そんな素敵なマンガだった。

    2025年02月18日
  • ブックライブ書店員

    鉄格子の檻にとじこめられざわめく家畜は、牛や豚ではなく「人間」。
    動物たちの「食料となった人間」。
    この衝撃的シーンに、動揺を隠せません。

    物語は、父と娘が迷い込んだ不気味な集団の食事会から始まります。
    「人間が家畜」「人肉が主菜」という衝撃的な設定によって、
    動物と人間の立場が逆転した世界で、普段見過ごしている問題に直面することになります。

    私たち人間が動物に向けて行う飼育、観察、狩猟、解体。
    愛情の向け方まで。
    その世界が逆転した世界には違和感の連続です。

    豚や鳥の丸焼きを目にしても、人間はそれほどの違和感は覚えないでしょう。
    しかし、この立場が逆転した世界では「人間の丸焼き」が登場します。
    「ちょうど焼きあがったとこだ。食ってくか?」というセリフとともに。

    村のリーダーである鹿のアーネストが今まさに解体されようとする人間に向ける言葉は
    「大丈夫。君の命はまったくもって無駄にはならない。」

    人間が動物に投げかけるであろう言葉や思い、そして思いやりと称した言動。
    登場する動物たちの言動を、本来人間が行っている言動と考えるならば…
    あらためて何かを考えさせられる深いメッセージを持った物語です。

    2025年02月14日
  • ブックライブ書店員

    「動物保護活動」「動物愛護」って、いったい何をするのか、何が動物のためになるのか、あなたは知っていますか?
    動物保護活動の実態を温かく描きつつ、現実も忠実に表現されている本作。
    動物虐待や悪徳ブリーダーのニュースに心を痛めている方、
    自分にも何かできたらいいなとは思いつつも何から始めたらいいかわからない方には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
    動物の保護活動についての厳しい一面や重要性を知る初めの一歩になるのではないでしょうか。

    物語は、東京でスタイリストを目指す女性が、競争に疲れ地元に戻り、一人の動物保護活動家と出会うところから始まります。
    劣悪な環境で飼育されている動物たちを救うために全力を尽くす動物保護活動家と動物との出会いを通じて、自分自身を見つめ直し、成長していく物語です。
    作中では主に動物保護活動の光と影を丁寧に描いており、ペットビジネスの闇や悪徳業者の存在など、現実の厳しさをリアルに伝えています。

    よく、「保護動物を譲渡してもらう際に金銭を要求されるのはおかしい」とSNSなどで見かけませんか?
    もちろん「保護」と称し実は単に売っているだけなどの悪徳団体もあると思います。
    ただ、まっとうな団体も多いのも事実です。
    保護団体もその動物を保護するにあたってどれだけの資財・私財を投じているでしょうか。
    何に対して金銭が発生するのか、そのお金はどのようにして「何に」使われているのか。
    悪徳団体との見分け方は?など様々な情報を得ることもできるのが魅力の一つでもあります。

    また動物保護家や一般人の目線だけでなく、動物愛護センター(いわゆる保健所など)からの目線でのエピソードも取り上げられており、行政では「やりたくてもできないこと」、愛護センターで取り組んでいることは何なのかを知ることもできます。
    「処分ありきで働いている人なんかいない。」それでも「向き合わないといけない時もある。」という相反する状況を経験している愛護センター職員の言葉が非常に印象的です。
    作者もとある記事で「守るために働いているのに守れない」という言葉をマンガにしたとおっしゃってました。

    愛玩動物としての購入のし易さ、飼育動物の放棄のしやすさ。諦めることの簡単さ。
    動物保護をする難しさ、保護した動物の飼育の難しさ、動物の心のケアの難しさ、譲渡の難しさ、保護団体・センターの運営の難しさ。
    動物愛護団体同士の軋轢、SNSでの誹謗中傷、「当たり前」という考えかた、殺処分0とは何なのか。

    動物たちのために「自分も何かしたい!」とお考えの方は、まずは「知ること」から始めてみませんか?
    動物愛護を考えるすべての人の「本来の目的」はみんな一緒のはずです。
    関わるすべての人々が、動物に対する愛情をもって尊重しあって行動することで、悲惨な末路をたどる動物を一頭でも救えるのではないかと考えさせられる一冊です。

    2025年02月14日
  • ブックライブ書店員

    とにかく描き込みがすごい…! 本格派ファンタジー!

