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酒乱の母親に売られた少年アキオ。
売られた先の犯罪都市デトロイトでは子供は「大人から奪われる生き物」でしかありませんでした。
生き残るために、名前を捨て「蛇」という名の殺し屋になることを選んだアキオ。
奪われたものを奪い返すために、自分が大人になるために大人を殺す日々を送るのですが、やがて心に限界が訪れます。
仕事を辞めたいとボスである「師(モレ)」に相談するも、聞き入れてもらえませんでした。
そんなある日、アキオは盲目の女性リンと出会います。
子供から奪う存在であるはずの大人なのに、食べ物を与えてくれ優しく接してくれる彼女にアキオは衝撃を受けます。
アキオは彼女の目が見えるようになる手術代を稼ぐため、危険な仕事を受けるのですが…。
独特な世界観にぐっと引き込まれました。
墨を効果的に用いることでデトロイトという街自体の暗さと物語の不穏な空気を効果的に表現しています。そして、まるで映画のようなカメラワークも特徴的。
絵の上手さ・表現力・コマ割り、すべてが素晴らしいです。
もちろん画力だけでなく、物語も秀逸。
絶望的な世界であがき続けるアキオの姿には胸が詰まります。
「大人になる」これだけのことがこんなにも難しいのかと。
搾取される側がそこから脱するには、仕組み自体を壊さなければならない…。これは現代で安穏と生きる我々へのアンチテーゼなのかもしれません。
タイトルである『SMOTHER ME』を直訳するのならば「私を窒息させて」「私を包み込んで」という意味ですが、この言葉が今後の展開にどう関わってくるのか、注目です。
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