あらすじ
癖があり頑固だが、ときにやさしく勇敢なオリーヴ・キタリッジ。老境を迎えた彼女の日々と、海岸沿いの町クロズビーの隣人たちの悲喜こもごもをつづった傑作ぞろいの13篇を収録。ピュリッツァー賞を受賞した傑作『オリーヴ・キタリッジの生活』11年ぶりの続篇
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Posted by ブクログ
『オリーヴ・キタリッジの生活』の終盤近く、「セキュリティ」を読んだあと、どうしてもこの親子関係の先を知りたいと、その場でオーダー
今作で描かれる74歳から86歳までのオリーヴは、前作と変わらない率直な人物でした
オリーヴが率直な人物であるからこそ浮かび上がってくる彼女の内面
彼女だけを主人公にしていないからこそさまざまな人々の起きるできごとや去来する思い
いわゆる「現役」と呼ばれる時期を過ぎても人生は続くし、単純に「老後」とは括れない、それでも人それぞれの中の共感を見せてもらった気がします
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ピューリッツァー賞受賞の1作目より読みやすく、楽しかった。登場人物の数も多くなく、人物の繋がりも理解できて物語へすんなり入っていけた。
人生のたそがれにあるオリーブ、ジャックと幸せな結婚生活でよかった。少し、ドラマの「最後から二番目の恋」を思い出した。
孤独が寂しい、と言えるようになったオリーブ。前作では、孤独と向き合うことができず、そのはちゃめちゃぶりにハラハラさせられたが、今作では、ジャックとの生活で安定を手に入れて、優しさを取り戻していた。ヘンリーに対してももっと優しくしてやればよかったと。前作ではヘンリーがすてきだっが、今作ではジャックがむちゃくちゃすてきだった。本人も言ってたが、こんな2人に愛されたオリーブって。町の人たちからは偏屈な意地悪ばあさんと言われてたけど、わかる人にはわかる魅力なんだなぁ。
老人になっても恋を忘れないオリーブ。やっぱ最後はバイタリティだよね。
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「オリーヴ・キタリッジ、ふたたび」(エリザベス・ストラウト : 小川高義 訳)を読んだ。
ピュリッツァー賞受賞作「オリーヴ・キタリッジの生活」の続編。
作者の人々を見つめる優しい眼差しから紡ぎだされる人生の機微を見事に捉えた物語の数々。
そうなのだ、ひとは老いるのだよ。
「自分がどんな人間だったのか、手がかりさえもない。正直なところ、何ひとつわからない」(本文より)
本当に素晴らしい作品。
ああ、沁みるなあ。
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フランシス・マクドーマンド主演のドラマを見た。
これがまた期待を上回る出来!U-NEXTにこれだけを見るために入った価値がありました。
そのせいでオリーヴがマクドーマンドとして脳内再生されたけど、マクドーマンドだから許されます笑 だってマクドーマンドですから!もう一度「ノマド」見ようかなと思ったくらい。
「光」を読み終わったのは、カフェだった。涙ぐんでいたところにランチが運ばれてきた。
「救われる」もお弁当食べながらだったから泣きながら食べた。
読み終わるのが惜しくて噛み締めながら読んだ。
なんだかんだいろいろある、いろいろあるけど、ここまでやってきたじゃないか、諦念が生きてきた実感に昇華する瞬間の描かれ方に胸を突かれる。
これから自分が歩んでいく道が見えるようでドキドキもする。ヘンリー亡き後、ジャックと出会うなんて、そんな上手い話無いよと嘆いていたけど、ある意味そんなことは杞憂だった。やっぱり、エリザベス・ストラウトが描くのだから一筋縄ではいかないのだ。
「ふたたび」を書いてくれてありがとうと言いたい。
「ふたたび」を読んで、エリザベス・ストラウトは好きな作家のうちの一人から最も好きな作家1位となりました。
まだ後一冊未読の小説噛み締めながら読んでいこうと思う。
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本を読んでいて、心から共鳴する文章に出会い、ページの端を折ってしまうことがある。『オリーヴ・キタリッジの生活』『オリーヴ・キタリッジ、ふたたび』は、何ヶ所もページを折ることになる小説だった。なぜこの物語に惹かれるのだろう。たぶんひとつはオリーヴの人物像、ニつめはエリザベス・ストラウトの歯切れの良い文体(と見事な訳)、三つめは、私自身がある年代に差し掛かったからだろう。「光」という作品が特に良かった。
