小川高義のレビュー一覧

  • 何があってもおかしくない

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    前作「私の名前はルーシーバートン」の登場人物を主人公にした連作短編。登場人物が多く2代に渡るので途中こんがらがってしまった。 しかし名作であり心に残る作品だった。最後に出てくる主人公が無意識に死を感じたのか、あやまりたい、と言う思いが強くなっていく。対象はない。共感する。人生振り返ってあやまりたいとか、そこやり直したいと振り返る事が多くなってきた。良い作品。ルーシーバートンこれからも読み

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    2023年05月09日
  • 若者はみな悲しい

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    ネタバレ

    再読。以前に読んだのは15年ほど前。
    当時、関西の家を引き払い、金沢に引っ越す直前に読んでいた。
    詳しいことは忘れたが、冬の夢を気に入ったのを覚えている。
    関西に戻って長く時間が経ったいま、再読し、当時のことを思い出した。

    青春の甘さと痛みというかんじ。
    小川さんはラヒリの翻訳で出会い、気持ちのいい、キリッとした日本語がカッコよくて大好きだった。

    今回、ふとまた再読し、改めていい一冊だなあと思った。
    あとがきにあるように、フィッツジェラルドは視覚処理の上手い作家なのだろう。

    登場するヒロインや若奥さんがわりとどれも似ている。
    (野心的な若いアメリカ男も似ている。整髪料の匂いまでする気がす

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    2023年04月22日
  • 老人と海

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    漁師的にはあんまり良い結果ではなかったかもしれないけど、得たものは魚だけじゃないんだと。

    海に生きる男の強さと寂しさがダイレクトに心に通じます。

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    2023年04月20日
  • 黒猫/モルグ街の殺人

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    ポーです

    もちろん再読ですが、当時は推理小説愛好家であれば一度は読んでおくべき必読の書として義務感みたいなのに駆られて読んだ記憶があります

    基本的に頭のおかしい奴の妄言です
    いろんな意味でなんか恐っ!てなる話なんですが、注意深く読み進めていくと、あれなんかちゃんとしてない?ってなるんです
    唐突にあれすごいロジカルじゃない?っとことに気付くんですな
    そこらへんが未だにポーが読まれている所以なのかと思ったりします

    そしてポーと言えば江戸川乱歩の名前の元になったことでも有名ですよね
    エドガー・アラン・ポー→江戸川乱歩
    初めて知ったときに、すげーセンス!となぜか感動した覚えがありますが、本人は結

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    2023年04月05日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    社会規範を外れること
    なんてありえない─

    判で押した日々を送る
    四十路の主人公。

    いつものことばかりの
    生活に、

    いつもとは違う出来事
    が飛び込んできて、

    彼の内に波紋を投じる。

    そしてその波紋はいつ
    しか彼の行動を、

    やがては人生を変える。

    現状を変えることには
    失敗のリスクを伴うし、

    えてして多大な労力も
    払わなければいけない。

    現状維持を選択すれば、

    失敗のリスクを負わず
    労力も払わなくて済む。

    だからこそ、私たちは
    いまのままじゃダメだ、

    うん、変わなくちゃ!
    と思ってもけっきょく、

    無意識の内に現状維持
    を選択しちゃうんです
    よね。

    いつもと違う出来事は

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    2023年03月26日
  • 黒猫/モルグ街の殺人

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    「黒猫」や「ウィリアム・ウィルソン」の、徐々に狂っていく心理描写と時代性を廃した古さを感じさせない情景描写がいい。

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    2023年03月05日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    ネタバレ

    静かな雰囲気の小説で、心地よかった。

    毎朝同じ時間にランニングに出かけるマイカの決まりきった生活に、非日常な出来事が起こっていく。大学時代の元カノの息子が訪ねてきたり、彼女にフラれたり。

    家出したブリンクと、その家族たちがマイカの家から出て行った後の、
    「もうパーコレーターは、溜息のような音を立てているだけだった」
    この表現がたまらなく好き。

    最後の「つらい心を抱えた人。おれがそうなっちゃった。」が老人ホームの件と繋がっているところも痺れた。

    マイカの暮らしはとっても質素だけど周りは賑やかで、終わりも素敵だったし、なんだかほっこりした気分が残った。

    目から入る情報は文字だけなのに、そ

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    2023年03月05日
  • ここから世界が始まる―トルーマン・カポーティ初期短篇集―(新潮文庫)

