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「時々子供にみとれてしまう
あれあれこの子はどこから来たんだ
―――と思ってしまう」(「ときどき子供が降ってくる」より)
主婦・山川ちはるの些細な日常を切り取った作品。
本作は1981年~1984年に連載されていたのだが、不思議なほど時代を感じない。母としての自分とかつて少女だった自分。その統合が難しい二つのアイデンティティの狭間を見事に表現した作品だ。読みながら、椎名林檎「ありきたりな女」が耳を掠めた。まだ娘の立場に甘えている私としては、この作品を読み、母から何を奪い、何を与えられただろうかと少し考え込んでしまう。
そして、子供や家庭は夫という存在なくして生まれない。ところが、夫は「母」にとって異物だ。
「あの人は知っているかしら
この頃のわたしを知っているだろうか
わたしがあの人の「女房」だ―――ということのほか
何を知ってるだろう」(「わたしは誰か」より)
だが、彼女を承認できるのは夫一人なのだ。
1話1話丁寧に詰め込まれた寂寥感と多幸感は、世の凡ての家庭にあるものなのではないだろうか。
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