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「オリーブ・キタリッジの生活」の続編。主人公オリーブはさらに年老いて、前回の中高年小説からついには死や孤独という不安にとらわれる老人の小説になっている。だが、ここに書かれる人間関係の葛藤やオリーブの気持ちの変遷は、老人だろうが若者だろうが人間は同じだということを感じさせるもので、むしろ前作よりも普遍的な内容になっている。
夫の元愛人をこき下ろしたくなる。フレンチ系の住民に対するちょっとした偏見、でもそんな教え子が有名人になっていたらちょっと誇らしく、会ったことをみんなに言いたくなる。一方でソマリ人を差別しちゃいけないという正義感。老人ホームに入っても、一緒に食事する相手や仲良しがなかなか見つからない。医者にほのかな恋心を抱き、優しくなった息子のところの孫も可愛く思えてくる…年齢層やら設定は違えども、描かれる人間模様は学園ものに当てはめてもあり得そうだし、年老いても人間くさいオリーブとその周囲の人たちの言動が面白い。
前作よりもメイン州の特徴(カナディアンフレンチの存在、スコットランド系、ソマリ人コミュニティ)が濃く描かれていて、米国地理に全く無知なので、地図でメイン州の場所を確認しながら読んだ。なるほどこんなにカナダに近くて北にあったのか、と今更。ケベック州の町並みを思い浮かべながら、架空の町感が減ったクロスビーを満喫できた。
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これはすべて私達のストーリーだと思える小説。誰でも少しずつオリーブと重なる経験、後悔や悲しみ、喜びを抱えて生きているし、生きていく、老いていくんだろうと思わせてくれる。
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自分が老境に差し掛かっているからだろうが、とにかく沁みる。老いが何をもたらすか、余すところなく描かれる。寂しさ、崩れ落ちる自信、人付き合い、子供との関係。沁み渡ったよ。
Posted by ブクログ
10年ぶりのオリーヴ!とても懐かしい人に会ったような気持ちで読んだ。
オリーヴの70代中盤〜80代中盤が描かれる。
いいなあこういうの。まず、安直な癒し話(傷ついて、でも美味しいごはん食べて癒される〜みたいなやつ)じゃないのがいい。過去のぐちゃぐちゃや老いや不満などのいろいろを、抱え込み、受け入れているよね。
ズケズケ言っているようで結構相手を思いやっていたり、よろけたり漏れたりの老いる己れの身体に驚いたり困ったり、時々どうしようもない孤独や心配に襲われたり。こんな80代、アリだなー。
『心臓』が最もグッときた。
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最高。前作よりも一般ウケしそう感が増した。言ってみれば、分かりやすくなった。他人のことを、あーだこーだ言うんだけど、あーだこーだの話を聞き、聞かされるんだけど、揺るぎない自分、迎合しない自分が残る。
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「老いる」ことが、切実に我が身へと迫ってくる作品。前作にあったオリーヴの「人となり」は、変わらないが、老いが彼女を絡めとって行く様が少し痛々しく感じた。だけど、これが現実なのだな、と思わせるところが、この作品の凄さだと思う。オリーヴの周辺で生きる人々にも焦点を当てているが、それぞれに問題を抱えつつ懸命に生きる様子になぜか勇気をもらえた。生きることはしんどい。けれど、たまには良いこともあるさ。という、オリーヴの声が聞こえるようだ。
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これは前作同様、深いのに軽やかで、人生の真実に近づける感じ。老年に達したオリーブと周りの人々の暮らしが描かれるが「なんでもない日常」なんてないのだなと思わされる。今日が人生の変わり目かもしれないのだ。
80過ぎまでのオリーブの晩年は穏やかとはいいがたい…いや、境遇的には満たされてるけど…で、老いを感じる私としては、そうかこうなっていくのかというリアルな恐れと諦念を感じるが…そうね、それでもいいことも起きるし、自然は美しいし、進んでいかないとね。
訳が見事!会話の自然さにうなる。
Posted by ブクログ
1作目は自分の読書歴オールタイムベストに入る作品。人生に寄り添ってくれる小説というのでしょうか、中高年の方に強くお勧めできる小説です。で、その続編が10年ぶりに出て迷わず買ってから2年放置しましたが、初読から10年、細部を忘れてるので、今回最初から読み始めやっと通読できました。