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    名前を聞いたことはあるけど、作品を読んだことがなく、これが初めて読んだもの。

    短いのにどれも後先を想像せずにはいられない。
    どれも話に夢中になったけど、この4つが好き。好き、というか頭に残った。

    分かれる道、これをジェイミーに、ルーシー、こここから世界が始まる

    ここから世界が始まる、はタイトルにもなっているが、松任谷由実のひこうきぐもの歌詞とちょっと重なった。

    あまり暗いお話は、ましてノンフィクションはあまり手に取らないですが、『冷血』を読んでみようと思う。

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    2023年02月27日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    「老いる」ことが、切実に我が身へと迫ってくる作品。前作にあったオリーヴの「人となり」は、変わらないが、老いが彼女を絡めとって行く様が少し痛々しく感じた。だけど、これが現実なのだな、と思わせるところが、この作品の凄さだと思う。オリーヴの周辺で生きる人々にも焦点を当てているが、それぞれに問題を抱えつつ懸命に生きる様子になぜか勇気をもらえた。生きることはしんどい。けれど、たまには良いこともあるさ。という、オリーヴの声が聞こえるようだ。

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    2023年02月11日
  • ここから世界が始まる―トルーマン・カポーティ初期短篇集―(新潮文庫)

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    『8歳で作家になった』と言ったと言われるカポーティは、16歳の時に『ニューヨーカー』で雑用の仕事をしていて、21歳の時にO・ヘンリー賞を受賞。恐るべき子供(アンファン・テリブル)と注目を浴びて社交界デビューするけど、51歳の時に書きはじめたみかんの遺作『叶えられた祈り』で社交人の秘密にしたいことを暴露しちゃって追放される。60歳にハリウッドの友人宅で心臓発作で死亡。酒と薬物の問題を抱えていた。
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    早熟の天才が社交界で豪遊して酒か薬の問題抱える例で言ったら『悲しみよ、こんにちは』のサガンを思い出す。
    この短編集、カポーティが10代とか20代前半に書いた作品集なんだけど本当何か物語を描写する

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    2023年01月31日
  • 私の名前はルーシー・バートン

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    難しい母親と繊細な娘のやり取りは何にも酷いところがないのに、読んでてとても息苦しくて、読むのやめちゃおうかなという気持ちで2日ほど空けたけれど、やっぱり気になって読み続けた。
    そのうち今度は読み終えるのが寂しくなって後半は休み休み戻りつつ読んだ。
    でも退院してからはやや退屈だったかな…ニューヨークがなんとなく合ってない気がするw
    うろ覚えだけど、「苦手なことは突撃して対処してがぶりと噛み付くつもりで取り組みなさい」みたいなアドバイスが忘れられない。
    続編もあるようなのでぜひ読みたい。

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    2023年01月28日
  • ここから世界が始まる―トルーマン・カポーティ初期短篇集―(新潮文庫)

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    ハーパーリーの幼馴染で、”アラバマ物語”の”ディル”はカポーティがモデルだと知ったのがカポーティの本に興味を持ったきっかけ。
    代表作の冷血をまだ読んでいないのだが、先にこの、”ここから世界が始まる”を読んでみた。
    若い時、なんならまだ高校生のときにこれらの短編のいくつかを書いたとは、作家になるべくして生まれた人だと感じた。くどくどとしていないシンプルな文体の情景描写がさすが。早く冷血も読んでみたい。私は”ルイーズ”と”ミスベルランキン”がお気に入り。

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    2022年12月31日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    これは前作同様、深いのに軽やかで、人生の真実に近づける感じ。老年に達したオリーブと周りの人々の暮らしが描かれるが「なんでもない日常」なんてないのだなと思わされる。今日が人生の変わり目かもしれないのだ。
    80過ぎまでのオリーブの晩年は穏やかとはいいがたい…いや、境遇的には満たされてるけど…で、老いを感じる私としては、そうかこうなっていくのかというリアルな恐れと諦念を感じるが…そうね、それでもいいことも起きるし、自然は美しいし、進んでいかないとね。
    訳が見事!会話の自然さにうなる。

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    2022年12月24日
  • グレート・ギャッツビー

