小川高義のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
探偵小説の始祖と聞いて読んでみた。
詳しくは知らないが詩人らしく、幾つかのお話は散文で、具体的な描写は少なかったものそれ以上に殺人たらしめる心理的な切迫感が伝わってきた。
どの話も面白かった。
有名なのはタイトルの2話と早すぎた埋葬だろうけど、私にとっては他の話の方が興味深かった。
アモンディリャードの樽
はどんな酷いことをされても耐えていた主人公が恥辱だけには我慢できずに殺人を決意するという、ことだけが描かれており、具体的にやられたことはわからない。ただ、殺人を計画した主人公が酔った相手を巧みに誘き出して家の地下のカタコンベ兼ワインセラーの奥深くに生き埋めにする。道中挟まれるアモンティリャードの繰り返しがそれほど魅力的な酒なのか?と思わせると同時に間抜けさを感じる。最後のオチでこれが過去の話だとわかる。
告げ口心臓
殺人を犯した主人公が死体を家の床下に隠す。警官に対して白々しく対応するも、自らの心臓に耐えかねて告白してしまう話。
邪気
これも殺人を犯した主人公が後ろめたさか、隠していたのについに告白してしまい、絞首刑にかけられる前日にそれを話しているというオチがわかる。
ウィリアム・ウィルソン
自身の善性に殺され、殺した男の話。狂っていく様が随分と丁寧に描かれている。
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Posted by ブクログ
ネタバレポーの作品は今でも素晴らしく面白い。
※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。
はじめて読んだときの題名は「アッシャー家の没落」だったような気がするが。
今読んでみると訳されて定着している「家の崩壊」とする方が深い。
「Fall」はそういったことなのか。アッシャーという名家には嫡男ばかり生まれ、引き継がれてきたという歴史を含む家柄が途絶えることなのか。古い苔と蔦に巻かれてひび割れ、崩れ落ちる「館」のことなのか、その両方なのか、暗い幻想が作り上げた物語が「家」の最後の姿を幻想的に恐ろしい雰囲気を纏ってよく表している。
友人の手紙で 初めてその館を訪れその奇怪な雰囲気と死を看取った「私」という主人公の話は、有名なポーの傑作で、沼に写った古い館のイメージは子供の頃に読んだ姿そのまま、本の中から現れた。神経を病んだ妹の不可解な死後の埋葬に立ち会い、友人もまた家とともに崩壊していく姿は、この世のものではないポー独特の恐怖と異界の空気を纏っている。館が沼に写る幻想的な倒立の姿は、読みながら心の中では古い木から下がった「サルオガセ」の不気味な姿まで加わって映像になって表れて来た。
大鴉
長い詩は内容の深さで多くの研究書が出ているそうだが、一部訳されたそのリズム感はいつまでも響いてくる。
「Nevermore」としか答えないカラスに、語り掛ける若い恋人を失ったばかりの青年が、様々な問いかけや独白や思い出やたとえを投げかける。詩の形をとったポーの計算通りの虚無感と表現は、悲惨な生の不安をただ「Nevermore ほかにない」という計算づくにも思えるカラスの答えの中に、深い哀感を漂わせている。
ヴァルデマー氏の死の真相
催眠術にかかったまま死にたいと思った男が辿った死への道筋。死に行く恐怖は周りに衝撃を与えた。ポーの死のテーマが強烈に恐ろしく出ている。
大渦巻への降下
渦巻きに巻き込まれた漁師は恐ろしい光景を目にしたようだが、読んでいて面白い。
小島が林立する海では潮の満ち干でそういう現象も起きるだろう。すり鉢の淵を回るときに見た光景は何か雄大で力強い。そこに引き込まれまいとするとっさの判断や、耐え抜いてついに流れがゆるくなるのは、何か恐怖談よりも冒険談に近く、あたりの風景も心の中で元の形に戻ってくる。
群衆の人
どんな生き方をしてどんな物語を残しても、積み重なった死は、振り返れば群衆に紛れた一つの顔に過ぎない。通り過ぎる人々の顔を観察していて一人の老人を付けて行った。結果老人もまた
「どうあっても一人にならない。群衆そのもの。群衆の人だ。いくら追っても無駄なこと。あの人物、あの行動がこれ以上わかることはない(…)だがもともと読みようがないようにできているなら、それも神の憐れみと言うしかなかろう」
結果はそんな意味だろうか。素晴らしく哲学的で、重く深い観察の結果は何か共感を覚えるような締め方になっている。
盗まれた手紙
手紙の隠し場所は。引用されることが多いよく知られた作品。
黄金虫
短編だけれど、推理と謎解きの元祖ミステリー小説。
300ページほどの薄い本だが、改めてその面白さと歴史的な価値を確認した。
又、年譜を読んで、ポーは自分の将来の予感があったのか。恵まれない短い生と死の間で執拗に書いた、そんな彼が授かった才能と、薄幸の生涯が重かった。
興味を引いたものだけを書いてみたが
収録作品は
「アッシャー家の崩壊」「アナベル・リー」「ライジーア」「大鴉」「ヴァルデマー氏の死の真相」「大渦巻への降下」「群衆の人」「盗まれた手紙」「黄金虫」 -
Posted by ブクログ
ポーの独特の語りに引き込まれます。不気味すぎる話にゾクゾクしながら、「この後どうなる?」という期待感にあふれました。8編の短編それぞれが個性的で、心情描写のうまさに脱帽でした。
「モルグ街の殺人」は“推理小説の元祖”と、解説にありました。謎解きが論理的に進み、最後に解き明かされる流れは明快で、数学の難しい問題が解けたときのような痛快さを感じました。
訳者あとがきに、明治時代「黒猫」を訳した饗庭篁村(あえばこうそん)、内田魯庵についてのエピソードがあり、当時の翻訳事情が垣間見られて興味深かったです。
角川文庫の河合祥一郎訳と小川高義訳を比較すると、本書の方が心持ち、分かりやすいかなと思いました。しかし、どちらの訳も甲乙つけがたく、高い英文読解力と優れた日本語の使い手でないと翻訳のお仕事はできないと、感じたしだいです。同じ英文でありながら、日本語の表現がこんなにも違うということが驚きでした。
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「幽霊」(苦手)とあったので読むの後回しにしていたんだけど、、、これはおもしろかった!!
