小川高義のレビュー一覧

  • 変わったタイプ

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    タイプライターをキーワードにした短編集。ノスタルジックな雰囲気を持つ。
    時代も背景も様々だけれど、ちょっとほっこりする。
    トム・ハンクスの名に恥じない(??)なあ。

    期待以上でした。

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    2018年10月26日
  • 変わったタイプ

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    もう各方面で絶賛されていて、わたしの感想も同じだからいまさら書くことないなあ、って思うんだけど、とにかくよかった!
    今の話もあり、昔の話もあり、タイムマシンが出てくるSFあり、脚本あり、新聞記事の体裁もあり、映画業界の話あり、戦争の話あり、移民の話あり、ロマコメ映画にできそうな話あり、本当にバラエティに富んだ短編が17編。なにがすばらしいって、テーマとしては重かったり悲しかったりするものもあるんだけど、それでも全部が全部、ユーモアがあってファニーで温かい、ってこと。ぜんぜん嫌な気持ちにならない。いかにも「よきアメリカ」って感じがする。
    ……でも、トム・ハンクスのいい人そうな人柄(っていうか、実

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    2018年09月19日
  • 黒猫/モルグ街の殺人

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    黒猫、アモンティリャードの樽、告げ口心臓、邪鬼、ウィリアム・ウィルソン、早すぎた埋葬、モルグ街の殺人を収録。

    飜訳が素晴らしく、明晰で平明なポーを読むことができる。
    明晰で平明である分、作品の意図が明確に伝わってくる。
    「黒猫」のラストシーンがこんなに鮮烈だということははじめて知った。

    ポーの作品は、ずっと昔、創元推理文庫の「ポオ小説全集」でいくつか読んだことがあって、ここに収められた作品もその時通過していたはずだ。

    その全集は、錚々たる飜訳陣を揃えたものだったが、たぶん重厚すぎたのだろう。こちらは文章についていくのがやっとで、内容を味わう余裕までなかった。結果、怖くも何ともない、ちっと

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    2018年09月18日
  • 変わったタイプ

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    意外にも(失礼!)、ちゃんと小説だった。それも小気味のよい短編小説。タイプライター繋がりという趣向も趣味がよい。

    『アポロ13』『プライベート・ライアン』『ターミナル』などのトム・ハンクス出演映画を彷彿とさせられるような作品も何点かあって、それもうまく味付けされ生かされている。

    中でも『過去は大事なもの』はジャック・フィニイ風かなあと思いながら読み進めると、ああ『ビッグ』なのかなと思い、しかし幕切れには全く別の後味が用意されていて、その手際に感心してしまった。

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    2018年09月13日
  • グレート・ギャッツビー

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    題名だけは知ってるけど、実際にはどんなもんか全然知らん、みたいなやつ。ギャッツビーってどっかのムースかなんかであるくらいで、金持ちの鍛えたお兄ちゃんがぶいぶい言わせるような話なんかと勝手に思ってたけど、ちょっと違うような違わないような。ぶいぶい言わせてるけど、実はいろいろあるんやで・・っていう話だった。
    しかしこの金を持って無双、しかし金を持っても愛は手に入れられないぜ、という流れは、100年前にはぐっとくるものがあったにせよ、今の時代にはやや微妙ではある。飽食の時代にはお金なんて!ってなって、その揺り返しがやって来て。
    要するに馬鹿とお金は使いようって事やね。違うか。

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    2018年07月01日
  • 緋文字

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    ネタバレ

    米文学史の授業で初めてその名を知った、ホーソーンの代表作。
    授業でのあらすじの説明から、なんて暗い話を19世紀に書いたのか、疑問でならなかった。
    その疑問は解けてはいないが、ヘスター・プリンの強さと、不倫相手の弱さと苦悩を描かずにいられなかったのだろうと推察した。
    それにしても、授業であらすじを紹介されていなければ、あの牧師が不倫相手だということになかなか気づけなかったんじゃないかと思う。
    授業では、牧師は苦しみ抜いて最後は死ぬが、その死にはまったく意味がないと先生が言っていた。その通りだとも思うし、そこまで言ってはかわいそうとも思ったが、結局は牧師という公職(?)についていながら、近くでへス