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    アメリカンドリームに乗り遅れた男の話(乗り遅れたというより時代がすでに終わってた?)。乗り遅れたけど、とりあえず金持ちにはなれた。希望する形ではないだろうけど。
    初めて読んだので、まだ飲み込みきれてない。今まで読んだ海外文学の中では、一番オシャレな感じがする。訳の影響もあるだろけど。
    まるで関係ないんだけど、読んでいる最中、どうも頭の中に「アルジャーノンに花束を」がちらほらと浮かんでくる。理由は不明。あっちはSFだし。
    ほとぼりが冷めたらまた読もうと思う。

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    2022年12月22日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    1作目は自分の読書歴オールタイムベストに入る作品。人生に寄り添ってくれる小説というのでしょうか、中高年の方に強くお勧めできる小説です。で、その続編が10年ぶりに出て迷わず買ってから2年放置しましたが、初読から10年、細部を忘れてるので、今回最初から読み始めやっと通読できました。
    構成はオムニバスと言われる連作短編集で、オリーヴは主役、脇役、チョイ役と年齢順に出てきます。2冊で40代から86歳までのオリーヴが、架空の街、メイン州クロズビーの人々と共に描かれます。その意味で2作はきれいにつながっています。1つの短編を時間をかけてしっかり読んでいくことが吉。
    オリーヴは、かなり嫌味な毒吐き女性で感情

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    2022年12月02日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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    「ボルティモア郊外で、コンピューターの便利屋をしながら独り暮らす43歳のマイカ・モーティマー。人付き合いの少ない彼は、毎朝7:15になるとランニングに出かけ、その後シャワー、朝食、掃除……というように決まった日課を守って毎日を過ごしている。
    そんなある日、マイカの息子だと名乗る青年が彼の元を訪れる。さらに、恋仲の女性には、とあるすれ違いで別れを告げられ──。
    予想外の出来事が続き、日常のテンポがズレ始めたマイカの行き着く先とは」(早川書房HP紹介文より)

    まずマイカ、という名で男性というのが飲み込むのに時間がかかった。些細なことだけど、外国文学を読むとこういうことがある。

    マイカはきっちり

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    2022年11月20日
  • この道の先に、いつもの赤毛

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     彼のような男は何をするかわからない。

     こんな書き出しで形容されることは、彼にとって不本意なことだろう。平凡だが、関西でいうところの、ヘンコかもしれない。

     朝のジョギングから始まるスローライフは “今時” だ。途中見かける消火栓を赤毛の女性に(違いない)見てしまう面白がり方は、成熟しきれない面も残している。無頼を気取った部分もあるだろう。しかし、突然現れた学生時代の彼女の子供を観察するにつれ、知らぬ間にずいぶん大人になってしまった自分自身に気づかされたことだろう。

     現在の彼女とのぎくしゃくした関係をきっかけに、弱気を見せる主人公。残りの人生を数えるような年齢になってしまったおっさん

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    2022年11月13日
  • 黒猫/モルグ街の殺人

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    ネタバレ

    表題作の一つである「モルグ街の殺人」(1841)は史上初の推理小説であるとのこと、また、他の短編の怪奇小説の味わいなどから、コナン・ドイルや江戸川乱歩に与えた影響をしみじみと感じた。一話が短いのでとても読みやすい(たまに難解な部分もあるが)。
    本書には、恐らく笑うところではないと思いながらも、突き抜けた悪人ぶりがちょっと笑えるなぁと思った点がいくつかあった。
    ポーは以前児童向けの文庫で(表題作を含む)一冊だけ読んだことがあったが、今回、「翻訳は一種の探偵業」という、訳者ならではの解説とあとがきを読んで、より楽しむことができた。一般論または抽象論(私には難しくてよくわからない)+本題という「話の

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    2022年11月02日
  • ここから世界が始まる―トルーマン・カポーティ初期短篇集―(新潮文庫)

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    習作とのことだが、十分作品に仕上がっていると思わせる短編ばかりで、やっぱり天才と言われる人は違うんだなぁ…と思いました。こんな作品を十代で…と考えると、すごいとしか良いようがありません。
    面白いです。

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    2022年11月02日
  • グレート・ギャッツビー

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    古き良き時代のアメリカンドリームの悲哀をハードボイルドタッチで描いた粋な小説である。キザな男たちの人生が悲しくもあり、愛おしくもある。

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    2022年10月31日