ホラー?ミステリー?謎が多くて先が気になるからどんどん読めた。
お屋敷に住み込みで子供たちの家庭教師をすることになった女性が語り手。ずっとその先生視点で物語が進んでいく。子供は眉目秀麗な兄と妹。楽しく過ごしていたある日、先生はお屋敷に不穏な影を見てしまい、色々なものが徐々に崩れていく。
面白いけど難解。結局何が真実なのかわからない。もはや真実なんて無いのかも。と翻弄されてる。
読み終わってからもう一度序章を読んでみたけど、余計混乱しただけだった笑
ネタバレになるので詳しく書けないけど、何をホラーと捉えるか、という小説だと思う。
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Posted by ブクログ
一人称小説の語り手が、幻覚を見ているのか嘘をついているのか偏見を持っているのか、いずれにせよ素直に読むと読者の足下を掬われる語りのスタイルを獲得したのが20世紀。19世紀末英国は大英帝国の繁栄とオカルトブームが同居する実に奇妙な空間で、アメリカとイギリスの両国で暮らしたジェイムスによる難解な幽霊譚の語りを通して20世紀文学が用意されたと言える。
この作品において、幽霊はただ佇むだけである。映画「シャイニング」の亡霊のように。幽霊が悪をなしているというのは、語り手である家庭教師の思い込みではないのか。作品は敢えて核心を外していて読者を宙吊りにする。歯切れの悪さを感じられても仕方ないだろう、とは思う。 -
Posted by ブクログ
ピューリッツァー賞受賞の1作目より読みやすく、楽しかった。登場人物の数も多くなく、人物の繋がりも理解できて物語へすんなり入っていけた。
人生のたそがれにあるオリーブ、ジャックと幸せな結婚生活でよかった。少し、ドラマの「最後から二番目の恋」を思い出した。
孤独が寂しい、と言えるようになったオリーブ。前作では、孤独と向き合うことができず、そのはちゃめちゃぶりにハラハラさせられたが、今作では、ジャックとの生活で安定を手に入れて、優しさを取り戻していた。ヘンリーに対してももっと優しくしてやればよかったと。前作ではヘンリーがすてきだっが、今作ではジャックがむちゃくちゃすてきだった。本人も言ってたが、こんな2人に愛されたオリーブって。町の人たちからは偏屈な意地悪ばあさんと言われてたけど、わかる人にはわかる魅力なんだなぁ。
老人になっても恋を忘れないオリーブ。やっぱ最後はバイタリティだよね。 -
Posted by ブクログ
アメリカ文学の古典的名著ということで、読まずにはおれんだろうというミーハーな気持ちで手に取る。
ディカプリオの映画予告編のイメージが強いからか、乱痴気騒ぎのエンタメ小説かと思っていたが抒情的な栄枯盛衰物語でしたね。
後半の展開で徐々に明かされるギャツビーの人物像とその魂胆、終盤の展開とハラハラさせれたな。
ところどころの風景描写の色彩豊かさ、情景を想起させる名文であることが翻訳ではあるが随所に感じられる。名家として根っからの富豪に対するきな臭い成金のギャツビーという対比、もっと大枠の上流階級と一般市民のパワーバランス、作品構成として非常に引き込まれる練り上げ方をされている。時代も国も違うけど、根源的な人間の無常感を感じさせる。1920年代、第二次世界大戦前の不穏な空気感を味わえた気がする。
村上春樹訳もあるとのこと。本書に思い入れが強いようなので気になる。文体が全く異なるだろうし、再読にはそちらも読んでみたい。