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    2018年03月20日
  • 黒猫/モルグ街の殺人

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    いやはや、ポーである。
    普通の小説を「、」や「。」の句読点だとするならば、この短編集を読んだ読後の印象は「!」や「!!!」の感嘆符だ。
    そんな印象を受けた僕が末尾の解説を読んで連想するに、ポーとは映画で言えばスピルバーグであり、漫画で言えば楳図かずおなのではなかったか!!と思うのだった。

    「黒猫」~去らぬ黒猫の記憶=自虐の発露
    「本能VS理性ー黒い猫について」~人間のみが理性的か?
    「アモンティリャードの樽」~なぜ俺を罰しない!?
    「告げ口心臓」~行き詰りの呵責
    「邪気」~だめなことほどやってみたくなるだろう?
    「ウィリアムウィルソン」~待っていたのは大鏡
    「早すぎた埋葬」~マイナスベクトル

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    2017年12月06日
  • ねじの回転(新潮文庫)

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    アンソロジーに入っていた短編が面白くて、ヘンリー ジェイムズの本を読んでみた。

    これは面白い!
    翻訳のせいなのか原文のせいなのか、最初読みづらかったけど、慣れてくるとグイグイ入り込める。

    ヘンリー ジェイムズって思わせぶりが凄く上手で読んでる最中も先が読めない。

    他の作品も読んでみたいけど、ねじの回転を別の翻訳で読んでみたい。

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    2017年08月29日
  • 魔が差したパン―O・ヘンリー傑作選III―

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    なんとも普通なんだけど、普通の中にある小さな小さなひっかかりに焦点があたってるかんじかな。結構、心に残ります。きっと再読したくなる一冊。

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    2017年07月29日
  • グレート・ギャッツビー

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    ネタバレ

     過去に縛られる男の話といえば、私の中ではやっぱり『秒速』だろうか。男は過去に、女は未来に。そんな二元論が嫌いなのは、それが幾分的を得ているのだという考えが自身の心の中にあるからなのかもしれない。

     本作の主人公であろう「ジェイ・ギャッツビー」は、かつて愛した女性に再開したが、彼女にはすでに婚約者がいた。あとはもう当然起こるであろう出来事の連続で、当然起こるであろう結末を迎える。これはもう様式美なのではないだろうかと思うほどに。

     主人公の名前だけのタイトル、冒頭の語り手の独白、物語序盤から始まるミステリアスな「ギャッツビー」像がだんだんとなくなってゆき、最後には実直な青年だった彼が現れる

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    2017年06月10日
  • 若者はみな悲しい

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    代表作「グレート・ギャッツビー」で知られるフィッツジェラルドの自選短編集。
    数多くの短編を書いたものの、中には良質と言い難い作品もあるようだ。
    9編の掌編が収められているが、重々しい作品というよりは、読後に爽快感が感じられる作品が多かった。劇中で発生する出来事によって、主人公が成長するという内容がほとんどであった。
    しかし、ヘミングウェイもそうだが、狂騒の20年代と呼ばれる1920年代のアメリカの都市が持つ時代感といったら。現代ではいずれの国も持ちえない空気感ではなかろうか。若干の退廃的な雰囲気を感じさせつつも、未来への明るい展望を感じさせる。

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    2017年05月21日
  • アッシャー家の崩壊/黄金虫

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    ネタバレ

    思ったことだけ

    ヴァルデマー氏の症例
    催眠に関する物語の1つ。死者に催眠は有効かという議論。今やったら絶対医療倫理に反するだろう。早く死なせてくれという言葉が印象深かった。

