小川高義のレビュー一覧
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ポーの独特の語りに引き込まれます。不気味すぎる話にゾクゾクしながら、「この後どうなる?」という期待感にあふれました。8編の短編それぞれが個性的で、心情描写のうまさに脱帽でした。
「モルグ街の殺人」は“推理小説の元祖”と、解説にありました。謎解きが論理的に進み、最後に解き明かされる流れは明快で、数学の難しい問題が解けたときのような痛快さを感じました。
訳者あとがきに、明治時代「黒猫」を訳した饗庭篁村(あえばこうそん)、内田魯庵についてのエピソードがあり、当時の翻訳事情が垣間見られて興味深かったです。
角川文庫の河合祥一郎訳と小川高義訳を比較すると、本書の方が心持ち、分かりやすいかなと思いま -
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「幽霊」(苦手)とあったので読むの後回しにしていたんだけど、、、これはおもしろかった!!
ホラー?ミステリー?謎が多くて先が気になるからどんどん読めた。
お屋敷に住み込みで子供たちの家庭教師をすることになった女性が語り手。ずっとその先生視点で物語が進んでいく。子供は眉目秀麗な兄と妹。楽しく過ごしていたある日、先生はお屋敷に不穏な影を見てしまい、色々なものが徐々に崩れていく。
面白いけど難解。結局何が真実なのかわからない。もはや真実なんて無いのかも。と翻弄されてる。
読み終わってからもう一度序章を読んでみたけど、余計混乱しただけだった笑
ネタバレになるので詳しく書けないけど、何をホラーと捉 -
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一人称小説の語り手が、幻覚を見ているのか嘘をついているのか偏見を持っているのか、いずれにせよ素直に読むと読者の足下を掬われる語りのスタイルを獲得したのが20世紀。19世紀末英国は大英帝国の繁栄とオカルトブームが同居する実に奇妙な空間で、アメリカとイギリスの両国で暮らしたジェイムスによる難解な幽霊譚の語りを通して20世紀文学が用意されたと言える。
この作品において、幽霊はただ佇むだけである。映画「シャイニング」の亡霊のように。幽霊が悪をなしているというのは、語り手である家庭教師の思い込みではないのか。作品は敢えて核心を外していて読者を宙吊りにする。歯切れの悪さを感じられても仕方ないだろう、とは -
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ピューリッツァー賞受賞の1作目より読みやすく、楽しかった。登場人物の数も多くなく、人物の繋がりも理解できて物語へすんなり入っていけた。
人生のたそがれにあるオリーブ、ジャックと幸せな結婚生活でよかった。少し、ドラマの「最後から二番目の恋」を思い出した。
孤独が寂しい、と言えるようになったオリーブ。前作では、孤独と向き合うことができず、そのはちゃめちゃぶりにハラハラさせられたが、今作では、ジャックとの生活で安定を手に入れて、優しさを取り戻していた。ヘンリーに対してももっと優しくしてやればよかったと。前作ではヘンリーがすてきだっが、今作ではジャックがむちゃくちゃすてきだった。本人も言ってたが、こん -
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アメリカ文学の古典的名著ということで、読まずにはおれんだろうというミーハーな気持ちで手に取る。
ディカプリオの映画予告編のイメージが強いからか、乱痴気騒ぎのエンタメ小説かと思っていたが抒情的な栄枯盛衰物語でしたね。
後半の展開で徐々に明かされるギャツビーの人物像とその魂胆、終盤の展開とハラハラさせれたな。
ところどころの風景描写の色彩豊かさ、情景を想起させる名文であることが翻訳ではあるが随所に感じられる。名家として根っからの富豪に対するきな臭い成金のギャツビーという対比、もっと大枠の上流階級と一般市民のパワーバランス、作品構成として非常に引き込まれる練り上げ方をされている。時代も国も違うけど -
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フランシス・マクドーマンド主演のドラマを見た。
これがまた期待を上回る出来!U-NEXTにこれだけを見るために入った価値がありました。
そのせいでオリーヴがマクドーマンドとして脳内再生されたけど、マクドーマンドだから許されます笑 だってマクドーマンドですから!もう一度「ノマド」見ようかなと思ったくらい。
「光」を読み終わったのは、カフェだった。涙ぐんでいたところにランチが運ばれてきた。
「救われる」もお弁当食べながらだったから泣きながら食べた。
読み終わるのが惜しくて噛み締めながら読んだ。
なんだかんだいろいろある、いろいろあるけど、ここまでやってきたじゃないか、諦念が生きてきた実感に昇華 -
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優しくもほろ苦く、時に苦い気持ちにもなるO・ヘンリーの短編集第二弾。
表題作含め、1冊目よりビターなお話が揃っている印象を受けた。
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特に好きなお話
「金銭の神・恋の天使」石鹸会社で巨万の富を築いた男と、その息子が恋する相手とのなれそめのお話。粋なオチが最高!!好きだぁぁぁ!
「心と手」オチが最高。読み返したらニヤニヤしちゃう。
「更生の再生」(旧訳「よみがえった改心」)ジミーも好きだし、ベンー!!ルパン味があって最高。→
今回はハピエンじゃないお話も多くて、物語としては面白いんだけどなかなかビターな感じ。
「ブラックジャックの契約人」や「ある都市のレポート」あたりは、仕方ないんだけど、やる -
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ストラウトの作品の中で最も好きな小説となった。
今まで読んだ本のベスト10にも入りそう。
なんて作家なんだろう!エリザベス・ストラウト。
ストラウトを好きな全ての人と語りたい気分になるほど。
まず、「標識」がいい。
いきなり持って行かれた。
それから、「妹」。
これは、また。
口紅をしたヴィッキー…。
ルーシー・バートンとその兄姉は、いわゆる「虐待」を受けていた兄妹なのだった。(3冊のルーシー本の中で、これを最後に読んだのだけれど)その影はずっとルーシーを語る上で欠かせないものではあった。でもそれをルーシーはとうに乗り越えて今の自分がいるわけで、具体的にどんなことが過去にあったのか、この -
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優しい眼差しのお話が16編収録された短編集。
どのお話も登場人物たちがチャーミングで、作者のキャラクターたちへの愛を感じる一冊。とにかく好き。
オチが秀逸なのもさすが。→
特に好きなお話は
春はアラカルト(とにかくかわいい!)
二十年後(上手いよなぁ)
水車のある教会(切なくてラストが良き!)
千ドル(ジリアン良き)
緑のドア(世界観がたまらない&オチ最高!)
赤い酋長の身代金(がんばれビル!笑)
この世は相身互い(これ、最高じゃない?)
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巻末の翻訳者さんのあとがきがまたいいんだよなぁ。
私がO・ヘンリーが好きな理由を言語化してくれている感じがした。
新潮文庫の「名作新訳コレクショ