構成はオムニバスと言われる連作短編集で、オリーヴは主役、脇役、チョイ役と年齢順に出てきます。2冊で40代から86歳までのオリーヴが、架空の街、メイン州クロズビーの人々と共に描かれます。その意味で2作はきれいにつながっています。1つの短編を時間をかけてしっかり読んでいくことが吉。
オリーヴは、かなり嫌味な毒吐き女性で感情移入は難しい人物設定です。感動とは程遠い、普段の生活が淡々と進むなかで、ちょっとした波乱や、老いや寂しさを感じさせるトラブルが丁寧に描かれていきます。
前作の完成度は素晴らしい分、続編は楽しみだけど本当は知りたくない、という感じでしょうか。続編は晩年の枯れを語る物語で、老いや病気、あきらめ、寂しさが前作よりさらに色濃くなって、それが読者の気持ちに反映してくる。誰しも老いていくし、気が付いたら自分はそういう歳になったけどまだまだ心は若く20歳、まさかすぐに死ぬなんて思いもしてない。でもいつかは現実に死を自覚する時が来る。その時にどう向き合うのか、それを問うてくる小説。
そういったジャンルがあるかわからないけど、老境文学として胸に深く染みわたる本。もし10年後にまた読めたとき、現存在における老いと寂しさはどう自分に迫ってくるだろうか。
沈思して黙考したい。
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相変わらず、痛快!
オリーヴ・キタリッジが身近にいたら、私はどんな態度をとるのだろうという問いにはまだ答えが出きらない。
最後の「友人」は、いくつになっても友達って良いなとほっこりした。(当初はイザベルを、ネズミパンツ呼ばわりしていたオリーヴには笑った。)
「心臓」に出てきた、政治思想の異なる介護士ベティが泣く姿を見て、二人の距離が近くなる場面も良かったな。
「詩人」の中に出てくるジャックとの会話もたまらない。
"もうちょっとオリーブを薄めてくれないか。”
...
"結婚しよう"
"なんで?"
"そりゃ、オリーヴだからだ"
"あまりにもオリーヴだって言ったじゃないの"
"うるさい、黙れ。結婚するぞ"
丸ごとそのまま愛してるって素敵だなと思う。
オリーブが感じた老いていくことへの不安や戸惑いを通じて、良い意味で、いつか老いていく自分についても考えさせられた。
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“「わからないことは、わからないままに受け止めて、心静かに耐えること」”(p.172)
“人間はそもそもさびしい。そのことを軽く考えてはいけない。暗闇がぽっかり口を開けたようなさびしさから逃れたくて、人はさまざまな選択をする。その判断は尊重されるべきものである。”(p.287)
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あのオリーブ・キタリッジが11年の歳月を経て戻ってきた。すでに最初の夫を亡くし、老年の域に逹っしているとは言え、オリーブはやはりオリーブ。前作 "Olive Kitteridge" 同様、物語自体が彼女の一人称で語られることもあれば、彼女は道端にふっと姿を表すだけのときもあり、クロズビーという町とそこに住む人々が文字通り「織りなす」物語。
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11年ぶりにオリーヴに再会。
すぐにオリーヴにまつわるいろんなことを思い出し、そっけないような、辛辣なような、でも時にとてもいい人だなぁと思い、その老境のまあまあ幸せじゃない?みたいな人生に触れられてとてもいい心持ちになった。
物語の閉じ方も素晴らしい。
普段はほぼミステリーしか読まないわたしですが、この作家さんは大好きで、特に『何があってもおかしくない』はいろんな方におすすめしています。
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「わからないことは、わからないままに受け止めて、心静かに耐えること」
どろり、じとり、とした読後感
1作目から歳をとったけど、オリーブはオリーブだった
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キタリッジさん、いよいよ人生の終幕へ。
前作でそうだった、いつも不機嫌を撒き散らしている態度に、少しずつ自覚が出てくるところがリアル。歳を重ねて、気付くことで変えられること、気付いても尚変えられないこと。
息子の子育てに失敗、と思ったら優しい変化もあって喜ばしいが、その変化をもってさえ、理想の息子像には足らない。過ぎ去ってしまった時代の満たされなさは、埋めようがない。そこもまた、人のリアルさを感じた。
全体として、前作より理解がしやすくなっている。でも、続きはもういらない。訳者あとがきにもあったが、キタリッジさん主人公お疲れ様、これ以上は酷だから、もうゆっくり休んでくださいと、自分も思った。