    解説の"dissolution"をめぐる解釈がおもしろい。死と言うと簡単で、しかし物足りなさが半端無い。

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    2016年06月11日
  • 賢者の贈りもの―O・ヘンリー傑作選I―

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    ラスト2~3行の大どんでん返しがあったり、あっと言わせるようなオチが待っていたり。短編らしい短編がたくさん詰まった小説。
    「賢者の贈りもの」は昔CMにも使われてた記憶がある。
    クリスマスの夜、貧しい夫婦の物語。
    妻は夫が大切にしている金時計につける鎖を買うために自分の美しい髪の毛を売り、夫は妻の髪の毛に使う櫛を買うために自分が大切にしていた金時計を売ってしまう。お互いの贈りものは無駄なものになってしまうけれど…というお話。
    これを美しい夫婦愛と取るか、馬鹿げた皮肉的な物語と取るかは、読み手に委ねられてると思うけれど。

    感動系、思わず笑ってしまうもの、そのオチにただ感心してしまうもの、シニカ

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    2015年07月31日
  • グレート・ギャッツビー

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    ネタバレ

    ディカプリオの映画を見たすぐ後に読んだ。
    昔20代で読んだ時はこんなに面白く感じなかったはず。

    前半、ギャツビーが対岸にある緑のライトを見つめるシーンで、思わずぐっと来たのは映画を見てギャツビーのデイジーへの想いを知っていたから。きっと一度読んだだけでは、良さはわからないのかも。

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    2014年11月03日
  • 緋文字

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    ネタバレ

    税関の部分は、だらだらと長く続き、読みにくい。しかし、『私』のセイラムの地への愛着は郷愁を喚起し、寂れた街で過ごす人々もまたセイラムの地に縛られているのかと考えると哀愁を帯びて感じられ、改めて読み直すと共感を覚えた。地縁的なものに敏感な人には、通ずるものがあるのではないか。
    本編は、ストイックな牧師の姿が印象的だった。三角関係とそれぞれの変化は解るが、パールの役割や緋文字のAについては消化不良に終わった。

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    2014年04月27日
  • グレート・ギャッツビー

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    読んでいるうちに寂しさと悲しさが押し寄せた。
    ギャッツビーに共感できてしまう気がしたからだろうか。元気な時にもう一度読み直したいと思う。

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    2014年03月24日
  • アウルクリーク橋の出来事/豹の眼

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    『悪魔の辞典』で有名なビアスの短編集。『悪魔の辞典』は家にあるので名前だけは知ってるけど作品は知らない作家のひとり。どの短編も死(あるいは幽霊)を扱っていて最後にドンと落とされる。多分一回読んだだけじゃ完全にこの世界観を理解するのは難しい。芥川龍之介は、「月明かりの道」を下敷きにして「藪の中」を書いたと言う。ビアスの最後が失踪して行方知れずというのもこの作家の不思議さが増す所以かも知れない。2012/150

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    2013年11月14日
  • 若者はみな悲しい

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    フィッツジェラルドの自選短編集。華やかな人生の影にある虚しさや、自分の思うようにいかないのだという嘆きを感じた。

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    2011年09月25日
  • 若者はみな悲しい

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    理想の女性を追いつづける男の哀しみを描く「冬の夢」。わがままな妻が大人へと成長する「調停人」。親たちの見栄と自尊心が交錯する「子どもパーティ」。アメリカが最も輝いていた1920年代を代表する作家が、若者と、かつて若者だった大人たちを鮮やかに描きだす珠玉の自選短編集。

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    2011年04月20日
  • 翻訳の秘密――翻訳小説を「書く」ために

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    ジュンパ・ラヒリの名訳で名前を覚えた、小川氏が翻訳のハウツー本を出したと聞き、書店に走った。面白かった!言葉のリズムやテンポ、スピードをとらえなければならない翻訳家は指揮者である、との言葉に深くうなずく。その他便利なサイトや辞書の紹介もあって興味深い。時折手にとりたい本になるだろう。

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    2009年10月04日