小川高義のレビュー一覧
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ネタバレ再読。以前に読んだのは15年ほど前。
当時、関西の家を引き払い、金沢に引っ越す直前に読んでいた。
詳しいことは忘れたが、冬の夢を気に入ったのを覚えている。
関西に戻って長く時間が経ったいま、再読し、当時のことを思い出した。
青春の甘さと痛みというかんじ。
小川さんはラヒリの翻訳で出会い、気持ちのいい、キリッとした日本語がカッコよくて大好きだった。
今回、ふとまた再読し、改めていい一冊だなあと思った。
あとがきにあるように、フィッツジェラルドは視覚処理の上手い作家なのだろう。
登場するヒロインや若奥さんがわりとどれも似ている。
(野心的な若いアメリカ男も似ている。整髪料の匂いまでする気がす -
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ポーです
もちろん再読ですが、当時は推理小説愛好家であれば一度は読んでおくべき必読の書として義務感みたいなのに駆られて読んだ記憶があります
基本的に頭のおかしい奴の妄言です
いろんな意味でなんか恐っ!てなる話なんですが、注意深く読み進めていくと、あれなんかちゃんとしてない?ってなるんです
唐突にあれすごいロジカルじゃない?っとことに気付くんですな
そこらへんが未だにポーが読まれている所以なのかと思ったりします
そしてポーと言えば江戸川乱歩の名前の元になったことでも有名ですよね
エドガー・アラン・ポー→江戸川乱歩
初めて知ったときに、すげーセンス!となぜか感動した覚えがありますが、本人は結 -
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社会規範を外れること
なんてありえない─
判で押した日々を送る
四十路の主人公。
いつものことばかりの
生活に、
いつもとは違う出来事
が飛び込んできて、
彼の内に波紋を投じる。
そしてその波紋はいつ
しか彼の行動を、
やがては人生を変える。
現状を変えることには
失敗のリスクを伴うし、
えてして多大な労力も
払わなければいけない。
現状維持を選択すれば、
失敗のリスクを負わず
労力も払わなくて済む。
だからこそ、私たちは
いまのままじゃダメだ、
うん、変わなくちゃ!
と思ってもけっきょく、
無意識の内に現状維持
を選択しちゃうんです
よね。
いつもと違う出来事は
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ネタバレ静かな雰囲気の小説で、心地よかった。
毎朝同じ時間にランニングに出かけるマイカの決まりきった生活に、非日常な出来事が起こっていく。大学時代の元カノの息子が訪ねてきたり、彼女にフラれたり。
家出したブリンクと、その家族たちがマイカの家から出て行った後の、
「もうパーコレーターは、溜息のような音を立てているだけだった」
この表現がたまらなく好き。
最後の「つらい心を抱えた人。おれがそうなっちゃった。」が老人ホームの件と繋がっているところも痺れた。
マイカの暮らしはとっても質素だけど周りは賑やかで、終わりも素敵だったし、なんだかほっこりした気分が残った。
目から入る情報は文字だけなのに、そ -
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『8歳で作家になった』と言ったと言われるカポーティは、16歳の時に『ニューヨーカー』で雑用の仕事をしていて、21歳の時にO・ヘンリー賞を受賞。恐るべき子供(アンファン・テリブル)と注目を浴びて社交界デビューするけど、51歳の時に書きはじめたみかんの遺作『叶えられた祈り』で社交人の秘密にしたいことを暴露しちゃって追放される。60歳にハリウッドの友人宅で心臓発作で死亡。酒と薬物の問題を抱えていた。
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早熟の天才が社交界で豪遊して酒か薬の問題抱える例で言ったら『悲しみよ、こんにちは』のサガンを思い出す。
この短編集、カポーティが10代とか20代前半に書いた作品集なんだけど本当何か物語を描写する -
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1作目は自分の読書歴オールタイムベストに入る作品。人生に寄り添ってくれる小説というのでしょうか、中高年の方に強くお勧めできる小説です。で、その続編が10年ぶりに出て迷わず買ってから2年放置しましたが、初読から10年、細部を忘れてるので、今回最初から読み始めやっと通読できました。
構成はオムニバスと言われる連作短編集で、オリーヴは主役、脇役、チョイ役と年齢順に出てきます。2冊で40代から86歳までのオリーヴが、架空の街、メイン州クロズビーの人々と共に描かれます。その意味で2作はきれいにつながっています。1つの短編を時間をかけてしっかり読んでいくことが吉。
オリーヴは、かなり嫌味な毒吐き女性で感情 -
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「ボルティモア郊外で、コンピューターの便利屋をしながら独り暮らす43歳のマイカ・モーティマー。人付き合いの少ない彼は、毎朝7:15になるとランニングに出かけ、その後シャワー、朝食、掃除……というように決まった日課を守って毎日を過ごしている。
そんなある日、マイカの息子だと名乗る青年が彼の元を訪れる。さらに、恋仲の女性には、とあるすれ違いで別れを告げられ──。
予想外の出来事が続き、日常のテンポがズレ始めたマイカの行き着く先とは」(早川書房HP紹介文より)
まずマイカ、という名で男性というのが飲み込むのに時間がかかった。些細なことだけど、外国文学を読むとこういうことがある。
マイカはきっちり -
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彼のような男は何をするかわからない。
こんな書き出しで形容されることは、彼にとって不本意なことだろう。平凡だが、関西でいうところの、ヘンコかもしれない。
朝のジョギングから始まるスローライフは “今時” だ。途中見かける消火栓を赤毛の女性に(違いない)見てしまう面白がり方は、成熟しきれない面も残している。無頼を気取った部分もあるだろう。しかし、突然現れた学生時代の彼女の子供を観察するにつれ、知らぬ間にずいぶん大人になってしまった自分自身に気づかされたことだろう。
現在の彼女とのぎくしゃくした関係をきっかけに、弱気を見せる主人公。残りの人生を数えるような年齢になってしまったおっさん -
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ネタバレ表題作の一つである「モルグ街の殺人」(1841)は史上初の推理小説であるとのこと、また、他の短編の怪奇小説の味わいなどから、コナン・ドイルや江戸川乱歩に与えた影響をしみじみと感じた。一話が短いのでとても読みやすい(たまに難解な部分もあるが)。
本書には、恐らく笑うところではないと思いながらも、突き抜けた悪人ぶりがちょっと笑えるなぁと思った点がいくつかあった。
ポーは以前児童向けの文庫で(表題作を含む)一冊だけ読んだことがあったが、今回、「翻訳は一種の探偵業」という、訳者ならではの解説とあとがきを読んで、より楽しむことができた。一般論または抽象論(私には難しくてよくわからない)+本題という「話の