    いくつもの国がマンションのように縦に広がる世界で、最下層に住むカブは、空から落ちてきた謎の少女リゼッタと出会う。リゼッタは最上層である空の国からやってきたというが…空を見たことのない少年が空を夢見て空を目指す。大冒険ファンタジー!

    正統派なボーイミーツガールの冒険譚で、とにかく世界観の描き込みが細かい…。
    ページをめくった瞬間、緻密な描き込みと独特な世界観が広がり、物語に引き込まれてしまいます。
    キャラクターの描写も素晴らしく、私のお気に入りは第1話のリゼッタが悪党を前に活躍するシーンです。あのシーンを見たらきっと皆さんもリゼッタが好きになること間違いなし!

    はたしてカブは空を見ることができるのか? 今後が見逃せない作品です!

    2025年02月12日
  • ブックライブ書店員

    『あさひなぐ』のこざき亜衣先生の本格歴史マンガ!

    主人公ウィリアム・セシルは、のびのびとした少年であったが、衣装担当宮内官である父に連れられてヘンリー8世が王として構える王宮に向かったことで、彼の人生を急激に変えることになる存在、未来の女王エリザベス1世に出会う。
    無垢な少年セシルは、どのように女王エリザベス1世に仕えることになるのか。近世イングランドのドロドロな政治事情と人と人との関係性が丁寧に描かれている作品なので、歴史が好きな方はもちろん、歴史をこれから学びたい、興味がある!という方にもぴったりです!

    現代にも通ずるところのある女性・男性それぞれに特有の生きづらさ、そして、それらに立ち向かうそれぞれの立場の勇気や強さ、したたかさが感じられ、どのキャラクターも魅力的に映ること間違いなし!

    セシルの、そしてそれ以外の立場から見る「正しさ」。様々な「正しさ」に向き合い、激闘するセシルを見届けてみませんか?

    2025年02月12日
  • ブックライブ書店員

    オーブリー・ビアズリーという画家を、皆さんご存じでしょうか?
    彼は19世紀イギリスの画家で、非常に耽美的で退廃的な作品が特徴です。このお話は、そんな耽美主義の鬼才とも呼ばれるビアズリーについての作品です。

    この作品の醍醐味は、何といってもオスカー・ワイルドとの関係性、そして姉・メイベルの描写です。
    ワイルドとは、『幸福な王子』や、この小説の題にもなっている『サロメ』を手掛けた小説家のことです。
    ビアズリーは実際にワイルドの『サロメ』の挿絵を描いているので、関係性は少なからずありますが、この小説ではより濃密に二人の関係性を描いています。

    また、歴史にはあまり出てこない姉のメイベルですが、この小説ではビアズリーとともに生きる主人公のように描かれています。メイベルの視点から見たビアズリーの狂気的な一面が見られることも、この小説ならではだと感じます。

    ビアズリーとワイルドの関係性はどのように描かれるのか。
    メイベルはいったいどうなってしまうのか。
    この小説で歴史の謎に迫ってみませんか?

    2025年02月12日
  • ブックライブ書店員

    日常系マンガでこんなに胸を打つ作品があったなんて…!

    主人公の知世ちゃんは小学生。大好きな小説家のお父さんと二人暮らしをしています。お母さんはずっと昔に夜空の星になってしまいました。そんな知世ちゃんのセンチメンタルで少し不思議な日常を切り取った物語です。

    知世ちゃんだけでなく、たくさんの人が登場人物として登場し、お話は一話完結の短編集のような作品です。
    中でも、お父さんの妹の百合子ちゃんやお父さんの編集担当の北原さんなど、働いている女性たちの内面に迫った物語がおすすめです。
    特に、EPISODE.76「ビクトリア エンバンクメント」は、北原さんのお部屋作りについてのお話なのですが、自分自身の居場所を自らの手で作っていく強さを感じられて、とてもおすすめです! 現代社会を生きている人は少なからず心打たれる部分があると思うので、ぜひ読んでみてください!

    おしゃれでオトナな知世ちゃんのセンチメンタルで不思議な日常を読んでみませんか?

    2025年02月12日